【TOK】のスキー教師日記  Aug. 2006

 Aug. 2006

What's Today ?

08/31 自然条件を考える
08/30 用具の性能を生かす
08/29 身体の特徴を生かす
08/28 イメージで滑る大回り
08/27 大回り後半 No.6
08/26 大回り後半 No.5
08/25 大回り後半 No.4
08/24 大回り後半 No.3
08/23 大回り後半 No.2
08/22 大回り後半 No.1
08/21 大回り後半は?
08/20 コブ斜面...まとめ
08/19 47 FSS 開校のご挨拶
08/18 低速で美しく...
08/17 当てたら引く !!!
08/16 コブの滑り方No.8
08/15 コブの滑り方No.7
08/14 コブの滑り方No.6
08/12 コブの滑り方No.5
08/11 コブの滑り方No.4
08/10 コブの滑り方No.3
08/09 コブの滑り方No.2
08/08 コブの滑り方No.1
08/07 “FS”の大命題
08/06 上達のスパイラル
08/05 土壌としての身体を磨く
08/04 白の世界の色々
08/02 祝福され始めた“F”さん
08/01 苦を味わう


*** これまでの日記***

* 2006年07月
* 2006年06月
* 2006年05月
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   (Canada Tour)
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* 2006年02月
* 2006年01月
* 2005年12月
* 2005年11月
* 2005年10月
* 2005年09月
* New Zealand05 通信
* 2005年8月
* 2005年7月
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* 2005年5月
* 2005年4月 No.2
* 2005年4月 No.1
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* 2005年1月

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New Zealand04通信
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* 2001年8月No.1
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教師日記 6月
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1999年秋
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1999年2月
1999年1月

*  以下 1998年

1998年12月

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★ Aug. 01  2006  Tuesday  小雨 (白馬)
 今日から八月...。今年は白馬地域...涼しい日が続いていて,夏の気配があまりありません。暑がりの【TOK】にはしのぎやすく大変助かりますが...。でも,夏の暑さがあって,秋が来,そして待望の冬が来る...という図式がイチバン...なのですが。あまり欲張ってもいけませんが,それなりの四季の移り変わり...これを味わい,楽しみたいものです。(^ー^)
 では,皆さんも元気でイイ一日を !!!
 
Have a nice day !!! 

     -------------☆★☆-----------
 “F”さんのご質問に対する【TOK】の考えの二日目です。今日は「精神的なもの」について...。
 昨日...雪や斜面の状況,身体の調子,気持ちや精神的な状況,用具の状態,一緒に滑っている仲間...etc.などのいろいろなシチュエーションが「滑りのムラ」に影響を及ぼしている...ということをお話ししました。
 このいろいろなシチュエーションを良く見てみると,「精神的なもの」と「肉体的なもの」に分けて見ることができます。皆さんから寄せていただいた e-mail にもそのことが書かれていました。コンピュータでいえば「ソフト」と「ハード」...とでも言えるでしょうか?。このどちらかだけがいくら優れていても,全体の機能としてはこれを充分に働かせることができません。バランスが取れていてこそ良い具合に働いてくれるのだと思います。
 今日はこの内の「ソフト」に相当する「精神的なもの」を少し考えてみたいと思います。先ず
「調子の良し悪しがに極端な差があること」...これがあることは,「イケナイこと」なのでしょうか? もしイケナイこと...であるとすれば,徹底的にこれが発生しないように努めなければなりません。“F”さんの e-mail を拝見すると,「集中力の無さが調子の良し悪しを決めているようだ...」と仰っています。そしてその文意からは,「集中できない自分が情けない...」といったお気持ちがあるのが汲み取れます。でも私は,「情けない...」と思う心は無くして欲しいと思うのです。
 ものごとは,何でもそうだと思うのですが,特に価値判断はあることとあることを比較することで成り立ちます。あのスキーの価格は高い...というのは価格の安いスキーがあってこそ判断できることです。お金が有る...というのは,お金が無いこととの比較ではじめて認識できることです。スキーの調子が良い...というのも調子が悪い時と比較するからはじめて自分で認識できるのです。もし,いつもイイ調子の状態だけだったらで,悪いもナニもありません。言い方を変えれば,「調子が悪い」という状態を知っているからこそ,「調子が良い」ことが認識できるのです。ですから,「調子がイマイチ...」という状況に出くわしたら,「オッ !!! 俺って調子の悪さが認識できたぞ !!! それだけうまくなって,今とは違う調子良く滑れてる時があるんだ !!!」...と自分の感性をこそ褒め称えてあげるべきなのです。
 集中力がなくて調子の良し悪しに影響を及ぼしていることが事実だとしても,それを責めることは自分にとって何の役にも立ちません。気分が落ち込み,それが身体の動きに悪影響を及ぼし,尚更調子が悪くなってしまいます。前にも話したように,根クラスパイラルに陥って,“スキー”が嫌いになってしまうでしょう。そうではなく,逆にこのことから,「調子の良し悪しを見抜く能力が自分にはあるんだ !!!」...ということを思うべきです。自分のものごとの違いを感じ取る能力...“感性”や“感受性”が豊かな自分の素晴らしさ...これを誇りに思うべきなのです。すると,調子は悪いけれど,その調子の悪さをそれなりに味わい,楽しむことができるのです !!!。これこそ“苦を味わう”...ということです。ところがそうしていると,いつの間にか身体は活き活きしはじめます。「苦を味わっていた筈の自分」が気持ち良く,気分良く滑っているのに気付きます。調子の悪さがどこかに飛んで行き,いつの間にか「調子の良い滑り」になっている自分に出会えるかもしれません。
 調子の悪さを感じれた“F”さんが素晴らしい !!!...と私は思います。調子の悪さが感じられたら最高 !!!...なのですヨ !!! (^ー^)

 時間が押してしまいました。今日はこれまで...。




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★ Aug. 02  2006  Wednesday  霧⇒晴れ (白馬)
 今朝は霧が一面に覆っています(am6:30)。でも山小屋への荷揚げヘリコプターの音が聞こえていますから,直ぐ上は晴れでしょう...(^ー^)。これから霧が取れ,晴天になると思います。
  am7:55...霧が晴れて晴天に !!! 夏空です !!!。(^ー^)
 では,皆さんも元気でイイ一日を !!! 
Have a nice day !!! 
     -------------☆★☆-----------
 “F”さんのご質問に対し,昨日は,「滑りにムラがあるというというのはむしろ歓迎すべきことだ。これを感じ取れた自分の身体の素晴らしさ,“感性”の豊かさをを褒め称えよう !!!」...ということを話させていただきました。今日はこの続きで,「在るがままの自分を“愛”する !!!」...ということについて...。
 
 今シーズン...(【TOK】にとっては9月から新しいシーズン...という風に思っていますので,8月一杯は2005-2006シーズンが今シーズンです...^ー^ ),2月から“愛のターン”というのをイメージし,レッスンで皆さんと共に滑って来ました。その一連の過程を通して今思うことは,「在るがままをあるがままに受け容れる姿勢の素晴らしさ」...ということです。“愛のターン”では雪からの情報を素直に,あるがままに身体に受け容れる...というイメージで滑ります。その時の身体の使い方とか反応の仕方,運動がどうなる...というようなことは一切関知しません。ですが,というより,だからこそ,その人なりの美しい滑りが顕れて来る,というのが分ります。コウでなければならない,アアでなければいけない...ということは一切ありません。技術的なこと,精神的なこと,斜面条件などの自然条件...これらいろいろを全て含めた,「集大成として最善のスキーの運動」が,「その人のその時のベストな滑り」として,そこに自然に顕れて来るのです。良いとか悪いとかを超越した,今そこに在る滑り,化粧をほどこさない素の滑り,をしている“在るがままの自分”が居るのです。これは本当に素晴らしいことです。

 永い間教師をしているとわかるのですが,「イイ滑りだネェー !!!」...と誉め言葉を言ってもらおうと思って滑る滑りにはどこか「作られた自分」が居て,その人の本当の「素の自分」とは違う,別の演技をしているものなのです。それは,自分であらかじめ「スキーとはこういうものだ...」という規定概念を作っていたり,他人の真似をしたり,他人にイイところを見せよう...などという思いがあるからです。あるいは,自分で自分に「ある期待値」を設定し,それをクリアしようとしている時にも表れます。つまり,「自分でない自分を演技しよう」...という気持ちがあることが,素直な滑りができない原因でもある...ということです。

 ...という風に見てくると,“F”さんが,「精神的な側面、その中でもやはりネガティブな要素が...個人的には集中力の欠如が身体へ影響している...」という風に思われたのは,悪いことでもなんでもありません。逆に,真の自分のある側面に気付いたこととして喜ぶべきこと...なのです。「OK !!! それでいいんだよ !!!良かったネ !!!。集中力の欠如に気付いて...」ということなのです。集中力の欠如があり,調子の良し悪しがある...といった素直な自分自身に出会えた...ということでもあります。

 「滑りのムラ」を思われた“F”さんは,いろいろな感情のあることに気付き,在るがままをあるがままに受け容れることの面白さに気付き始め,スキーの神に祝福され始めた...そう思います。(^ ^)(^I^)



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★ Aug. 03  2006  Thursday  晴れ (白馬)
 今朝も朝早くは霧が一面に...。でも,7時過ぎからその霧も取れ始めました。
 梅雨が明けてから,白馬もすっかり夏モードになりました。山に登る人,トレッキングで花を愛でる人,夏のアウトドアスポーツを楽しむ人...いろいろです。(^ー^)
 さて,今日は急用のため「教師日記」オ・ヤ・ス・ミ…です。申し訳ありません...(=_=;)
 では,皆さんも元気でイイ一日を !!!
 
Have a nice day !!!

 

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★ Aug. 04  2006  Friday  晴れ (白馬)
 今朝も夏空が広がっている白馬です。「晴れ」です。(^ー^)
 昨日は気温が上がりました。暑さの夏が来た !!!...ということを実感しています。この晴天,結構長く続きそうです。子供達にとってもいい夏休みになりそうです。
 では,皆さんも元気でイイ一日を !!! 
Have a nice day !!! 
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  昨日は急用のため日記...休みでした。申し訳ありません。(=_=;)
 さて“F”さんのご質問,「滑りの調子の良し悪し」及び「精神面と身体、技術との相関関係について...」に関する【TOK】の回答...その3回目です。今日は「イロイロを楽しむ」...です。
 前にもこれと関係することを少しお話ししましたが,心の捉え方...気持ちをどう持つか?で「滑りの調子の良し悪し」を別の側面から見ることができます。「こうでなければならない...」という風に,自分の滑りに“たが”をはめ,滑りを規制してしまうと,あるすべり方を求めてしまい,何をやっても不満足感を感じてしまいます。そうではなく,イロイロがあること,それぞれをそれなりに楽しむ気持ちを持ち,満足もあれば不満足もある,その中間の満足もある...というように,「どういう満足度で今日は滑ってるかな?」...くらいの気持ちで滑れば,“must症候群”から脱却でき,より自由なスキーが楽しめます。そして,“スキー”の味わいの深さを感じることもできるのです。感じ方に敏感になり,イロイロを“感じる”つもりで滑れば,いろいろな“気付き”が味わえ,そしていろいろな“違い”を味わうことができるのです。「滑りのムラ」を,「ムラをムラとして楽しむ...」というくらいの“心積もり”があるとイイと思います。(^ー^)
 春の雪は別として,私たちが“スキー”を楽しむ雪の自然は,“白”に恵まれた世界です。この“白”という色...これは皆さんもご存知ように「色が無いのではなく,あらゆる色を包含している色」だといわれています。“スキー”を楽しむということは,ある見方をすれば,まさにこの「いろいろを含んだ“白の世界”を楽しむ !!!」ということに他なりません。いろいろなものが含まれている白のフィールドだからこそ,私たちが感じることもいろいろあって当然なのです。むしろこの“いろいろ”を感じれないことの方がおかしい...のです。
 雪の白...これを味わうことは,“色々な様々”を感じることなのですネ !!!。(^ー^)



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★ Aug. 05  2006  Saturday  晴れ (白馬)
 今朝も夏一杯の白馬です !!!。「晴れ」です。(^ー^)
 昨日は久しぶりに「青木湖」で泳ぎました。冷たくて気持ちよかったです !!! ライフジャケットを身に付け,仰向けに湖面に浮いていると,まるで「ラッコ」気分...。(^ ^)(^I^)
 さて,皆さんはこの週末...どちらでどのようにお過ごしでしょうか?
 では,皆さんも元気でイイ一日を !!! 
Have a nice day !!!
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 今日は“F”さんのご質問,「滑りの調子の良し悪し」及び「精神面と身体、技術との相関関係」についての...その4回目です。「精神的な側面」については,これまでいろいろお話してきましたので,今日は「肉体的な側面」についてです。

 精神的なことが「滑りのムラ,調子の良し悪し」に関係していることは明らかですが,それだけが原因ではなく,身体のコンディション,活き活き度などもこれに関係しています。この身体のコンディションについても二つの見方ができると思っています。ひとつは生まれながらにして持っている運動機能と,生後の生活で培われ身についた機能です。骨格の作られ方などDNAが関与しているような運動機能は,私たちがどうあがいても変えることはできません。また生まれてからこれまでどのような生活をしてきたか?あるいはどのような運動履歴があるか?などで決定付けられた今の体型そのものも,技術との相関という意味で大きな要素を持っています。

 この二つの内,私たちが自分の意志で変えられるのは後者の方です。例えば極端な話しで恐縮ですが,体重100キロを超える太った人が俊敏な小回りをしたい...といっても,それが身体の機能として実現不可能なのは想像できることです。もちろん中にはお相撲さんのように俊敏に動ける人も居ますが,一般的には無理です。
 ある生徒さんに聞かれたことがあります。「私は小回りが苦手です。どうしたらうまく滑れるようになるでしょうか?」。その方の体型を拝見すると,申し訳ないのですがウエスト回りがお相撲さんとは言いませんが,それに近い体型でした。小回りで大切な「身体のネジレ−戻り」がスンナリとできる体系ではありません。この人なりの努力で,それなりの小回りは実現可能ですが,想像されているような俊敏な小回りは不可能でしょう...(=_=;)。
 このように,いくら精神的にプラス思考的な考え方ができたとしても,それを受け入れ潜在的な能力を開花するのに適した身体が無ければ,「滑りのムラ」を解消することは不可能だと言えます。例を園芸に例えて言えば,いくら種が立派で素晴らしいDNAを持っていても,それを育てる土壌がしっかりしていないとうまく育たないのと同じです。身体そのものが栄養としての精神的な要素をがうまく受け入れられ,それが身体のコンディションとうまく噛み合った時,精神面と身体がマッチし,技術的に高いレベルで好調を維持できるようになるのだと思います。

 そういう意味で,土壌としての身体そのものをしっかり磨き,ベストコンディションにして置く !!!...ということも,「滑りの好不調」を高いレベルで保つ上で大事なことだと思います。



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★ Aug. 06  2006  Sunday  晴れ (白馬)
 今日もイイ天気です !!!。(^ー^)
 普段の夏ですと,日中は雲が出て,昼は北アルプスの山々の稜線は見えなくなるのですが,昨日は一日見えていました。今日の日曜日もイイ天気です。夏は夏で,精一杯暑さを楽しみましょう !!! そういえば今日から夏の甲子園...ですネ !!!。
 では,皆さんも元気でイイ一日を !!! 
Have a nice day !!!
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 今日は“F”さんのご質問に対するお答えの最終回で,「上達のスパイラル」...ということについてです。
  その日の調子の良し悪しについては,「精神的な側面=Mind Control」と,「肉体的な側面=Body Control」があり,これがうまく噛み合った時に,「アア,俺って今日は調子イイナァー !!!」という風に感じ,それがいまいちうまく噛み合っていないと,不調を感じる...ということを,これまでお話しして来ました。ですから,アスリートは,試合に向け,この両方を最高の状態に持っていくための努力をしているのだと思います。

 さて,“F”さんのこのご質問にお答えしながら,このことは実は「スキー上達のモデル」を考えることだと気付きました。
 どういうことかというと,私たちがうまくなっていく過程を良く観察すると,先ず“イメージ1”という状態があり,このイメージに身体が反応して“フィーリング1”が起こり,その結果として“滑り1”が肉体的な運動の現象として表れます。そして次に“イメージ2”ということをイメージすると,このイメージにまた身体が反応して“フィーリング2”が起こり,その結果として“滑り2”ができるようになります。“滑り1”が“滑り2”になった分だけ上達している...ということになります。このように“イメージ”が“フィーリング”の違いを産みそれが結果として“滑り”に影響を与えて行く...という図式が成り立ちます。つまり“イメージ”⇒“フィーリング”⇒“滑り”⇒“新しいイメージ”⇒“新しいフィーリング”⇒“新しい滑り”......の繰り返しが,スパイラル的にそのスキーヤーの技術を上達に導いてくれる,ということです。
 ここで言う“イメージ”は,その人がどのような精神的状態にあり,具体的にどんなイメージを持てるか?という“Mind Control”的な意味を持ちます。またそのイメージに体が反応し感じられる“フィーリング”と,その結果表れる“滑り”は,“Body Control”という風に見ることができます。
 すると,好調とか不調というのは,この“滑り”がどの状態を行き来しているのか?ということだと考えることができます。例えば“滑り10”までをクリアされていたスキーヤーが居たとします。「精神的」にも「肉体的」にもマッチングが取れていれば,もちろん“滑り10”の素晴らしい滑りができるのですが,何か精神的な要因がマイナスに作用し“イメージ9”に下がってしまったとします。すると身体もそれに反応し,“滑り10”をキープできなくなり,“滑り9”に落ちてしまう...ということです。「精神的」にではなく,「肉体的」にダメージがあり,“Body Control”ができていない場合も,“滑り9”になってしまうでしょう。

 このように,調子の良し悪しは,それまで自分が築き上げた自分の技術を,全開できるかできないか?...という風に見ることができます。その要因として「精神的なこと」と「肉体的なこと」がある...ということです。

