What's Today ?
07/31 【Do】も【Let】も
演技できて指導員
07/30 スキー上達用語
07/29 イメージを膨らます
07/28 期待!下部団体の対応
07/27 プライズテストの愉しみ
07/26 ホッ!とした【TOK】…(^I^)
07/25 “Feelin' Ski”の続き…
07/24 OLSSのひとつの答え
07/23 スキッディングとカービング
07/22 達人スキーヤーの条件
07/21 “オレンジ”で雪を観る
07/20 技術の使い分けは
ナチュラルに…
07/19 キャスターの見え始め
07/18 引く引くターン
…角付けの切り換え三態
07/17 ストック選びの要点
07/15 中庸の一台で楽しむ!
07/14 グッキー … 雪面移動
07/13 グッキー … 大回り
07/12 グッキー …
動物的な勘の持ち主
07/11 グッキー …
Letスキーの最強デモ
07/10 グッキー … 外向傾が基本
07/09 グッキー … 始まり
07/08 グッキー … その人柄
07/07 グッキー … 早過ぎるよ…
07/03 スキーブーツ選び
07/02 スキー選びで変わる
スキーの面白さ!
07/01 天野誠一先生の心
*** これまでの日記***
* 2003年6月
* 2003年5月
* 2003年4月
* 2003年3月
* 2003年2月
* 2003年1月
* 2002年12月
* 2002年11月
* 2002年10月
* 2002年9月
* 2002年8月
* 2002年7月
* 2002年6月
* 2002年5月
* 2002年4月
* 2002年3月
* 2002年2月
* 2002年1月
* 2001年12月
* 2001年11月
* 2001年10月
* 2001年9月
* 2001年8月No.2
* 2001年8月No.1
* 2001年7月
* 2001年6月
* 以下 2001年
教師日記 5月
教師日記 4月
教師日記 3月
教師日記 2月
教師日記 1月
* 以下 2000年
教師日記 12月
教師日記 11月
教師日記 10月
教師日記 9月 #2
教師日記 9月 #1
教師日記 8月 #2
教師日記 8月 #1
教師日記 7月
教師日記 6月
教師日記 5月
* 以下 1998-2000
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July/31/2003 (木曜日) 曇り
今日も曇り空の白馬です。(^I^) いったいいつになったら「梅雨明け」…が来るのでしょうか? でも,長期予報によると,8月と9月は猛暑が…ということだそうですが,にわかに信じられません。明日から8月…また新しい月を迎えます。(^I^)
*****
さて,今日は“T.M”さんから頂いた e-mail について…
『 …今日は6月4日の教師日誌の件でメールさせていただきます。文末にあった「私が思う基礎的なスキーでは,極力このリスクを負わないで済むように,安定して滑れる方法を先ず身につけるべきだと思います。そして,これができるようになったら体力に応じた各自のパワフルなスキーをされることをお勧めします。」に関して、これは以前からTOK先生が仰る”滑りの引出しを増やすこと”と私は理解しています。これで正解ですか?
シーズン後半はレッスンで教わったキャスターターンで滑っていましたが、(実際、two〜four〜two〜fourと口ずさみながら滑っていました。)先生が指摘されるように滑りの引出しを増やすために、雪質が良く攻撃的な大回りで滑るときは、少しだけ自らの力で押し込んで滑ることもありました。最近、私が感じていることはテク&準指検定においては、DOスキー要素が大きいものが強く要求されるような気がします。もちろん状況に応じた滑りなのでしょうが・・・。SAJがそのように指導している以上、仕方がないような気がします。まだテク検定の場合は1発勝負だからいいものの、準指検定は各県スキー連盟による講習会がシーズンを通じて数回行われ、連盟役員(後の検定員になるような人)と長いおつき合いが必要なので、講習会で求められるスキーを実践しないといくら検定当日上手く滑っても合格できないような気がします。1度も受検したことがないので想像で判断していますが。上手さに滑り方なんて関係ないとも思うのですが・・・。以上、私の勝手な思いを述べさせていただ
きましたが、TOK先生のご意見をお聞かせください。よろしくお願いします。…』
“T.M”さん,教師日記ご覧頂きありがとうございます。(^I^) 安定した滑りからパワフルなスキーへ…は仰るとおり「滑りの引き出しの数を増やす」ということです。「安定した滑り」は,その引き出しの中でも最も基本とする「箱」だと思います。
攻撃的な大回りで滑るときは、少しだけ自らの力で押し込んで滑る…という感覚については,あってもいいと思います。ただ,その時にターンに必要な圧がどの方向に向かっているか?を意識することが大事です。グッキーはここのところを,「斜面を落ちて行って,角を立てれば大きな圧ができる。この圧を自分が加えた圧だと勘違いしないで欲しい…」と言っていました。私もそのとおりだと思います。【Do】的だと見えても実は【Let】なのです。でも傍目には【Do】に見える。ここのところが大事なフィーリングの違いなのです。でももし“T.M”さんが,【Do】的だ…という風に感じられ,その方がうまく滑れれば,それはそれでいいと思います。圧が雪の方に向かっている滑りは,重心の位置が上下に変動しやすくなり安定感が失われやすくなります。テクニカルやクラウンでも本当にうまい人は,ご本人が意識しているかどうかは別にして,“重心”位置が上下左右に変動することが少ない【Let】的な滑りだと私は見ています。それはどうしてか?と言うと「“重心”位置が誠に安定していてバランス維持がしっかりできている」からです。
来シーズンから検定要領が変わりますので何とも言えない部分もありますが,準指導員検定でもおそらく,良く良く見れば,評価されるその滑りの質は【Let】的なものだと私は思っています。でも,担当検定員の方が,【Do】的だとか【Let】的だとかの,コメントはしないと思います。多分動作が大きくて雪面圧が急激に変化するような,見本としての演技が要求されたとすれば,「今時分は演技として【Do】をしているのだ…」という気持ちで,【Do】的演技をすればいいと思います。このことがイイか?悪いか?…というジレンマに陥った時は,演技の幅,演技の引き出しとして【Do】的なものもできるよ!という風に考えたらいかがでしょう?【Let】もできるし,【Do】もできる…これができてこそ「スキー教師」なのだと思います。(^I^) もし,【Do】的な演技を要求されたら,滑りの合理性はひとまず置いておいて,演技としてわかりやすく説明するには…という気持ちになれば,別に合理性のあるうまい滑りでなくてもいいわけです。そう考えれば,講習会で求められる滑りも「引き出しの数」を増やすための勉強…という風に納得できると思います。(^I^)
スキー技術に関しては,ホント100名居れば100通りの解釈が成り立つと思います。ですから,人の解釈をどう自分の解釈と結びつけるか?他人の滑りのコツをどう自分の言葉で表現できるか?…ということが他人から教わる時の秘訣だと思います。受験生のための事前講習も,そういう視点で見れば納得できるかと思います。
それでは,めでたく合格!祈っています。(^I^)
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July/30/2003 (水曜日) 曇り
今日もまた曇り空…。本当に冷夏なんですかねぇー…。いくら暑い夏が苦手な私も,こう涼しくては夏の好きな人が気の毒ですネ!今年も一度はでだ泳ぎたい!(^I^)
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さて,今日は“Se”さんから頂いた E-mail の紹介です。
『 Tok先生 はじめてメールをします、教師日記興味深く拝見させて頂いてます。先生にプライベートレッスンを依頼したいのですが、スケジュールが合わないとおもいます。で、スクールにお願いしたとき、このホームページで使用して いるような用語で教えてもらえるのでしょうか?
当方は62才、スキー歴は40年以上ですが、もっとやさしくにキレイに滑りたいと思っているものです。伸びて縮むで育ったものです。板は最近のカービングです。 また、家内は54才、八方は滑り降りる事は出来ますが、足を開きぱな?しですので、 キレイに降りられるようにしてあげたい、板は私と同じものです。
最近は八方以外に行く気が全くないので、年間5〜10日くらいしか滑れませんが、安全にキレイにと思ってます、今年は八方に行きますので、このページのような教え方する方がいましたら名前を教えて頂き、レッスンの 予約をスクールにいれたいので、お忙しい中申し訳ありませんがよろしくご紹介の程お願いいたします。…』
“Se”さんこんにちは! E-mail ありがとうございます。
私が使っているような言葉を使う他の教師…ですか?ウーmmm,残念ですが…。私の所属しているスクールには約200名の教師が居ります。スキースクールの方針として,「スキーの技術的な原理原則を理解した上で,その根本に立った指導を,各教師が各教師のパーソナリティーを生かしてレッスンをする」ということをモットーとしております。そのため,残念ながら,私と同じ言葉を使い,同じ考えでレッスンを構築している教師は居りません。私は使ってくれていい…と言っているのですが,どうも先生というものは自分自身のスタイルを大事にするようです。しかし,だからこそいろいろな考え方の教え方や上達の仕方があるのだとも思います。(^I^)
キレイに滑る…この言葉は合理的なスキーをされているかどうか?を表す言葉だと私も思っています。もちろん力強い滑りや早い滑りの中にも合理性はありますが,わたしはこの「キレイ」が好きです。誰が見ても,無駄な力が使われておらず,雪や自然とマッチした滑りをする…これがまさに「生涯スポーツ」としての“スキー”の面白さだと思います。(^I^) この「キレイに滑る」ためのポイントは,常々述べさせてもらっていますが,「身体の特徴・用具の特性・自然のシチュエーション」の三つの要素をマッチングさせ,活かして滑ることだと思います。これまで私も“Se”さんに負けないくらいの年数を滑って来ました。そして今思うことは“雪の息吹を感じながら滑る”ということの大事さです。人間の体というものは本当に素晴らしく,足裏や身体全体で感じたことを基に,自分がこうしたい,ああしたいということを具現化する能力を持っています。自分からする,行動を起すという感覚でなく,雪や自然にされている,させられている…という感覚なのです。年よりくさい話…と思われるかもしれませんが,剣の達人が,相手の呼吸や仕草に合わせてその力を利用し,試合に勝ってしまう…というのと似ているのです。これが上手さであり,キレイさ,美しさ…なのだと思います。
年輪が増えれば増えるほど,経験が豊かになります。つまり違いを見分ける感性が豊かになり,またそれを表現する言葉の数も増えて来ます。“スキー”をそういった“感性”や“言葉”に置き換えて滑ってみると,スキー技術はまた違った側面でとらえることができ,スキーライフがより一層楽しくなります。“Se”さんは経験豊かで居られますから,ぜひ奥様と,例えば「この滑りは自分の感覚では,カッターナイフでリンゴの側面を切っている感じだ…」とか「あの人の滑りは,ロデオの挑戦者みたいだ…」とかお話をされながら,楽しまれたらいかがでしょう?すると,他人に教わらなくても,自分自身の感性でスキー技術の説明ができるようになり,ご自分の言葉で,うまい人の滑りのコツが見えて来て,それを説明できるようになります。(^I^) 奥様とご一緒に,新しいスキーの楽しみ…“スキー語録発見の愉しみ”が体験できると思います。そして,この見つけられた語録を実際にご自分で実践してみることです。キット新しい感覚でのスキーイングができることでしょう。もう教師は要りませんネ!。ご自分が先生なのですから…。(^o^) ぜひこの事をお試しいただき,“Se”さんが見つけられた言葉を私にお教えいただきたいと思います。私も試させていただき,レッスンでも使わせていただきたいと思います。(^I^)
いつかこういった「私のスキー上達用語」を語り合う機会を作り,みなさんと「スキー語録」の意見交換をしたい…そう思っている【TOK】です。(^I^)
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July/29/2003 (火曜日) 曇り
今日は,また梅雨の感が強くする白馬に逆戻りです。(=_=;) NZ(ニュージーランド)でスキーを楽しんでいる人,これから行く人のNEWSがあちこちから聞こえます。ザウスが無くなって,今年は海外でスキーを楽しむ人が増えたのでしょうか?(^I^) 私も行きたァァァーい!!!(^I^)
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ところで昨日の教師日記…【準指導員検定】のところにミスがありました。「養成講習会が廃止され」…は正しくは「養成講習会は開催されるものの,それを種目として総合評価するということが廃止され」の間違いでした。養成講習は各県連の考えで実施されますが,それを合否の評価とはしない…ということです。お詫びして訂正します。
*****
さて,今日は“K.S”さんから頂いた E-mail の紹介です。
『…TOK先生こんにちわ。5月1日(私の今シーズンの最終日)にレッスンを受けました“K.S”と申します。TOK先生にキャスターターンを教えていただき、自分の目標とする滑りに迷いがなくなりました。そして、スクリュードライバーターンに関するTOK先生の日記を読んで、スクリュードライバーターンも試してみたくなり、キャスターターンにスクリュードライバーターンの要素を取り入れて滑れないかイメージトレーニングをしてきましたが、なんとか実際に試してみたくなり、先日、始めて屋内スキー場のスノーヴァ羽島にいってきました。スノーヴァ羽島は、スノーボーダーのみでなくスキーヤーにも解放されていて(ストックも使用可。使用する板の長さの制限もありません。)、スノーヴァグループのなかでは、一番大きく、滑走距離はそれでも70bです。頂上と最下部の平らな部分を除けば、実質滑走距離は50b強でしょうか。斜度は前半が15度、後半は12度位。幅約20bの2/3はハープパイプやエアリアルのジャンプ台スペースなどに取られていますが、小回りするスペースは十分あります。といっても、斜度が斜度ですので、滑り出し前半は助走に使用しないとスピードに乗れませんので、ターンできるのは実質、5〜6ターンがやっとといったところです。なんの目的もなく来ても、つまらないですが、目的を持っていったので結構練習になりました。当初、2時間程度で帰るつもりでしたが、途中から小回りの快感を味わえるようになって、結局4時間ノン休憩で滑ってきました。
