August
2002

八方尾根スキースクール教師【TOK】の個人的な日記です。興味のある人はどうぞご覧ください。(^I^)  
          
Ski Top   【TOK】への Mail          

 What's Today ?

What's Today ?

08/30 “感じるスキー”の究極
08/29 テクニカル用の板は?
08/28 達人のエキスタシー
08/26 原始的な能力
08/25 トップもテールも大事
08/24 躍動感と“重心”
08/23 足裏センサーを磨いて
          別世界へ!
08/22 小回り映像で感じた事
08/21 小回り入門
08/20 雪サブさんのレポート
      … インラインについて
08/19 インラインの効果は?
08/18 悪雪,深雪もOK!
08/17 運動強度50%で …
08/15 小回りは正対?
08/14
 感性…人生を味わう
08/13 重心移動と登山
08/12 ハードなトレーニング
08/11 やさしい言葉での解説
08/10 小回りのターン後半
08/09
 急斜面ターン後半は?
08/08 悪雪とスキー板
08/07 悪コンディション
      は愉しみの宝庫
08/06 悪コンディション
        での滑り

08/05 コブの滑り方
    コブと【Letスキー】
08/04 コブの滑り方
       コース取り
08/03 コブの滑り方
       小回りの基本
08/01 バランスを崩さない
  ***
     これまでの日記  
           ***
*  2002年7月
*  2002年6月
*  2002年5月
*  2002年4月
*  2002年3月
*  2002年2月
*  2002年1月
*  2001年12月
*  2001年11月
*  2001年10月
*  2001年9月
*  2001年8月No.2
*  2001年8月No.1
*  2001年7月

教師日記 2001年6月

教師日記 5月

教師日記 4月

教師日記 3月

教師日記 2月

教師日記 1月

教師日記 12月

教師日記 11月

教師日記 10月

教師日記 9月 #2

教師日記 9月 #1

教師日記 8月 #2

教師日記 8月 #1

教師日記 7月

教師日記 6月

教師日記 5月 

 

 

 

 

 

 

 


Aug./31/2002(土)  快晴
 
 昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…

  今日も良い天気です! 時々白馬三山が,その頂上を見せてくれています。「秋空」という感じが強い白馬です。 (^I^)  今日も … 白馬三山が見えています (^I^)…。
     ***** 

  さて,今日はスキースクールの行事で早朝出勤です。スノーメイトの皆さんと「八方尾根清掃トレッキング」があります。冬お世話になるゲレンデを少しでもきれいに!ということで…,行って来まぁーーす!(^I^)


Aug./30/2002(金)  快晴
 
 昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…

  今日は良い天気になりました! 夏空と言うより「秋空」という感じがします。そういえば,今年はまだ山肌に「残雪」がありますねぇー!(^I^)
  今日は … 清々しさが漂う白馬です! (^I^)…。
     *****

  さて,今日は前シーズン中に“K.T”さんから頂いたご質問とその回答の紹介です。
 
  『 … 低中速での小回り中回りはスキーが重心下をクロスするまで我慢して次のターンにまで行けるようになりました。ただもう少しスピードを上げて大回りをすると重心下をクロスするまで我慢する事は出きるのですが、次のターンに入る外脚荷重がうまく出来なくなりました。つまり圧をもらうのがうまく出来なくなりました。内足に乗りすぎてしまうのです。今シーズン初めて派手な転倒までしました。もう一度スキーの基本にかえって踏みかえるようにして片足で外脚の圧を受ける感じを練習し直した方が良いのでしょうか?また大回りの場合、クロスオーバーの意識は小回り中回りとは少し違うのでしょうか?ちなみに小中回りと同じ感覚でやろうとしてみました。そのせいかもしれませんが。
 また今日はかなりのアイスバーンでした。名木山(整地アイスバーン中斜面)で八方の指導員の小回りを見かけましたがかなりDOスキーで滑っている様に見えました。こういうときもLETスキーが有効なのでしょうか?自分はベンディング的DOスキーな滑りが良いような気がしましたが・・・。どういうシチュエーションでも“LETスキー”ということはないですよね。
  自分の滑りはこのまえ見てもらったとおり小回りより大回りの方が上手の気持ちでいました。それが今日滑った感じでは先程も述べましたがそれが逆転してしまったような気がします。最後にこの前のレッスンの発展型と,今後の簡単なアドバイスをお願いします。 … 』