 これまで11日間,“F”さんからいただいたご質問を皆さんと共に考えてきました。そしていろいろなことを学ぶことができました。そして最後には「スキー上達のモデル」を考えることにまで発展しました。本当に実りのある日記とすることができました。
 みなさん,ありがとうございました !!! (^ ^)(^I^)



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★ Aug. 07  2006  Monday  晴れ (白馬)
 今日も「晴れ」の白馬です !!!。(^ー^)
 昨日までのクッキリさは少し無くなりましたが,晴れの夏空の中をツバメが遊んでいます。朝7時の気温は,23℃...ヒンヤリとした空気が部屋に流れ込んできています。
  では,皆さんも元気でイイ一日を !!! 
Have a nice day !!! 
     -------------☆★☆-----------
  今日は“F”さんからのご質問に対するご意見の最後として,“N.S”さんから頂いた e-mail ,それに“F”さんご自身からのメッセージをお伝えします。

  先ず,“N.S”さんからの e-mail です。
  『…TOK先生こんにちは。“N.S”と申します。最近の日記、活気があって素晴らしいですね。毎日読むのが楽しいです。さて、読ませていただいた私の感想をお送りします。好不調ということについて多くの方のご意見を目にすることができました。そして私が感じたことは、好調と不調は互いに表裏の関係で、好調は不調があるから感じられる現象だ、ということです。不調は好調な時を思える時があるからこそ感じられることでもあります。そう思いながら読んでいたら、8/1の先生の日記の中で「調子が悪いという状態を知っているからこそ、調子が良いことが認識できるのです」という書き込みがありました。まことにそのとおりだと思って読ませていただきました。そして、不調があることを悲観するべきではなく、むしろ喜ぶべきだという言葉にも思わずうなずいてしまいました。こういうように考えて滑れば、いつどこでどのような機会に巡りあっても、その状況を楽しんで滑ることができると思いました。一日も早く雪の上に立って、不調を喜びながらスキーをしたいと思います。…』
 “N.S”さん e-mail ありがとうございます !!! いやぁー,全くそのとおりで,私がいつも“スキー”をする時に心掛けていることでもあります。そして,これこそが“生涯スポーツ”としての“スキー”を意識するときに大事なポイントになることでもあると...。“N.S”さんの e-mail に対してはナニも言うことはありません。(^ー^) ありがとうございました。

  さて次はご質問された“F”さんご自身からのメッセージです。(^ー^)
  『… TOK様 こんにちは“F”です。ここ数日取り上げていただいている「滑りのムラ」というテーマ、投げかけたことが波紋のように広がっていき、皆さんの知恵と経験によってシンポジウム的に発展する... ホントすばらしいですね。ちょっと感動してます! というか、何気なく質問した私としては、なんだか恥ずかしいような...(・・!) 
  “滑りのムラ、調子の良し悪しも含めて、真の自分に気付いことを喜べばいい...” これもまた自分探しの旅の一つと私は考えます。大自然の愛を感じ、新しい自分、本当の自分を見つめ直す...結局はフィーリングスキーの大命題ともいうべきことにたどりつくんですね。まさに“スキー道”、極めるには一朝一夕にとはいきませんから、これこそ楽しみながら探し求めていきたいものです。 
  今回のようなシンポジウム的な素晴らしい展開が、新しいシーズンにつながってさらに発展していくといいですね。期待してます。 
  暫くは暑い日が続きそうです。お体には気をつけてお過ごし下さい。 では、Ciao!! 』

  “F”さん,こんにちは!。みなさんから本当にたくさんのご意見が頂戴できました。仰るように On Line Ski School の面目躍如...とも思えるような展開ができました。これも皆さんのおかげです。わたし自身も学ぶことがたくさんありました。本当にありがとうございました。
  真の自分に気付いことを喜べばいい...自分探しの旅の一つ...大自然の愛を感じ、新しい自分、本当の自分を見つめ直す...フィーリングスキーの大命題ともいうべきことにたどりつく...というようなことにお気づきになられたのであれば,これ以上の喜びはありません。(^ ^)(^I^)

  それではこれで一応,“F”さんからのご質問シリーズを終了とさせていただきます。ありがとうございました。

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  次のご質問 e-mail です。“M.O”さんからいただきました。皆さんのアドバイスは如何に?
  『…避けて通れない,コブですが,なかなか怖くていつも3ターン位でコースアウトしてしまいます。コブに入らないで,避ければいいのですが,コブだらけの斜面に遭遇することもよくあります。そうなると,そこで固まってしまいます。TOK先生,どのようにしたら楽しく下まで滑れるようになるか教えていただけないでしょうか…』
  さて,皆さんならどういうアドバイスをして差し上げるでしょうか?ぜひお考えをお知らせ下さい。宛先は e-mail へ。尚「教師日記」への掲載を望まない方はその由を書き添えてください。ではお待ちしています !!! (^ ^)(^I^)



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★ Aug. 08  2006  Tuesday  晴れ (白馬)
 今日の白馬...「晴れ」です !!!。(^ー^)
 昨日は,この夏初めての凄いカミナリが !!!。青木湖の近くに数発の落雷があり,建物がビリビリと揺れました !!!。その夕立も約1時間ほどで通り過ぎていきましたが,久々にドキドキしました。(*_*) 丁度ラフティングボートが桟橋近くまで戻って来ていましたから,難無く体験ツアーを終了できましたが,もし湖の真ん中でアレに合ったら最悪でした...。(=_=;)
 では,皆さんも元気でイイ一日を !!! 
Have a nice day !!!
     -------------☆★☆-----------
  今日から,“M.O”さんからいただいた,「コブの滑り方」に付いて...のシリーズが始まります。ご質問の趣旨は,『…避けて通れない,コブですが,なかなか怖くていつも3ターン位でコースアウトしてしまいます。コブに入らないで,避ければいいのですが,コブだらけの斜面に遭遇することもよくあります。そうなると,そこで固まってしまいます。どのようにしたら楽しく下まで滑れるようになるでしょうか?』...というものです。

 今回もトップバッターは“O”さんです。いつも“O”さんからは迅速なアドバイスを頂いております。ありがとうございます !!! (^I^)

 
 『...TOKさんどうも...。“O”です。今日のテーマ「コブ」は自分もまだまだ発展途上で一度フィーリングスキー風のコブ滑りをTOKさんに御指導して頂きたいと思ってました。現在自分なりにコブについて考えてる事をちょっと...。
  @最近のコブは最初に小回りで滑った人が付けたラインを色んな人が滑り、どんどんラインが深くなって出来た物が多い。つまりラインが深くなる前の状況での小回りが上手く出来ないとそのコブはスムーズには滑れないのではないかと思います。良く言われる様に「コブを上手く滑りたければまず整地での小回りをマスターせよ」は当たってると思います。
  A小回りには何通りもの滑り方が有る様に、コブにも何通りもの滑り方が有る事が自分にも最近分かって来ました。バンク(コブの土手)を滑る方法、コブの腹部分を削りながら滑る方法、直線的にスキートップの上げ下げで滑る方法、・・・・ 他にも色々有るようです。自分が一番やり易い方法からやるのが上達の近道かと思ってます。
  Bあるコブの名手が次のコブの溝に思い切って上体を落とし込みながら向けて行くと板が溝に沿ってスムーズに体に付いて来ると言ってましたが、自分はまだ怖くて出来ません。いつか出来るようになりたいです。
  Cコブは自分もまだ上手く滑れませんが、下手さを感じられる自分を誉めながらジックリ、焦らず上達して行きたいと思ってます。(これが一番大事かな)...』


  “O”さん早速の e-mail ありがとうございます !!!。今回は,C以外は「コブの小回り」を想定され,ポイントを四つに絞って居られますが,この四つとも大事なことです。
  @整地で小回りができるようにする...⇒コブを小回りで滑り降りるなら,このことは絶対に欠かせないことです。整地でできない滑りが,さらにバランスを崩す要素の多いコブ斜面でうまくできるとは思いません。やはり基本に返って,基礎的なことに習熟することが大事です。
  Aコブにも何通りもの滑り方が有る...⇒そのとおりです。どのような滑りをどのようなシチュエーションで使ったら良いか?ということは数多くの経験から導き出されることですから,ここでもイロイロを学ぶことが必要になります。(^ー^) 何ごとも“思考”し,“イメージ”し,そして“経験”することが大切なのです...ネ !!!。(^ ^)(^I^)
  Bコブの溝に思い切って上体を落とし込みながら向けて行く...⇒重心の軌跡の移動を止めない...ということですネ !!!。コブの小回り...スキー板よりもむしろ“重心(身体)”がターンをリードして行く気持ちが大事だとも言われます。モーグル的な滑り方に似ていますが,重心が斜面を先に降りて行き,スキーが後から付いてくる感覚を身に付けるとイイ...ということです。どんなコブの滑り方もそうですが,この感覚も先ず簡単なコブで慣れ,次第に難しいコブに入ることで身につけた方がいいでしょう。怖さは自信の有る無しに左右されますから...次第に自信を付けていくことです。
  C下手さを感じられる自分を誉めながら...⇒このような「精神的な気楽さ」を持つことは本当に大事なことです。前回の「滑りのムラ」でもお話ししましたが,精神的にマイナスになっていたら身体がいうことを聞いてくれません。まさに“M.O”さんが仰るように,「固くなって」しまい,身体がガチガチになってしまうでしょう。「うまくいかない自分を誉める気持ち」があれば,その時点での「精神」と「肉体」が発揮できる最善の滑りが,「形」として顕れて来ます。それをこそ自慢に思い,「コレが私...」という様に納得でき,「コブもまあまあだワ...」と納得できると思います。(^ー^)

 ところで「コブ」というと,皆さんは「小回り」を思い浮かべるようですが,私は「大回り」も頭に入れたら面白いと思っています。人は様々で小回りに適した体型の人も居れば,大回りに適した人もいます。コブ...といったら何が何でも小回り...という考えを捨て,大回りも経験してみることをお勧めします。(*^^)v



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★ Aug. 09  2006  Wednesday  晴れ (白馬)
 今朝は台風の影響でしょうか...少しヒンヤリする空気が流れています。気温も22℃...とこの時期にしては低めの温度です。空の色もどことなく“秋”の気配が...。
 そういえば...昨日が“立秋”でしたから,今日からは「暑中見舞い」ではなく,「残暑見舞い」になるのですネ !!!。
 では,皆さんも元気でイイ一日を !!!  
Have a nice day !!! 
     -------------☆★☆-----------
 今日は“M.O”さんからのご質問,「コブの滑り方」に付いて...の二回目で,“K”さんからの e-mail です。

  『 TOK先生こんにちは。”K”です。前回の精神・身体・スキー技術についてはいろんな意見が出ましたね。こんな考え方もあるんだなぁと凄く参考になりました。武道につながる「スキー道」という考え方、色々意見を求めると面白そうですね。
  今回のテーマは「コブ」ですか。いつかは出てくるテーマかなと思ってましたが、ついにきましたね。いつものように、まずはコブでの失敗原因から考えていきましょう。

  ・思ったようにスキーが動かせない⇒コブではスキーを振りやすい場所、振り難い場所があります。コブとコブの間の底部分に舵取りポイントがくるとスキーに迎え角を与えることが難しくなり、バランスを崩してしまいます。
  ・斜度変化による加減速に対応が追いつかなくなる⇒コブは背(急な部分)と腹(緩やかになる部分)で斜度が変わります。ここで腹の斜度に合わせたままのポジションだと背で後傾になり暴走、次のコブで弾かれてコースアウトや転倒ということに。逆に背の斜度に合わせて前傾したままだと次のコブの腹で強烈な抵抗を受け、上半身が潰れてターンできなくなります。
  ・見た目の凹凸感に気が引けてしまう⇒これまでのテーマにも出てきた、ネガティブなイメージからの失敗パターンですね。気が引ける→後傾→コブの向こう側が見えにくくなりさらに恐怖感が増す...といった悪循環になってしまいます。

  さて、これらの失敗を防ぐ為にはどうすればいいか考えてみます。

  ・まずはライン取り⇒上手い人がコブを楽に滑るときには、比較的凹凸のきつくないラインを通っています。また、コブの背を谷回り、腹を山回りとしてコブの腹から背に切り替わる付近でクロッシング(切換え)するラインをとるとスキー操作が楽になります。コブが得意な人の直後を同じラインで滑ってみてください。想像以上に滑りやすいと思いますよ。(攻めてるラインだと別ですけど・・・)
  ・重心の移動速度・移動軌跡の急変化を避ける⇒重心が急に動くとバランスを保つことが難しくなります。コブの背で加速、次のコブにスキーをぶつけて減速といった滑りは避けたほうが無難ですね。不可能ではないですが失敗しやすく身体への負荷も大きくなります。急変化を避けるポイントはコブの背でできるだけ加速しない、腹で減速し過ぎないことです。コブの中(特に背の部分)でズレをコントロールできると楽に滑れますね。
  ・強い気持ちで...⇒まずは1〜2ターンで構わないので、しっかりターンする気持ちを持って滑りましょう。そうやって、3ターンならどんなコブでも大丈夫!5ターンまでならドンとこい!!といった自信をつけていくといいのでは。

  7/16の投稿分で記載しました、かかとの骨をボールに見立てたイメージでコブを滑る
際は次のような意識で滑っています。私の場合のイメージですのでこれで上手くいくかは判りませんが、参考になれば幸いです。
  コブを乗り越え背に入るとフォールラインに対してボールを逆回転させます。スキーのトップ方向を0時とすると左ターンで1〜3時、右ターンで11〜9時方向に対しての逆回転になりますね。コブの背で雪面抵抗が少なくなる局面ですが、逆回転イメージで抵抗を求めていくことで脚部が伸展し、またズレを伴って加速を抑えるターンとなります。次のコブの腹へと向かい足裏からの抵抗が増えてくると、今度は進行方向へかかとのボールを順回転。圧をレシーブポイントで受けていくと自然と脚部は縮み、抵抗が吸収されます。そして次が一番のポイントですが、このままクロッシングが終わるまで順回転イメージでちょっと待ちます。コブを乗り越え、背にスキートップが落ちるまで待つことで重心が前に出ていいポジションを作ることができます。そしてまた逆回転。逆回転〜順回転〜待って〜逆回転〜順回転〜・・・・と繰返します。
  このイメージはスピードを求めるような滑りではないですが、、、』


  “K”さん,いつも理路整然としたご投稿...ありがとうございます !!! (^I^) 
  コブを“背と腹”に分けられて,対処しているのは良いことですネ !!!。コブは“K”さんも仰るように,「急な斜面と緩やかな斜面が交互に有るところだけれど,その距離が極端に短い...」という気持ちを持つことにもなり,精神的なゆとりを持つことにもなります。その後で解説されている,「見た目の凹凸感に惑わされ、ネガティブなイメージを持たない」...ということにつながります。
  また,「ライン取り」のことにも言及されていますが,このライン...読み方を覚えるとかなり解消することができます。それには何回もトライし,試行錯誤をすることが必要ですが,やみ雲に回数を重ねるだけでなく,一回毎に自分でラインをわざと変えて滑り,その時々の滑走フィーリングの違いをしっかり感じ別けることが大事です。
  「重心の移動速度・移動軌跡の急変化を避ける...」というのは,昨日お話しした,「重心の移動軌跡を滑らかに...」ということそのものですネ !!!。(^ー^)
  いきなりコブ斜面最下部まで行くことをイメージするのではなく,仰るように,「まずは1〜2ターン...」そして「3〜4ターン」...という風に,徐々に滑る距離を長くするという気持ちを持つこともイイことです !!!。
  “K”さん独特の滑走イメージ...「ビリヤード・ターン」とでも言うべきイメージで,キィーキャスターの回転方向を“順方向”と“逆方向”にイメージするということは,私も次に滑る時にぜひ試してみたいイメージです。(^ー^) この中で,「一番のポイントですが、このままクロッシングが終わるまで順回転イメージでちょっと待ちます...」というのは多くの方が失敗されるところでもありますネ !!!。さすが,良いポイントを指摘されています !!!。早く回さないと...という気持ちが勝ち過ぎて,早く谷回りに入り過ぎてしまうのです。コブでも丸い円弧を...という気持ちが大切なのですネ。
  最後に,「スピードを求めるような滑りではないですが...」と書かれていますが,コブ斜面...早く滑ることにどのような意義があるのでしょうか?先ずは安全,安定...が大事です。私はコブ斜面をパラレルで滑らず,シュテムターンで滑ることをお勧めしたいくらいです !!! ハッハハハ...(^ー^)



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★ Aug. 10  2006  Thursday  晴れ (白馬)
 今日もイイ天気の白馬です。(^ー^)
 8/2からズーッとイイ天気が続いています。台風7号...直撃かな?と思われたのですが,日本列島の前で急に左に曲がり,白馬はイイ天気でした !!!。関東地方の人は大変だったようですが...。この好天...お盆過ぎまで続くようです。(^ ^)(^I^)
 では,皆さんも元気でイイ一日を !!! 
Have a nice day !!!
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  今日は“M.O”さんのご質問...「コブの滑り方」に付いて...の三回目で,“I..S”さんから頂いた e-mail のご紹介です。