TOK先生のレッスンで何度も何度も教えていただいた、そして「グガ」の追悼日記でも具賀肉先生の教えとして何度もでてきました「雪の抵抗を利用してターン」するいわゆるLetスキーをするためには、小回りでは、大回りのように距離が稼げませんので、雪の抵抗を利用してターンすることには難しいと思い、スクリュードライバーターンの要素を取り入れてみようと思ったのですが、いろいろ試みた結論はやはり、キャスターターンがベストでした。TOK先生からレッスンを受けた当日は、中回りから大回りでは、自分なりに実践できても、小回りがいま一つしっくりとこなかったのですが、その原因は、踵(1番のキーキャスター)に100l乗れていなかったからでした。踵に100l乗ると拇指球(2番キャスター)が浮いてしまい、センサーキャスターとしての役目が果たせないと思い、思い切って踵に乗ることができなかったのです。これが間違いでした。踵にしっかりと乗れる体勢を作って、踵でしっかり雪面を捉えることができて初めて、雪面からの抵抗も拇指球でしっかりと捉えることができることが分かったのです。
この感覚がつかめてからは、これが快感になり、またこの感覚を忘れない様にともう30分、もう30分と延長しながら滑っていました。私はいままで、スキーで気持ちいい快感を味わえるのは大回りのみ思い、ここ10年はほとんど大回りばっかり練習していましたが、小回りも雪面からの抵抗を捉えて、雪が回してくれることを実感できると大回りと同じくらい気持ちのいいものであることが分かりました。スクリュードライバーターンは、踵を起点とすることは、キャスターターンと同じですが、自分で板を回そうとする意識がでてしまい、やもすると雪の抵抗を利用する意識がおろそかになりがちなので、DO的に滑りたいときにのみ試してみようと思います。それから、私は落差のみでなく、横のインターバルもとった滑りに憧れていて、キャスターターンで試してみたのですが、雪面抵抗を捉えた雪面移動の結果ではなく、無理に横へ移動しようと拇指球側に加重する意識が出てしまい、踵を振って板を回してしまう失敗に陥りやすいので、キャスターターンをしっかりマスターするなかで試していくことにしました。
以上とりとめもなく、長々と書いてしまいましたが、小回りのキャスターターンが、少しだけ実践できただけで、これだけ気持ちいいことが分かり、ご報告までにメールしました。
シーズンインまでにもう1回くらい、屋内スキー場で練習しようと思っております。それでは。』
“K.S”さん E-mail ありがとうございます!(^I^) 滑り手の感覚…これは非常に大事だと思います。“K.S”さん~頂いたこの E-mail は,そういう意味で多くの方に有意義な示唆を与えてくれるものと思いますので,あえて紹介させて頂きました。(^I^) 夏のオフシーズンの間にこのようにいろいろなイメージを膨らませることが,雪上に立ったとき大変役に立つと思います。
キャスターのイメージとスクリュードライバーのイメージの違いを,微妙な差であるけれど感じ取ろうとすることは,筋肉の使い方の良いシュミレーションになると思います。畳やカーペットの上でイメージを膨らませて行なうだけで,その違いが判る様になります。そして,もしそれをどこか短い距離の人口スキー場でも結構ですから,試せれば,言うこと無しです。大きなスキー場ではテーマが絞り切れない…等ということもあると思いますので,小さい方がかえって良いのでしょうネ!(^I^)
かかと支点でつま先方向で雪の力を感じる…仰るとおり,100%かかとに乗らないとスキー先端方向からの圧の微妙な違いが判らないのです。この「2番キャスター」で感じられる微妙な圧の違いが判ってくると,モカとキリマンジャロの違いがわかってコーヒーをいろいろ楽しむ事ができるのと同じ様に,スキーでもその違いを楽しむことができるようになるのです。結果として大回りだろうが小回りだろうが,低速だろうが高速だろうが,縦長だろうが横長だろうが,その時々のキャスターの転がりフィーリングの違いがわかる様になり,それぞれのターンの違いを楽しめるようになるのです。グッキーが言っていたところの,「いろいろな条件の斜面を滑ることによって能力が養われる…」ということは,つまりは「微妙な違いを違いとして認識できるようになって欲しい…」ということなのだと思います。つまり「足裏のセンサー」を磨くことなのですが,そのためには体を支える支点を先ずしっかり作り,そこを中心としてアンテナを張り巡らす…ということが大事なのです。
こうやっていろいろ考えてみると,雪の無いオフシーズンに,思いっきりイメージを膨らますことも,楽しくて大事なトレーニングだなぁー!と思います。
ところで,「スノーヴァ羽島」って,どういうところか知らず,今調べてみたら,スノーボード用に作られた,人口雪のスキー場なんですネ! スキーも混雑していなければOKとのことです。(^I^)
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July/28/2003 (月曜日) 晴れ
今日も良い天気の白馬です。(^I^) 「梅雨明け」…私の希望が先行して,甲信越も明けたと思ったら,まだでした!早とちりで ス・ミ・マ・セ・ン …。(=_=;) でも,気温は低いヨネェー…。だまっていると汗かかない。私にとっては最高だけれど,農家の人,特に稲作農業の人には大変かも…。
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さて,今日は「新・検定」の「スキー指導者検定」…指導員検定・準指導員検定,について…。
先ず【指導員検定】から…。ここの大きな改定点は「単位制」の導入です。新しく「単位制」という言葉を使っていますが,昔々のその昔,40年ほど前は同じような単位制を取っていました。どういうことかというと,大学の単位取得と同じ考え方で,ある単位についてそれを一回取得すればそれから3年間は有効となる…というものです。ですから「指導員」になるには,3年かけて4つの単位を取ってもイイ…ということで,これまで日程の調整が作りにくかった人たちには朗報!です。単位は全部で4つ有り,そのうち3つが実技で,1つが理論です。その詳細は…
※ 単位の内容
A単位 ⇒ 3種目 テール・コントロールの技術
1.プルークボーゲン(中まわり/整地・緩〜緩中斜面)
2.シュテムターン (大まわり/不整地・中急斜面)
3.パラレルターン (小まわり/整地・急斜面)
B単位 ⇒ 3種目 トップ&テール・コントロールの技術
4.プルークターン (中まわり/整地・緩中〜中斜面)
5.パラレルターン (大まわり/整地・急斜面)
6.パラレルターン (小まわり/不整地・中〜中急斜面)
C単位 ⇒ 2種目 トップ・コントロールの技術
7.パラレルターン (中まわり/整地・中斜面)
8.パラレルターン (大まわり/整地・中斜面)
D単位 ⇒ 理論テスト
…となっています。例えばA〜Dまで一年で取ってしまえば晴れて合格!ですが,もしA単位の中の「3.パラレルターン小まわり・整地急斜面」だけを落としてしまったとします。するとB,C,Dの3つの単位は全て合格でも,A単位だけ不合格となり,翌年か,または翌々年,再度A単位の3種目をすべてやり直して合格を目指す…ということになる,ということです。3年以内に合格できないと,他の単位も消滅,ということです。でも,3年かけてトライできるわけですから,楽になったといえば楽ですよネ!(^I^) 理論検定は200点中,120点以上のポイント取得が必要です。
種目的に見ると,なにやら,トップコントロールとかテールコントロールの技術という言葉が出てきましたが,これについては新しく改定される「新・教程」で詳しく説明がされるものと思います。私の予想では「A単位:テール・コントロールの技術」というのはテールを主体とした押し出し操作の滑り,「B単位:トップ&テール・コントロールの技術」はひねり操作をメインとした技術,そして「C単位:トップ・コントロールの技術」は傾け操作を主体としたカービング要素の滑り…ということのように思います。詳しくは「新・教程」を待ちましょう。
次に【準指導員検定】ですが,養成講習会は開催されるものの,それを種目として総合評価するということが廃止され,種目も「指導員検定と同じ種目+制限滑降」となりました。ただし,準指導員検定では「単位制」は取られず,実技種目9種目のうち,7種目以上の合格が必要になります。制限以外の種目は全て指導員検定とおなじ種目になり,よりスキー教師としての師範能力が問われることになります。理論検定は200満点の120点以上のポイント取得が必要です。
指導員検定と準指導員検定の違いは何か?というと,合否判断の基準ポイントにあります。指導員は80ポイントであるのに対して準指導員は75ポイントです。そして,準指導員検定では各県連の地域特性を生かし,実情にあった形での総合判定をしていい…ということになっています。つまり,地域格差は出ても,この検定が真に後継者育成につながり,スキー人口の増加につながるよう努めていこう…という姿勢がうかがわれます。
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級別テストからプライズテスト,そして指導員検定まで,新しく変わる…というポイントを見てきました。私に言わせれば,より現実に沿った良い改定だと思います。カービング要素の滑りの楽しさの部分も残し,オールラウンド的なスキー技術にもスポットを当てた,スキー技術の広範な見直しを意図しているように思います。
辛口で申し訳ありませんが,これまで底辺スキーヤーの開拓,及び初・中級スキーヤーへに対する啓蒙が少なかったと思わざるを得ないSAJが,教程の見直しや検定のシステム変更を行なう中で,改革への端緒を開いてくれたように思います。あとは,スキースクールのような各下部団体がこれをどう的確に判断し,現場でのスキー指導に結び付けて行くか?その姿勢が問われると思います。
来シーズンはどんな素晴らしい滑りに遭えるのでしょうか!? 楽しみです。(^I^)
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July/27/2003 (日曜日) 晴れ
今日も良い天気の白馬です。(^I^) 多分東北以外の大部分が「梅雨明け」だと発表されたようなので,ここ信州も明けたと思うのですが…。気温は例年の夏に比べると低く,野菜の値段が高騰気味だとか…。みなさんはどのような週末を?
私は風邪が落ち着いてから一昨日はジョギング,昨日はテニスをしましたが,汗をかくのは本当にきもちがいいですネ!。身体の細胞が活き活きしているのが感じられる気がします。(^I^)
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さて,今日は「新・検定」の「プライズテスト」について…。
テクニカルプライズ,クラウンプライズを総称して「プライズテスト」と呼ぶことになりました。そして,級別テスト1級と同じく,「実践種目講習テスト」を廃止し,2単位,4時間の「事前講習」が義務付けられました。これも1級と同じく,一度受ければ,その年度はもう事前講習を受けなくても良い…というものです。事前講習終了証が交付され,一度受講すれば何度でも受験できることになりました。ですから,二回目からの受験は一日にだけで終了することもできるわけです。
そして,その種目内容ですが,クラウンの制限滑降が廃止され,テクニカルとクラウンの検定種目は同じになりました。具体的な種目は…
※ プライズテストの実技検定種目 ⇒ @パラレルターン・整地大回り Aパラレルターン・不整地大回り Bパラレルターン・整地中回り Cパラレルターン・整地小回り Dパラレルターン・不整地小回り Eフリー滑降・総合斜面
…となりました。「不整地大回り」が新しく種目に加わりました。不整地種目が多くなったことで,カービング-一辺倒では合格が難しくなったといえます。不整地というとすぐコブ斜面を思い起こす人が多いようですが,必ずしもそうではなく,悪雪だったり,うねりがあったり,粗踏みだったり…というのも不整地という風にとらえて良さそうです。
そして,その評価方法ですが,テクニカルもクラウンも同じ斜面で検定が行なわれ,テクニカルは75ポイントを,クラウンは80ポイントを基準に,上下各5ポイントの幅でその滑りを段階評価する…ということになったようです。段階評価…ということですから,テクニカルならテクニカルの合格レベルを設定し,受験生がそのレベルに達していれば75ポイントの合格点が与えられ,はるかに超えていれば77,78のようなポイントが付くということです。でも,もし80ポイントが付いたとしても,即クラウン合格のレベルか?といえばそうではない…ということです。つまり昨年までの5級50ポイントからクラウンの80ポイントまでが一連の尺度上にあったものが,そうではなく,それぞれの段階としての評価になる,ということのようです。
制限滑降がなくなりましたが,これについては賛否両論があるようです。制限があるなら深雪やアイスバーンも…という意見があったり,検定会場によってセットの方法や計時の方法がマチマチ…という意見を反映させ,廃止になったということらしいです。
いずれにしても,スキーの技術を考える時,他のスキーヤーの見本となるべき技能を備えている人に与えられる称号ですから,無駄の無い体の使い方がされていて,その滑りに安定感や安心感があり,何よりも見ている人に美しさを感じさせる幅ひろい技術を使ったスキーイングができることが要求されます。
来シーズンはどんな方々の素晴らしい滑りに遭えるのでしょうか!? 楽しみです。(^I^)
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July/26/2003 (土曜日) 快晴
さっき,7時頃までは白馬三山が青空にクッキリ!映えていましたが,夏の天気ですネェー…もう天空には雲が掛かってしまいました。…アレレ?また雲が取れ始めて快晴に逆戻り!!!(^o^) 久しぶりの早起きで「素晴らしい夏の白馬三山」が見れました!(^I^) 今日の週末皆さんはいかがお過ごしですか?