  大回りで,ターン前半の捕らえの感じがいまいち … ということですが,クロスオーバーを短時間でやってませんか?大回りでは,♪♪♪クローーォーーーッス♪♪♪ … という風に,時間を長く掛ける意識がないと,圧が急激に変化し,ときどき次のターン始動期で「抜け」の現象があらわれて,圧が捕らえなれなくなります。大回りと小・中回りとは,このクロスオーバーに掛かる時間が違うだけ,と思った方がいいでしょう。また後で述べる「エネルギーライン」を意識することもこれを防ぐことにつながります。
  アイスバーンでの小回り … ですが,滑り方が一つだけ!,ということはありません。極端に言えば用具や身体の特徴によって千差万別だと言ったほうがいいでしょう。ただ,アイスバーン … という状況で安定して滑るにはどうしたらいいか?という意味では,それにあった滑り方,というのはあると思います。私はアイスバーンでこそ【Letスキー】がその真価を発揮すると思っています。それは「急激なエッジングはその後の“重心”の軌跡を狂わせることにつながり,ターン円弧のコントロ−ルに支障を及ぼす」からです。もちろん,脚力があり,エッジング操作のうまい人の中には「ギュッ,ギュッ…」というような運動で滑れる人もいますが,そのようなスキーの動きを瞬間的に止めてしまう動きは,足元の不安定さを助長するものになりがちです。私はそういうわけで,ベンディング的な【Letスキー】が理想だと思っています。
  得意な滑りが変わったみたい … ということですが,雪からの力をもらって,その力でターンする事を覚えると,それまで雪に働き掛けて滑っていた時とは違うフィーリングになり,得手不得手が逆転する人も居ます。“K.T”さんも,そのお一人なのかもしれませんね?(^I^)
 今後の課題 … ですが,「教師日記」にもよく書いていますが,【Letスキー】感覚で「エネルギーライン」を様々にイメージアプする練習をすることだと思います。「“オレンジ”を置く場所とその形状」…そして「身体の“受け皿”の場所」をいろいろ変えることで,その組み合わせは無数になります。その時々の組み合わせで,滑走フィーリングは微妙に違って来,千差万別な滑走感覚が得られることになります。“感じる”スキーの究極は,この組み合わせをいろいろ替えて行なうことで,様々なコンタクト感を経験することです。「エネルギーライン」を常に意識した滑りこそ,安定した,自然と一体感のある,美しい滑りになると思います。(^I^)




Aug./29/2002(木)  快晴
 
 昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…

  時々山の稜線が顔を出しています。 8月もあとわずか…残暑,少しは和らぎましたか? そういえば,朝,太陽が顔を見せるのが確実に遅くなりましたねぇー …
  残暑 … 厳しいですが…。
     *****