  『 TOK先生こんにちは。“I..S”です。昨日の日記にあった「コブ」は本当に苦手です。何とかクリアしようと思って昨シーズンは特に苦手種目のコブをどのように滑ったらいいのか試行錯誤しました。自分で取り組んでみた方法ですが、先生初め、皆様にご指導いただければと思います。
  コブの中では、通常のグルーミングされているバーンと違い、少し進むと斜面の傾斜角が色々変化します。滑り方も色々有ると思いますが、いずれもスピードのコントロールが大切で、暴走してしまうと当然思うような方向には進みません。通常のバーンでもコブ斜面でもスピードコントロールするためには、ポジションが大切だと考えています。コブでは後傾姿勢になりやすいので、前に、前にと思いがちですが、板のトップに上体を近づけて行くような前傾をとると、トップに荷重が集中してしまい、トップ支点となり、ターンするために大きく体を振り回さなければならず、すばやい動きができず、ズラシをコントロールしにくくなり、前傾の気持ちがかえって逆効果になっているようでした。
  そこで、フィーリングスキーの基本的事項のかかと支点を基本の軸にしています。かかとの真上に重心を持って行くことで、板のトップが軽くなり、コブのトップで簡単にすばやく方向が替えやすくなり、コブの腹で雪を削りながら落下することができます。コブのような多様な斜面変化の中でで、常にポジションを確認しながら、かかと支点で落下することが維持できるようになることは、とても大切なことではないかと考えております。
  次に落下する方向が大事で、かかと支点のまま、ゲロゲロターンで谷方向に上体を向け、さらにマシンガンターンのストックバージョンで、ストックで進む方向を確認しながら、コブを迎えに行くようにコブに向けてストックと上体を進む方向に近づけて行きます。このような方法で落下することで、スピードコントロールができ、コブの中でもある程度ゆとりが持てる様になったと考えております。
  この方法だけがすべてでは有りませんが、ある程度スピードコントロールできる様になれば、コブを怖がらずに滑れるようになり、コブをより多く滑れる様になると思います。コブは習うよりなれろでしょうか?来シーズンもどんどん練習しますのでご指導いただければ幸いです。』


  “I..S”さん,ご自分のコブ克服,実践記録の e-mail ありがとうございます !!! 
  結構多くの方が「コブ克服」を目指しておられるようです。“I..S”さんもそのお一人で,その練習過程のことをご報告いただきました。ご自分の実践記録だけに重みがありますネ !!!。(^ー^)
  さて,コブの滑り方にもいろいろあることは,これまでの日記でも触れました。“I..S”さんは「小回り」についての模様を伝えてくれました。そのなかで“ポジション”について言及しておられます。この“ポジション”という言葉...よくスキー雑誌などで使われますが,必ずしもある特定のことを限定して指しているわけではなく,ばらつきがあるようです。そこで辞書でこの“position”を調べてみますと,“スキー”に関係があると思われる意味では...位置,場所,境遇,姿勢,態度,状況,体位...が適合しそうです。この内,特に「位置」,「姿勢」,「体位」が該当しそうで,このことを組み合わせてみると,結局,「ある事をする時の体の位置や姿勢」...ということになりそうです。つまり,位置関係...コブ斜面でのスキーでは,「コブのどの位置に,身体(重心)がどういう位置関係で置かれているか?」ということです。つまり,“センサーポイントSP”から“レシーブポイントRP”に伸びる“軸”を考えることだと思います。「ポジションが大切...」と仰る言葉の意味の裏には,「バランスがしっかり取れる軸イメージがある」...という風に思って読ませていただきました。皆さんはどう思われるでしょうか?
  次に,「かかと支点で落下すること」を挙げておられますが,これは本当に重要なポイントだと,私は思っております。この意識があればこそスキー板のトップがコブの凸の腹に突き刺さることなくかかとを支点として,ちょう番のようにショックを吸収してくれるのです。つま先が支点になってしまうと,テールの安定性が損なわれるだけでなく,前後のバランスが悪くなるのは明らかなことです。
  コブ小回りでは特に外向傾も大事になりますから,“ゲロゲロターン”イメージも効果があります。ただ気をつけたいのは,上体がコブを迎えに行く意識が強過ぎると,「上体のあおり現象」が表れることがありますから,それよりはむしろ“愛のターン”イメージで,コブが上体方向にやって来る...くらいのイメージの方がベターかもしれませんネ !!!。(^ー^)
  ポジションにしても,コブの圧を吸収するにしても,第一に考えるべきはあくまで“重心”を中心としてスキー板が前後・上下・左右にバランスが取れた状態でコブ斜面を落ちて行くこと...だと思います。重心の軌跡が滑らかに移動し続ければ,一回いっかいのターンに多少のミスがあってもリカバリーがうまく行くようになり,結果としてある程度長い距離を滑り切ることが可能になります。この意味では昨日の「まずは1〜2ターン...」そして「3〜4ターン」...という風に,徐々に滑る距離を長くするという気持ちを持つこともイイことです...ということと矛盾するようですが,アレもやりコレもやって,いろいろな対応幅を広げる...という意味で,どちらも大事なことです。




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★ Aug. 11  2006  Friday  晴れ (白馬)
 今日もイイ天気の白馬です。(^ー^) 昨日と全く変わらない景色...です。
 そろそろ,お盆休暇が始まったのでしょうか?。白馬村内...行き交う自家用車の数も増えたようです。行楽地へのドライブ,あるいは帰郷のドライブ...充分お気をつけて !!! 楽しい休暇をお過ごし下さい !!!(^ー^)
 では,皆さんも元気でイイ一日を !!! 
Have a nice day !!!
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 今日は“M.O”さんのご質問...「コブの滑り方」に付いて...の四回目。“T.M”さんから頂いた e-mail のご紹介です。

  『 【TOK】先生、こんばんは!さて、7日の日記での質問への考えです。自分自身、コブは本当に下手の横好きで、滑るのは好きです。何故かというと、普通の整地斜面と比べると、例え3ターンでも上手く滑ることができた時に感じる満足感が、圧倒的に高いというのが理由です。(不純な動機ですが。。。)僭越ですが、7日の日記についての考えです。
  @コブの種類にもよると思いますが、とにかくコブの斜面を滑ること⇒これにつきるような気がします。とにかく習うより慣れろでしょうか?そのためには、先生も述べていたように、まずは緩い斜面からが良いと思います。コブはコブ斜面だけではなく、午後になり荒れたところにも結構あるので、そこで感覚を磨くのも良いのではないでしょうか。
  Aそのためにはある程度の体力もつける⇒ コブを滑るということは、普通のゲレンデと比べると、身体に受ける衝撃も大きいので、それなりに基礎体力も必要ではないでしょうか?特に足、腹筋や背筋など・・・
  で、上記2点は、【TOK】先生に教わるまで自分なりに考えていたことでした。以下2点は、先生にレッスンを受けてから感じたことです。
  Bコブでもスキーを止めない⇒それまでは、コブを滑るには、コブの溝にスキー板を当てて、その反動で滑っていたのですが、キャスターターンを先生に教えていただき、キャスターのゴロゴロを常に意識して滑ると、ほとんど力を使わず、身体は自然にコブに反応することができたことがありました。M.Oさんのメールによると、“固まってしまう”とあるので、キャスター意識は有効だと思います。特にAキャスターをしっかり意識することができると、良いと思いますが、自分もまだまだ未熟です(-_-)
  C中回りからはじめる⇒今日の日記で、先生はコブの大回りも・・・と述べていましたが、自分は、中回りも良いのではと思います。自分の滑りが良くないのでしょうけど、大回りだと、暴走してスピードに負けてしまうのです。コブにもよりますが、2,3コブを目安にゆっくりとずらしながら滑るとコブにも慣れやすいのでは。
  コブというと、バンクマジックとか、コブの溝にスキーを当てて・・・と小回りばかりが注目されますが、M.Oさんが質問された“楽しく下まで滑る”には、ターン弧だけではなく、コア意識や愛のターンなど、フィーリングスキーを意識すると、良いと思います。自分自身も、コースアウトどころか、ゲレンデアウトしまくってますので。。。』


  “T.M”さん, e-mail ありがとうございます !!! 
  @:「整地斜面と比べると、例え3ターンでも上手く滑ることができた時に感じる満足感が、圧倒的に高い...」ということですが,このように,「満足感を感じながら滑ること」が大事ですネ !!!。「コブだ !!!...嫌だナァー...」と思うのと,「コブだ !!!...やったぁー !!!挑戦々々...」と思うのとでは,身体の反応というより,受け入れ態勢が違って来ます。「嫌だナァー...」と思うようなら初めからもう戦意消失で,身体がいうことを聞いてくれません。「満足感」を感じるための心の持ち様をプラス思考的に考えるクセをつけることが大切です。日常生活での過ごし方などもそういう意味で大事なのではないでしょうか?(^ー^)
  A:「コブの斜面を滑ることのできる体力をつける」...重要なポイントです !!!。仰るようにコブ斜面では,「身体に受ける衝撃が大きい」ですから,それに耐えられる筋肉的な強さや柔軟性が求められます。自分の体重の何倍もの衝撃が掛かることもありますから,もしコブ斜面を本当に克服したい !!!...と思うなら夏の間から身体を絞り,トレーニングすることが必要でしょう。少なくとも,身長から割り出される“適正体重”に近い値にウエイトを落とすことは必須事項でしょう。(^ー^) ひざ関節などに過負荷を与え過ぎないためにも...。
  Bのポイント...「スキーを止めない...」というのは前に話した「重心の移動軌跡を大事に...」ということと関連があることで,大切な要因です。仰るようにキャスターを足裏にイメージすることで,身体が“固まってしまう”ことも避けられますし,流れをよどみなくすることもできます。キャスター意識は有効だ...私もそう思います。
  C:中回りからはじめる⇒小回り...をしなきゃ !!!...と思うより,この方が気持ちの上で楽になるかもしれませんネ !!!。検定を受けているわけじゃありませんから,フォールラインに絡むとか,円弧を丸く...などという気遣いもサッパリ捨てて,「自分に気持イイ滑り」をワンターンづつできるようにすることから始めることが大事ですネ !!!。



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★ Aug. 12  2006  Saturday  曇り (白馬)
  今日は雲が天空を覆っています。少しだけ...でもホンのわずか...青空が覗いていますが1/10に満たないくらいです。ですから天気は「曇り」...です。(^ ^)
 この週末からお盆休暇が始まりました。国道148号線を北に向かう車が多くなっています。糸魚川方面...海に行く人が多くなったのでしょうか?
 では,皆さんも元気でイイ一日を !!! 
Have a nice day !!! 【TOK】
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 “M.O”さんのご質問...「コブの滑り方」に付いて...。その五回目です。今日は“K.T”さんから頂いた e-mail のご紹介です。

  『 TOK先生、キャンプではお世話になりました。教師日記のテーマ「(コブ斜面を)どのようにしたら楽しく下まで滑れるか」 について...。私なら以下のようにアドバイスしてみたいと思います(小回に限定ですが)。
  (1)まずは条件を選んでトライする
  硬いコブは難しいので春の柔らかいコブであまり育ちすぎていないコブで自信をつける。 コブの形やピッチが適度ならなおベター
  (2)滑る時に心掛けるポイント⇒@バランスをとる(ズレながら移動するスキーに自分の重心が着いて行く意識を持つ) Aクローズスタンスをキープして、ずらしてスキーをコントロールする(両大腿内側に軽い緊張感を意識して、エッジを立てないよう横滑で落下する意識を持つ) B常に上体谷向をキープする(ストックを突いた手(拳)を谷側に突き出す意識を持つ) C下肢を柔軟に使い上体があおられたり、両腕が暴れたりしないようにする(脚を突っ張ったりせず、コブの凹凸を脚の伸縮で吸収する意識を持つ) D最初は1ターン毎に山回でコブの腹を確り削り取るようにしてスピードを十分にコントロールする
  (3)一度にたくさんのポイントは意識できないので、一本滑る毎にポイントを1〜2個に絞って確り意識する
  (4)優しい条件→難しい条件、ゆっくり→速く等 段階的に練習する
  (5)コブを沢山滑る
  (6)滑れなかったコブのコースが滑れるようになった時の征服感、充実感、達成感を味わう
  (7)深雪に勝るとも劣らないコブの醍醐味に気が付く
  (8)コブが楽しく大好きになる(あとは好循環)  』


  “K.T”さん, e-mail ありがとうございます !!! キャンプではいろいろありがとうございました。
  (1)まずは条件を選んでトライする⇒これは一気に難しいシチュエーションに入るのではなく徐々に自信をつける意味でも大切なことですネ !!!。コブはもともと滑りやすいように皆さんが同じ所で同じようにターンするからできのです。ただ,あまりに同じ所を数多く滑るので溝が深くなってしまう...ということです。ですから適度な深さのコブはむしろ滑り易いのですネ !!!。(^ー^)
  (2)⇒@自分の重心が着いて行く意識...,Aずらしてスキーをコントロール...,B常に上体谷向をキープ...,C下肢を柔軟に...,D1ターン毎にスピードを十分にコントロール...,ということは,“K.T”さんが仰るようにどれも大切です。これ等のことがどういうイメージで滑ったら自分の身につくか?...ということを,アドバイスを受けるのも結構ですが,むしろご自身で気付かれることが大切ですネ !!!。「ご自分の言葉で理解し気付く」...ということです。
  (3)一本滑る毎にポイントを1〜2個に絞って確り意識する⇒大事なポイントが多くあるのですが,それ全てを意識して滑ることは不可能です。滑る度に,いろいろな注意点の内のひとつに意識を集中して滑り,それがどのような滑走フィーリングになって表れたかを忘れないことです。“A”ということを意識して滑ったら“ア”というフィーリングが得られた...“B”ということを意識して滑ったら“イ”というフィーリングが...という様に,その基となった意識とその結果を“因果関係”という「引き出しの数を増やす...」というつもりで覚えることが大切です。そうしたデータがたくさん集まればその中から,「このようなコブ斜面では“D”の意識がうまくいったんだった...」というように,それらの引き出しの中から自分に一番合ったモノを引き出して滑ることができるようになります。(^ー^)
  (4)優しい条件→難しい条件、ゆっくり→速く等 段階的に練習する⇒step by step ですネ !!!。「うまくなる...上達する...」ということを,「今まで自分が持っていなかったモノを練習で新しく自分の身体に付け加える...」というように,「“無”から“有”を創り出す...」と解釈する人が多いのですが,私はむしろ「私たちは潜在的に,生まれながらにして元々多くの“能力”を授かっている...この忘れている能力を思い出すだけなのだ !!!」...という風に考えるようにしています。元々有る力を思い出す...こう考える方が気が楽ですし,「人真似でない自分なりのコブの滑り方に気付く...」ことにもなります。
  (5)コブを沢山滑る⇒数多く滑ることで思い出す機会を増やす...ということにもなりますネ !!!。(^ー^)
  (6)滑れなかったコブのコースが滑れるようになった時の征服感、充実感、達成感を味わう⇒“味わう”ということがミソですネ !!!。中には味わうヒマもなく,次の課題は?その次は?...という風に落ち着いて達成感を味わうことのできない人が居ます。ぜひ毎日まいにちの違いを味わって欲しいものです。(^ ^)(^I^)
  (7)深雪に勝るとも劣らないコブの醍醐味に気が付く⇒整然と並んだコブ斜面は“K.T”さんが仰るとおり,深雪の中を滑っている感じと同じです。雪に押し上げられ,また雪の中に潜って行く...。コブの頭凸で圧を受け,谷の凹に落ちて行く...。この感覚は全く同じですネ !!!。(*^^)v
  (8)コブが楽しく大好きになる(あとは好循環)⇒意識の持ち方,気持ちの持ち方でキライなものも好きになる。「自分は絶対にコブが克服できる !!! できた !!! 実際にできた !!!」...という様に思い込む...ということも大きな助けになります。affirmation...アファーメーションという心理学的な効果で,実際にこれで自分の生き方を変えてしまった人も居るくらい...その効果が期待できるそうです。!(^^)!



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★ Aug. 13  2006  Sunday  晴れ (白馬)
 今日はイイ天気になりました !!! 
 昨日夜更かしをし過ぎ,起きるのが遅くなりました...。というわけで「教師日記」...オ・ヤ・ス・ミ…です。 申し訳ありません...(=_=;)
 では,皆さんも元気でイイ一日を !!! 
Have a nice day !!! 