*****
さて,今日は昨日その詳細が明らかになった「新・検定」について…。
皆さんには申し訳ないのですが,検定の内容が変わるだろうという「うわさ」は4月の時点からありました。でも,確定ではないし,その詳細も決まっていない状態での「うわさ流し」の責任は持てませんので,これまで秘めておりました。ゴメンなさい…。でも,昨日発売(?)の Ski J○urnal 誌で「特報!」ということで発表されましたし,それに呼応するようにSAJのホームページでも告知されました。今日はその内容のうち,1級から5級までの「バッジテスト」について見てみたいと思います。
まず,これまで「基礎スキー技能テスト」と言っていた名称を「スキーバッジテスト」という名前に変えたとの事です。その理由は,「基礎スキー」の“基礎”という意味はどういうこと?…というような議論があったり,“基礎”という名前はいかにも一種独特な滑り方を指している感じがする…という批判を考慮してのことのようです。
さて,その種目ですが1級も2級も,これまで検定員による得点差があり過ぎると批判の多かった,「実践種目講習テスト」を廃止しました。その代わりといっては語弊があるかもしれませんが,1級は半日レッスン以上の事前講習が義務付けられました。この事前講習は一度受ければ,その年度はもう受けなくても良く,実技種目だけを受けることができます。そして,その種目内容ですが…
※ 1級テスト ⇒ @ パラレルターン・整地大回り A パラレルターン・整地中回り B パラレルターン・整地小回り C パラレルターン・不整地小回り D フリー滑降・総合斜面
※ 2級テスト ⇒ @ パラレルターン・整地大回り A パラレルターン・整地中回り B パラレルターン・整地小回り C フリー滑降・総合斜面
…ということになりました。1,2級とも「リズム変化」の種目が無くなり,新たに「小回り」が復活しました。これまで,私たち教師が熱望していた「小回り」がその種目に入ったことは大歓迎です。また,1級には不整地種目も入り,スキッディングの重要性も増しました。多分「整地種目」はカービング要素の滑り…が高評価を受けることになるとは思いますが,スキッディングができないと完全合格とはならないことになりました。
また,1級受験の場合,2級に合格していることが必要となりました。これまでいきなり1級を受験できたため,基礎的な技術をおろそかにし,いきなりカービング技術の修得に走る…というような受験生も居たことから,この反省を踏まえた結果のようです。
それと面白い制度ですが,自己申告による2級認定合格(SAJ会員登録者)制度を設けた…ということです。1級を受検するための受検資格として,実施団体の審査・推薦により2級の実力があると認められた場合,2級を認定合格として1級を受験することが可能…というシステムです。これは,実施団体の審査・推薦によって「あなたは2級の実力があるから1級から受験してもいいよ」という風に認められる…というです。多分事前講習あるいはその他の一般レッスンをとおして,検定員が判定するのだと思いますが…。
また,3級から5級までは,これまでどおり「実践種目講習テスト」で判定をすることになりました。その種目は…
※ 3級テスト ⇒ @ パラレルターン・整地大回り A パラレルターン・整地小回り B フリー滑降・整地連続ターン
※ 4・5級テスト ⇒ @ フリー滑降・整地連続ターン …ということです。
以上のバッジテストの「実施要領・評価基準等」については,スキー教程の改訂が進み次第,内容の整合性を図りながら速やかに提示するとのことです。種目は決まったけれど,そのやり方や評価方法などはこれから…ということのようです。
新検定…大筋で歓迎できるものだと思います。特に「スキッディング」や「小回り」の重要性を述べてきた私としては,このような種目が取り入れられることによって,「何が何でもカービング」というような風潮が薄れ,いろいろな技術を身につけることが大事だという風に,スキーヤーの意識改革が進むであろうことに喜びを感じます。
先ずはホッとした【TOK】でした。(^I^) (^o^) (^I^)
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July/25/2003 (金曜日) 曇り
Tシャツでは少し肌寒いです。もうじき8月…少しは「暑いネェー!ビールが飲みたい!…」という気分になって欲しいのですが…。(^I^)
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さて,今日は“Kurihara”さんから頂いた E-mail の紹介です。
『 …初めまして。私は、今まで足を踏み込んでターンをすると聞いたのでそれでやってきたのですが、ゲレンデで板はそろっても、急で凍った斜面ではスピードが殺しにくくターンが中周り程度、べちゃ雪ではつかれる始末です。他のうまい人は、難なくスピードを殺してたりするので何か違うのではと思っていました。そこで、インターネットを検索していてここにたどり着いたのですが、今までの滑り片と違う「LET」の滑りがよくわかりません。TOK先生の言う足を上げて重心を崩すなどの意味は分かるのですが、そういった意味だと、立った状態で重心移動のみのターンとスピードコントロールができるというふうに思えてしまうのですが、そう考えて良いのでしょうか?また、足を引くとありますが完全に雪面から足をはなすまで引くのでしょうか?…』
“Kurihara”さん,初めまして! e-mail ありがとうございます。
凍った急斜面ではスピードが殺しにくい…ということですが,動けば動くほど,つまりスキーヤーが雪面に力を加えれば加えるほど,ズレたくないのにずれやすくなってしまいます。また悪雪のべちゃ雪では雪が重く疲れてしまいます。この原因は雪の力を使わないで,ご自分の体力を使おう…とすることにあります。雪に自分の力を加えてターンすることもできます。ですからの“Kurihara”さんのように,足を踏み込んでターンをする…というのも間違いではありません。ただ,そのような滑り方以外に,雪の力,落下エネルギーを使ったターンもある…ということです。
“Kurihara”さんが不思議に思っておられる,「重心移動のみでターンとスピードコントロールができる…」というのは本当です。詳しくは【TOK】 の “Feelin' Ski ”で解説していますので参考にして欲しいのですが,このスキー技術の特徴は「雪に力を加えるのを極力少なくし,斜面落下の力を最大に生かして雪からスキーのターンに必要なエネルギーを貰う」ということです。スキー板そのものが,自分で動かさなくても雪の抵抗を受け続ければ回る…という性質を持っていますから,あとはそれをどうやって引き出すか?だけです。現在“Feelin'
Ski ”では,パラレルターンの導入までしか書いてありませんが,この「Chapter 1」から「Chapter 7」までの所に【Letスキー】で良く出る言葉…“感じる”とか“受ける”とか“引く”とかの解説が一杯詰まっています。【Doスキー】とはどこが違うのか?ということが良くご理解いただけると思います。ぜひこのオフシーズンにじっくりお読みいただいて,来シーズンのお役に立てて欲しいと思います。足を引く…ということが,完全に雪面から足をはなす意味では無いこともわかってもらえるでしょう。
この“Feelin' Ski ”…時間を作って,続きを書き上げたいと思っております。このオフシーズン中に「キャスター・ターン」まで行き着けることを,願っています。(^I^)
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July/24/2003 (木曜日) 曇り
今朝は昨夜来の雨も上がり陽がさし始めた白馬です。多分白馬の山の稜線は雲海の上で晴れていることと思います。(^I^)
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さて,今日は“S.T”さんから頂いた E-mail の紹介です。“S.T”さんとはご一緒に滑ったことはありませんが,私のホームページを読まれ,ご自分で【Letスキー】を実践されておられる方です。
『 TOK先生、LETスキーの教本(Feelin' Ski)を1日かけて実践してきました。完全に目からうろこが落ちた状態です。今までは意識して丸い円弧になるように角付けを調整していましたが、LETスキーを行うとあら不思議勝手に丸い円弧になってしまうのですね。非常に驚きました。また、今までは足裏から伝わる情報は情報としてあるだけでぜんぜん感じ取っていなかったのでしょう。今日は情報を感じることが面白くてたまりませんでした。フラットバーンでボーゲンの練習をすることがこんなに面白いことだとは思いませんでした。基礎スキークラブに入ってもいいなと思えました。また、一番苦手な切替の部分でも"オレンジのお手玉"により早めに用意できるので安定してすべることができました。
今までの教本(スクール)は腰がどうの膝がどうのという事ばかり追いかけて本質的な部分は説明されていなかったと思われます。そのため、なんとなく見た目上級っぽいスキーヤーになってしまいがちだと思います。先生はこの本質(土台?)を端的に表現され、一言ですっと体になじんだ気がします。この方向性でよいという自信のようなものがつきました。(当然今からも練習を積まないと完全に自分のものとはならないでしょう。)
今までスキースクールなどで教えていただいたいろいろな事のを思い出すとぜんぜんばらばらだったジグゾウパズルが全てがひとつにつながったような気がします。今シーズンはLETスキーの習得に努める所存です。
今後とも、LETスキーを実践・応用できるよう精進したいと思います。八方尾根は私の住居からは少し遠いので2〜3年に1度程度しか行けないのでお会いするのは難しいですが、機会がありましたらぜひプライベートレッスンを受けたいと思います。…』
Feelin' Ski で目からうろこ…そんなことは無いと思いますが,根が単純ですからお世辞でもそう言って頂くと本当に嬉しいです!(^I^) 足裏からの情報を受け取って,身体に任せて素直にそれに反応するだけですが,結果的に円い円弧になっていますネ!。多分,自ら力を加えない分,余計な力が使われないせいだと思います。“オレンジ”のお手玉…ターンからターンへの変換が面白いように楽に出来るでしょう?私自身,いつも不思議に思うんです。足裏に意識を集中し,雪からの情報に素直に反応するだけで面白いように回れるなんて…。本当に私も“感じる”ということの妙を感じています。(^I^)
一般的なスキーレッスンでは,確かに多くの教師が,「腰がどうの膝がどうのという事…」に注目し,そのために「身体をアクションとしてどう使うか?」あるいは「どう身体の使い方のコツを学ばせるか?」ということに注意を払っています。もちろんそのような先生ばかりでなく,私のような「感覚」や「フィーリング」あるいは「イメージ」を大事にしている先生も居られるとは思いますが,その数は少ないと思います。各言う私も昔はヒザがどうだ,腰がどうだ…というレッスンをしていました。でも,それでは各スキーヤー個人個人にあったレッスンができないことに気付いたのです。それは「人間の骨格や筋肉は皆同じではないから,おなじ姿勢や形になっても雪面とのコンタクトが同じだとは限らない…」ということに気が付いたからです。でも,フィーリングやイメージは同じものを共有できますので,このことを大事にしたらどうなるか?を突き詰めてみたのです。“スキー”をする上で大事なことは“「身体の特徴・用具の特性・シチュエーション」の三要素”を生かす…ということなのですが,その原点は雪面とスキー板がどのように接しているか?ということになります。つまり,雪面とスキー板が如何にコンタクトしているか?ということをイメージやフィーリングで説明するとどうなるか?を考えることになったのです。“オレンジ”はその産物として生まれたものでした。
自分自身の身体の特徴と雪とをマッチングさせる。その結果,自分なりの個性あるスキースタイルが生まれる。皆同じ形や姿勢,格好ではなく,それぞれ特徴ある形で活き活きと雪の上で滑り回る。見た目上級っぽいスキーヤー…ではなく,ドッシリと芯のある安心して見ていられるスキーヤーがそこには居る。そのキーワードは“感じる”ということにあると私は思っています。(^I^)
数あるスポーツの中で,自ら動くことをあまりしなくてもできるスポーツ…はほとんどありません。でも“スキー”はその数少ないスポーツのひとつなのは間違いありません。モチロン,自ら動いてもスキーは楽しめますが,そうでなくても楽しめる…ということです。ここのところが“スキー”の“スキー”たる面白さだと思っています。それなりの体力でそれなりに楽しめ,精神的な満足度も高い。他人に迷惑を掛けることなく,自分自身の責任でいろいろ演出できる。「生涯スポーツ」としての地位が揺るがないポイントがそこにあります。(^I^)
直接レッスンをさせていただかなくても,“S.T”さんのように Inter Net を通じて,上達される…。On Line Ski School の目指したひとつの答えが出ていると思います。“S.T”さん,これからもよろしくお願い致します。 e-mail ありがとうございました。(^I^)
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July/23/2003 (水曜日) 小雨
今朝は小雨が降っている白馬です。九州南部は梅雨明けだそうで!良かったですネ!(^I^) ここ信州もまもなく梅雨明け宣言が聞かれると思います。(^I^)
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さて,今日は“M.O”さんからの E-mail です。「カービングターン」と「スキッディングターン」についてのご質問です。
『…いつも楽しく読ませて頂いています。去年,2級に合格し,1級に向けて特訓中です。カービングをやろうとすると,低めの姿勢を取り,後傾のまま切り替えて,前に行かず,動きが見られないらしいのです。カービングを意識したら,スキッデイングも出来ていないと思うようになりました。カービングで,より急な斜面になると怖いです。どのようにしてカービングを学んだらいいのでしょうか?それと、スキッディングとカービングの違いってどういうことなんでしょうか?教えてください...。… 』
“M.O”さん 初めまして!(^I^) E-mail ありがとうございます。
2級合格おめでとうございます。(^I^) 1級ではカービング要素の滑りが要求されますので大変ですネ!。でも実はスキッディングターンの延長線上にカービングターンがあるのですよ!。それをいかにも別の技術であるかのようにとらえている人が多いのは残念ですネ!。この教師日記でもそのことをいろいろ述べていますが,ここでしっかり学ぶことにしましょう。二つの技術を対比してお話したいと思います。その方が分かりやすと思いますので…。
※スキッディングターン
* スキーの前後差の違い(スキーセンターからトップまでの長さと,テールまでの長さの差)を利用した滑り。
* 横方向からの力を受けるので,その抵抗を無理なく受け続けるには,高い姿勢のほうが疲れも少なく有利。
* スキーの横方向,あるいは斜め前方向から雪の受けることが多い。上体の向きがターン外側になる。
* スピードが低速から中足なので緩謝面では止りやすいが,精神的に余裕を持って滑れる。
* 初級者・中級者に適しているズレ要素の多いターンで,どちらかと言えば,大回りよりも小回りに適している。
* コブ斜面や悪雪斜面,不整地斜面でも応用の効く滑りができる。
* スキー板のネジレ強度の弱い板ほどやりやすいが,アイスバーンなどではズレが止まりにくい。
※カービングターン
* スキーのたわみ,あるいはサイドカーブの深いカットを利用した滑り。
* サイドカーブを利用するので,高い姿勢よりは低い姿勢のほうが有利だが,その分疲れやすい。
* スキーの前方方向,トップ方向から雪の抵抗を受けることが多い。上体の向きがスキーのトップ側になる。
* 抵抗を受ける面積が少ないので高速ターンになる。
* 上級・エキスパート・レーサーの切れ要素の多い滑りで,緩斜面なら小回りも可能だが,一般的には大回り,中回り系に適している。
* 整地や中斜面では威力を発揮するが,急斜面や深雪などではこの技術だけではこなせない。
* トーションの強いスキー板ほどやりやすいが,その板の持つ固有の回転半径から抜け出ることが難しくなり,注意が必要。
大まかに言えばこういうことになりますが,普段私たちはこの両方を組合せながら滑っているのが実情です。どちらか一方だけで滑ることはあんまりありません。でも検定などで,1級レベルのスキーではよりカービング要素の多いものが要求されますので,練習するに越したことはありません。
“M.O”さんも,まず雪の抵抗をもらってターンするスキッディング要素の滑りをもう一度確認された方が良いかも知れません。そして,スキーの前後差を利用したスキッディング⇒スキッディングでスキーのタワミができることの確認⇒スキートップ部分の見かけ上の迎え角が増えることの確認⇒テールの直進,トップ部分の角付け側への押し上げ力の確認⇒カービング要素のターンの確認…という手順を踏まれれば,「…後傾のまま…前に行かず…動きが見られない…」という滑りとお別れできると思います。
スキッディングがカービングにつながっている…ということについては,冬の時期の教師日記に毎日のようにUPしてありますので,検索して参考にして下さい。(^I^)
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July/22/2003 (火曜日) 晴れ
三連休…ちょっと天候にたたられた気がしますが,みなさんは充分に鋭気を養うことができましたか? わたしはシルクプリントの仕事と夜の商売でまあまあ忙しい三日間でした。(^I^)
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さて,今日の e-mail 紹介は,“T.K”さんから頂いたものです。
『…3年前に“K”さんに勧められてレッスンを受けた結果、それまで、どうやってターンの前半からスキーに乗ってよいものか解からなかったところ、いわゆる「オレンジターン」でその乗り方が解かりました。この交互操作(?)は昔習ったことがあるのですが、ある程度上達した段階でもこんなに威力があるとは思いませんでした。
ところが、最近、気になっているのが、次のターンの内足を引き上げた時に外足に乗っているという感覚がどうも身体に伝わってこないのです。 ターン後半にははっきり板に乗っている感覚があるのは当然ですがそういったはっきりした感覚はなくてもいいものでしょうか?意識して次のターンの外足に乗って行くと減速してしまうような 感じがします。
それと、もうひとつ、角付けについてですが、スピードと雪面の傾斜によって、板と雪面の角度は違ってくると思うのですが、この角度の見つけ方を教えていただければ嬉しいな、などと思っていたところ、先生の日記を見まして、「面で滑る」というようなことが書いてあり、とても興味をそそられました。…』
ターン外足の足裏にイメージした“オレンジ”のつぶれ方に意識を集中する…というオレンジターンですが,左右の足交互に感じていくフィーリングがあるので,「交互操作」という感じがするかもしれませんネ!。しかし実際の滑りの中では両足に均等に乗っていたり,両足同時に操作することはほとんどありませんので,それはそれで良いと思います。ただ交互操作といっても,右100%からいきなり左100%交互,というわけではなく,徐々に移行しますので,交互操作だけれど左右の「同調運動」でもあるのです。人間はもともと二足歩走の動物ですから,その動きも交互,というのは理にかなっていると思います。(^I^)
角付けの切り換え後の外スキーでの捉え感覚が薄い…ということですね?ターン前半,つまり谷回りの時は,重心はフォールライン方向(斜面下方)に落ちようとする力が働き,一方スキーはターン外側,すなわち重心よりも高い,斜面斜め後方から雪の力を受けようとします。つまり,重心が自然に落下する方向と雪の抵抗を受ける方向が逆になってしまうのです。重心が落ちて行く方向と,雪の抵抗を受け止める方向が一致するターン後半であれば,落下に任せれば雪からの抵抗はどんどん増していくのですが,ターン前半はそうはいきません。ですから,このターン前半では,積極的に足裏で「探っていく感覚」が必要になるのです。この部分で,脚を伸ばせば雪の抵抗が強く来ますので,「脚を重心より外側の高い斜面後方に向かって蹴る!」と表現する人もいますが,これのし過ぎは「圧」をターン外向きに加えてしまうことになって,反作用を生み,安定性を欠くことにつながるので,「探る感覚」で…と話しています。いずれにしてもターン後半ほど強いコンタクト感は得られません。しかし,この微妙なコンタクト量を加減できる能力がエキスパートスキーヤーには大事なのです。このターン前半での「探る」感覚は,あくまで雪からのエネルギーを受け止める意識であり,「伸ばす」動作と脚が伸びる,という点では同じなのですがその内なる感覚は,似て非なるものです。
そういう意味では,ターン後半は板に乗っている感覚は少し薄い,しかしその微妙な違いを感じ別けるのは大切…と言えると思います。また,ターン前半で減速してしまう…というのは脚を伸ばして圧を加え過ぎるからです。ニュートラルから続くターン前半で,ターン外側に出て行ければ行けるほど,つまり移動スピードを減速しないで済めば済むほど,雪から来る力は大きくなりますから,「探る」という感覚でもかなりの圧を感じる事ができます。そのためにも,その前のターン後半で,ターンエネルギーの圧を減じないで,角付けだけ緩め,スキーを走らせながらクロスオーバーを行うことが大切なのです。つまり,「キャスター・ターン」意識をしっかり持つ…ということです。
滑走中のエッジ角の見つけ方…ということですが,これはグッキ-も言っているように,たくさん滑って自分の足裏感覚として探し出す,ということしかありません。この程度の角付けならこの程度の抵抗が来る,さらにちょっとエッジを立ててこれ位にすればさらに抵抗はこの程度増える…ということをいろいろな斜面を滑ることで,自分の感覚として蓄積することです。スキーヤーは身体の骨格や筋肉の付き方が千差万別です。ですから例えエッジングの量を同じにする事ができたとしても,その滑りが同じになるとは限らないのです。足裏の感覚を研ぎ澄まし,たくさんの条件下を滑ることで,微妙な感覚の違いを感じ別けられるようにする…ということに尽きると思います。「面で滑る」…というのは,こういう感覚を積んでいくと,わずかなエッジコントロ-ルで微妙なターンコントロールができるようになるので,そのくらいになったらできるだけ減速要素を少なくした,滑走性の良いスキーも可能になる…ということを述べたものです。特にタイムを競うレースの世界では大切なことです。
いずれにしても,ターン前半での雪面の捉えや,滑走性の良いスキーイング…は技術的にはかなり難しいことです。これが無理なくできるようになるためには,いかに雪の情報を感じ取れるか?という「感度の良さ」が求められます。以前にも話したことがありますが,達人スキーヤーの必須条件として「感受性の豊かさ」が求められる所以です。違いの分かる人ほどスキーが上達する…そんなことも言えると思います。
“T.K”さん,一緒にがんばりましょうネ!(^I^)
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July/21/2003 (月曜日) 小雨
今年の梅雨明けは例年より遅そうですね。オホーツク高気圧の勢力が強くて冷夏になりそうだとか…。暑さには弱い私ですが,もうそろそろカラッとした夏空が欲しい…と思います。(^I^)
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さて,今日の e-mail 紹介は,今シーズン,シニアレッスンでご一緒させていただいた“N.M”さんから頂いたものです。
『 …シニアスペシャルでお世話になりました“N.M”です。 3日間手取り足取り、教えて頂き有り難う御座いました。先生に教えて頂いた「オレンジ」「引く、受ける」.....感じながら滑っていきたいと思っています。とくに苦手意識が強かった「新雪」.....好き、大好きに成りそうです!レッスンが終ってスカイライン、黒菱、2回程鼻歌交じりに滑りました。とっても気持ちよかったです。これから益々スキーに、はまりそうですネ。八方はホームゲレンデなのでまた教えて頂く機会がありましたらよろしくお願いします… 』
スカイラインと黒菱の「新雪」,楽しまれたようで良かったですね!(^I^) “オレンジ”を足裏に意識して滑ると「雪と人とのコミュニケーションがうまく取れる…」そう思います。極端な言い方をすれば,オレンジを介して雪の表情や考えが見える気がするのです。これは“感じる”あるいは“感じよう”とする気持ちが前面に出るから,だと思います。無理やりスキーを回し込んでいるときは,雪の素顔が見えません。人とのお付き合いの中でも,自分からばかり意見を言っていたのでは,相手のことを知ることはできません。相手に話させ,その言葉や気持ちを“感じ取る”ことが大事です。オレンジターンは雪の表情を探ろうとするためのひとつの方策なのです。(^I^) “N.M”さんのように“オレンジ”が意識できるようになると,新雪や悪雪が本当に楽しくなりますネ!