 さて,今日は On Line Ski School の掲示板上のご質問にお答えします。ご質問者は“船橋の現場に8時集合”さんで,ご質問の内容は …
 
『 板の選定について是非ご解答願います。私(と友人)はテクニカル受験に向けて練習中です。来期は板を新調しようと考えてますが、極端な例を除き、板の選定(R、フレックス)により合格しにくいようなことはあるのでしょうか? また、1本の板で全ての種目を滑る場合に適した仕様(例)があれば教えてください。十分な実力者であれば板の特性を超えて十分な滑りが出来ることは十分心得ております。 』
  テクニカル受験に向けて,スキー板の選択をどうしたらよいか?という趣旨のご質問です。
  大事なことは,まずテクニカル検定の評価方法,着眼点をしっかり把握することです。これは次のように定められています。「あらゆる斜面,状況に即応して滑ることができる。具体的には,速く,正確に,安定した動きができる能力 … 運動の質的内容(バランス・リズム・タイミング),運動要素への適応度(スピードと回転弧のコントロール),ターン運動の構成(ポジショニング・エッジング)」となっています。
  ここでは,1,2級のように,「スキッディング要素とかカービング要素」という文言はありません。その与えられた斜面上をいかに状況にあった滑りができるか?ということが大事なわけです。ですから斜面が荒れていたり,急だったりすれば,ギンギンのカービングで滑る必要は無く,スキッディングも交えながら滑ることが必要です。では,評価ポイント,得点の差は何で生まれるのか?ということですが,バランス・リズム・タイミング・スピード・回転弧のコントロール・ポジショニング・エッジング … がマッチングしているかどうか?ということで決まります。例えば,安定して滑れるけれど,ある人は時速50キロが限界,ある人は70キロでもOK … ということになれば,時速70キロの人が「習熟度や到達度」で勝っているから評価ポイントが高い,ということになります。つまり,速さ・正確さ・安定性のバランスがどのくらいのレベルでマッチングしているか?ということが大事なわけです。ですからいくら高速で滑って来ても,バランスが乱れたり,ターンコントロールに不安があったりすれば評価は低くなります。
  そこで,「小回りでは小回りのやりやすい板があり,大回りでは大回りの … そしてコブではコブに,整地緩斜面では緩斜面に適した板があるから,じゃあいったいどういう板を使ったらいいのか?」ということになります。受験される方が迷うところなのですが,私の考えでは,「“スキー”をスポーツとして行なう上で,実際に許される範囲内に止めるべきだ」と思います。一般のスキーヤーがコブを滑るからコブ用の,あるいは大回りでは大回り用の … といった選択ができるのはごく稀で実際的ではありません。技術選レベルで技を競う … というのであれば別の考えもあると思いますが,あくまでも「技能テスト」ですから,本来は使用する道具の性能によって評価点が異なる … というようなことが無いのが理想だと思っています。受験する人も,それぞれの斜面で板を換えて滑らなければ自分の「習熟度や到達度」を披露できないようでは寂しいですし,検定員も受験生がどういう板を使って滑っているか?を見て,それを評価に反映できないようではお粗末 … としか言い様がありません。
  ですから,先ほどの「マッチング」に加えて,スキーヤーと使用するスキー道具とのマッチングも大事だと言えます。そして,テストの実施要綱をよく見てみると,斜面設定の目安 … ということで,規定種目の大回りは「不整地を含む急斜面」,小回りでは「整地/急斜面・不整地/急斜面」,総合滑降では「総合斜面」となっています。実践種目では「実践種目に適した斜面」 … となっていて,不整地緩中斜面,等というのは見当たりません。ですから,これらの斜面設定から考えれば,ギンギンのカービング性能の板は必要ない … と思います。これらのことを勘案すれば,スキー板のRやフレックスについては,どのくらいのものが一番良いのか?の判断がつくのではないでしょうか?。
  
1本の板で全ての種目を滑る場合に適した仕様 … ということですが,私の経験ではこのような板には出会ったことがありません。得失が必ずあります。ある面で優れていれば,他面で必ず劣っている部分があります。オールランド … というのは,こういった特別な性能をある程度抑えて,特徴を出さないようにしている板です。
  
十分な実力者であれば板の特性を超えて十分な滑りが出来る … ということはあり得ないと,私は思っています。特性を十分に生かして … はあると思いますが … 。
  私の個人的な意見としては,受験生が最も信頼する一本の板で,大回りも小回りもコブもこなして滑ってくれるのを望んでいます。それでこそ,本当の意味で「あらゆる斜面,状況に即応して滑ることができる…」と言えるのではないでしょうか? “船橋の現場に8時集合”さん,頑張ってください。(^I^)





Aug./28/2002(水)  晴れ
 
 昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…

  今朝の白馬は,どことなくドンヨリ…しています。皆さんの地域は,まだ暑いですか?
  昨日は所用で松本に行って来ましたが,まだ「夏」…という感じの暑さでした!
     *****

  さて,今日のお話は,”Dr.N”さんから頂いた久々の原稿,「スキーと武術の共通点・・・?」について … です。
  この中で,”Dr.N”さんが語っておられますが,「スキーと武術の共通点・・・??一見すると全く共通性は無いように思われがちですが、実は大いにあるんです…」ということに,注目させられました。