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★ Aug. 14  2006  Monday  晴れ (白馬)
 今日は少し雲が広がっていますが,天気は「晴れ」です。北アルプスの稜線は雲に隠れて見えませんが...。天気予報では曇り気味の一日になりそうです。
 青木湖...賑わっています。アウトドアのツアー...満員の盛況です。事故や怪我が出ないよう最善の注意が要求されます。少々疲れが溜まってきた【TOK】です。でも最善を尽くします !!!(^ー^)
 では,皆さんも元気でイイ一日を !!!     
Have a nice day !!!
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  昨日はオ・ヤ・ス・ミ…でしたが,今日は“M.O”さんのご質問...「コブの滑り方」に付いて...その六回目です。今日は“S.U”さんから頂いた e-mail のご紹介です。

  『 TOK先生、こんにちは。毎日、楽しく拝見させていただいています。お題当日の午前にはメモしていたのにすっかり出遅れてしまいました。もう、内容がかぶっているようですが。
   形の良いこぶ・バンクのラインの外側等、コースを選びましょう、ほぼフラットな斜面と変わらないです。1.サーチをしっかり...。2.圧を貰い続けて...。3.なるべくこぶにぶつからないように切りかえる (ぶつかると大量に愛を貰ってしまい困ります・・・)。ほら愛のターンで大丈夫。そうそう、息をするのをお忘れなく(^ ^)/ ギャップにはぶつかってもにSP→RPがしっかり出来ていれば正面からですので、正面からの愛は吸収できます(たぶん)。 常に雪面コンタクトを保ってゆっ〜くり降りれるようになると、急な対処をしなくて済み、とても楽になります。また、体力の消耗も全然違います。いつものように、あわてず、ゆっくり、スムーズに、ターンを止めずに を心がけて Take it Easy 愛でお気楽に滑りましょう !!
   未熟な私はストックで体を引き戻す・ジャンプターン・テールを引き上げてトップの落としこみ・足を伸ばして強めに減速・さらに雪面に板を蹴り込んで急減速などなどを悪の限りを尽くしてなんとか滑り降りています。』


  “S.U”さん, e-mail ありがとうございます !!! 彼の滑りは Canada キャンプで何度も見せていただいております。◆◆のコースを活き活きと滑り降りられる滑りは,私も真似ができません。(=_=;) それくらい自由闊達にコブ斜面を楽しんでおられます。(^ー^) その彼のアドバイスですから重みがありますネ !!!。
  「形の良いこぶ、コースを選びましょう」⇒これは皆さんが仰っておられることで,コブ斜面に対する恐怖感を無くす意味で大事なことです。
  「愛のターンで大丈夫...」⇒“愛”を感じることで,コブ凸部での脚の抱え込みが,形を真似るだけでなく,外向傾を適度に保ったまま懐が自然に深くなる...というところがミソですネ !!!。この“愛のターン”についてはこの春,6/5からの一連の「教師日記」を参考にしていただければ嬉しいのですが,“愛”を感じようとすれば,「サーチをしっかり...」ということも,「圧を貰い続ける...」ということも,そして,「なるべくこぶにぶつからないように...」ということも自然にできるようになると思います。
  「息をするのをお忘れなく(^ ^)/...」⇒これは“呼吸法”という意味で効果があります。息を止めてしまうと,身体は硬直し,脚の動きがぎこちなくなります。ところが息を吐き続けていると,筋肉は過度に緊張しなくなり,スムーズな動きになるのです。舌を噛まない程度に,何かつぶやくのもイイでしょう。
  「お気楽に滑りましょう !!」⇒これは“S.U”さんの滑りにいつも顕れていることでネ !!!。(^ー^) 彼の滑りは形にこだわらない自由な滑りです。技術的な見方からすれば少々ローテーション的な運動がありますが,これは彼のこれまでの実践経験で得られた彼独特の滑りで,それはそれでおおいに結構 !!!。これを直す必要はありません。「...未熟な私はストックで体を引き戻す・ジャンプターン・テールを引き上げてトップの落としこみ・足を伸ばして強めに減速・さらに雪面に板を蹴り込んで急減速などなどを悪の限りを...」と仰っていますが,“悪”でもなんでもありません。何でもアリ !!!...という表現はあまり好きではありませんが,自分の能力を引き出す意味では,いろいろなこと,例えそれが“Do Ski”的であってもOK !!!だと思います。“Do Ski”があるからこそその対極としての“Let Ski”があり,互いの持つイイ面が解る様になるのです。
  私も若い頃は“S.U”さんと同じように,コブ斜面をガンガン滑っても大丈夫でしたが,歳を重ねてくると,どうしてもおとなしく滑る方に方向が向いてしまいます。コブをガンガン攻めることができるのはある意味で「若さ証明」と言えるかもしれませんネ !!!。少し体重を落して身軽になり,筋トレをして,コブ斜面... Whistler Blackcomb の◆◆コースを滑ってみたい気もします。(^ー^)



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★ Aug. 15  2006  Tuesday  晴れ (白馬)
 今日は朝早く...6時過ぎ頃は北アルプスがクッキリ見えていました。でも7時頃にはもう山の稜線は雲に覆われました。典型的な夏の朝の景色です。(^ー^)
 HOSC(白馬アウトドアスポーツクラブ)の最盛期が昨日でひと段落...。今のところ事故もなく順調に経過していますが,これからも気を抜くことなく,最後の集中を !!!
 では,皆さんも元気でイイ一日を !!!  
Have a nice day !!!
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  今日は“M.O”さんのご質問...「コブの滑り方」に付いて...その七回目です。今日は“T.K”さんから頂いた e-mail のご紹介です。

  『 こんばんは、“T.K”です。暑い日が続きますね。さて、ここ数日のテーマの「コブの滑り方」について興味深く拝見させて頂いています。多分、僕だけの考え方だとは思うのですが、ラインを選ぶ、重心を落とすとはちょっと違った、あくまで自分のフィーリングからの意見です。但し、最近の○ンク滑りとか、いわゆる「検定」は除いてください(笑)。
  アドバイスとして挙げられるならば
 @いつものフィーリング・スキーよりも、もっと足裏感覚を研ぎ澄ませること。
 Aその時に、斜面変化(凹凸)によってスキー、足裏の何処から抵抗を受けているか自分で理解すること。
 Bゆっくりで良いので、斜面移動(前に進む)を続ける。
 Cバランスを崩したら、ストックを使ってリカバリー。
  言葉にしたら、ありきたりになってしまいました・・・。でも、ココからが違うと思います。僕の感覚では、実はあまり整地を滑る時と大きな意識の違いはありません。と言うのも、普通にピステンの入ったゲレンデでも、時間が経つと必ず凹凸が出来てしまうからです・・・・大回りにしても、小回りにしても僕の中では、この凹凸をきっかけに回ると「楽チンだなぁ〜」って思っています。
  スキー
で滑走中は、1. スキーに凹凸が当たる。⇒2. 凹凸からの抵抗を受けて足(身体全体・関節)が「曲げられる、ねじれが出来る」。⇒3. ねじれによって、ほんの少し両足の力のバランスが崩れて、スキー板が勝手に曲がりだす。⇒4. もし、その時に体のバランスが崩れていたらストックを突く。(なので、ストックを突くタイミングはコブに当たった?後。絶対に自分から突きに行かない)⇒5. 凹凸をクリアしてスキーが走り出す時に、曲げられていた分の身体が元に伸びる。
  「2.」は先のAとBのmixした状態です。スキー板・足裏の何処から圧を受けた時が曲がりやすいか?は本当に雪の状態・斜面・斜度・自分のコンディションによって様々なので整地でも構いませんので、ご自身で調べてもらう方が楽しいと思います。また、圧を受け続けるためにはゆっくりでもイイので滑り続ける事が重要です。
  「3.」の曲がり出すところはイロイロです(笑)。コブの頂点もあれば、手前側もあります。ただ、やっぱり曲がりやすいところはコブの頂点を越えた「向こう側」の落ちる斜面だと思います。人によってはコブを「削る」と表現すると思いますが、足も自然に伸びますし、斜面をずり落ち(削り)ながら進むことが出来るのでスピードコントロールも簡単になると思います。手前を曲がるとなると、最近のバ○ク滑りになるのかな???
  ちなみにコブの大きさ(長さ)は、自分の中ではあまり関係ありません。一長一短があると思っています。大きなコブの方がリズムがゆっくりなので、丁寧にすべるには簡単だと思います。但し、1つのコブの落差が大きいのでちょっと恐怖感があるかもしれません。小さなコブは逆に落差が無いけど、リズムが早くて忙しく感じると思います。
  恐怖心から身体が山側に残ってしまうと今のカービング系の板はコブの中でも切れ上がりやすく、自分のイメージしたところよりも手前で、コブに乗りあがってしまうかもしれませんが、ま、その時は止まるも良し、スピードがゆっくりになるまで切れ上がってから滑り続けるも良しと言うことでチャレンジしてみてはいかがでしょうか?(僕は“敢えてラインを変えてやった”と自己満足の中で滑っています(笑)。)
  上手く滑りたいことはモチロンありますが、アンバランスさの中でバランスを保つ面白さ・スリル、そして達成感は整地とは比べ物にならないくらい得られる思いますので、是非チャレンジを続けて下さい。それで新しい感覚が掴めたら、今度は僕に教えて下さい。
 ......と、「違う」と書いてみましたが、やっぱり他の人とかぶっているような、いないような(笑)。それでは。。。』


  “T.K”さん, e-mail ありがとうございます !!! 彼も Canada の Whistler Blackcomb ...◆◆コースを堪能されたお一人です。(^ー^) 
  コブに限らず,「滑りのイメージ」はスキーヤーの数だけあると思います。似ている似ていない...ということはありますが,全く同じフィーリングで滑っていることは有り得ない...と思っています。今回の“T.K”さんの滑走フィーリングもそういう意味で私の滑走感覚と似ているところ,ここは大事なポイント !!!...と思われるところをコメントさせていただきますと...。
  「整地を滑る時と大きな意識の違いは無い...」⇒整地斜面を多くの方が滑り,凹凸が自然にできた...という局面。この時に逆に凹凸を利用して角付けの切り替えを行なったりするのは,多くの方が実際にやられているのですネ !!!。“T.K”さんが仰るように,「凹凸をきっかけに回ると楽チン...」なのです。(^ー^)
  「圧を受け続けるためにはゆっくりでもイイので滑り続ける事が重要...」⇒ターンを持続させ,その中で微妙なバランスを維持していくにはこの気持ちが本当に大切です !!!。スキーの斜面移動を止めてしまうと,新たに自らターンに必要な圧を作り出さなければならず,これが滑りの不安定さを誘発してしまうのです。
  「曲がりだすところ(コブでのターン始動期)はイロイロ...」⇒状況に応じてその時の状態に合わせる...ということだと思います。ここでこうしなければならない...という様に決め込んでしまうと,バンクはバンクだけ...向こう側は向こう側だけ...といった偏った滑りになってしまうでしょう。コブ斜面こそ,「臨機応変に !!!」という言葉を忘れないことですネ !!!。(^ー^)
  「カービング系の板で敢えてラインを変えることに喜びを見出す...」⇒これなどは,若いからできることかもしれません。体力的に恵まれない女性の方や,シニアの方はやはりコブメインに滑るならそれ相応なスキー板を使用することがイイでしょう。(^ー^)
  「アンバランスさの中でバランスを保つ面白さ・スリル、そして達成感は整地とは比べ物にならないくらい...」⇒これこそスキーの「快適クルージングの面白さ」の対極にある,「不安定さの面白さ」と言えるでしょう。“安定”と“不安定”...この対比が“スキー”の面白さを倍化させてくれるのだと思います。ですから,コブに“安定”の面白さだけを追求すると,フラストレーションを感じるようになってしまうのです。“T.K”さんのように「アンバランスを楽しむ」という姿勢があると,より幅広い“スキー”を味わうことができると思います。
  “T.K”さんのアドバイスからは,「コブを余計なものと思わず,逆に味方にしてしまう...」という姿勢が感じられます。私たちも大いに参考にすべきことだと思います。ありがとうございました !!!。 (^ ^)(^I^)



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★ Aug. 16  2006  Wednesday  晴れ (白馬)
 今日もイイ天気の白馬です。(^ー^)
 今日は久しぶりに午前中HOSC(白馬アウトドアスポーツクラブ)の仕事...オ・ヤ・ス・ミ…です。ゆっくり朝寝坊しました !!!
 HOSCの仕事は“水”に関係していますので事故は「怪我」ではなく「死」に直結しています。スキー指導よりはるかに疲れます...。でも,それだけに貴重な体験を皆さんに提供できます。
 では,皆さんも元気でイイ一日を !!!  
Have a nice day !!!
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  “M.O”さんのご質問...「コブの滑り方」に付いて...その八回目です。今日は
“O.M”さんから頂いた e-mail です。

 
 『 TOKさん 今日は “O.M”です。今回のテーマ「コブ」は奥が深く永遠のテーマですね。コブ以外は面白くないと言う人もいれば、コブは苦手だといつも避けて滑る人もいて、まさに魔性の斜面と言えそうです。
  コブと言えば亡きグッキーのビデオ「コブの極意」で彼がコブだらけの斜面をもの凄いスピードの大回りで滑り下りたり、片足小回りで滑り下りるシーンが強烈な印象で残ってます。彼はコブはもちろん荒地、オフピステ等どんな斜面も自在に楽しく滑り、まさに理想としたいスキーヤーでした。不慮の事故で亡くなってしまい本当に残念です。
  ある人が「限界に挑戦し、壁にぶち当たって初めて自己の本当の実力のレベルや弱点が分かる。挑戦しなければ何も分からない」と言ってましたが、これはコブ斜面克服だけでなく色んな事に当てはまる名言ですね。さあ可能な限り色んな事に挑戦して見ようかな...』


  
“O.M”さん e-mail ありがとうございます !!!。
  グッキーのコブですか?凄いですネ !!!。八方のセントラルコースの急斜面のコブを,ノンストックや片足で滑り降りたのを,私も実際に目の辺りにしています。ビデオで見るよりはるかに凄さを感じました。本当に凄い !!!...私もそう思います。彼に「あなたのノンストックのコブ滑走は誰も真似できないよ !!!」と言ったら,その彼がこう言ったのを覚えています。「Tok...ひとつし忘れたことがあるんだ。片足ノンストックを撮影するのを忘れてた...」。もう呆れて言う言葉がありませんでした...(=_=;)。
  その彼,グッキーが常々言っていたこと,「【TOK】 … グッキーを語る」にも書いてありますが,それは「雪と喧嘩しないで雪の力で滑る...」,「スキーはミスの連続...だからバランスが大事...」ということでした。“喧嘩しない”...は,「自分から雪に働きかけることは極力避け,斜面移動でターンエネルギーを作る」ということですし,“バランスが大事”...は,「サポート軸やセンサー軸などの“軸”をイメージする」ということです。実は彼のダイナミックな滑りの原点に,“Let Ski”的な意識があったのですネ !!!。彼のコブでの滑りをよくよく観ると,確かに重心の移動軌跡が滑らかで,コブ一つひとつで身体が止まることがありません。コブ斜面でさえ,落下を止めない姿勢が良く伺えます。また,かかとが支点になり,そこを中心につま先側の足がコブに当たって上下しているのが分ります。あのような高速コブ滑走の裏にはちゃんと計算された合理性があったのですネ !!!。以前読まれた方も,今一度ぜひ「【TOK】 … グッキーを語る」をご覧下さい。彼の残したいろいろなことが書かれていますが,今回のテーマである「コブの滑り方」にも関連する,たくさんの役立つことが書かれていると思います。(^ー^)
  
  
「限界に挑戦し、壁にぶち当たって初めて自己の本当の実力のレベルや弱点が分かる。挑戦しなければ何も分からない」...含蓄のある言葉ですネ !!!。“挑戦”...これは今まで経験したことの無かったことに敢えて挑む...という風に言い換えることもできると思います。ですから,「不可能だからやらない...」ではなく,パーフェクトとは行かないまでも,自分の持っている能力を可能な限り引き出す...という姿勢が大事だと思います。自分の可能性を信じ,できることを経験してみる...ということが大事です。

  さて,「コブの滑り方」...明日からは【TOK】のコメントをさせていただこうと思います。グッキーの1/100でも,1/1000でも皆さんの役に立つことをお伝えできたら嬉しいと思います。では...




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★ Aug. 17  2006  Thursday  晴れ (白馬)
 今日は雲が天空を覆っています。東の空がかすかに青空が見える程度...。天気予報では,昼ころ一時雨が降るかも知らないとか...。そして明日まで曇りの予報が出ています。あまり荒れないといいのですが...。
 では,皆さんも元気でイイ一日を !!!  
Have a nice day !!!
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 今日は“M.O”さんのご質問...「コブの滑り方」に付いて...【TOK】のコメントを述べさせていただきます。(^ー^)
  それにしても,昨日の“O.M”さんからの e-mail で久々にグッキーのページを見ました。そして,彼の言っていたことを思い出しながら読み返しましたが,ホント...良いこと言ってますネ !!!。特に......グッキーが語った言葉。「いつもミスの連続なんだヨ!はた目には完璧に見える滑りでも,滑り手はミスを感じながら滑っている。そのミスを修正しバランスをキープするために雪の上を移動しているんだ。」…身に沁みます。コブもこのひと言に尽きる...そんな思いがします。

  さて,コブのことに関して,私の経験からお話ししたいと思います。今日はまず「ガンガン攻める」滑り方から...(^ー^)
  若いころ,まだ30歳代前半まで,身体の故障も無く筋細胞も充分若かったころは,コブ斜面をガンガン攻めて行きました。攻めた...というより,まだピステンなどの整地圧雪車両が無い時代で,新雪が降ってもいつの間にかゲレンデ全面がコブだらけになってしまう...という状況でしたから,コブを滑らないと“スキー”にならなかったのです。(=_=;) 好きとか嫌い...と言っている場合ではなく,コブを滑ることがスキーをする...ということだった,とも言えます。(^ー^) 特に中斜面以上の急斜面は必ずコブ,コブ,コブ...の連続でした。
  その状況をどうやって滑ったか?というと,グッキーのように...と言っても彼ほど流麗ではありませんでしたが,とにかくガンガンと降りて行き,「抱え込み送り出し」という,脚をコブの凹凸に合わせて伸縮させる...という技術を多く使いました。コブの頂点の凸部では胸にひざが付くくらい抱え込みをし,谷の凹部では短い足が伸び切るほどに伸ばす...というやり方です。このやり方については,その表現は異なっていましたが,今回 e-mail を下さった方々の何人かも述べておられました。この滑り方は“重心”を中心とした脚の伸縮...ですから,自然に“重心”の移動軌跡の滑らかさを求めることになります。ターンの途中で多少バランスを崩しても,それを気にせず落下し,責める...という姿勢が大事になります。
  そして,この脚の伸縮のコツは...脚の「引き」を「伸ばし」よりも意識する...ということです。かなりのスピードで落下しますから,動作を機敏にしなくてはなりません。そのためには「引く」に意識を集中する方が「伸ばす」ということに意識を集中するよりも,動作を速くすることができるのです。また,「引き」...これは重心方向に圧を引き込む動き,つまり「内向きの圧」になり,コブとの間の「圧」が軽減できるのです。ところが「伸ばし」をイメージすると「外向きの圧」になってしまい,コブとの間の「圧」が急激に増えることになって,バランスを崩しやすくなってしまうのです。ここでも「引く」...という圧の吸収が大事なことが分りますネ !!!。コブの壁にスキーを当てたら引く...要するに“愛のターン”なのです...。(^ー^)

  ですが,この滑り方は,身体が疲れていない時はOK !!!...なのですが,身体が疲れてくるとなかなか思い通りには行きません。また,体力的に恵まれていない女性の方やシニアの皆さんには真似のできる滑り方とは言い難いものです。もし,このような「コブのガンガン滑り」をされたいのであれば,先ず第一に「身体作り」から始めないといけません。身体が鈍っている人が,「何ごとも経験...」ということで,このような滑りをするとしたら,経験を積むどころか危険でさえあります。生涯スポーツならぬ傷害スポーツになってしまいます。
  では,身体が疲れたり,女性やシニアの方はどうやって滑ったらいいか? そのお話しはまた次回...。