わたしはお年を召された方からよく言われます。「先生,死ぬまでに一辺でいいから映画やビデオのスキーヤーのように,白煙を上げて新雪を滑りたいのですが…」と。わたしは迷わず“オレンジ”のレッスンをします。私の記録では,シュテムターンがおできになる程度の68歳になられた男性の方にこの目的に向かって3年間レッスンをさせていただき,71歳の時にスカイラインの深雪をご一緒に楽しんだ経験があります。キーワードは“オレンジ”と“引く引くターン”でした。(^I^)
女性の方やご年配の男性が,深雪や親切を楽に滑られているのを見るのは,本当に気持ちの良いものです。若い人はどちらかというと力任せでも滑れますが,体力的に恵まれていないそのような方がうまく滑れておられる,というのはそこに本当の「合理性」があるからだと思います。「雪があるようでないような…」とか「雪があなたを回してくれる…」といった言葉を残してくれたエディ・ハウアイスやマルティン・グガニックの提唱しているスキーそのものなのです。
“N.M”さん,思いっきり新雪や深雪楽しんでください! キット女性版エディになられると思いますヨ!(^I^)
新雪,深雪…滑りたいナァー!!! そうだ!今日は深雪のビデオでも見てイイ気持ちになろう!雨もどっかへ飛んで行くよ! (^I^) (^o^) (^I^)
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July/20/2003 (日曜日) 晴れ
青空がほんのわずか見えるのですが,雲量は9割くらい…。ギリギリ晴れと曇りの間かな?だから今日は「晴れ」…ということにしました。(^I^) 気温は22度,湿度もあまり無く,しのぎやすい気温です。
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さて,今日の e-mail 紹介は“K.T”さんから頂いたものです。
『 …先日はレッスンありがとうございました。土曜、日曜とまたまた八方に行ってスクリュードライバーターンを意識して練習してきました。かなり良い感じにになってきました。このまえ滑りを見てもらってわかったと思いますが、大回り・中回りは小回りよりも得意でした。つまり、小回りはかなり苦手でした。しかし、スクリュードライバーを意識することでかなり滑らかなターンになりました。自分の意識の中で細かくターンを切る事が小回りだと勘違いしていた事があったせいか、DO的な小回りに(昔でいうウェーデルン)なっていたのかと思います。それから滑りながら口ずさむ『スクリュードライバー』の言葉の長さがターンのなかでゆとりを生み早く斜面を捉えるきっかけにもなったのかとも思います。昔は1・2、1・2、・・・と滑ってたのでそれがDOスキーにもつながったのかな・・・。それから、【TOK】先生みましたよ!たてっこで滑ってましたね。良く声が響いてました。その声を聞いたら自分の中で良いイメージが浮かび上がってきました。自分で口ずさんでてもイマイチなんですよねー。やはり佐々木先生の声は何かスキ―を上手くさせる独特の何かがあるのでは?と、まで思います。生徒さんも上手でしたね。あのたてっこの急斜面を凄く上手く滑ってました。おれもあれくらい滑れてるのか不安になります。
さて、1月13日の日記に、特に「カービングスキーの楽しみ方」…という意味では,「スキーの運動を横方向ではなく,縦方向に使う意識が大切」だが,いつもいつもこれが良いのではなく,斜面条件によってはスキッディング的要素も組み込みながら滑ることが大切である…ということも学びました。」とありました。斜面の状況によって使い分ける、とあります。まだ自分ではどういうときにどういう滑りが適当なのかわかりません。ちなみに今回習ったスクリュードライバーターンはどういうときに特に有効で、どういうときに不利なのでしょうか?春の悪雪はどうでしょう?良くわからないので理屈から入る事も大切かな?(笑) … 』
“K.T”さん,小回り少しづつ楽になっているようで良かったですね!(^I^) ウーmm,「小回り」についてはいろいろな考え方がありますネ!。昔のようなウエーデルンだって小回りのひとつだし,技術選で行なっているカービング小回りも小回り…。つまり中回りに比べて回転半径が小さければ小回り難ですよネ!。回転半径が○○m以内のターンを小回りとする…という定義もありませんし。だから私は小回りについてはいろいろな小回りがあると思っています。その数ある小回りで,どの小回りが良くて,どれが悪いという評価は,一概に下せません。その斜面状況や安全度をどの程度取るか?によって変わってくるものだからです。ですからこの小回りしかできない…というのではなく,ズレの小回りもできるし,カービングの小回りもできる…急斜面でのコントロールされたものも,緩斜面で止まらない小回りも…という風にいろいろなシチュエーションでできることが大事だと思います。それぞれが違う質の小回りだということを解って演技できる能力があれば最高ですネ!(^I^) “K.T”さんの場合は,Do的な小回りはおできになるのですから,Let的な小回りができるようになれば,「鬼に金棒」ということになるわけです。
“つぶやき”の効果…あるでしょう?! まえにもこの日記に書きましたが,“つぶやき”は「呼吸法」のひとつだと思っています。呼吸をしている間は筋肉が弛緩しているのです。ですからギュッと固まることがない。ですからつぶやいていれば筋肉は適度に弛緩し,動作が連続して行われ,運動がスムーズになるわけです。(^I^) 私のレッスン中の声ですか?ハッハハハハ……(^I^) 皆さんに良く同じようなことを言われるですが,多分「リズム」と「抑揚」にポイントがあるように思います。ただ単につぶやくのではなく,身体の動きが出やすいようなリズムと抑揚に気をつけると良いと思います。例えば♪♪♪受けるぅー…引くゥー♪♪♪の“つぶやき”をするにしても棒読みで言うのではなく,♪♪♪のように言うと,身体がそれに反応してくれるのです。良くゲレンデの中で「【TOK】合唱団」と称し,皆さんに実際に声を出していただいています。これを恥ずかしがるようではイケマセンね!(^I^)
斜面の状況によってスキー技術をどう使い分ける?…ということですが,大まかに言えば,斜面を攻め,積極的に滑る時,あるいは抵抗が大きい雪のときは“スクリュードライバー・ターン”が有効です。楽に滑る時,斜面条件が良い時,低速で滑る時などはスキッディング要素が適しています。でも,最近キャスター・ターンをするようになって思うことは,そのような技術は,自分でああ滑ろう,こう滑ろうと思ってやることよりも,雪面抵抗を最も安定した形で受け止めようとすると自然に出てくるものだ…ということです。雪からの抵抗を身体全体で探って行くうちに,もし抵抗がアンバランスに来て,しかもかなり圧変化も急激に変わるな?…と身体が感じれば,自然に迎え角が大きくなり滑走スピードを抑える様な滑り方になります。一方,抵抗が一様に来て,抵抗も滑らか…であれば縦長気味に,それこそギンギンカービングで攻めていくこともできます。斜面状況を目で判断し,頭が考えて「アッ,今はスキッディングで…」とか「ヨシ!今はカービングだ!」というよりは,先ず雪を足裏が感じ,それに合った滑りが自然に出てくる…という感じが強くします。足裏からの情報を身体全体が判断し,最もその斜面条件にあった技術を導き出してくれる…そんな気がします。多分【Doスキー】で滑っているうちは滑り方が先に来てしまうと思います。【Letスキー】で滑れるようになると,雪に任せられますから,マッチングというかハーモニーがうまく取れるのです。キャスター・ターンはそういう意味でも【Letスキー】の真髄かもしれません。“スクリュードライバー・ターン”はキャスター・ターンイメージで説明すると,「2」番のセンサキャスターをただ前方向に転がすだけでなく,インサイドエッジ側に転がしながら滑って行く感じです。ですから春の雪でも充分“スクリュードライバー・ターン”イメージで滑れます。新しい斜面に入って,さてこの斜面…どんな性質かな?どんな顔を持っているかな?…と探って行きながら,それにどう身体が反応してくれるのかを眺めるのもスキーの面白さかもしれませんネ!(^I^)
そういえば,グッキーも言っていました。「…フィールドは無限…ひとつとして同じ条件は無い…どれほどトレーニングを積んでも明日のゲレンデはまた違う顔…それら新たなフィールドを経験することこそスキーの楽しみ!さあ滑りマショウ!」
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July/19/2003 (土曜日) 曇り
今日から「海の日」をはさんでの三連休となりますが,皆さんは? 九州では大雨だとの事ですが,この梅雨末期の大雨が終われば晴れて「梅雨明け」です。待ち遠しいですネ!(^I^)
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さて,昨日は“S.K”さんから頂いた E-mail へのコメントで,引く引くターンは,角付けの切り替えの方法のひとつの方法で,他に二つのやり方がある…とUPしました。
実は,その中の三番目の「圧を減らさないでニュートラルに入る方法」は,今シーズン気が付いたものです。これまで「引く引くターン」でターン外スキーにたまったエネルギーを,陸上リレーのバトンタッチのように次の外スキーの受け渡しする,とか斜めの直滑降とかいう言葉で説明させていただいていました。でも,エネルギーの伝達を強調していくと,どうもその時は「引く意識」があんまり無いことに気付いたのです。単に外スキーの角付けを徐々に緩やかにしていく意識だけでスキーが勝手に腰の下,つまり重心の下を通過してしまうことに気付いたのです。いまさら気付く…というのは遅い気もしますが,いずれにしても気付いたことは良い事でした。(^I^)
そこで,それではプルークボーゲンでこの三つの意識のターンができるかどうか?試してみたのです。できました!。「左右への荷重移動」と「引く引く意識」でのプルークボーゲンはそれぞれのリンク先で解説させていただいていますので参考にして欲しいのですが,三番目の「圧を減らさないでニュートラルに入る方法」でのプルークボーゲンはどうなるんでしょうか?