  格闘技ではよく「相手の力を利用する … 」ということが言われます。私も少しだけ「柔道」をやったことがあるのですが,これなどはまさに,相手の力をどう利用できるか?ということ尽きるように思います。実力者同士になれば,互いに利用されないように対峙し,ほんの少しのスキを見て間合いを図り,わずかな力を増幅させるようにして相手を投げ飛ばします。”Dr.N”さんは,“重心”のバランスをいかに崩すかが,格闘技のひとつの側面だと書いておられますが,「スポーツ」をそういう目で見るのも面白いなぁー … と再確認しました。大地と接している「支点」と「重心」の間にあるラインをいかに作り上げるか?維持するか? … ということの「妙」です。
  考えてみると,あらゆるスポーツで,「達人」と呼ばれる人たちの立ち居振る舞いを見てみると,「“重心”に対して外力を操作する」ということが非常にスムーズに行われていることがわかります。「流れがある」,「腰が入っている」とか「体重が乗っている」 … はたまた「間合いが良い」,「バランスが取れている」 … とかいう表現は,“重心”そのものの動き,または“重心”との相対的な関係のこと,を言っているように思います。
  あらゆるスポーツにおいて,入門したての人たちは,どちらかというと“重心”ではなく「支点」の方に着目します。たとえば「空手」で言えば手や足の力加減であり,スキーで言えば「荷重点」への力加減です。これを自分の身体の持つパワーとして表現しようとします。しかし,長くやっていると,このパワーの源は“重心”があってこそのことだ … と気付きます。“重心”がシッカリしていればこそ,そこから伸びる力,また引く力が強烈になるのです。俗に言う「腰が据わっている」という言葉は,まさにこのことを表しているいるのでしょう。

  ”Dr.N”さんも言っておられますが,手や足のことに意識が行っているときの動きは【Do】的であり,これが“重心”に行くようになれば【Let】的感覚がつかめた … ということになるのだと思います。「達人」と言われる人たちの発した言葉の中には,このように“重心”を中心とした運動があり,そこから「触手」のように伸びる手足で「何かを感じ取る」という感覚が秘められているように思います。

  こうやって見てみると,“動”的な【Do】意識が支配しているうちは,まだそのスポーツの内面が見えていない段階かもしれません。【Let】感覚で捕らえられるようになって,初めて“静”的な,そのスポーツの本質が見えて来る … と言えるのでしょう。”Dr.N”さんがおっしゃるように … 。
  そして,この段階までそのスポーツに傾注できるようになって初めて,そのスポーツが,単なる運動ではなく「精神的高揚」を伴った意義のあるスポーツとして,意味を持つのでしょう。まさに「達人」の領域に入った人が感じることのできる,エキスタシーがそこには在る … のかもしれません。(^I^)



Aug./27/2002(火)  曇り
 
 昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…

  今朝は久々に早起きしたら,朝焼けがきれいでした!(^I^) 。 もう雲がかかり始めましたが …
みなさんの,この週末はいかがお過ごしでしたか?

     *****

  さて,今日は用事で朝早くから松本に行かなければなりません … 。
  …で,きょうの日記は オ・ヤ・ス・ミ となります … (=_=;)  ゴメンナサイ…。

  



Aug./26/2002(月)  曇り
 
 昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…

  今日の日曜日 … 久々の太陽! そんな気がします。 気温も23度ですこし最近では暖かいかな?(^I^) 。 みなさんの,この週末はいかがお過ごしですか?
  また今日から新しい週の仕事が始まりますが,楽しむつもりでやろう! そう思っている【TOK】です。(^I^)
     *****

  さて,今日は“N.T”さんから届いた E-mail をご紹介します。次のような内容です。(^I^)
  