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★ Aug. 18  2006  Friday  晴れ (白馬)
 今日も,東の空にわずかだけ青空が覗いていますが,1/10には足りません。...ので,天気は「曇り」です。(^ー^) 気温は朝8時現在,24℃と比較的涼しいです。この曇り空も昼ころには「晴れ」に変わるとの予報が出ています。
 白馬...お盆が過ぎると秋の気配がするのですが,今年も早速その様で,昨日一昨日と空の色がクッキリとした青でした。(*^^)v
 では,皆さんも元気でイイ一日を !!!  
Have a nice day !!! 
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 “M.O”さんのご質問...「コブの滑り方」に付いて...の【TOK】のコメント,二回目です。今日は女性にもシニアにも滑れる方法...を述べさせていただきます。(^ー^)

  昨日も述べましたが,「スキーをするのにコブを避けて通れない時代」がありました。では当時どういうレッスンをしていたか?を思い出すと,女性にもシニアにも滑れる方法...に対する答えが見つかる気がします。
  その頃,私が所属していたスキースクールでは俗に,「べろんちょターン」という方法を良くお教えしていました。どういう方法かと言いますと,「コブの頭(凸部)で,スキーをクルッと回し,それに続く急斜面でズルズルとズレ落ち,凹部にたどり着きます。そしてスキーを前進させ,次の凸部にたどり着いたらまた同じようにスキーをクルッと回し,それに続く急斜面でズルズルとズレ落ちて凹部に...」といういことを繰り返す方法です。この方法はじっくりゆっくりコブの斜面を降りていくのに適しています。普通のコブ斜面でしたらこの方法は体力の無い女性やシニアにも使える方法です。皆さんもぜひ一回は試してみましょう !!!。(*^^)v
  
  次に,30年ほど前,オーストリーデモチームが日本に来た時,私たちスキー教師に伝えた「コブの滑り方」に対する興味深い話しを紹介しましょう。当時コブに適した長さ160センチほどの短い板が流行り始めたころの話です。短い板が出始めたのには理由があります。それは滑れば滑るほどコブができてしまい,それを平らに成らすピステン車両などが無い時代でした。そのため「コブに強いスキー」...ということで,それまで主流だった2メートル近い板が消えはじめ,それよりも40センチほど短い160センチくらいの板が登場しはじめたのです。スキー教師も短い板で足を揃え,ガンガンと滑り,指導もしておりました。ところが,訪れたオーストリーデモは私たちに,「どうしてパラレルでなければならないの?」と問いかけたのです。「こんなにコブの多い斜面で,あなた達のように高速で降りる滑り方ばかりを教えていたら,怪我人が続出するでしょう?もっと低速で安全な“シュテムターンターン”をどうして教えないのですか?」
  聞いてみればごもっとも...。実際に彼等の言うように,急斜面コブをシュテムターンで滑ってみると,その有益なことが分ったのでした。特に初級者から中級者にかけて,あるいは体力の無いスキーヤーにとっては,この「コブ斜面のシュテムターン」が大いに役に立つ...そう実感した日本の指導者達でした。(=_=;) 彼らはもちろん,コブのガンガン滑りもやればできるのですが,その前に,「どう安全に安定してコブを滑るか?」という姿勢があったのです。私たちスキー教師は,この“安全,安心,安定”を忘れ,とにかく華麗に滑ることを教えたがる傾向にあります。習う側の生徒さんも,「一刻も早く両足を揃え,パラレルでコブを滑りたい !!!」という欲求があります。「でもその前にやることがあるでしょう?」ということを問われ,学んだ私たちでした。
  コブ斜面のみならず,難しいシチュエーションの斜面を滑る時,わたし達は“安全”ということを忘れがちです。安全よりも華麗さとか流麗さを求める傾向にあります。でもそれは安全や安定から導かれたものでないと危険だ...ということです。安全を無視して技術向上を望むやり方は,“挑戦”や“冒険”とは言えず“無謀”になってしまいます。私たちがコブに挑戦...ということを考える場合も,このことをしっかり頭に入れておくことが大事だと思います。足を開いてもイイ,低速でもイイ,止まってもイイ...コブという斜面をじっくりゆっくり味わいながら滑り降りる...そして,その面白さに気付く...このことが大切なのかもしれません。

  「コブを“低速”で“安定”して滑れ,その滑りの中に“美しさ”をかもし出すことができるスキーヤー」...これこそ「生涯スポーツとしてのスキー」を嘱望する私たちが目指す方向なのかもしれませんネ !!!。




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★ Aug. 19  2006  Saturday  晴れ (白馬)
 今日は,少し雲が多目ですが,「晴れ」の白馬です。昨日,一昨日も雲は多目でしたが,日中は晴れ間が顔を出し,気持ちの良い一日でした。お盆が過ぎて本当に「秋」を感じさせる空気が流れ始めた白馬です。冬が確実に近づいて来ている...そんな気がします。(^ー^)
 では,皆さんも元気でイイ一日を !!!  
Have a nice day !!! 
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  昨日トップページでお知らせいたしましたが,不肖ながら【TOK】が代表となり,Hakuba 47 スキー場で“47 Feeling Ski School ”を開校する運びとなりました。
  今日は,“M.O”さんのご質問...「コブの滑り方」に付いて...をオヤスミにさせていただき,この経過について皆さんにお話ししたいと思います。

  2005-2006シーズン...皆さんご存知のように,私のこのホームページをご覧頂き,「レッスンを受けてみよう...」という方を対象に“Hakuba 47”をメイン会場としてスキーレッスンをさせていただきました。このことの条件として,「Hakuba 47スキー場内での集客は行なわない...」というのがありました。このスキー場にはスキー場専属のスキースクールがありますので,現場でその営業に差し障りのある活動は控える...というのが条件でした。私のホームページを通して,私の想像を超える方々からレッスンの申込みがあり,開催地を他のスキー場に特定した日以外は,ほとんど毎日のように“Hakuba 47”や“五竜とおみ”にお邪魔し,レッスンをさせていただきました。

  私のこのレッスンの様子をご覧頂いたスキー場関係者の方から,この春,「君が47をメインにスキースクール活動をするとしたら,どういうプランがあるか?企画書を提出して欲しい」...との申し出が,非公式ですがありました。もし私のレッスンスタイルが多くの方のお役に立てれば嬉しい...という思いで早速企画書を提出させていただきました。その後,数ヶ月,いろいろご検討いただき,このほど正式に“Hakuba 47スキー場”内で生徒さんを募集してレッスン活動をすることが認められました。
  私の信念は,「“フィーリングスキー”(感じる)をテーマとし,形やフォームを強要するのではなく,受講生各自の個性を生かした“豊かな滑り”を希求したレッスンを展開する」...ということにあります。そして,「身につけた技術でいろいろな大自然の中に飛び込み,多くのことを経験する」ことでもあります。そのため,“Hakuba 47”では主に基本的な技術修得のためのレッスンを行います。そして,他の国内外のスキーエリアに出掛け,47でのレッスンで修得した技術をいろいろ試してみる,「実践プログラム」を展開するつもりです。このことにより,「身体の感性を磨き,感受性を豊かにするレッスンの展開」が可能になると信じています。

  尚,私が代表となる“ 47 Feeling Ski School ”は“Hakuba 47”のオフィシャルスクールではありません。これまでと同じ,47専属のスキースクールも同じフロアに受付カウンターを儲け,生徒さんの募集を行なうことになります。47での集客を認められた数校が互いに切磋琢磨し,多くのスキーヤーに満足を与える...というのが“Hakuba 47”のお考えのようです。

   “47 Feeling Ski School ”が,少しでもその特徴を生かし,一人でも多くの方にスキーの楽しさを知っていただけるならば,これ以上の幸せはありません。皆さんのご指導,ご鞭撻,ご協力をよろしくお願いいたします。





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★ Aug. 20  2006  Sunday  晴れ (白馬)
  今日も「晴れ」の白馬です。(*^^)v 今朝は秋空ではなく「夏の空」が戻って来ました。気温もやや高めで,26℃です。暑さに弱い【TOK】も,今年は,「白馬アウトドアスポーツクラブ」のお手伝いで「青木湖」湖畔で過ごすことが多く,寸暇を見つけては湖に飛び込んで泳いでいます。おかげで暑さそのものはあまり感じません。(^ー^)
 では,皆さんも元気でイイ一日を !!!  
Have a nice day !!!
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 今日は,“M.O”さんのご質問...「コブの滑り方」に付いて...に戻って,私のコメントの三回目,コブの最終回です。
  8/8の日記から「コブの滑り方」について,いろいろな方からのコメントをご紹介し,その中で私の感想を述べてきました。またここで同じことの繰り返しになるかもしれませんが,コブ斜面で注意することを,まとめてお話したいと思います。

@.コブの滑り方に共通する一般的な滑り方
  技術的には“重心”をいつもイメージすること...が大切です。雪の抵抗を受けてターンし続けるためにも,身体が上下前後左右に急激に動いたり止まったりしてバランスを崩さないようにするためにも,さらにコブの凹凸に合わせた脚の自然な伸縮を行なうためにも,この“重心”を常に意識することが大事です。“重心”がどこにあり,どの方向にどの様に移動しているのか?ということを意識するようにすれば,重心を中心とした身体の動きが自然に表れてきます。コブの滑りで大事なのは,スキー板の動きではなく,重心の動きなのです。
  身体的緊張を取り除くための方策として,コブを,「急斜面と緩斜面が同居している斜面...」という風に考えるといいでしょう。また何かつぶやいて滑る...など「呼吸法」を併用することも有効です。これらのことは精神的なゆとりを生むことにつながり,身体の緊張を和らげてくれます。さらに,「ねばならない病」,「must症候群」に陥らないように,楽しんで滑ることも大事です。
  コブ斜面をクリアできるだけのポテンシャルを,身体的に高めることも大事です。コブに当たった時のショックはかなりなものですから,身体が鈍っていてはいかに良いイメージで滑っても身体が対応できません。体型をスリムにし,筋力をつけることも大事です。あとは,ドリル練習を多く行い,回数を重ねて経験をつむことです。...当然と言えば当然のことですが...。(^ー^)
  滑る時のイメージとしては“愛のターン”をお勧めします。このイメージがあれば技術的なことがほとんどクリアされる...と言っていいと思います。コブからの“圧”を“愛”として受け容れ,またコブの大地に自らの“愛”をお返しして行く...というイメージがあれば,技術的に大事だとお話しした,「“重心”を意識すること」が,自然にできるようになります。何ごとにも“愛”をもって接する...ということでしょうか? (^ ^)(^I^)

A.コブの小回りの滑り方
  コブの小回りをしたいのなら,先ず整地で小回りができるようにしっかり練習することです。スキーの基本ともいえる“外向傾”ができずに,コブで小回りをすることはほとんど不可能と言っていいでしょう。先ずは基本中の基本「外向傾」をしっかり覚えることです。そして整地から小さいコブ,次第に大きいコブ...という様に徐々に難しいコブに挑戦していくのがベターです。
  矛盾しているようですが,小回りに限定した滑りをしようとしないということも大事です。コブは不規則にできていることが多いので,同じリズムや円弧の大きさを求めようとするとなかなかうまくいきません。始めの内はコブなりに,そのコブの大きさに従った円弧やリズムで滑ることを覚えましょう。
  高速でガンガン責めるだけがコブの滑り方だ...と思わないことも大切です。べろんちょターンやシュテムターンで,低速でゆっくり滑り降りることを楽しんでいる内に,徐々にコブの滑り方に慣れることができます。

A.コブの大回りの滑り方
  コブの大回りはできない...という人が多いのですが,極端に深いコブは別として,時には大回りをしてみることも,自分の能力を引き出す良いトレーニングになります。
  まず気持ちをしっかり高揚させ,集中力を高めることです。そして「大きいターンをしよう...」と思わず,斜滑降...そして直滑降...というイメージで,この斜滑降...直滑降...を繰り返しをコブ斜面で行なう...という意識を持ってみます。すると小回りよりも大回りの方がやりやすい !!!...という風に思われる方も居られるかもしれません。
  コブ大回りでは,特に“重心”のことをイメージすることが大事になります。そしてかかとを支点とした「足の蝶つがい」的な意識があれば,スキーのトップの“愛”のチョコレートから自分の身体のハート(重心)にやって来る“愛の軸”がイメージできます。この軸は,コブの凹凸にあわせて“愛”の強さが変化して伸びたり縮んだりし,結果としてパタ...パタパタ...という風に,スキー板のトップが蝶つがいの様に動いている感覚となって感じられる様にになります。こうなると,かかとを支点とした“愛のターン”の面白さが実感でき,コブの大回りが逆に得意種目となるかもしれませんヨ !!!。

  さて,最後にとっておきのプレゼントを差し上げましょう。
  “embody play”のお勧めです。「成り切り練習」と言ってもいいかもしれませんが,例えば,「俺はグッキーの生まれ変わりだ !!!...グッキーのように滑れる !!!」と信じ込んでしまうのです。そしてあたかも自分がグッキーその人になったつもりで,コブ斜面を滑ってみるのです。事前にグッキーの滑りをビデオで見ておくことは,この“embody play”に大いに役立ちます。このplay...実はレッスンで何回か使いましたが,効果絶大です !!!。皆さんもぜひお試しください。(^ ^)(^I^)

  さて約二週間に渡って「コブ斜面の滑り方」を特集してまいりました。みなさん,いかがだったでしょうか?お役に立てたのであれば嬉しいです。
  次回は次のご質問の紹介です。お楽しみに !!!



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★ Aug. 21  2006  Monday  曇り (白馬)
 今朝6時過ぎ,急にザァーっと夕立みたいな雨が来ました。その雨音で目を覚ましました。天気予報を見たら,今日明日と曇り空...時々雨...のようです。久しぶりに雲の多い日が続きそうです。
 昨日で「白馬アウトドアスポーツクラブ」のお手伝いが終わりました。若さ一杯のガイド諸君にいろいろ学ぶことの多かった40日でした !!! (*^^)v
 では,皆さんも元気でイイ一日を !!!  
Have a nice day !!!  
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  「コブの滑り方」に付いて..ご質問された当の“M.O”さんから,お礼の e-mail が届きました。ご紹介します。(^ー^)

 
 『こんにちは!コブの悩みを考えてくださって、ありがとうございます。
  コブの大回りは、あまり苦じゃないので、大丈夫なのですが、コブの小回りが苦手なのです。ホームゲレンデが、いつも不整地なので、人が少ない時に、コブの大回りを滑ります。でも、土日は人混みなので、大回りは危なくて出来ないのです。そうすると、小回りで滑らなきゃならない環境にあるのです。衝突する可能性が大きいからです。環境がコブの小回りをさせていているにも関わらず、たくさん入っているにも関わらず、コブの小回りはちっとも出来ないのです。今まで、コブというものに向き合おうとしなかったですが、今回、コブという斜面に向き合おうと思いました。一時はコブなんて考えたくも無いと拒絶反応を示し、コブの上で呆然としてた時もありました。
  何故、コブができるかということから、考えてみました。コブは、滑ったあとが溝になり、残った部分がコブになるのですね。コブは頭、腹、溝の3つから形成されているようです。整地と違うのは、今回アドバイスの中で分かったのが、2で仰るように、整地は斜度の変化がなく、コブは斜度の変化が著しいのですね。分かっているようで、自覚してませんでした。そこが、コブの難しさなのですね。3のアドバイスにあるように、腹を削って落下すると仰ることが、2では、背と腹と分けていて、逆ではと混乱しましたが、よく考えてみると、コブの頂上の下は全部腹なんですね。あそこは深い溝なんだ、怖いんだと目で見てしまい、そうではなくて溝のところを緩やかになる部分と思えばいいのかしらと考えさせられました。見えないところが、急な斜面なのですね。
  今回のアドバイスで気が付いたのですが、本来の斜面と同じ傾斜の斜面は滑っている方向から見えず、見えている斜面は本来の斜面と逆向き傾斜なのですね。何故、同じ傾斜のところは急で、逆向き傾斜は緩やかになるのか、不思議ですが、たぶん重力と関係しているのかなと分かりません。3のアドバイスで仰るように、トップ支点にすると、テールが雪に刺さってしまうのですね。1のアドバイスで仰るように、自分を誉めること、これが私にとって一番の薬ですね。下手すぎても、誉めればいいんだとこれも初めて自覚されました。4では、ゴロゴロを意識すれば良さそうですね。確かに溝に向かってドンドンって当たって砕けろっと思って滑って、破綻してました。
  最近のコブは、板がカービングなので溝コブが多いです。コブが上に突き出ているのではなく、穴のような溝コブが多くて、コントロールする部分が少なくて、どんどん加速する難しさがあるのですが、どれもこれも、とても考えさせられるアドバイスで、嬉しいです。ありがとうございます。楽しく滑れるようになれるといいです。』

  
“M.O”さん,皆さんからのアドバイス...参考になったようで,私も嬉しいです。(^ー^)
  「溝コブ」......確かにコブの溝が,昔に比べれば,「縦長で直線的に深くなってるもの」が多くなりました。この理由は,ズレを多用しない滑りの人が多くなったせいだと思います。またモーグル的な円弧重視でない滑り方をする人が多いと,どうしても溝が深く,ズレを使った滑りがやりにくいコブができてしまいます。このようなコブを滑る時は,溝に入る手前で,気持ちの上で,「これから溝に入るぞ !!!...横方向より縦方向にスキーは進むぞ...」という意識を持つことです。“キャスター・ターン”で言えば,「キャスターの転がりが,横方向から前方向に変わるぞ !!!」...というイメージを,溝に落ちる前に持つのです。この意識を持つことで,重心の軌跡はバランスンの乱れを最小限に食い止める方向にラインを変えてくれます。滑走ラインが円い円弧から直線に変わるわけですから,全くショックが無い...という訳にはいきませんが,かなりバランスの乱れを防ぐことはできます。

  さて,コブ特集を終えて次のご質問です。今回は“T.K”さんから頂いたご質問 e-mail をご紹介します。

  
『TOK先生こんにちわ! 「教師日記」毎日読ませてもらってます。最近の日記は皆さんも述べておられるように、いろいろな方からご意見を伺うことができて本当に良い感じですね。ところで質問があるのですが、わたしは大回りが少し苦手なのです。ターンの後半安定感が少なくじっくりと乗っていられないのです。その理由は前に乗り過ぎだと、友人に言われます。たしかにターン後半にテールがずれてしまうのです。ひざ下の三角窓、という表現をTOK先生は使っておられましたが,ビデオで見ると私もこの三角窓があります。この窓とターン後半のズレとなにか関係があるものなのでしょうか?何に注意したら大回りでターン後半も安定して滑れるか?お教えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。』