左右のスキーの圧を自らの作用では加減せず,プルークファーレン状態からどちらかのスキーの角だけを少しづつフラットに近づけて行きます。すると,両スキーの圧は変わらないのに雪面から受ける抵抗が変わってきますからターンが始まります。例えば,プルークファーレンでまっすぐ滑り降りて途中から右側のスキーの角付けを徐々に緩めていくと,右スキーよりも左スキーの角付けの量が大きくなりますから,左のエッジングが効果的に働き,スキーヤーの身体は右の方向に少しづつ曲がり始めます。そして,角を緩めて行った右スキーは前に走りながら腰の下に入り込もうとする動きを見せます。つまり,“重心”の方向に右スキーが近づいて来るのです。まさにプルークボーゲンでのベンディング!と言ってもいい動きです。引く意識のプルークボーゲンでは表れなかった状況です。そしてその右スキーはフラットになって腰の下にホールドされながらターンを続けます。この時,もし右スキーの圧を減らせば右スキーの角付けは自然に変わり,左スキーに揃って行くようになり,プルークターンとなります。実際の滑りでは無理をしてプルークボーゲンの姿勢でいる必要は無いのですが,トレーニングの意味でなら,右スキーの圧を減じないで,そのまま重心を左側に移動させてプルークボーゲンのニュートラルポジションに戻します。次は左スキーの角付けを少しづつ緩める番です。右の時と同じようにスキーヤーの身体は左方向にターンすることになります。“重心”の雪面からの高さを変えないようにして,これを連続して行なえば,まさに「ベンディング要素のプルークボーゲン」が出現します。角付けを緩めた方のスキーが,エッジの緩め方に呼応して矢のようにスゥーイッ…スゥーイッ…と身体の下に入って行くのは気持ちが良いくらいです。これこそがナチュラルベンディングだと,私は思います。(^I^)
単に外スキーの角付けを徐々に緩やかにしていく意識…圧を減らさないでニュートラルに入る足裏感覚…ターンエネルギーのスムーズな伝達………引く引くターンの向こうに,「キャスター・ターン」のイメージが見えて来たのでした。(^I^)
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July/18/2003 (金曜日) 曇り
今日は金曜日…。いつの間にか一週間が過ぎ,もう週末です。この週末は「海の日」をはさんでの連休となりますが,皆さんはどんなご計画でしょうか? 私は夏の稼ぎ時で,これから8月終わりまで休みが無くなり,ちょっと忙しい日が続きそうです。夏風邪…大分良くなりましたが,まだ咳が出ています。皆さんも健康にはお気を付けて!(^I^)
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さて,今日は今シーズン“S.K”さんから頂いた E-mail へのコメントです。
『 …引く引くターンの続きなんですが、最近ショートターンでも使い出してます。確かに伸び上がり意識の時とは違いますね。伸び上がりの時は、伸び上がった瞬間に、スキーが雪面とのコンタクトを失って、上半身と下半身のひねりが一気に開放されてスキーのずれが出てしまう感じなのですが、引く引くターンでは、スキーと雪面のコンタクトが失われず、切り替え直後のスキーの振り出しがなくなる気がします。引くと同時に次の外足のひざを返すと次のターンにこれまでよりも早く入れる感じがします。スカイライン第2ペアのリフト横や、兎平ぺアの林側の新雪の荒れた斜面でもわかりました。引く引くターンだとスキーが浮いてこない気がしてたのですが、実際やってみるとそうでもないのですね。膝までの新雪でも引く引くターンで滑れましたから。コブはこれからです。また、ベンディングのイメージとして、「バスケットボールをドリブルするときのボールのホールド感覚」を例えにされれていたのは非常にわかりやすかったです。…』
角付けの切り換えについての E−mail でした。“S.K”さんありがとうございます。
「引く引くターン」は角付けの切り換えをスムーズに行なうために考え出した方法で,雪面から来る圧を身体の重心方向に引き込むことを狙ったものです。私は角付けの切り換えの方法には三つの方法があると思っています。
ひとつ目は,ターン後半の捉えをきっかけとして抜重し,重心位置を上方に上げるようにして雪面コンタクトを無くし,スキーと身体の位置を入れ替えるものです。「加重−抜重の運動」をメインにしたこの方法では重心位置が上下しますので「ストレッチ」的な運動が多く見られます。圧がクロスオーバーで一時ゼロの状況になりますので,雪面コンタクトが失われる分,次のターン前半でスキーが横に流れてしまう…等のターンコントロールに難がでます。低速から中速に適した滑りになります。【Doスキー】でよく見られる切り換えです。
二つ目は,“S.K”さんにお話した,この「引く引く・ターン」で,雪からの圧を受けてその圧を重心方向に溜め込む感覚で引き上げるものです。この時,大事なことは「雪からの圧をゼロ以下にしてしまわない」ということです。“S.K”さんにもレッスンでお話したように,バスケットボールでドリブルする時,手のひらにボールをちょっとの間ホールドするような感覚がありますが,あれと似た圧を雪から受けつづける意識が必要です。下から来る圧より早く脚を引き過ぎると,コンタクト圧はゼロになってしまい,重心は上下しないけれど抜重動作と同じ切り換えになってしまいますので注意が必要です。オーストリアのクルッケンハウザー教授が提唱した「バインシュピール技術」です。日本では「ベンディング・ターン」と言っていますが,大事なことは与える圧ではなく来る圧を大事にした,重心位置を中心とした脚の曲げと伸ばしです。雪面コンタクトが失われない分ターンコントロールが楽で,その上重心の位置が上下しないので目線が動くことも少なく,バランスの取れた安定した滑りが可能になります。特に深雪,悪雪,コブ斜面で威力を発揮します。
三番目は,今年のレッスンの目玉となった「キャスター・ターン」での切り換えです。そのベースは「引く引く・ターン」なのですが,それまでの外スキーの圧をできるだけ減じないでニュートラルポジションまで維持する…というところが異なります。引く引くでは圧を逃がさなければそれでいいのですが,このキャスターではさらに一歩進め,このニュートラルでスキーを走らせることを狙っています。ターン後半に生じた圧をできるだけ失わないように,角付けだけ緩めていくのです。すると圧は比較的変わらずに角付けだけが徐々にフラットになりますのでスキーが走り始めます。そして引く引くターンでのクロスよりもっと速い速度で,腰の下をスキーが通過するのです。角付けの切り換えがより高速で可能になる滑りと言えます。ニュートラル部分では,まだそれまでの外スキーに乗っている感覚がありますので,次のターンの内足主導…と言っている人がいますが,そう言ってしまうと,内倒ターンを誘発する恐れがありますので,わたしはあくまでニュートラル部分までの捉え,と言っています。整地斜面だけでなく,コブなどでも素早い切り換えができるようになります。引く引くだとイマイチ待っている感じがあるのですが,これだと積極的に角付けの切り換えを行なっている…というきがします。より洗練されたターンをしたり,タイムを競うレースでは効果があるはずです。
“S.K”さん以外の方から,「引く引く・ターン」と「キャスター・ターン」の違いは?というご質問もありましたのでUPさせて頂きました。普段は引く引くで充分ですが,「技術の引出しの数を増やす」という意味では「キャスター」感覚の滑りも大事です。両者の特質を感じ取られたら素晴らしいと思います。
グッキ−の追悼日記でも出て来ましたが,“S.K”さんも仰るように雪からの圧を感じ,その圧を利用して滑るには「押す意識」ではなく「引く意識」が大事だと言うことです。それがバランスのとれた安定したスキーイングにつながる,ということです。
“S.K”さんも,これからコブ悪雪で大いに感じるスキー,“フィーリングスキー”を楽しんで下さい。(^I^) ありがとうございました。
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July/17/2003 (木曜日) 曇り
みなさんこんにちは! 昨日はスキースクールの用事で朝早くから長野市に出かけてしまい,UPできませんでした。失礼しました。そろそろ冬のスキー用品のニューモデル受注会が,いろいろな所で開かれていますが,長野市のスポーツショップも例外ではないようです。15日の日記でも書かせてもらったように,道具の選択は楽しみ方の質を変えてしまいますから,大変ですが,億劫がらずに自分の志向に合ったモノを探し当てたいですネ!(^I^) で,今日は「ストック」についてのご質問が来ていますので,そのことについて…。
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過日“S.K”さんから,次のような e-mail を頂きました。
『 …はじめまして “S.K”といいます。今ストックを買いたいとおもいましてアドバイスを聞きたいのですが.....。身長は172センチ 技術レベルは一級です。ストック選びのポイントを教えてください.....』
いろいろな考え方の方がおられると思いますが,私が注意しているのは次の4点です。
@ストックの長さ : この長さについては,ほとんどの方が注意していることだと思いますが,実はこの長さ…回転弧の大きさと関係があると思っています。大回り系ではやや長め,小回り系やコブ斜面ではやや短めが良いと思います。その理由は,最近大回り系では,ハイスピードターンでは軸をしっかり作った滑りが合理的だ…ということで,以前のように低いポジションでの滑りよりも,やや重心位置の高い滑りが見直されてきているからです。大回り系ではストックを突いて,それをキッカケにターンを始動する…という滑りはなくなってきましたが,それでも,短いものよりも長めの方が適していると思います。一方小回りは,下半身の動きを頻繁に使うことが必要になります。それには,関節がある程度曲がった低めのポジションでないとうまく行かないのですが,それには短めのストックがイイ…ということになります。では実際“S.K”さんの身長172センチではどれくらいの長さの…ということになりますが,身長170センチの私の場合,レッスンでは大回りも小回りも行ないますので,中間的な長さ,ということで,105センチの長さのを使っています。ちなみにこの「長さ」というのは,グリップの親指側の端から(最初UPの時点ではグリップエンドと書いていましたが,誤解を与える表現なので訂正しました。(=_=;))リングまでの長さで,地突きまでの長さではありません。私の場合,小回りが最もやりやすい長さは102センチで,大回りでは108センチです。人によって微妙に感覚が違ってきますので,ハッキリ限定して申し上げられませんが,参考にしていただければ幸いです。
Aストックのバランス : 握ってみて,振り回しやすいものを選んだ方が良いでしょう。スイングウエイトと言って,実際のストックの重さは重いけれど,振ってみると軽く感じる!というのもありますから…。ですから,持ってみて軽くても振り回してみると,バランスが悪いのもある…ということです。振り回しのバランスが良いものを選ぶべきです。
Bグリップの握りやすさ : これも意外に大きなファクターとなります。スンナリ握れて違和感が無いものは,滑っていても気になりませんが,そうでないものはストックを突こうとする瞬間にグリップの方に気が取られて,雪面コンタクトがおろそかになる,ということもありますから…。
Cストックの形 : グリップからストレートに地突き方向に伸びているものや,ダウンヒルレースに使用するような,体型に合わせて曲げてあるものまでありますが,一般的にお使いになるのなら,グリップエンドの所からほんのわずか外側に,約5〜6度曲がって,その後まっすぐなものが良いと思います。
私は昨年から,時々「長さ調整可能なストック」を使っていました。それは,大回りでは「高い姿勢のカービング」をやりたい,そして小回りでは切れの良いものを…という目的からです。小回りは特にストックワークが大事な要素になりますが,この時にストックが長いとリズムがうまく取れないのです。でも,このような長さ調整が可能なストックは「バランス」という点では良くありません。結局どちらを取るか?ということになります。
いずれにしても,「何でも,どれでも,全てうまくできる用具」というものは無い…ということでしょうか。アレが良ければコレがうまくできない。コレが良ければアレが…。特徴のあるものほど,一般的,オールラウンド的には使えない…オールラウンドなものは,優れた特徴を備えられない…という様に,矛盾した性質を包括できない,ということです。
“S.K”さん,参考になりましたでしょうか?
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July/15/2003 (火曜日) 曇り
今朝は少し雲が多かったのですが,10時頃になって陽が射してきました。(^I^) これから晴れて来そうな気がします。
さて,ちょっと油断したら「夏風邪」を引いてしまいました。そんなに重くはありませんが,咳が出て少し喉が痛いです。皆さんも気を付けて下さいネ!(^I^)
昨日までの約1週間はグッキーの追悼日記でしたが,今日から従来の日記に戻りたいと思います。
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さて,今日は“M.I”さんから頂いた E-mail です。
『 … 過日,夜メルツェンでお会いした6人組みの“M.I”です。お顔を拝見して少しお話でも出来ればいいなと思って出かけましたが、ビールまでご馳走になってしまって・・・お蔭様でスキー仲間と楽しい週末を過ごすことが出来ました!
昨秋に積雪情報を探しているうちに貴殿のホームページを知りました。それ以来よくのぞかせて頂いています。私は約27年前、学生時代に準指導員の資格を取ったのですが卒業後は仕事の都合でなかなかスキーが出来ず、そのうちに子供ができ家族スキーになっていました。ところが、4シーズンほど前ですよね?カービングスキーが出てきたのは!で、すぐに購入してその面白さにはまってしまいました・・・とここまではいいのですが、いまさら昔のスキークラブには戻れず見よう見まねで楽しんでいました。
ターン後半のスピードに乗れる爽快感に酔って、年甲斐もなく走り回っているだけのスキーに行き詰まりを感じていたときに貴殿のホームページを知りました。スクールの先生たちを遠目で見ていてターンの切り替えが自分とは違うことは理解できてもどうしたらいいのかあれこれ迷っていましたが、引くプルーク・オレンジ・スクリュード
ライバー等々の「形」ではなく「感覚」で何となく理解出きそうかなと思っています。
来シーズン始めにでも教えて頂きたいなあと思っています。…』
“M.I”さん, E-mail ありがとうございます。私のビアホールにお越しの方で,私のホームページをご覧いただいている方はすぐ分かります。(^I^) お顔にそう書いてあるからです!…というのはウソですが,ひとこと“M.I”さんのように「見てますよ!」とお声を掛けていただければ,ホンの僅かですがサービスさせて頂いています。時には図々しくお客様の席に座り込んだりしてコミュニケーションを図ろうと一生懸命です。ハッハハハハ……(^I^)
さて,冗談はさておき,確かにカービングスキー…楽しみの幅を広げてくれましたネ!。特にアイスバーンなどでは大変苦労しましたが,トーションの強い板が出てきたおかげで安心してアイスバーンでも滑れるようになりました。整地であれば,「アレレ?俺ってこんなにうまかったっけ?」と思えるほどキューンと切れるスキーができるようになりました。でも,それはそれで大変楽しいのですが,“M.I”さんのように行き詰まりを感じる方も少なくありません。その理由は,コブや悪雪,小回りなどでは同じ快感が得られない…ということと,精神的な圧迫感や気ぜわしさを感じるから,なのです。
前にも話したことがありますが,接着剤の進歩で,千差万別の特性を持ったスキーが作れるようになりました。ある特徴だけを突出させたスキーを作ることが可能になりました。当然レースで競うのに適した,スピードに重点を置いた板や,ズレの少ない切れの良い板も作れるようになりました。カービングタイプの板が出る前のスキーヤーは,どうやってズレを止め,切れるスキーをしようかと思い悩んでトレーニングをしたものです。でも,その夢がカービングスキーの登場であっさりクリアできてしまいました。ズレで苦労した多くのスキーヤーは歓喜しました。しかし,ズレの無いことの不都合さも感じ始めたのです。切れの要素が強い板を使えば使うほど,コブでは,「…あそこまで落ちて行って,コブの頂点で抵抗を受けて,スピンさせて,コブの裏側をズレて行って…」という滑りがやりにくいのです。スキー板がしっかり雪面をホールドし過ぎてしまうからです。また,春の重い雪ではトップが雪面に食い込み過ぎて非常に重く感じたり,小回りでは円弧が小さくできにくかったり…といろいろフラストレーションも溜まるのです。また,ズレの要素の多いスキーをしていた時の安心感というか,気持の安らぎも無くなりました。どことなく今の世情と同じ様な「スピードオンリー」の世界に乗せられているような感じなのです。自分で乗っている,という感じではなく,乗せられている…という感じもするのです。しかもその快感は「整地」といった特殊な状況でしか得られない…。これって何なんだろう?
これは,カービング要素の滑りに適した板ほどズレの要素が無くなる…からです。切れの要素を持たせれば持たせるほど,ズレるスキーはできにくくなります。その逆もまた然り…です。ですから,一般のスキーヤーは,どちらの性格もほどほどに持っているスキー板を使って滑る…というところに落ち着かざるを得ません。選手やレーサーはそれが仕事で勝たなければなりませんから,極限の状態を演技できたり,タイムを千分の一秒でも縮められるような特殊な性能の板を使うことになるのです。私たち一般スキーヤーはそこまでできないのが実情です。極論ですが,勝つためのスキー板を使って「“スキー”の楽しさ」を求めるのは筋違い…と言っていいかもしれません。
何台ものスキー板を担いでスキーに出かけることができない私たちとすれば,せめてカービングもスキッディングもできる,ほどほど中庸の一台を探して,それを使い切ることです。その板を駆使して雪原を楽しむには,「形」ではなく「感覚」…ということになります。実は中庸な板ほどカービングの感覚もスキッディングの感覚も感じられるのです。まさに自分の感性を高め,雪とのコミュニケーションを図るうえで最高の道具,センサー,ということができます。こういう板を使って,切れるということの本質を知り,ズレに乗ることの安心感を楽しむ…こういうことができると,さらなる“スキー”の奥深さが解かって来ます。
“M.I”さんはキットこの域に入られたのだと思います。(^I^) 切れても面白し,ズレても面白い。ホント,スキーって面白いですよネ!(^I^)
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July/14/2003 (月曜日) 小雨
今朝は雨模様の白馬です。でも少し明るくなってきました。(^I^) 今年の梅雨はいつ明けるんでしょうか?暑すぎるのもイヤですが,梅雨よりはマシかな?。
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さて,今日はグッキーの“小回り”について…。 グッキーは小回りについて次のように述べていました。
『 小回りでは膝の動きが大事です。雪面に近い関節から使って順に身体を動かす意識が大事ですが,足首は動きが規制されるので一番大事な関節は“膝”になります。膝を使うということは素早くエッジを立てることができるということです。これができれば,効率の良い抵抗を作り出すことが可能になります。そのためには中間姿勢,もしくはもう少し深い姿勢の方がやりやすくなります。
ターン後半,雪の抵抗で作り出した“圧”をどう開放するか?もだいじなポイントです。膝を使って角付けをし,そこで作り出した圧をどう使うか?ということです。その圧を次のターンのエネルギーに変えなくてはなりませんが,多くの人はこれが難しいようです。その原因は“圧は自分で作るもの,加圧するもの”という考えがあるからです。斜面を移動して行って,角付けをすれば自分で加圧しなくても圧は作れます。すると自分のポジションを抵抗を受けやすい場所に次々に変えて行く,という連続移動している線のイメージで小回りができるのです。でも,加圧に頼っているスキーヤーは,加圧をするたびに移動が止まってしまい,次の場所,次の場所…と点のイメージで滑ることになります。ですからターンが一回ごとに停止してしまい,エネルギーを伝えて行くことができないのです。
また,クロスオーバーでは,圧を作るために膝がターン内側に入りますが,その膝を戻して,スキーをフラットにする意識が大事です。この時圧を減らそうとする必要はありません。できれば不必要な抜重はしない方が次のターン前半の雪面の捕らえのためにもいいのです。エネルギーの伝達もスムーズに行なわれます。
小回りではターン後半のアンギュレーションも大事な要素です。下半身,特に膝に意識を持ってターンすれば上半身はそんなに動きません。結果的に上半身と下半身の間にネジレ状態が生まれ,次のターンに楽に入れるようになります。しかし,圧を自分の加圧で作ろうとしたり,スキーそのものを雪の力でなく自分の体力で回そうとすると上半身も回ってしまい,動作が素早く行なえず,回転弧の大きいターンになってしまいます。』
グッキーの小回り…いつ見ても気持ちが良かったですネ!。(^I^) 脚が長いので懐も深く,ストロークも有効に使えて重心が上下にブレる事もほとんどありません。斜面移動が速く,しかも膝の使い方がうまいので,雪からの圧もものすごく効率よく作り出すことができています。その分雪面からのエネルギーも強いので,急斜面などではターン前半に雪面からスキーが浮いてしまう時がありますが,それは抜重動作とは異質なものです。ターン後半のエネルギーが矢のごとく次のターン外側へと伝達されているのです。
グッキーも言っていましたが,彼の技術の基本は「雪の圧を受ける!」にあります。昨日の大回りでも解説したとおり,圧を自らの力で作り出す動作は,バランスを乱すことにつながり,ひいてはスキーの動きが不安定になり,疲労も増してしまいます。斜面移動で雪面からターンに必要な圧をもらう…ということができれば,あとは落下運動に身を任せ,重心の移動と雪面コンタクトがどうなっているか?という足裏の感覚に注意すればいいのです。自らの体力を使うことも少なくなり,雪との会話が充分楽しめる,合理的なスキーができます。まさにグッキーの滑りはこのことを証明している滑りだと言えます。見ていて安心していられ,美しさが感じられます。本当に気持ち良さそうなのです。
小回り…という回転弧の小さなターンでは,雪面に近いところから身体を使う…というのも含蓄のある言葉です。回転弧が小さければその分素早い動きが必要となりますから,スキー板に近い身体の部分が動いた方が合理的です。ただ,ここで注意しなければならないのは,膝を使って角付けをコントロールするということと,圧を掛けながら角付けをする,ということには大きな違いがある,ということです。圧を掛けようとすると人間の身体の筋肉は外向きに働く「緊張筋」を使うことになります。でも,中間姿勢で,単に膝をターン内側に入れ,角付けを強めて雪の圧を強く受け止める…というのは,変化して行く圧の強弱を重心方向に伝えようとしますから,緊張筋ではなく「感じる筋肉」を使うようになるのです。「緊張筋」を使うよりも,「感じる筋肉」を使う方がはるかに「身体のリラックス」を生むことができます。グッキーの滑り全体に,バネのような身体の張りがあるのは,この感じる筋肉,「センサー筋」を使っていたからだと思います。グッキーはそういう意味で,もっとも感性豊かなスキーイングができるプレイヤーでもあったと思います。
また,小回りでは絶対に必要な「上半身と下半身のネジレ」がうまくできないのは,自分でスキー板を回そうとするところにある…というのも,全くその通りです。自然に雪の上に立ち,斜面移動していけば,先ずスキー板が雪の抵抗を受けて回り始め,その力が足首に伝わり,膝,腰…と次第に上半身に伝わっていきます。この時バランスをしっかり取ろうとさえしていれば,上半身はそのままの姿勢をキープし,回り込む筈が無いのです。したがってターン後半では最も自然なアンギュレーションが現れ,このアンギュレーションという身体の絞りが,圧の開放と共に元に戻ることで,ニュートラル部分が形成されることになります。グッキーは,この圧とネジレの作り方も上手でした。ある時は矢のように素速く,ある時はゆっくりスローモーションのように,3次元的なエネルギーの貯めと開放が,実に見事でした。
そのグッキーが語った言葉。「いつもミスの連続なんだヨ!はた目には完璧に見える滑りでも,滑り手はミスを感じながら滑っている。そのミスを修正しバランスをキープするために雪の上を移動しているんだ。」…身に沁みます。
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約1週間…グッキーの思い出を綴って来ました。
彼の言葉や仕草を思い出し書き込むことで,ようやく彼との現世での別れができたような気がします。
多くの人が彼の死を惜しんでいます。私もそうです。でも,彼の意思…“スキー”に対する思いを,語り口を変えて皆さんに伝えて行くことが,彼の供養になることだと思います。
精一杯頑張るよ,グッキー! 天国から見守っていてくれ!
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July/13/2003 (日曜日) 曇り
昨日は午後から陽射しが戻り,テニスができました。でも今朝はまた曇り空に戻った白馬です。少し肌寒い感じです。皆さんはこの週末いかがお過ごしですか?
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さて,今日も私が感じたグッキーの「スキー技術」について…。今日は“大回り”がテーマです。
昨日は大回りにも小回りにも共通の感覚について,グッキーが述べていたことを解説しました。今日は種目を大回りにしぼり,大回りで特徴的に現われるポイントを,彼が言っていたことをベースに解説したいと思います。
大回りについて,グッキーは次のように語っていました。「大回り舵取り期での基本は外足での捉えで,私は普段は100%外スキーで雪面を捉える感覚で滑っています。そして角付けの切り換えでは,左ターンから右ターン,あるいは右ターンから左ターンへ,という感覚でなく,新しい圧を受ける場所へのスムーズなポジション移動をするようにしています。そのためにはターン後半で充分な角付けをして圧を受け,下から押し上げられる力を利用しなくてはなりません。そうすれば抜重要素の少ないベンディング的な滑りが可能になります。結果的に圧の吸収がスムーズに行なわれて,重心の軌道とスキーの軌道の入れ替えが滑らかに行なわれるのです。これを私は“オートマチッククロスオーバー”と呼んでいます。その後,ターン前半ではいかに雪面からの圧を受け止めるか?に意識を集中しています。大事なことは,ターン前半は特に雪面からの抵抗が弱い時期なので,外足の足裏に神経を集中させて,雪の抵抗を受け止めるのに最適なポジションを探すことです。ターン始動期が過ぎて舵取り期に入れば適度なアンギュレーション,つまり外向傾を意識します。カービングターンでもそうです。過度なアンギュレーションはスキーのズレを生みますが,全くアンギュレーションの無い滑り,特に上半身を内向的に使う滑りもバランス維持の上から適切だとは思いません。人によって体型や骨格が異なるので同じ姿勢になることはありません。自分自身の最適なアンギュレーションのポジションを見つけることです。この舵取りの場面では,雪面から最大の圧を受けることと,その圧に対してベストポジションを取り続けることです。」
舵取り期での外足100%意識…これはグッキーが言うと本当に重みを感じます。私も全くそのとおりだと思います。この時,カービングターンにおいてもアンギュレーション,外向姿勢を意識している…ということも大事なことです。あくまで大事なことは「雪の抵抗が来る方向」であって,スキーが進む方向では無い!ということです。抵抗の来る方向はスキーの方向より僅かにターン外側なのです。そして,極めつけは「人それぞれの体型や骨格が異なるのだから姿勢が違って当たり前!」…という言葉です。ですから「形」を真似るのではなく,「意識やフィーリング」を真似ることが大事なのです。
また,角付けの切り換えの局面では右から左,または左から右,というのではなくターン後半に蓄積されたエネルギーを次のターンにつなげていく感覚で滑っていることも注目すべきことです。私はこれをエネルギーのバトンタッチと言っていますが,雪からの圧を一気に開放してしまうのではなく,圧をキープしながら重心とスキーをクロスオーバーさせることです。グッキーは「吸収」という言葉を使っていますが,これは決して圧を軽くする,という意味ではありません。下からの圧を足裏で感じつつフラット状態に持って行くことなのです。ですからスキーが走り,自動的に重心とスキーの軌跡が滑らかな入れ替えを起すので,彼はこのことを「オートマチッククロスオーバー」と名付けたのです。
ターン前半の意識でも,彼は非常に大事なことを述べています。それは「雪面からの圧をいかに受け止めるか?に意識を集中している」という部分です。彼の滑りをみるとこのターン前半の始動期では彼の長い脚がゆっくり伸びているように見えます。チョッと目には脚を伸ばすことで雪を押しているように見えるのですが,そうではないのです。「足裏に神経を集中し,抵抗を受け止める意識…」という言葉がそれを証明しています。グッキーは静かに圧が来るのを待てますから,,身体の動きは,下半身の足首→膝→腰…順になり,まことに安定しています。ところが,多くのスキーヤーは雪からの圧を無視して,スキーを回そう回そう,ターン始動させようと一生懸命になっているので,身体が,特に上半身が先に動いてしまいます。スキーそのものを回そうとすればするほど身体が先に動いてしまうのです。これではバランスの取れた安定したスキーができるわけがありません。
彼が語ったひとことひとことに,その理論の合理性を感じます。しかも彼は,その滑りを演技して見せることのできるプレーヤーでもありました。口ではいっぱしのことを言うが,滑りは???の【TOK】とは大違いです。自分の体力の衰えはなんとも仕様がありませんが,一歩でも彼の滑りに近づけるよう最善を尽くし,彼が述べていたことを伝えて行きたい!…そう思います。
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July/12/2003 (土曜日) 曇り
今朝も雨こそ降っていませんが,曇り空の白馬です。夕方,雨が上がらなかったので,今年初めて泳いできました。約40分間,クロールでゆっくりと泳ぎました。今でこそ,1時間でも2時間でも連続でゆっくり泳ぐことができるようになりましたが,10数年前は息継ぎができず,ほんの僅かしか泳げませんでした。…というより,息継ぎをする段になると泳ぎ止め…状態でした。でも,水泳教師経験のある人に手ほどきをしてもらい,基本からしっかりと諦めずに練習したら,少しづつ息継ぎができるようになりました。初めはまるで「暴れた鯨が泳いでる…」と言われましたが,おかげさまで今は,「イルカが波を立てずにゆっくり…」と言われるまでに…。ホントかな?(^I^) でも,久しぶりの泳ぎ…気持ち良かったァー!!!。
さて,グッキ-のこと…ここ数日この日記で彼を思い出しながら書き込むことで,少しづつ気持ちが癒えて来ました。そして,彼の滑りの本質を多くの人にお伝えするのが私の仕事…そんな風にも思えて来ました。彼の滑りの一部でも皆さんに解説できたら,彼のいい供養になると思っています。
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さて,私が思うグッキーの「スキー技術」について…。今日は“感じる”がテーマです。
大回りと小回りには,それぞれ違った技術的違いはあります。例えば大回りは小回りに比べ,その滑走スピードが速い分,身体の傾きが大きくターンの圧も強くなりますので,膝よりも腰や身体全体での捉え感が大事になります。一方小回りは滑走スピードが遅く素早い動きが必要なので下肢の使われ方が大事になります。でも,それは「ターン圧の違い」に対処するための身体の使われ方の差であって,そのベースには「どのような圧だからどう身体がそれに反応するか?どうバランスを取るか?」ということがあるのです。グッキーは「滑走フィーリング」,「バランス感覚」,「スピード感覚」を大事にしていましたが,特に「圧」,「重心」そして「中間ポジション」は大回りでも小回りでも重要なファクターであると述べていました。
まず「圧」については,昨日の日記でも解説したように,「スキーヤーはターンしようとして自ら雪に圧を加えてはいけません。ターンするためにスキーを動かすのではないのです。斜面を上から下へ降りながら雪から圧を受けるのです。そして雪の力でターンさせてもらうのです。その圧の強さは角付けの度合いで決まります。私たちスキーヤーが行なうのはスキーに力を加えることではなく,スキーに体をあずけ,雪面からの圧を足裏で受け止め,その圧の強弱や方向を感じ取ることです。」と言っていました。
グッキーは「重心」については,「滑走中は常に,いま自分の重心はどのような軌跡を描いているか?重心の位置がどこにあるか?ということを感じることです。これがバランスを取る上でのキーワードになります。」と言っていました。実はこれと似たようなことを今から30年近くも前に,エディ・ハウアイスというオーストリアの名スキーヤーが言っていました。エディの言った「雪があなたを回してくれる…」というセリフはまだ私の耳に焼き付いているのですが,一体何を言っているんだこの人は?と思ったものです。でも,グッキーも言っていた“重心”意識の大事さは二人に共通していることなのです。これは難しいことかもしれませんが,雪の圧を感じ取りそれがどのくらいの強さで,どの方向から来ているか?を判断するには全て“重心”が基点になる…ということなのです。“重心”から外向きか内向きか?,1時の方向かそれとも2時の方向か?,その圧は強いか弱いか?ということを感じ取ることは,全て“重心”を中心としていて,これとスキーに掛かる圧との釣り合いが取れていれば,バランスのいいスキーができている…ということなのです。
「中間ポジション」は,結論から言えば「“重心”の位置を高過ぎもせず低過ぎもしない…」ということです。重心位置が高過ぎると,そこから脚を伸ばして圧を感じることができなくなりますし,低過ぎればそれ以上脚を縮めることができません。“重心”を中心として脚をアコーデオンの蛇腹の様に自在に使うには,高過ぎるポジションも低過ぎるポジションも適していないのです。でも,いつも中間ポジションが良い訳ではありません。凹の斜面などでターンに必要な圧が少なくなれば,脚が自然に伸びて雪の圧を探りに行くことが必要になりますし,コブや凸状の斜面に入れば,オーバーコンタクトににならないように,脚が縮まらなければなりません。中間ポジションが一時的に高いポジションになったり,低いポジションになったりするのです。でもこのような凹凸の斜面を通り過ぎたら,元の中間ポジションに戻ることが大事です。この脚が伸びたり縮んだりするその動きは,いかに雪面の圧を感じ取れるか?という能力に掛かっています。私はこの感覚を生徒さんに持ってもらうために足裏に“オレンジ”を意識してもらうのですが,「指導法はそれぞれ個人が独自に持つべきもの…」と言っていたグッキーが,具体的にどのような方法を取っていたか,語ることはありませんでした。雪からの圧を感じ取るための方法…この日記をご覧の方でグッキーにレッスンを受けた方…彼はどう言ってましたでしょうか?