 
 さて,次の話題は「大回り」になりました。(^ー^) ターン後半の安定性を増すには?三角窓との関係は?......皆さんのアドバイス,よろしくお願いいたします。(^ ^)(^I^)




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★ Aug. 22  2006  Tuesday  晴れ (白馬)
 今日もイイ天気です !!!。昨日は朝方は雨も降り,雲が多かったのですが,昼過ぎに晴れ間が出て,暑くなりました。多分,白馬ではこの夏最高の暑さ !!!...そんな気がします。
 こう暑い時は,スキービデオを見て,気持ちを涼やかにするのがイチバン...ですネ !!!。(^ー^)
 では,皆さんも元気でイイ一日を !!!  
Have a nice day !!!
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  今日から“T.K”さんから頂いたご質問,「大回りの滑り方」で,ターン後半の安定性を増すには?三角窓との関係は?......に付いての連載になります。
  今回もトップバッター...切り込み隊長は“O”さんです。(^ー^)

 
 『TOKさん こんにちは “O”です。
  今日のテーマ「大回り」は私にとっては大好きな滑りです。朝一番の誰も滑ってないゲレンデを颯爽に大回りで滑るのは新雪深雪滑走と同様にスキーをやってて良かったと思う瞬間です。小回りやコブ滑走等は滑り切る事で満足感を得る感じですが、大回りは滑ってる最中に頭を真っ白にして自然との一体感を楽しんでる感じです。
  TKさんは残念ながら大回り後半に不安定さを感じるとの事ですが、センサー軸をしっかりイメージしてれば大きな不安定感を感じる事は無いと思います。感じたとしてもそれを逆に楽しむのがフィーリングスキーなんだと自分も最近分かって来ました。どうしてもそれが不快な感じで取り除きたい場合、ターン後半テールで切るような滑り方を試したら如何でしょうか。(テールが少し固めの板だとベスト) まさにステンマルクの滑りですね。膝下三角窓はあまり気にする必要はないと思いますが、内足にも多少乗る感じで外足にだけ乗り過ぎなければ自然に治ると思います。』

  “O”さん,いつもながら,迅速なお答え...恐れ入ります。そしてありがとうございます !!! (^I^)
  スキーヤーには大きく分けて「小回りが好きな人」と「大回りが好きな人」の二タイプがあるようです。どちらかというと,かく言う私も“O”さんと同じで「大回り」が好きです。快感度というか,じっくり雪とのコンタクトを味わえるのがイイですネ !!!。“O”さんが仰るように,「自然との一体感を楽しむ...」ということが,落ち着いてできます。
  「センサー軸をしっかりイメージしてれば大きな不安定感を感じる事は無い...」というアドバイス...的確なポイントだと思います。この時,“センサーポイントSP”から“レシーブポイントRP”に向かう,“エネルギーの伝達方向”に意識が行くと,さらに安定してくるでしょう。SPからRPに向かうラインを意識するということは,写真の「センサー軸」がイメージされることになり,かかとが支点(FP=fulcrum point)となって,スキートップ側を雪面方向に押し付ける動作が無くなるということだからです。そして,かかとより後ろ側での雪面ホールドが強調されますから,結局“O”さんの仰るように,「ターン後半テールで切るような滑り方」になるのです。ステンマルクの,「テールで切る滑り」になりますし,高速安定性も増します。“T.K”さんのクセ...「前に乗り過ぎ...」は影をひそめることでしょう。(^ー^) 「テールが少し固めの板だとベスト...」というのも,テールでの雪面ホールドをしっかり行なう...という意味で的を得ています。
  トップで切って行こう...とすると,ビンディングより前の部分が雪面を押し付けることになり,テールが軽くなってフラフラし始めます。車を運転していて,前輪が地面をグリップし過ぎ,後輪が不安定になるのと同じです。またトップで切ろうとすれば,スキー板のトップ部分をスネで雪面方向に押し付けるような動作をすることになりますから,ひざ下の三角窓もできやすいのです。
  「内足にも多少乗る感じで外足にだけ乗り過ぎなければ...」というご意見ですが,これは注意が必要です。外スキーが不安定になったときのリカバリー技術として,その場しのぎとして,あるいは凄い高速滑走をしていて,雪面ホールドが強くなり過ぎるのを防ぐ意味で荷重分散させる目的で使うのであればいいのですが,通常の滑りで,「内スキーの捉えを意識する」クセがついてしまうと,大変なことになりかねません。内足か外足か?...という問いについては,数年前からSAJの教程で「水平面理論」が発表されてから,多くの方が議論されてきました。そして大勢は「外足」に軍配が上がっていると認識しています。故グッキーも「外足派」でした。私もそうです。ここで,その議論をぶり返すつもりはありませんが,内足を意識することによる弊害は多くの場面で目にしています。くれぐれも注意しましょう !!!。(^ー^)



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★ Aug. 23  2006  Wednesday  晴れ (白馬)
 今朝早くは少し雨が降っていた白馬ですが,8時ころにはもう青空が出始め,今日も「晴れ」の白馬です。
 昨日は,白馬アウトドアスポーツクラブのお手伝いが終わり,気持ちの上で楽になった一日を, e-mail の返事書きや本を読んでゆっくり過ごしました。少し疲れが取れました...(^ー^)
 さて,皆さんも元気でイイ一日を !!!  
Have a nice day !!!

 今日も“T.K”さんから頂いたご質問,「大回りの滑り方」...その二回目で,“Y.Y”さんからいただいが e-mail のご紹介です。(*^^)v

 
 『残暑お見舞い申し上げます。47 Feeling Ski School 開校おめでとうございます。先生の活動が認められたこと、うれしく思います。レッスン形態はどのようになるんでしょうか?
  さて、今日の質問に対してですが、フィーリングスキー初心者ではありますが、わかる範囲で解答したいと思います。(間違っていたら申し訳ありませんが)、T.Kさんがおっしゃるスキー後半って言うのは”Cの字ターン”をイメージしているのではないでしょうか?自分がそうだったんですが、”Cの字ターン”の後半はたしかにイメージ的には乗ってはいるんですが、体の動きは止まっています。もし、安定感=体の動きが止まっている だとすれば、イメージの誤解があるのでは?と推測します。Sの字ターンの後半はFSスキーでは例えばコアに引かれる部分ですが、ここでは安定というより動いているという感覚です。自分が体感したSの字ターンでのFSスキー全般において、言葉にすると安定ではなく、常に体が動いているというイメージです。その推測を踏まえてになりますが、安定感を求めるがために外足の角付けが強くなり、いわゆる三角窓ができてしまうのではないでしょうか。
  ここが一番大事だろうと思うのですが、FSスキーでの雪面からの圧をしっかりと受けていないのでは? これがきちんとできていれば、エネルギーライン=軸がしっかりできているはずだから、膝が内に入り過ぎることなく三角窓はできないのではと察します。
  ブーツのフレックスが弱い。レッスンで三角窓ができる方がいらっしゃって、その方に先生がスポイラーを装着したところ、三角窓はなくなったのを目にしました。雪面からの圧を受けうるブーツのフレックスがないと、その圧力に負けて三角窓ができるはずです(TOK先生の100%受け売り^_^;)。』

  “Y.Y”さん, e-mail ありがとうございます !!! (^I^) 
  “47 Feeling Ski School” (FSS) ...レッスン形態については,心中温めていたことがいくつかありますので,それを機軸に行ないたいと思っています。近々FSSのホームページを通して皆様にお知らせしたいと思っております。ご期待下さい。
  さて,初めは「Sの字ターンをイメージしたら...」というご指摘ですが,なかなか良いポイントをつかれていると思います。「C字ターン」は仰るように,ターン後半で一旦動作が止まり,その後,ヨイショ...的に,主に抜重を主体として角付けの切り替えを行ないます。瞬時の角付けの切り替えがメインになります。それに対して「S字ターン」は,“愛のターン”イメージなどで,ターン中盤からゆっくり圧を重心方向に受け容れるようにして可能になるターンです。すると,角付けが徐々に緩まりながら,スキー板と足が腰の下に戻って来て,さらに重心の下を反対方向に通り過ぎて行き,ベンディング的に“クロッシング”が行なわれます。ですから“Y.Y”さんが仰るように,「身体が動き続けている(移動している)感覚」が得られ,さらに「外足の角付けが強くなる」現象を避けることができるのです。「三角窓」は圧が必要以上に蓄積された時にも表れますから,「“C字ターン”がターン後半の不安定を招いていた原因だ」...というのも,的を得たアドバイスのひとつだと思います。(^ー^)
  三角窓のもうひとつの原因として,「エネルギーライン=軸をしっかりつくること」...ということを挙げておられます。昨日の“O”さんのアドバイスにもありましたが,この“J・I・K・U”...大切です。私なども,荒れた斜面などを大回りで滑っていて,少し安定感を失いかけた時など,この“J・I・K・U”を思い出すようにします。すると不思議やふしぎ...暴れはじめだした板が,急に安定し始め,おとなしくなるのです。(*^^)v 安定感を失う理由は,ターンしようしようと焦っていて,落下をおろそかにした結果なのです。落下せずにターンしようとするから,自分で角付けを強くしたり,雪面に圧を掛けたりする必要が出てきます。その結果,ひざが前に入り過ぎて三角窓ができたり,スキーと雪が喧嘩して安定感が無くなったりし始めるのです。“軸”を意識すれば,斜面落下による雪面からの圧が得られ,“センサーポイントSP”と“レシーブポイントRP”の間に一本のビシッとした“軸”ができます。落下による“圧”ですから,身体のバランスが乱れることも無く,必要以上の圧を作ろうという意識も無くなり,結果として三角窓もできないのですネ !!!。(^ー^)
  三番目のご指摘,「ブーツのフレックスが弱い」...これも大事なポイントです !!!。私のレッスンで,他の人がスポイラーを装着し,その後の滑りが実際に変わられたのを見られてのレポートですから,重みがありますネ !!!。(^ー^) いくらかかと支点で落下し,雪の圧を受け容れようとしても,ブーツが柔らかいと,ひざにブーツのつま先が近寄ってきますから,結果として三角窓ができてしまうのです。このことは2006シーズンの後半,皆さんの滑りを拝見して本当に大事だと感じたことです。雪の圧でターンする...という“Let Ski”では,ブーツは硬めの方が良い...これは正解です。“Do Ski”は逆にブーツは柔らかめ...です。フロントスポイラーを装着して滑ってみると,これまでのスキーとひと味違ったスキーが体験できるかもしれませんヨ !!! 皆さんもぜひお試しを !!! (^ ^)(^I^)




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★ Aug. 24  2006  Thursday  晴れ (白馬)
 今朝は「曇り空」の白馬です。天空のホンのわずか...青空が見えますが...。と書いて,今9時過ぎ...晴れてきました !!! 「晴れ」に変更です。(^ー^)
 気温は28℃くらいまで上がりそうですが,朝夕はめっきり涼しくなりました !!!。皆さんの所はいかがですか? 夏バテしてませんか?(^ー^)
 では,今日も元気でイイ一日を !!! 
I'm sure you have a nice day !!!                     
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  今日も“T.K”さんから頂いたご質問,「大回りの滑り方」...に対する皆さんのアドバイスで,その三回目。“K”さんからの e-mail です。

  『 TOK先生こんにちは。”K”です。Feeling Ski School 開校おめでとうございます。何かお手伝いできればと思うんですが、いかんせん白馬は遠い。。。不定期な休みでもあり、スタッフ募集に手を上げることができませんです。アシスタントでもできればと思ったのですが;-;

 さて、今回のテーマは大回り。「・ターンの後半安定感が少なくじっくりと乗っていられない⇒ 何に注意したら大回りでターン後半も安定して滑れるか? ・ひざ下に現れる三角窓とターン後半のズレとなにか関係があるものなのか?」...以上の2点が要旨ですね。

  まずは「三角窓とターン後半のズレ」を考えてみます。どんな体の使い方をすれば ひざ下に三角窓が現れるのか?壁に肩を押し当てて、いろいろ試してみました。結果、大まかに以下の3パターンが感じられました。
  1.外スキーと内スキーのトップが狭まりテールが開くパターン
   外スキーに骨格で乗れていない(腰が外れている)場合に見られます。 形としては外向傾過多・後傾気味に。 進行方向に対してスキーの迎え角が過剰になりやすいためズレやすくなります。
  2.外スキーと内スキーがほぼ並行になるパターン
   内倒して内スキーに乗ってしまった場合でしょうか。 外スキーと内スキーで角付けが異なっている状態です。 角付けの緩い内スキーなりのターン弧になる為、外スキーはターン外へ流されることになります。
  3.外スキーと内スキーのトップが開くパターン
   外スキーを雪面に押し出して加圧しようとしています。 押し出しているのですから、雪面からの抵抗が大きくなる山回りの局面で、 雪面グリップのバランスが崩れてのズレが出やすくなりますね。前に乗りすぎだとのことから、3.の状態なのかなと推測します。

  これをふまえて「何に注意したら大回りでターン後半も安定して滑れるか」を考えます。これまでの教師日記でも述べられているように、重心のスムーズな移動が行なわれていないことが、ターンを不安定だと感じさせる大きな要因となります。スムーズな重心の移動を妨げる原因は何か?思うに、ターン後半にじっくりと乗ろうとする意識が身体の動きを阻害しているのではないでしょうか。大回りのターン後半は スキーの進行方向で考えると、最大斜度(フォールライン)から徐々に斜度が緩くなっていく局面です。ここで最大斜度に合わせたままのポジション・角付けでじっと待っていると斜度に対して角付けが過剰となり、雪面からの圧を受けすぎてしまいます。ここに 上記 三角窓3.の外スキーの押し出しが加わるとバランスの崩れを誘発し、ターン外にずり落とされやすくなります。また、山側に重心が残るため次のターンにスムーズに入れなくなってしまうでしょう。

  大回りの後半を、安定して次のターンへスムーズに重心を動かしていくにはどうするか?このためには、愛のターンでの圧を受けるイメージが有効だと思います。この際にやってくる圧(愛)は小回りよりも大きく強いものになるのでレシーブポイントで軟らかく受けとめられると良いかと。センサーポイントからのシュートを、レシーブポイントに貼ったゴールネットが受けとめる感じです。これにキャスターターンのクロッシング意識をプラスすると、滑らかに安定したターン後半〜切替えが実現できるのではないでしょうか。三角窓も自然と解消される気がします。

  もう一点、イメージするターン弧と使用しているスキーの描こうとするターン弧が異なっているのかもしれません。小回り向きのスキーでズレの少ない大回りは難しいですね。この場合は、できるだけゆっくりと、かつ重心の動きを止めないで滑る必要があります。』

  “K”さん,いつも的確なアドバイスの e-mail ありがとうございます !!! (^I^)
  47 Feeling Ski School ...着々と準備が始まっています。スキー指導者に求められるのは,「この人の持っている能力を引き出し,開花させてあげたい !!!」という熱意です。他にお仕事を持っておられる方でも,この熱意があれば一緒に Feeling Ski School を盛り上げて行くことができでき,結果としてスキーの楽しさを皆さんにお伝えできると思います。さらに他人様にお教えすることを通して,ご自分のスキーを見直すイイ機会にもなります。一人でも多くの方にぜひお手伝いいただきたいと思います。初年度ですので,それほど多くの生徒さんが集まらないかもしれませんが...(=_=;)

  さて,今日のテーマに戻って...。
  外スキーと内スキーの開き具合から「三角窓」を検証されていますが,面白い視点だと思います。実際に壁に肩を押し当ててお試しになったというのもイイですネ !!!。(^ー^) そしてターン後半シックリいかない原因として...「軸」,「角付け」,「前圧オーバー」を挙げておられます。畳の上でこのように検証すること...これはご自分の滑りを再確認するうえで結構役に立ちます。皆さんも試して見ましょう !!!。

  「ターン後半にじっくりと乗ろうとする意識が身体の動きを阻害している...」というご指摘は,ポイントを突いています。大回りに限らず小回りも,ターンはギクシャクせずに“流れ”に乗ったスムーズなものが有利であるのは言うまでもありません。ところが大回りのように時間的に余裕があると,圧をしっかり作らないと...というようなことを考え過ぎて,じっくりやろうとし過ぎることがあります。ところが往々にして,この「じっくり」意識は,「圧をしっかり貯めこむ」...という意識になってしまいがちです。でも,ターンの流れがスムーズであるためには,圧の変動も滑らかでなくてはなりません。それにはターン中盤から後半に掛けて,この圧を貯め込むのではなく,逆に吸収し弱めて行かなければならないのです。“K”さんが仰るように,スキーがフォールラインを通過した後は,斜度が緩くなってきますから,フォールラインと同じ角付けを保っていると,オーバーエッジになってしまい,圧が強くなってしまうのですネ !!!。

  これを防ぐのが実は“愛のターン”である...というのは,ホント...そのとおりだと思います。ターン後半のオーバーコンタクトを防ぎ,“クロッシング”によってスムーズな角付けの切り替えを行なうためにも,さらに重心の滑らかな移動を行なう意味でも,大変有効なイメージだと思います。

  最後に「“用具”の特性によるターン円弧の描かれ方の違いが,大回りでのターン後半の安定を阻害しているかもしれない...」とのご指摘ですが,コレも大事なことです。仰るように普通の小回り向きのスキー板で大回りをやろうとすると,回転半径が小さくなり過ぎて大回りになりません。そこで,板のどこかをずらすことで回転半径を大きくしようとするのですが,これがひざ下の三角窓を作ってしまうことの原因になることもあるのです。かく言う私もレッスンでは小回り様の板を使うことが多いのですが,その時注意していることがあります。それは,「テールの雪面ホールドに優れている小回り様の板をつかうこと。かかと支点をしっかり意識すること。そしてエッジをできるだけ立て過ぎないようにすること」...です。すると,かかとでの雪面グリップがしっかりし,スキーのトップが,ややターン外側にズレながら内側に入ってくるのです。この時のトップでの雪面グリップ力は本当に微弱なものですが,感性を鋭くいしていればこの微妙な圧を感じ分けることができます。トップの雪面ホールドがしっかりした板だったり,トップで切って行こうとすると,自分のイメージした回転円弧より内側にトップが入り込んでしまい,安定した大回りにはなりにくいのです。