こうやって彼の言ったことを思い出していると,彼も感性の豊かな人だったんだナァー!とつくづく思います。“スキー”の楽しさの原点は,そういった動物的勘が研ぎ澄まされ,生き物としての生身の人間を感じるところにあるのだとも思います。
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July/11/2003 (金曜日) 曇り
今朝も曇り空の白馬です。
昨日遅く,グッキ-の葬儀に参列したスキースクールの仲間が白馬に帰ってきました。多くの方が参列し,日本からもたくさんの献花があったそうです。事故の模様はこの日記の July/07/2003 のとおりだったようです。彼らはグッキ-に向かい,「多くの日本のスキーヤーが別れを惜しんでいるよ…」と,語って来てくれたとのことです…。
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さて,今日もグッキーが良く語っていた「スキー技術」について…。その中の“重心”と“雪の圧を受ける”ということについて…。
【Letスキー】とか,雪からの情報を足裏で感じて滑るとか…いうことを私もレッスンで使っています。自分から仕掛ける…ということを極力しないで,雪の圧を利用して滑る,ということなのですが,実はグッキ-も言葉こそ違え同じようなことを言っていたのです。特に大回り系の滑りでは自分自らの力でスキーを回そうとしてしまうから,崩さなくて済むバランスを,わざわざ崩してしまう…と。また角付けの切り換えでは“重心”の移動軌跡を無視したクロスオーバーをするから急激な抜重動作が起きてしまう。もっと雪からの圧を利用すれば,雪面コンタクトの圧をあんまり変えない,バランス維持が楽なターンができるのに…とも語っていました。そのためには「斜面移動」ということを積極的に行う意識が必要なのですが,たしかにグッキ-の斜面を降りるスピードは速い!あれほど速く斜面移動ができれば,かなりの圧を作り出せるし,しかも重心の位置が前後左右にブレルことも少ない。…だからグッキ-が高速で安定した滑りができるのは当然!ということなのです。ハイ…。
では小回りではどうか?エッジを急激に立て踏み込んでいるように見えますが……実は彼の意識では踏み込みは無いのです。エッ?と思われる方がたくさん居られると思いますが,自分では圧を加えないで,ただ単に角だけを立てているのです。斜面移動していて,ある角度からさらに角を立てれば,自分で雪に圧を掛けなくてもエッジの角度が立ちますから,その分雪からの圧が強くなって,雪から重心方向に向かって強烈に押し上げる力が掛かって来るのです。しかし斜面移動が少ないと,角付けの切り換えに必要な圧を作るには自分で雪面に力を掛けながらエッジを立てなければなりません。つまり重心からターン外側への力を掛ける必要があるのです。グッキ-の斜面移動の方法では外側から重心方向に向かう力が掛かるのにたいして,踏み込む方法では外側へ向かう力が掛かることになります。グッキ-の方法では雪の圧を受けて,スキーが腰の下に戻って来ますが,踏み込みではスキーが外側に逃げてしまいます。さて,この両者を比べれば,どちらの方がより素早く,バランスを維持しながら小回りができるか?…見当がつくと思います。グッキ-は,重心位置がスムーズなラインを通っているので,コブの小回りの滑りを見ても,重心位置が上下に動くことはほとんど無く,安定しているのです。ですから,コブの片足ノンストックなどという曲芸まがいの滑りも可能なのです。斜面を移動し雪の力でターンをしているからです。
そういう意味で,グッキ-は【Letスキー】を演技できる最強のデモでもあったのです。
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July/10/2003 (木曜日) 曇り
今朝は気温が21℃,曇り空の白馬です。
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さて,今日はグッキーが良く語っていた「スキー技術」についてお話したいと思います。今日は「外向傾」について。
彼は言っていました。「“スキー”で一番大切なことはエンジョイすること!」だと…。かれの口癖のひとつでしたが,これが彼のスキーに対する基本的姿勢だったと思います。そしてこの楽しいスキーをするために技術を磨くのだと…。「どうしてあんなに両足を広げて,低い姿勢で滑っているの?アレが楽しい?美しい?…」とよく質問されました。私も答えに窮して「美しくないナァー…危ないし…」と言ったら,「もっとコントロールコントロール…。スキーに乗ってないヨ…。乗らされてるダケ,危ないヨ!Tokはもっとスキーの大事なこと,ずらすことを教えるようにみんなに話さなきゃダメ。」と言われたものです。つまり外向傾姿勢の大切さを指導部長として教師諸君に徹底させなさい!ということです。切れのターン,カービングはその後の技術だと…。
彼の口癖のひとつに「スキーは“バランス”」というのがあります。このバランス,実は雪から来る抵抗と斜面を落下して行くスキーヤーの重心との力が,うまく釣り合いが取れていることを指しているのですが,スピードをコントロールして安全なスピードで滑り続けるためには,低速にしようと思えば思うほどスキーの横方向からの力との釣り合いが必要になります。つまり外向姿勢です。そして,スピードを徐々に増して滑ろうとすればこ,の外向の度合いは少しづつ少なくなって来る。それは“バランス”を取ろうとするから…。だから,外向と言う意味が分かって,それを少しづつ少なくして行けるスキーヤーはバランスっ感覚の上に立ったカービングの意味が分かるし,とっさの時には外向を強くし,ズラシの要素を入れてスピードをセーブできる。ところが,外向のできないスキーヤーが角付けの傾け操作だけに頼った滑りは,“バランス”を取り続ける意識が少ないので自分からスキーを動かして操作しようとしてしまい,的確なスピードコントロールができない…ということになってしまうのです。彼は私たちスキー教師の研修会でも「外向姿勢」の大切さを良く説いていました。
また,外足に乗ることの大事さも言っていました。「スキーが生まれてからこれまで伝えられてきた“外スキーでの捉え”は今も大事です。ボスは外スキー,内スキーはそれを補助するダケ。」…と。特に舵取りの場面では,内スキーに乗ることは大変なリスクを負うことになります。内足のくるぶしでは微妙な角付けのコントロールができないからです。それに対し外足くるぶしではかなりの範囲での可動が可能になり,微細なエッジコントロールができるのです。また外スキーは,回転半径が大きい分,物理的に遠心力が多く掛かりますから,この外スキーで雪面を捕らえる意識の方が合理的なのです。「内スキーも可能な限り利用するけれど,あくまで外スキーがボス。内スキーを意識し過ぎて外スキーの圧や角付けをキープできないようではダメ…」とよく言っていました。外スキーにしっかり乗り込んでスキーをするわけですから,「外傾姿勢」も自然に現れるのです。
今思うと,彼の滑りの特徴は,このカービング全盛時代にあっても「外向姿勢」と「外傾姿勢」…つまり「外向傾」ということを大事にしていた…ということだ思います。
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July/09/2003 (水曜日) 晴れ
今朝は白馬の稜線がきれいに見えています。
またグッキーの話で申し訳ありませんが,彼は白馬のこの山並みを本当に愛していました。母国,オーストリアの景色とダブル…というようなことも,時おり話しておりました。この懐でこの冬の間,家族3人が約4ヶ月を過ごしました。彼の愛譲は,八方尾根の名木山で,生まれて初のスキーデビューでした。キット彼の魂は,この上を旋回しているに違いありません。山が見えて良かったネ!グッキー…。
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グッキーは,1995年 第15回 野沢温泉・インタースキーオーストリアの代表デモンストレーター
として来日していますが,その前にも日本に来ていると思います。確か1994年の冬,約1ヶ月日本を訪問し,その間一週間ほど八方尾根に滞在し,私たちスキー教師のコーチをしてくれたのを覚えております。そのダイナミックでスピード溢れる滑りはまさに凄い!のひとことでした。その後,私の所属するスキースクールの若手教師は晩秋になるとトレーニングのために,オーストリアに出かけていましたが,そこで一緒に滑っていただき,コーチをお願いしたりしました。本当に熱心に教えていただきました。彼も当時はまだまだ若く,本当にエネルギッシュな滑りを見せてくれました。
数年前から,シーズンのほとんどを日本で過ごすことになりました。彼に教えを請いたい,というスキーヤーが多かったことを物語っています。そして彼の滑りはさらに洗練され,日本語も上手に話すようになって,通訳を必要としないオーストリア国家検定教師として活躍することになりました。日本全国,いろいろなスキー場で彼のレッスンを見かけることができるようになりましたが,八方尾根に来た時は「丸山具技男」という名前のネームプレートをつけてレッスンをしておりました。八方尾根スキースクールの名誉会員教師でした。「丸山」は八方の一番多い姓で,「具」は“伴われている人,つき添っている人”,「技」はスキー技術の技,「男」は男性…という意味で 『 スキー技術の本質を身につけた八方のスキー教師 』…という事を込めてのネーミングでした。
彼の“スキー”に対する姿勢は,彼の口癖でもありましたが,「楽しい!」ということでした。そして技術上の特徴は「雪の圧を受けてターンする!」ということでした。私が常日頃思っている【Letスキー】との共通点があまりにも多く,「彼の滑りとその理論」は私にとっても,その表現方法などで大変勉強になることが多かったのです。
明日からは,彼の語る「スキー技術」についてお話したいと思います。ご期待下さい!。
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July/08/2003 (火曜日) 曇り
昨日はどことなく脱力感を感じながらの一日でした…。グッキーのあの笑顔がちらついて,そして残された幼い子供と奥さんのことが思い出されて,たまりませんでした…。日本時間で今日8日の午後9時から,葬儀が始まるとのことです。その時間になりましたら,黙祷をささげたいと思います。
グッキーは,あの明るさと人懐っこい性格,そしてスキー技術と指導法の素晴らしさで,多くのスキーヤーを魅了してきた人だけに,昨日のスキー関係の掲示板では多くの方が彼の死を惜しんでおられました。また,私の昨日のこの日記が「雄首冬獄」さんによりSGの掲示板で紹介されたものですから,アクセス数も一気に上がり,2125名の方の日記への訪問がありました。そのくらいグッキーの人気が高かったといまさらながら,彼の人徳を偲んでおります。
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今日から数日間は,グッキーを偲び,私と彼との交友エピソードや,彼が私に語ってくれたスキー技術論を紹介したいと思います。
今日は先ず彼についてのエピソードから…。
【※1】 2003シーズンの3月初旬,「パトリック・ヴァルターのスペシャルレッスン」が予定されていました。ところがパトリック・ヴァルターが2月に怪我をしてしまい,オーストリーに帰ることになってしまいました。すでにスクールの行事として予約が入っていた状況で行事のキャンセルは難しい状況になっていました。しかし,このことを伝え聞いたグッキーは,「せっかくオーストリーのデモのレッスンを受けたい!ということで予約をしていただいたのだから,もし私がヴァルターの代役ができるなら,日程を調整してレッスンを担当したい!」と申し出てくれたのです。お客様に問い合わせたところ皆さんが「グッキーが代役を買ってくれるというのなら,ヴァルターでなくても構わない…」ということで,代替のレッスンをしていただいたのでした。
【※2】 私の店「メルツェン」のドアを開けるなり,カウンターでお客さんの相手をしている私の所へツカツカと寄って来て,「Hi,Tok!“そのまんまビンビン”ちょうだい!風邪気味,風邪気味…」と言うのです。“そのまんまビンビン”というのは,ニンニクをひと株そのまま素揚げにし,その後オーブンで焼いて,塩を振ったものなのですが,彼はコレが大好物でした!。モチロン風邪気味のときなど効くのですが,普段でもビールにはコレが合う…と,ひと株ぺロッと食べてしまうことが良くありました。今シーズンも,「グッキー歓迎Party」の席で奥さんとお子さんの前で美味しそうに食べていました。これから以降,「そのまんまビンビン」を“グッキーのビンビン!”と変えることに決めた【TOK】です……。ヒョットしたら…ビンビンを口に入れてあげたら,息を吹き返すかな?…。
【※3】 今シーズンから子供さんのスキーレッスンを充実させるため,「キッズスクール」を新たに企画し実行に移しました。昨年までの「ちびっこ教室」とは様変わりなので,12月初旬から中旬に掛けて,その指導法などの研究も逐次行なっておりました。その時グッキーが,「私にぜひキッズレッスンの研修会の講師をやらせて欲しい!勤務料金とかは要らない。子供達への興味を失わせない指導は本当に大切だ!」と教師研修会の講師を買って出てくれたのです。紐を使ったり,トレーンのいろいろなフォーメーションを紹介してくれたり…。その成果は着実に現れ,多くのちびっこが“スキー”の楽しさを知ることができたのでした。
……Etc.等,彼との思い出はいろいろありますが,グッキーのレッスンを受けられた皆さんもきっと多くの思い出をお持ちだと思います。その中で多くの皆さんに紹介したい!というようなエピソードがありましたたぜひお知らせ下さい。このページやこれから開設しようと思っている「グッキーのページ」で皆さんに紹介させていただきます。よろしくお願い致します。
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July/07/2003 (月曜日) 雨
昨日大阪からあ帰って参りました。知人の新しい門出をお祝いできました。楽しいスキー仲間との懇親も…。
でも5日夜,みんなで私をからかっているのでは?と思えるほど悲しいニュースが携帯から…入って来ました。スキースクールに何度も教師として来てくれ,素晴らしい技を見せてくれていたグッキーが亡くなった…というのです…。
ホントに悲しいニュースです。この教師日記で知ったかぶりをしてお知らせするのではありません。多くのスキーヤーが彼に“スキー”の楽しさを教わりました。多分この日記をお読みの方の中にもグッキーと懇意にされていた方が多いと思います。その方々に,私が今知る限りの情報をへお知らせし,彼の冥福を祈りたいと思うのです。
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それは同じスクールの教師仲間,“T,M”からの涙の電話でした…。「グッキーが亡くなった…滑落したらしい…」という内容でした。「滑落…?どういう???」という気持ちを抱きながら大阪から帰って来ました。
昨日白馬に戻って,その内容が少しづつ分かりました。現地時間の4日だと思うのですが,彼の家の近くの山の上にある山荘で,彼の友人の誕生パーティーがあったらしいのです。そのパーティーが終わって多くの人はそのままそこに泊ったらしいのですが,グッキーは家族の中にチョッと体調の悪い方が居られて,それが心配で夜道を下山したとのことです。安全なルートを辿れば良かったのですが,どうも先を急いでいたのか近道を選んだみたいです。そして,あくる朝,滑落して短い生涯を閉じた彼の遺体が発見された…ということです。
ベルント・グレーバーの時もそうでした。にわかに信じがたいのですが,マルティン・グガニックが天国に召されたのは事実のようです。誠に残念です。……全く言葉もありません……。今自分にできることは,涙を浮かべて,キーボードを叩き,彼の冥福を祈るばかりです。「グッキー!!!早過ぎるよ…。あまりに…」
今日,スクールを代表して都合のつく教師2名が,現地に向かいます。私の思いも,そして皆さんのグッキーへの思いも,一緒に持って行ってくれるように頼んでおきたいと思います。
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July/04/2003 (金曜日)
今日から,知人の結婚式に参列のためちょっと大阪まで出掛けます…。今朝早く出て,帰りは6日(日)になります。その間教師日記は オ・ヤ・ス・ミ となります。(=_=;) 申し訳ありませんがよろしくお願い致します。
せっかくの大阪ですので,おおいに楽しんで来たいと思っています。楽しいおみやげ話があるといいですネ!(^I^) (^o^) (^I^)
では,行って参ります! (^I^)
皆さんも,イイ週末を!…
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July/03/2003 (木曜日) 曇り
今日は気温が18℃…少し涼しいというかTシャツだけでは肌寒い感じです。(^I^) 昨日は健康診断のため松本市まで出掛けて来ました。松本もイイ天気で,それほど暑い!という感じでもなく街の中をブラブラしてきました。それにしても「松本」の市内…変わりました!昔の城下町の風情をさりげなく保ったまま,新しい感覚の街づくりに成功しているような気がします。今度,スキーの行き帰りに皆さんも時間を作ってお寄りになってみてはいかがでしょう?(^I^) 美味しい店も紹介しますよ!
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さて今日は“T.S”さんから頂いた e-mail の紹介です。スキー板選びの大切さを数日お話ししていますが,「スキーブーツ」の選び方は?ということでお便りを頂きました。
『 …TOK先生、こんにちは!教師日記毎日楽しみに拝見しています。スキー板選びに付いてはいろいろとそのポイントを書かれていますが、スキー靴はどう選んだらいいのでしょうか?実は今使っているスキー靴は3年前のもので,1シーズン約20日滑っていますので合計60日ほどしか使っていないのですが、少しユルユルな気がするのです。交換の時期,あるいはその選び方のコツなどお教え頂ければありがたいです…』
「スキーQ&A」のブーツ選びの項にも書いていますが,ポイントとなるのは「靴の前傾角」,それに「カント角」と「フィット性」だと思います。それぞれリンク先で説明したありますので参考にして欲しいと思います。
また最近スキーブーツについて思っているのが「シェルの硬さ」のことです。ここ数年,カービングスキーに対応して「ソフトブーツ」なるものが登場し始めました。スキー板の感度の良さをスキーブーツで緩和しよう…というこのとのように思います。でもこのことについては慎重さが必要な気がします。と言うのは,スキー板からの情報を身体に伝えるのがスキーブーツの大事な役目でもあるのですが,それにはブーツの硬さが大事な要素になります。もし柔らかいブーツだと,板からの情報を方を敏感に感じ取ることができません。柔らかいと,せっかくスキー板が微妙な違いを感知してブーツに伝えているのに,ブーツそのものがその情報を緩和してしまって,足裏や脚に雪からのシグナルを正確に伝えることができないのです。シェルが硬いと,雪からの繊細な情報,微妙な違いを違いとしてしっかり身体に伝えることができるのです。特に雪からの圧や情報をを大事にして滑る【Letスキー】では,大事なことです。もし,スキー経験が浅く,【Doスキー】的な,雪に働き掛ける滑りを多用する人は,逆にシェルが柔らかめの方がイイ…ということになります。その方が身体の動きを自由に使うことができるからです。ここら辺にも,「スキーブーツ」選びのヒントが隠されているように思います。昔,小回りの名手と言われた名デモ「三枝兼経」さんは,カベールの,もの凄くシェルの硬いスキーブーツを愛用されていました。どうしてあんな硬いブーツを使いこなせるんだろう?しかもウエーデルンという小回りで???…と疑問に思ったことがありましたが,最近その回答が判った気がします。三枝さんは「かかと支点の【Letスキー】」を当時からされていたのです。(^I^) そう言えば「スキーは自分からスキーを動かさずに,腰の下をスキーが横に出て行くように乗るんだよ!」と言われていたのを思い出します。シェルの硬さ…これも「靴の前傾角」「カント角」「フィット性」と並んで大事な要素だと思うようになった【TOK】でした。
さて,スキーブーツの寿命ですが,私は1シーズン約100日,同じスキーブーツを使ってレッスンをしています。そして2シーズンは同じブーツを使っていますが,別に支障はありません。ですから,よほど痛いとかユルユルだとか,足に合わない…という状況で無い限り,少なくとも5年は持つでしょう。但し紫外線などでシェルが化学変化を起こして弱くなる…ということも言われていますので,保存法は良く考えられた方がいいでしょう。また,ユルユルの場合でもインナーブーツに厚手の靴下を履かせるなどの工夫をすればだいぶ改善されます。買い替えの前に試してみる価値はあると思います。(^I^)
余談ですが,私はブーツ選びの時,「シェルの硬さ」⇒「靴の前傾角」⇒「カント角」⇒「フィット性」…の順で優先させています。なぜ「フィット性」,つまり痛くない快適なブーツが最後に来るかと言えば,少しサイズ的に余裕のあるスキーブーツを選べば,その後にいろいろチューンアプができるからです。試履の時に,緩めのバックルにして少なくとも30分は履き続け,痛く感じないのを選びます。バックルを充分締め,この時点でピッタシ!というのを選んでしまうと,後でチョッと当たる…という状況になったとき,シェル出しなどで苦労することになります。
“T.S”さん,少しは参考になったでしょうか? お役に立てれば嬉しいです。(^I^)
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July/02/2003 (水曜日) 晴れ
今日は山の方,西側には雲が掛かっていますが,東の方面は青空が出て晴れています。天空の雲の量も70%くらいですので「晴れ」ですネ!(^I^) 梅雨の最中ですが結構カラッとしていてしのぎやすい白馬です。
ところで,オフトレ講座…もうやらないのですか?という e-mail を少し頂いています。もしご希望の方が多ければ開催できますので, e-mail で都合のいい日などお知らせください。(^I^)
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さて今日は昨日の続きで,“M.I”さんから頂いた e-mail に対するコメントの続きです。 e-mail は昨日の所をご覧下さい。
昨日は「天野先生」のことにを例にとらせていただきながら,スキー指導について述べさせていただきました。今日は後段の,スキーの性能について…。
“M.I”さんが仰るように,スキーの性能によって滑りは全く違ったものになります。ですから,スキー教師はお教えしているとき,技術的にまだその域に達していないからあるレベルの滑りが出来ないでいるのか?それとも,技術的にはクリアしているが用具のセイでうまくいかないのか?の判断を下せる眼力が必要です。
特に最近のカービングスキーは製造技術の革新により,曲げ剛性(スキーの長軸方向の硬さの度合いでフレックスとも言う)も,ネジレ剛性(スキーの長軸を軸として捻ったときの硬さの度合いでトーションとも言う)も自在に作れるようになりました。そのため,いろいろな性格のスキーを作り出せるようになりました。俗に言う「切れるターン」のためにはネジレ剛性が強い方が良く,また回しやすさのためには曲げ剛性が柔らかい方が良い…ということができます。ですから,回りやすく,しかも切れの良い板…という,昔だったら製作が不可能だった性質の板も作れるようになりました。ただ,それには限界がありますが,以前に比べれば驚異的な変化です。でも,いかに製造技術が進歩しても,乗り手の技量や体重,それに目的とする滑りの違いによってその人に合った板,というものがあります。あるデモが良い板だ!と言ったからといって誰でもその板を履けば同じように滑れるというものではありません。また同じ小回りなら小回りでも,乗り手の体重と脚力の強さによって適する板の違いがあります。
“M.I”さんご自身,そしてお二人の女性の方がスキー板を換えられて,滑りの感じが変わられた…とのことですが,そういうことはおおいにあり得ることです。特に技術レベルが上がって来ている人は…。多分お三方とも,それまでのスキー板の持つパワーを超えた滑りの域,に達して来たのだと思います。(^I^) こういうときはスキーの板のパワーの違いをまざまざと感じます。でもそこまで達していないと,いくらスキーを変えてもその違いが判らないばかりか,逆に足腰に負担を掛けるなど,危険でさえあります。ですから,スキー選びは慎重にすべきです。ここ数年,テストセンター等,いろいろスキーを履き比べることのできる施設がお目見えしています。八方尾根でも4月頃にそのようなセンターを開設しよう…という計画があります。皆さんも積極的に利用し,ご自分に合うスキーを探されたらいいと思います。もし,その機会に恵まれない人は,スキー雑誌などのデータを元に研究されることをお勧めしますです。
また“M.I”さんが仰るとおり,スキー板の手入れ,特にエッジをいつも研磨しておくこと,は非常に大事なことです。滑走面も大事ですが,エッジは雪面のホールドに直接関わる場所でもあり,特に大切です。また後日,簡単なエッジ研磨についてUPしたいと思いますが,チョッとしたコツさえつかめば誰にでも簡単にできます。レースに出てタイムを争うとか,技術選に出場して上位を狙う…ということでもない限り,皆さんにもできますので,楽しみにお待ち下さい。(^I^) 手入れがある程度いき届いた最近の板を使えば,テカテカのアイスバーンでも安心して滑ることができます。こんなことは以前は考えられないことでした。それだけスキー板の改革が新しい楽しみを増やしてくれた…と言えます。でも,一歩スキーの選択を間違えば大きな怪我にもつながりますので慎重なスキー選びが必要です。
スキーは道具を使うスポーツですので,その道具の性能がスキーの楽しみをいろいろと変えてしまいます。適した道具選び,それを間違わずに使う技術…これを私たちスキー指導者は常に研究し,勉強して,現場で生かさなくてはいけません。日々,これ勉強です。
来シーズンも多くのスキーヤーがお気に入りの一台を駆使して,雪山を滑りまわる姿に出会えることを願っています。(^I^) (^o^) (^I^)
“M.I”さん, e-mail ありがとうございました! (^I^)
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July/01/2003 (火曜日) 曇り
今日から「七月」です! 今年も半分を過ぎた…ということですが,今年は時の過ぎるのが速いような遅いような…。いつもなら,過ぎた結果を見ることが多いので,速い…と思うのですが,最近毎日の生活をじっくり楽しみながら…という気持ちがあるせいでしょうか,やることをしっかり見据えている感じがあって,充実感があり,良い感じで過ぎている…という気がします。「今,この時間をそのことに集中し,じっくり楽しみながら過ごす…」ということが,生活に張りを作ってくれているのでしょうか?毎日過ぎていく時間が,軽い速さでなく,重みのある速さに感じます。(^I^)
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さて今月も,メインはこの過ぎた2003シーズンに頂いた e-mail を中心に展開させていただこうと思っています。途中何か話題があれば,それも交えながら…。
今日は“M.I”さんから頂いた e-mail の紹介です。ちょっと長い e-mail ですので,二日に分けて私のコメントを紹介させていただきます。
『 … 2000年2月末に八方でTOKさんの主任検定員で1級を取得した(ことを偶然オンラインスクールを見て発見した)“M.I”と申します。さらに、TOKさんに、昨年秋、大阪へご足労いただいた「毎日スキーヤーの集い」を,以前仕事で担当していました。私が、「毎日スキーヤーの集い」のコーディネーターである天野誠一先生と初めてお会いしたのは、2000年3月に1級を取得した直後でした。当時すでに80歳を越えられた天野さんの、ニセコ山頂からプリンスホテルまでの3000メートル越えの、スキーに楽に楽に乗ったノンストップ滑降は、「1級が終着駅」と思っていた私の考えを根本から覆しました。「生涯スキー」が先生の口癖ですが、その思いを受け継ぎたいと決心しました。現在○2歳。衰える筋力、瞬発力と闘いながら、テクニカルを目指しています。年間25日滑走を目標にしています。来年、休暇の都合がつくのならば、準指導員を目指したいと考えています。
今日HPを拝見し、新年に最近書かれていた、板のトーションの件、非常に共感いたしました。昨シーズン、R社の10.2Tという、1級を取った年から使っていた板が、テク検定の1日目終了時にエッジ割れ。翌日幸運にもクラ受験の友人が持っていた予備の板を借りる羽目に陥りました。翌週にもスキーの予定があり、選択期間は1週間、迷ったあげく、同じメーカーの9DSを急遽、購入したのですが、どうやらトーションが私には強すぎました。今シーズンD社のスキークロスSドライブという1年前の板を無理して買い足しました。違いは歴然でした。おかげで、明らかにすべりが一皮向けました。少なくとも1種目くらいは、テクニカルの合格点が出るレベルになってきたと信じ、体と財布に鞭を打とうと思います。
この3連休、2級を取りたいという30歳前後の女性2人とスキーに行って、僭越ながら、スキー教師の真似事をしてみました。プルークの確認、谷回り、山回りそれぞれを意識させたプルークボーゲンなどなど。素人なりに、徹底的に基礎的なことをさせました。さらに、急斜面に連れて行ったり、コブに入れたり、おふぴすてに入れたり、総合的に自分のスキーの情熱を伝えました。所有のビデオで撮影もして、昼食時、夜、時にはリフトの上でも映像でフィードバックさせながらの3日間。目に見えた向上がありました。彼女たちからは、次の機会を要求されています。彼女2人、エントリーモデルの板(A社)を履いていますが、向上心からか、私があおったからか分かりませんが、もう少し上級向きの新しい板が欲しくなったようで、最終日昨日の午後、R社のテストセンターで、試乗までさせてしまいました。1000円で2時間貸してくれました。トーション、フレックスの強さに最初はかなり、戸惑っていましたが、急斜面、さらに急斜面アイスバーンへ連れて行ったら、「こんなエッジが切れるなんて感激」と乗り気になりました。購入後10日ほどの私のD社の板でも踏み外しかけたほど固いバーンですが、全然平気だったとのこと。普段スキーにワックスもかけず、むろん購入後数年チューンもしていない「なまくら」な板と、テストセンターの板と、条件は全く違うので、「まずチューンに出しなさい」と指導?しましたが、恐らく2人のうちどちらかは、購入を真剣に検討し、どちらかが購入したら、もう一方も引きずられるでしょう。
TOKさんのHPから感じられるスキー教師としての情熱。尊敬しながら拝見しています。多様化するレジャー、厳しい経済事情の現状、用具メーカー、スキー場、策道会社、ホテル、旅館、スキー学校など、「スキー」産業全体が非常に厳しい状況であろうかとは容易に推察できます。「指導法」「用具の選び方」はじめ、TOKさんのような方の情熱ある方が、今以上に増えれば、雪山に人を呼び返す魅力がスキーにあると信じています。
今後のご活躍をお祈りいたします。』
“M.I”さんこんにちは! そうでしたか!!!…「検定」と「毎日スキーヤーの集い」でのつながり,まさに奇遇ですね!(^I^) 本当に人生いたるところでいろいろな方々のお世話になるものです。毎日々々の人との出合い…その機会を喜び,誠意を持ってお付き合いすることの大切さを感じます。(^I^)
天野誠一先生…だいぶお年を召されましたが,まだまだかくしゃくとしてスキーを楽しんでおられます。つい最近まで,果敢に突っ込めば時速90キロくらいは出ると言われる「八方リーゼンスラローム大会」にもエントリーされ,滑っておいででした。日本の基礎スキー界のまとめ役的な存在の方で,たしか日本が初めて参加した「第7回国際スキー指導者会議」の団長として参加し活躍されたと記憶しております。SAJの役員としても活躍され,またSIAの4代目会長として,1981〜1996まで重責を全うされました。プロだアマだというようなことを抜きに,スキーの楽しさ素晴らしさをいろいろな機会をとらえて啓蒙しておられます。スキー界の先達として本当に尊敬申し上げる方です。(^I^)
「1級」が終着駅ではない…お言葉の通りです。技術修得の励み…的な意味での級別テストへの挑戦は,それなりの意味のあることだと思いますが,本当のスキーの面白さはその後にあります。1級くらいのレベルになれば,オフピステ,コブ,悪雪…Etc.どんな斜面でもトライできる筈です。そういった文字通り「宝の山」で存分に滑り回り,自分の存在や,アア俺は生きている!ということを確認するのが,また楽しいのです!。お年を召されても,年齢なりの会話が楽しめます。他人に関係なく,自分自身でプランがたてられ,自分の責任で自分の能力に応じた雪との接し方が出来るからです。仰るとおり「生涯スキー」なのです。
昨日も指導員の役割…についてお話しましたが,本来指導員はこのようなことを広めていくのが大事だと思います。技術をいろいろ分析し,アアだコウだ…というのもあながち意味の無いことではありませんが,それをどう使うか?の方がより大事だと思います。そこそこのレベルに達すれば,それなりの自然の斜面にトライできる筈です。心がドキドキし,新しい体験が待っています。そういう「ドキドキワールド」へ,スキーヤーを誘うこともスキー教師の大きな仕事です。“M.I”さんも準指導員の資格取得を目指されるとのことですが,資格の有無に関わらず,
e-mail の後段で書かれておられるような指導はできる訳ですから,ぜひこういう活動もお続けいただきたいと思います。すると,他人に教えることがどれだけ自分の技術向上に役立つかも分かるようになります。教える事は習う事…私も毎日実感しております。(^I^)
過日,天野先生にお会いし,お話しをさせていただいた時も,「難しいことを難しく教えるのが指導者ではない。難しいことをやさしく,誰にでもわかるように解説し,実際の斜面で応用できるようにしてあげるのが本当の指導者」…というように話して居られました。お互い天野先生仰るところの本当のスキー指導者目指して頑張りましょう!!(^I^)
この続きはまた明日…(^I^)
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