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★ Aug. 25  2006  Friday  晴れ (白馬)
 今朝はかなりクッキリした天気です。(^ー^)
 気温も22℃...とかなり涼しく感じます。もう空きも直ぐそこまで来ている...そんな感じのする白馬です。皆さんの所はいかがでしょうか? まだ残暑が厳しいでしょうか?でも暑さに負けず,今日も元気でイイ一日を !!! 
I'm sure you have a nice day !!
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  “T.K”さんから頂いたご質問,「大回りの滑り方」...に対する皆さんのアドバイスで,今日はその四回目。“S.I”さんからの e-mail です。

  『 TOK先生こんばんは。教師日記が読者参加型になってから、いろいろな質問と回答があり、私も勉強になることが多いです。さて、今回は大回りですが、これについては私も自分自身に心当たりがあるので回答してみたいと思います。
  「膝下の三角窓」についてですが、実は私も左ターンの時にこれが現れます。考えられる原因として
  1.エッジに頼った滑りになっている : 角を立てようとするので、外足の膝が内側に入り、結果的に膝下に三角窓ができる。
   2.荷重ポイントがつま先側になっている : 荷重ポイントがつま先側になると、踵が浮き上がるような感じになってしまい、テールがずれる。
  3.内足荷重になっている : 山側に体重が乗ってしまうため、内足荷重となり、外足のスキーがずれてしまう。
  ということで上記の3点をまとめてアドバイスすると、「できるだけエッジを立てずに、かかと支点で斜面移動し、外向傾を作って、しっかりと外足で斜面をとらえること」だと思います。』

  “S.I”さん,本当にそうですネ !!!。読者参加型,双方向型になって,わたしも皆さんのご意見を伺うことができて嬉しいです。何ごともそうだと思いますが,“スキー”もコレ !!!と決まったものはありません。人それぞれ,いろいろな状況下で“スキー”をし,楽しんでいますから,それぞれのフィーリングがあり,価値観...というようなものがあります。いろいろなお考え,見方...これを伺うことができることの幸せを感じます。(*^^)v これを否定して,ある形だけを追いかけてしまうことは,“スキー”の面白さを半減させてしまうことになってしまうでしょう。宣伝で申し訳ありませんが,この冬から立ち上げることになった “47 Feeling Ski School” もこのことを念頭に,「人それぞれが,人それぞれの滑りに気付き,探り出し,見出すためのお手伝いしたい...」ということを基本に据えるつもりです。よろしくお願いいたします。

  さて,大回り後半の滑り方...ですが,三角窓ができたらイケナイ...のか?ということを考えてみたいと思います。結論から言えば,できてもOK !!!...だと思います。ただ,この三角窓ができたときに,どうも滑りがしっくり来ない...という現象が多く起こるのであれば,この三角窓ができないようにすることが必要になります。私の生徒さんに,三角窓ができているけれど,素晴らしい大回りをする人...も現実に居られますから...。本当は三角窓の有無がポイントではなく,大回りターン後半がシックリするような滑りを優先するべきであって,三角窓が無いからOK !!!...ではないのです。三角窓はある⇒だが,滑りはOK !!!...なら,直す必要無し。滑りがしっくり来ない⇒結果として三角窓ができている...なら三角窓ができる要因を探し出し,できないようにする...ということだと思います。なぜなら,三角窓のできる原因の多くが,皆さんご指摘の様にイメージの違い,考え方の違いによってもたらされるからです。だからといって三角窓が無ければイイのか?と言えば,それもまた違います。三角窓が無いのに滑りがギクシャクしている人も現実に居ますから...。「シックリ滑れない時に表れる三角窓」が問題のですネ !!!。(^ー^)

  さて,この「シックリしない三角窓」...この要因として,“S.I”さんが先ず仰るように,「エッジに頼った滑り...」が挙げられます。エッジに頼った滑りは,雪からの圧をもらい過ぎることにつながり,オーバーコンタクトになってしまうのです。ターンに必要以上の圧が貯まれば,それを逃がさないと自分の想定した円弧が描けませんから,その方法の一つとしてエッジが立った状態で圧を逃がそうします。結局,“軸”が消える滑り...“センサーポイントSP”を消す滑り...ひざが前にでてフニャっとした滑り...になってしまうのです。これでは安定した後半は生まれませんし,三角窓もできてしまいます。

  二番目の,「荷重ポイントがつま先になっている...」というのも,大事な見方のひとつです。“S.I”さんが仰るのは,「意識して荷重ポイントをつま先にしている」⇒だからトップの捉えがテールより重くなり,テールが軽くなってテールがテールから横ズレを誘発しターンそのものが不安定になる...ということです。ですから,どうしたらつま先を荷重点にしないで滑れるか?ということが大切になります。
  ただ,中には,「自分ではつま先に乗ろうとしていないのに,結果としてつま先荷重になってしまう...」という人も居られます。このような人は「圧の方向」を意識することが大事になります。かかとに乗ってそこを支点にし,“センサーポイントSP”からの圧をキープしようとはしているが,重心方向にその圧を吸収できない人です。“センサーポイントSP”と“レシーブポイントRP”の間の“軸”は意識できるが,その軸の圧方向を外向き,雪面の方に意識してしまう人です。こういう人は,ターン中盤まではうまく行くのですが,後半に入って次第につま先に支点が移り始め,最後には「つま先荷重」になってしまいます。

  次の,「内足荷重になるから...」ですが,これも大事な要因ですネ !!!。内足...ターン内側の足のくるぶしは,その構造上,内側に内捻しにくいので,インサイドスキーの外エッジのコントロールが難しいのです(【脚注】参照)。ですから一回雪面を噛み始めるとそれを調整するのが難しく,引っ掛かり続けてしまいます。つまりインサイドエッジは一回雪面を捉えてしまうと,なかなか,はずれなくなるのです。一方外足のくるぶしは外側にかなり捻ることができますから,外スキーのエッジは可変能力が大きいのです。...ということで,一旦内足で雪面を捉えると,内スキーはエッジが,はずれずそのままターンを続け,外足は外側にズレ始める...という現象が顕れます。両スキーがシェーレン状に開き始め,まるでステップターンでもしているように見えることがありますが,何のことはない...内に乗り過ぎ !!!...で外スキーに乗れなくなっただけの話...なのです。オソマツ...。(=_=;)

  ...ということで,これ等のことを防ぐには,「できるだけエッジを立てずに、かかと支点で斜面移動し、外向傾を作って、しっかりと外足で斜面をとらえること...」が必要だと,“S.I”さんも締めくくっておられます。確かにそのとおりです。
  ただ問題は,そうすればイイ...ということはわかるのですが,どうやったらそれができるか?...ということです。その様な時に威力を発揮するのが“イメージ”や“フィーリング”なのです。“あるイメージ”を持って滑ったらいつの間にか,「エッジが立たず,かかと支点で斜面移動し,外向傾ができ,しっかりと外足で斜面をとらえていた !!!」...という,そのようなイメージを豊かにして滑ることが大事なのです。でも,そのような有益なイメージ...実際にあるのでしょうか?。今日は宣伝まがいの発言が多くて恐縮ですが,実はそれを勉強し,研究しているのが On Line Ski School ...このホームページなのです。誇大広告のようですが,このことこそが,私がこれまでスキー指導の現場でズーッと意識してきたことです。“オレンジ・ターン”にはじまり,“キャスター・ターン”...“愛のターン”まで,これらのイメージは全て,ある滑りを実現するのにどのようなイメージやフィーリングが役に立つか?...ということを考えた結果なのです。今回の大回り...“S.I”さんの締めくくりのとおりですが,これを実現させるイメージ...それは“愛のターン”だと,私は思っております。

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  【脚注】:「人間の足関節は解剖学的に,内反しやすく外反しにくい」...というレポートが「カービングスキー技術論T」の10/13ページ...がありますから,興味のある方はお読み下さい。
  尚,この情報は“
Prof.YM”さんからいただきました。ありがとうございます !!! (^I^) 
  “
Prof.YM”さんのホームページ...
    http://www26.tok2.com/home2/suiheimen/naikounaikei.html



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★ Aug. 26  2006  Saturday  晴れ (白馬)
 今朝は,薄い曇がかかっていますが,天気は「晴れ」です。(^ー^) 全国の温度予想を見てみたら,東京が28度で長野が32度でした。フェーン現象で日本海側のほうが気温は高くなりそうです。
 八月最後の週末...皆さんはどちらでどのようにお過ごしでしょうか? 【TOK】は “47 Feeling Ski School” の準備が忙しくなり始めました...。楽しみながら最善を尽くします !!! (*^^)v 
I'm sure you have a nice day !!!
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  今日も“T.K”さんから頂いたご質問,「大回りの滑り方」...に対する皆さんのアドバイスで,その五回目。今日は“S.I”さんと,“Y.I”さん...お二方の e-mail のご紹介 です。

  先ず,“S.I”さんから...
 
 『 こんにちはもう随分前に○方のスキースクールでプライベートレッスンを1回だけ受講したS.Iと申します。TOKさんがスクールを辞めてしまい、現在は会員のみしかレッスンを受講できなくなり残念に思っておりました。来シーズンからの白馬47でスタートするスクールは誰でもレッスンを受講可能でしょうか?
  さて、大回りの件...私の回答は、「三角窓はスタンスを広くして外スキーのエッジを立てすぎた場合にできると思います。質問の方はカービングターンに固執しすぎているのかもしれません。面を使って滑ることによりターンの安定感が出る。」...のだと思います。』

  “S.I”さん, e-mail ありがとうございます !!! (^I^) お久しぶりです。お元気でしたか?
  おたずねの,「47でスタートするスクール...誰でもレッスンを受講可能か?」...という件ですが,だれでも受講OK !!!です。常設的な,毎日お申込みを受け付ける「デイリーレッスン」もありますから,ぜひお越し下さい。モチロンこれまで行なってきたキャンプ方式もあります。デイリーレッスンは,担当教師を Inter Net上で誰がどの日のどのクラスを担当するか?事前にお知らせするシステム,及び予約システム...などを考えております。ぜひ “47 Feeling Ski School”のホームページもチェック...よろしくお願いいたします。

  大回りのアドバイス...「エッジの立て過ぎ」,「カービングに固執」,「面で滑る」...というまことに簡潔なご指摘ですが,的を得ていますネ !!!。(^ー^)
  特にカービングターンが大回りの主流になってから,「何がなんでも切って滑るゾ !!!」...という風潮が一般にあります。するといきおい,「エッジを立てなきゃ !!!」ということが頭をかすめ,“切りきり病”になってしまうのです。でもズレの延長線上に切れがある...ということが分ると,“ズレの面白さ”に気付きます。世の中とは面白いもので,切ろうとしたらズレを,白を強調したかったら黒を,愛されたかったら愛することを...という風に,逆のことを思うと,問題解決の糸口が見つかることが多いものです。“スキー”も同じ,大回りで切れの良いターンをしたいのなら,先ずズレてみることも大事ですネ !!!。(^ー^) “S.I”さんが仰るように,「カービングをしない大回り」...を試してみると,面で滑る感覚がつかめ,三角窓...消えるかも...(*^^)v

  次に“Y.I”さんからの e-mail です。
 『 TOK先生、お久しぶりです。“Y.I”です。大回りのおける三角窓…、私も大きな課題でした。その要因として、カービング要素を表現するには、角付けを強めなくてはいけないという意識があり、一生懸命谷スキーに乗り込んで、角を立てようとしていました。またターン後半は、後傾にならないよう、つまさき寄りに乗り込むという意識もあったものですから、今思えば三角窓を作るために滑っていたようなものでした…。(^_^;
  その後、フィーリングスキーとの出会いがあって、オレンジターンから始まり、いろいろな勘違いが一歩づつ解消していったのです。角付けも大事な要素ですが、それよりも滑走面全体を感じて滑るということが大回りでは重要と思うし、そしてかかと支点で板を走らせるように心掛けてもいます。
  また外足が良いバランスで決まると、内足も同調してくれる感覚で良いのではないでしょうか。結構、意識の違いって大きいなと思います。正直、かなり遠回りをしましたから…。まあそれがあったから、今があるんだと思ってもいますけどね…。(^^; 』

 
 “Y.I”さん,ご自身のご経験談...ありがとうございます !!! (^I^) 実際に体験されたことのアドバイスはホント...重みがあります。!(^^)!
  “Y.I”さんも,前出の“S.I”さんと似たようなコメントを書かれています。「...カービング要素を表現...角付けを強めなくては...という意識...」と書かれているように,カービング病が三角窓を作っていたのですネ !!!。そして,“オレンジ・ターン”との出会いがあり,“フィーリングスキー”との出会いがあって,面で滑ることの意味をご理解され,次第に三角窓が消えていった...。内足の切れなどを意識しなくても,“同調現象”が自然に起こり,もっともその時どきのシチュエーションに合った滑りができるようになられた...。その一部始終というか,何度かご一緒に滑らせていただきましたので,その変遷...見させていただいております。ニセコでの深雪大回りなど,素晴らしい滑りでした !!!。楽しかったですネ !!!。(^ー^)
  仰るように,大回りの滑り方の問題点...これが“フィーリングスキー”との出会いにより解決の糸口を見つけられた...というのであれば,これ以上の喜びはありません。(^ ^)(^I^) 「意識の違いって大きい...」ということ,本当にそう思います。イメージや意識が人それぞれの身体の特徴を生かした,個性的で合理的な滑りをもたらしてくれるのですネ !!!。遠回り...と述べられていますが,その遠回りがあったからこそ,今の大きい喜びを感じられる...という風に考えれば,近道しないで良かった !!!...ということになるかもしれませんヨ !!! ハッハハハ...(^ー^)



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★ Aug. 27  2006  Sunday  晴れ (白馬)
 今朝は「曇り」の白馬です。
 今日の日曜日...これから夕方に掛けて一時「雨」になるとの予報が出ています。その前に今日はMTBをしようと思います。久しぶりのMTB...楽しみです !!! (^ー^)
 では皆さんもイイ日曜日をお過ごし下さい。 
I'm sure you have a nice day !!!
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 今日は“T.K”さんのご質問,「大回りの滑り方」...に対する皆さんのアドバイスで,その六回目。“H.M”さんからいただいた e-mail のご紹介です。

  『 こんにちは先生。まだまだ暑くて大変ですね。「ターン後半に安定感がなくズレてしまう。三角窓ができる」という質問に意見を述べさせてもらいます。でも、指導するという観点からではなく、質問者と同じようなレベルの人間として、私が書籍で研究し実践してみて得たことを述べたいと思います。もちろん、ベースはお習字ターンです。私も質問者と同じ症状がありました。治ったかどうかは客観的には分かりませんが、自分ではすごくいい感じになったと思っています。
  最大の原因は、切り替え時、早く回りたい一心で次の外板(今のターンの内足)をすぐに次ターン方向下に向けてしまうことです。次の外腰(今の内腰)が伸びてシュテムになり、次の外板だけエッジが切り替わって、内板はエッジが切り替わっていません。この時点で三角窓ができてると思います。板の自然な動きより、先走って板を回旋させるため、ターン後半では必ずズレます。切り替えでは、足元をひねる動きで板を回さずに、両板の面を入れ替えることだけが大切と思います。斜め直進部分の軌道をなるべく変えないことです。上体や足元でひねると軌道が変わります。どうしたらいいかというと、「ハネル」だと思います。ターン中盤から後半にかけて外足を山側にはねると、重心が自然に谷側に落ちていきます。そうすることで、今の谷足に長く乗っていることができ、ひねるなどして次の外足をいきなり斜面下に向ける動作がなくなります。
  素人考えかも。先生、よろしく修正お願いします。』

  “H.M”さん... e-mail ありがとうございます !!!。 けっして素人考えなどではありませんヨ !!!。「ターン後半から次のターンの始まりに掛けて,ターンを急ぎ過ぎることが,大回り後半を安定して回れない原因だ...」というのは正解です。もちろんこれだけが原因の全て...というわけではありませんが,“H.M”さんにとっては100点満点の解答 !!!...そう思います。
  人にはそれぞれ,“スキー”をする時,その人なりの滑り方の意識や,考えを持ちながら斜面を滑り降りて行きます。そして,その思考の違いによっていろいろな形態の滑りが顕れてくるのです。100人居れば100通りの違った滑りがある...私はそう思っています。“H.M”さんの場合,「角付けの切り替えを一刻も早く終え,次のターンに入って行きたい...」という思いがあったようですネ。そのため,切り替えの時にシュテム的な運動になり,スキーがV字形に開いてしまって三角窓の出現...というパターンになっていた。ところが,“お習字ターン”の筆がハネルイメージを持って滑るようにしたら,シュテム的な運動が影をひそめ,角付けの切り替えがうまくいくようになった...ということです。(^ー^)
  “お習字ターン”の,「筆の動きを自分の脚の動きに重ね合わせるようにするイメージ」を持つことで,それまでの外スキーから次の外スキーへのエネルギーの伝達が滑らかに行なわれるようになる......このことは,私も数多くのレッスンで経験していることです。この“お習字ターン”の内容については,「☆★【TOK】の Feelin' Ski ★☆ 0055 “お習字ターン”」をお読みいただいたり,ビデオで再確認してください。“H.M”さんは e-mail で「ハネル」と書いておられますが,私は「払うゥー」と表現しています。どちらも同じことですが,一時,「教師日記」でたしかに「ハネル」と解説していたこともありましたので,そちらの記憶がおありなのだと思います。
  「両板の面を入れ替えること...斜め直進部分の軌道をなるべく変えない...」という,ご自分のイメージが確立できておられますので,もう大回り後半の処理の仕方はかなり変わられ,イイ感じになっていると思います。「重心が自然に谷側に落ちていき...谷足に長く乗っていることができ...ひねるなどの動作がなくなる...」と仰っておられることからも,このことが伺い知れます。(^ー^)
  “H.M”さん...ご自分の体験談,ありがとうございました。きっと読者の皆さんにも,参考になったことと思います。



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★ Aug. 28  2006  Monday  晴れ (白馬)
  今朝は「曇り」の白馬です。そして午後に掛けては「雨」になるとの予報が出ています。
  さて,私はそろそろニュージーランド行きの準備を始めます。その手始めとして「国際免許」をもらいに長野市まで出かけます。旅の準備...これも心躍るひと時です。(^ー^)
      
I'm sure you have a nice day !!!
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  “T.K”さんのご質問,「大回りの滑り方」...に対する皆さんからいただいたアドバイス...そのご紹介は全て終わりましたので,今日からは【TOK】の思うところを話させていただきます。(^ー^)

  実は,私はどちらかというと大回りの方が小回りよりも好きです。雪との一体感...という快感が得られるのと,わたしの身体の創られ方,筋肉の質などが大回りに適しているなァーと思うからです。小回りでは圧変化が大回りにくらべて急激に起こりますから,筋肉も瞬発的な質のものが適しているようです。それに対し,大回りは持久的なものが適しているのかな?と思っています。実は,この持久力的...ということの中に,「大回りを考える時の大事なポイント」があるのが分ります。それは,「“大回り”では雪との圧コントロールを持久的な感覚で行なう方がイイ...」ということです。つまり,「スキーヤーと雪との間にキープされている“圧”...この圧の変化が滑らかに行なわれるほど,大回りは安定する」ということです。
  ターン後半,角付けを強いまま維持してしまうと,圧が貯まり過ぎてしまいます。貯まり過ぎた圧はどこかで開放されないと,ターン円弧を希望の大きさにキープできなくなります。そこで,素晴らしい能力を持っている人間の身体は,圧を逃がそうとしてテールをずらさせたり,内足に乗ったりする方法を選択してしまうのです。(^ー^) そして結局,三角窓ができたり,内倒したりして,不安定な滑りになってしまうわけです。ですから,ターン後半に圧を溜め込み過ぎない方法を身につければ,これらの不安定要素を払拭できる...ということになります。
  もちろんターン後半,圧を凝縮させるように蓄積し,それを一気に開放させて次のターンに入る...という方法もあります。8/23の“Y.Y”さんが述べておられるように,チェック動作的な方法,C字ターン的手法...がそれです。ですが,この方法はターン後半に圧を貯め込もうとするため,筋力も必要ですし,なによりも重心の移動軌跡がギクシャクし,バランスが悪くなってしまいます。ですから高速での滑走には適していません。ターン後半に圧を吸収し,オーバーコンタクトを避けるような滑り方...“S字ターン”を身につけると,この問題は一気に解決するでしょう。ステンマルクがかつて述べていた,“圧を飲み込む方法”そのものなのです。

  では実際問題として,「ターン後半に圧を溜め込まないように滑るにはどうしたらイイのか?」...ということですが,“フィーリングスキー”で私がお話しているように,「“圧”に敏感になる...」ということです。“オレンジ・ターン”や“愛のターン”のイメージを持って滑ってみることです。モチロンこの時フォームや形,顕れてくる運動に惑わされてはいけません。ご自分がイメージした“オレンジ”や“愛”が,結果としてどういう形で自分の滑りに現われるか?...これは人それぞれです。何度も話しているように,各自のDNAやこれまでの運動履歴によって,それぞれ異なった滑りとして顕れて来ます。でも,全く同じでは無いけれど,滑りの要素は似通ったものになります。そのスキーヤー独自な,味のある美しい滑りとして顕れて来るのです。これこそが“感じて滑る”ということに目覚めた人に贈られた,最大のプレゼント...そう思います。私たちをこの世に創ってくれた“神”とも呼ぶべきものからの,素敵な贈り物なのです。
  イメージや意識をどう持って滑るか?...大回りでも,この大切さをしみじみ思います。(^ ^)(^I^)



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★ Aug. 29  2006  Tuesday  晴れ (白馬)
 今朝は朝早くは「曇り」でしたが,9時過ぎころからくもが取れはじめ「晴れ」になりました。(^ー^)
 ニュージーランドから,スキー場情報がいろいろ届いています。今年は昨年に比べると雪の量が多いらしく楽しみです。トレブルコーンでは雪の積もらない下の平地からスキー場まで,ゴンドラリフト建設の話しがあるようです。さて,明後日からのニュージーランドの旅...どんなものになるでしょうか?楽しみたのしみ !!! (^ ^)(^I^)
  では今日も...  
I'm sure you have a nice day !!!

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  「大回りの滑り方」...に対する【TOK】のコメント,その二回目です。
  昨日は「“圧”に敏感になりイメージを大事に滑る」...という,基本的なことをお話しいたしました。今日からは具体的な意識というかイメージをお伝えしたいと思います。

  かねてからお話ししているように,スキーは“身体の特徴・スキー用具の特性・自然条件”を生かし,それぞれマッチした滑りをする...ということが大事です。今日はその内の「身体の特徴」...ということを,大回りにポイントをしぼって考えてみたいと思います。

  身体の特徴のひとつとして,「内足首の構造と外足首の関節の働きの違い」...ということが挙げられます。8/25の「大回り後半 No.4」でも取り上げました。詳しいことはこのページをお読みいただきたいのですが,そういう理由で,大回りでは特に,外足荷重というか,外足での雪面の捉えをメインに考えるべきだと思います。私個人的には,荷重という言葉は,多くの人に,「押さえつける...」というイメージを与えてしまうのであまり使いたくないのですが...。雪面を外足で支える...あるいは外足でコンタクトする...というのが適切かな?と思います。いずれにしても,内側での捉えは,大回りのようなハイスピードでの滑走の時はターン円弧をコントロールできにくくするだけでなく,危険でさえある...と思います。それでは,100キロ近くのスピードになったらどうするか?それでも外足だけか?という疑問があるかもしれません。でも,人間の身体は本当に素晴らしく,よくしたもので,それくらいの超高速になって外足に耐え切れないほどの圧が掛かると,自分で意識しなくてもちゃんと内足に荷重を分散させる機能が働いてくれるのです。身体の同調システムがうまく働き,同調運動とも言うべき動きが現れるのです。...私たちがダウンヒル競技やスーパーGの競技のように,超高速で滑る機会はほとんどありませんが...。ということで,身体の特徴のひとつを素直に生かす...という点で,「大回りでも外足だけを意識する...」ということが大事になります。
 
  次に,外スキーのどこで抵抗を受け続けたらいいか?...ということを考えてみたいと思います。“愛のターン”に関する「教師日記」をご覧いただきたいのですが,ここで解説させていただいた様に,“レシーブポイントRP”として黄色の番号付近を意識すると,“迎え角”が少なくなり,スキーのエッジも少し立ち気味になって,カービング要素の強い滑り方になります。
また一方,ブルーの番号を意識すると,逆に“迎え角”が大き目になり,スキーのエッジが少し緩んで,スキッディング的な滑り方になるのですつまり,身体の特徴...という意味で,身体のどこで抵抗を受け取るのか?という意識が身体の構えを自然に作り出してくれる...ということなのです。自分の身体をこう使おう...とか,アア使おう...という風に思わず,“レシーブポイントRP”を身体のどこかに意識し,あとはその結果起こるターン円弧の大きさや,切れの度合いをチェックすればいいのです。Bを意識した時にはその様に...Cを意識した時にはその様に...という風に,この@〜Cをいろいろ変えてみることで,その時どきの滑走パターンが違うことが分ってきます。あとは数多くのドリル練習を通して,これを因果関係として身体に覚えこませればいいのです。尚,大回りではB〜Cのように,身体の上部を“レシーブポイントRP”にするといいでしょう。ビシッと決まった“センサー軸”ができあがり,8/22の“O”さんのように,気持ちイイ大回りが体験できるでしょう。(^ー^)
  結局,“軸”の片方...“レシーブポイントRP”をいろいろ変えてみると,「身体の自然な反応が引き出され,その時どきの滑りにもっともマッチしたフォームが生み出される...」ということなのです。しかも,そのフォームや運動はあなた独特な,個性溢れるもので,他人が真似できるものではありません。

  このように,「身体の特徴」を考え,それを在るがままに素直に利用した時,雪面に働きかける“Do Ski”的な大回りではなく,“Let Ski”的な静かでダイナミックな大回りが可能になるのです。
 
 インゲマル・ステンマルクが言っていた言葉...「外足から外足...これがぼくのスキー操作と感覚の基本です...」,そして,マルティン・グガニックが言っていた言葉...
スキーは回すものではなく,自然に回るように乗ってあげること...」という言葉の意味が理解できることでしょう。
  
かれら二人とも,身体の特徴をしっかり生かした滑りをされていたのですネ !!!。(^ー^)




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★ Aug. 30  2006  Wednesday  晴れ (白馬)
 今日の白馬...「曇り」です。いつ雨が来てもおかしくない...そんな天気です。気温は少し肌寒さを感じる21℃です。
  さて,明日早朝ニュージーランドに向かって出発です。今回のニュージーランドはキャンプではなく,友達と一緒に滑ったり, “47 Feeling Ski School” の教師発掘が目的です。さて,どんな経験ができますか?楽しみです。 (^ ^)(^I^)
 ...ということでホームページの Up date も不規則になると思いますがヨ・ロ・シ・ク・...(^ ^)
 では今日も...  
I'm sure you have a nice day !!!
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  “47 Feeling Ski School” 開校に合わせ,他の先生方のブログを立ち上げることにしました。その関係で,私のこの「教師日記」もそちらのスタイルとリンクすることになりました。掲示板やらメーリングリスト,ブログ...と,書き込みの種類が多過ぎて大変...というお声も聞こえますが,選択肢が多くなって皆さんに好みのスタイルを選んでいただける...ということでもありますので,ご了承下さい(*^^)v。尚,ブログには「コメント」の項もありますので,その日の私の「教師日記」に対するご意見などを,気軽に書き込んでいただくことができます。最近の「教師日記」が双方向的で勉強になる...とのお声も頂いております。そういう意味で,皆さんのご意見が「教師日記」に反映でき,互いのスキーライフを豊かにするための一助になれば,これはこれで嬉しいことです。...ということで,よろしくお願いいたします。(^ー^)

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  さて,今日の日記は...「大回りの滑り方」...に対する【TOK】のコメント,その三回目で,「スキー用具の特性を生かす...」という視点から大回りを考えてみたいと思います。
  用具として滑りに大きく関わる物には,「スキー板」と「スキーブーツ」がありますので,それぞれについてみてみることにします。

  初めに「板」ですが,これは今年7/1〜7/12の「教師日記」に約1週間にわたって特集して書き込みしましたので,詳しくはそちらをご覧いただきたいのですが,要旨は,「大回りに的を絞って滑るにはそれなりの板がある...」ということでした。ですから,大回りを本当に快適にハイスピードで安定して滑りたい...というのであれば,先ず大回り専用の板を準備されるのがイイと思います。性能的には,「板の長さが長め」で,「ラデゥウスは大きめ」,そして「快適なレスポンスが感じれる」......そういう「板」を選ぶべきだと思います。快適なレスポンス...というのは,「トーションとフレックスのバランスから生まれるもので,その人の体重や体格,筋肉の質などで微妙にその評価は異なることがあるのですが,多くの板を履いてみると,その違いのあるのが判ります。これまでの私の経験では,フレックスが柔らか目で,トップのトーションがテールのそれに比べて柔らかめの物が,より快適なレスポンスが感じられました。
  私は,大回りでは大きく分けて二つの滑り方があると思っています。「トップで切る大回り」と,「テールで切る大回り」です。私は後者の方が理にかなっていると思いますし,先人の偉大なるスキーヤー,ステンマルクやグッキーも,これと同じことを述べておられます。“T.K”さんの仰る「三角窓」ができて,ターン後半が不安定になってしまうのも,その大きな原因として,「トップでの捉えが強すぎること」が挙げられます。ですから,用具をそろえるときには,このことも頭に入れておかれたらイイと思います。

  さて,次は「スキーブーツ」です。私は大回りで不安定になる大きな原因に,このスキーブーツの性能が関わっている...と思っています。結論から言わせてもらえば,皆さんは,「柔らかすぎるブーツ」...つまりフレックスの柔らかいものと,それから,「前傾角の深すぎるブーツ」を履かれている方が多いのです。
  私は,皆さんご存知のように相当長く人生を経験してきたシニアですが,ブーツの“flex index”はノルディカモデルの150です。2年前,スポーツショップに行って,「この靴にします...」と言ったら,「いくらなんでもそのお歳で,その靴は硬いでしょう !!! もう少し柔らかいのをお勧めします...」と言われたのですが,ガンとして言うことを聞かず,私の信念で硬い靴を買い求めました。結果は...?言うまでもありません。ひと様から見たらどう思われるか分りませんが,自分としては最高のパフォーマンスができていると思っています。(^ー^) 年齢や性別に関係なく“フィーリングスキー”をやられたいなら,“前傾角が浅め”で“硬い靴”です。私のこのアドバイスを実践され,滑りが変わられた方が何人も居られます。そして,「これまでの私のスキー...何だったんでしょう?」というお言葉も頂戴しています。

  「硬いブーツがなぜ“Let Ski”,“フィーリングスキー”にとって良いか?」,そして,「前傾角が浅く起きているブーツを薦める理由」...については7/13の「ブーツ選びのポイント」に書かせてもらったとおりです。ぜひ参考にして欲しいと思います。前傾角が起きていれば,ひざが前に入って三角窓ができる...ということも避けられます。
  また,フロントスポイラーを装着して,ブーツの“flex index”を硬めにして滑ってみることも,大回りターン後半の安定性とどう関係しているか?ということを経験するうえで大事なことだと思います。私のレッスンで,このフロントスポイラーがキッカケでグゥーンと飛躍した人が何人も居られます。皆さんにもぜひお勧めです。(^ ^)(^I^)




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★ Aug. 31  2006  Thursday  晴れ (白馬)
   今日の日記は...「大回りの滑り方」...に対する【TOK】のコメント,その四回目で,「自然条件」を視点として考えてみたいと思います。

  10年ほど前からここ数年,カービングスキーが台頭して私たちが求める大回りにも変化が出てきました。それは,「切れのある大回りが当然...」という考え方です。カービングタイプの板が使われるようになる以前は,ずれやすい板が多く,そのズレの多い板でどうずれないで切って滑るか?...ということが課題でした。そのため,「斜面移動によってスキー板をたわます...」ということが大変重要だったのです。今のカービングタイプの板のように角を立てるだけで,たわみを作り,それをキープすることはできなかったのです。ですから,“切れ”の前に先ず“ズレ”があり,そのことを経験することで,ズレのある大回りができる...ということを皆さんは知っていたのです。でも残念なことに,カービングスキーが出現してから,「ズレの大切さ」はどこかに消えてしまいました...。(=_=;)

  ところが,“T.K”さんが,「ターンの後半安定感が少なくじっくりと乗っていられない...」と仰るように,この切れのある大回りが当たり前...という考え方が,ズレのある大回りではダメなんじゃないか?...といった,「切ろう切ろう...」とする“カービングmust症候群”を生み出したのです。大回り...はたしてズレのある大回りではいけないんだろうか?答えは,「そんなことはない。ズレの大回りがあって当然 !!!」...です。その理由は,カービング大回りができる条件は,「硬い整地」といった非常に狭く限られた条件下でしかできない滑り方だからです。深雪で,粗踏みで,新雪で,ザラメで,コブで...カービング大回りできますか?角を立てれば立てるほど雪に潜り込み,スキーのトップは浮いて来ません。ザラメでは,トップで捉えようとすればするほど,トップはターン外側に逃げてしまいます。コブ斜面...ひっきりなしに雪面コンタクトが無くなる状態でどうやってエッジで捉え続けるのですか?角を立てて滑る...カービングで滑る...内足で滑る...ということは,人間が人工的に作った斜面ならいざ知らず,自然条件の中でほとんどできない滑り方だ...そう言っても過言ではありません。

  こういうことを考えてみると,カービングスキーの性能に踊らされて,角を立てる滑り方しかできないことの方が怖い...そう思います。いくらカービングスキーを使ったとしても,「まずズレの中でスキーをたわませること」を覚えるべきです。「地球のコアに引かれる意識」などは,その良い練習になります。そうすればエッジを無理やり立てようとしなくなりますし,積極的に斜面移動をしようという気持ちにもなり,「面を使った滑り」が可能になります。ズレの中でバランスを取ることが解り,軸感覚も身に付いてきます。切れの要素は少ないけれど,ターン後半の安定感は増し,ドッシリと乗っていられる様になります。そして,次第にスピードが出てスキーがたわむようになれば,かかとを支点としたテールで切るカービングターンができるようになるでしょう。これこそインゲマル・ステンマルクの滑り,「神のシュプール」的な滑り...そう言える滑り方なのです。(*^^)v

  「大回りのターン後半を安定して滑る...」ということを,「自然条件」との絡みで考えれば,ズレを伴った大回りから始める...という姿勢が大切だと思います。硬い整地斜面は朝イチのゲレンデや,レースコースにしか見出せない状況では,無理にトップや内足で切るカービング大回りをする必要は全くありません。それよりも「自然条件とマッチした気持ち良い大回り」...これができることの方がはるかに大事だと思います。


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【注】:この「教師日記」の中には,いろいろな“フィーリングスキー”に関する用語が出て来ます。これについては,検索で「エネルギーライン」,「愛のターン」...等と入れていただきますと,その用語に関する記事がたくさん出てまいりますので,そちらを参考にしてください。




この「教師日記」はスキー教師【TOK】の個人的な日記です。
 【TOK】の主観的な意見や感想を書き綴ったものですので
ページ内の記事及びデータなどを,みなさんが参考にされることは構いませんが
そのことによって派生した結果についての責任は負いかねますのでご了承ください。
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