『  … ホームページの記事をいろいろ読ませていただいて、やはり我々素人のなんちゃってスキーヤーとは体感覚が違うのを感じます。僕は斜面を落ちていくのにいっぱいいっぱいで、足底の圧を感じたり、板のしなりを感じる余裕はまだまだないですね。考えてみると、仕事で使ってる道具なんかは、表面のざらざらやへこみまで目を閉じていてもわかるわけで・・そうなるのが大事なんかなぁと思いました。これからまた出てくる感覚なのでしょうし、体が新しい経験をするのが楽しみです。・・・一生しらないで終わるかもしれませんけども・・・。(中略) … 僕は少しだけ武術をやってたのですが仕事が忙しくやめてました。でも、スキーの動きに似てる点が多いので、その基本と、動きを見直して練習を再開してみたらいろいろ再発見があり、ひょんなことで勉強させてもらいました。スキーのおかげで、ただの丸覚えだった武術や格闘技の技術から、少しずつ自分で発見と工夫を繰り返すいい流れ、というか楽しい流れになってきているような気がしています。前は練習がつらかったんですが、今は楽しい・・。スキーと同じで、自分で考えて実践していかないと駄目なもんですね! … 』
  “N.T”さん,誰でももともとは素人 … ですヨ! ハッハハハハ……(^I^)(^I^)。 わたしも,これほど「体感覚」がスキーと関連があるとは思いもしませんでした。
  バランス…,安定した滑り…,気持ちよく滑る…,雪質や斜面条件に影響されない…,なんとかうまくさせてあげたい……などということを考えながらスキーをしてきたら,“感じる”とういことにたどり着いたのです。人間の身体とは良くしたもので,雪を,スキー⇒足裏⇒脚⇒上体 … という風に感じ取ろうとすると,それに合った仕草を自然に作り出してくれるのです。で,問題は,いかに“感じる”能力を高めたらいいのか?ということですが,これはもう「素直な気持ちになって“雪”に任せる…」ということ以外に無いように思います。ある意味で「脱力」し,足裏に伝わってくる情報に意識を集中してみる … ということです。“N.T”さんもおっしゃるとおり,仕事で使ってる道具なんかは、表面のざらざらやへこみまで目を閉じていてもわかる…のですが,意識がそこに集中できているからだと思います。集中できてナニカを感じ取っているのだと思われます。これはなにも“スキー”をしているときだけでなく,いろいろな日常生活の場面で経験することです。
  体が新しい経験をするのが楽しみ … これと同じことを私も感じています。感度や感覚は,どれだけそこに意識を集中するかで高まると信じています。美味しいものを食べると味覚が,美しい音楽を聴くと聴覚が,そしていろいろなものに触ると触覚が,磨かれていくと思います。ですから,臆せずにいろいろなことを体験することが大事になります。机上でいろいろ考え分析するのは,その後です。私は「経験主義者」…と言われているのですが,それは「多くの経験を通して身体で感じ取る」ということを大事にしているからだと思います。わたしがレッスンでお話しする“フィーリングスキー”も,その原点はこの“感じる”にあるのです。(^I^)
  武術の練習再開で,新しい流れを見つけられ,練習が今は楽しい! … ということですが,身体の五感を研ぎ澄ませ,一挙一動に思いを至らせて何かを感じ取ろうとすれば,スポーツの違いはあれ,同じような心の満足が得られると思います。“N.T”さんが武術を通して身体の面白さ,素晴らしさに気付かれたとすれば,本当に良かったと思います。(^I^)
  “感じる”ということは,考えてみると,「人間の最も原始的だけれど基本的で大切な能力」なのかもしれませんネ?。





Aug./25/2002(日)  晴れ

 
 昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…

  雲の多い土曜日です … 。 あす日曜日,午後からは晴れ間が出るようですが … 。みなさんの,この週末のご予定は?
  白馬は秋の風情です。 そうこうしている内に雪が来るねぇー … (^I^)
     *****

  さて,今日は8月23日に掲示板で受けたご質問について … 。ご質問者は“スキーばか”さんで,その内容は …
  
『  いつもTOKさんのHPを見せていただき大変勉強になっています。私は、このオフシーズン週2-3回、近所の室内スノボ、スキー場で不得意な小回りをひたすら練習しております。そこで最近感じることですが、カーブ&スキッドの小回りには、スキーの内エッジのうち特に接雪点からビンディングのトーピースあたりがシャープでないとうまく雪面を捕らえることができない感じがします。これまでは小回りはスキッドの要素の多いスキッド&カーブしかしたことがなかったんでエッジが少しあまくなっても平気だったんですが、カーブ&スキッドの練習を始めるとエッジは常にたてておことが大事な感じがしてきました。TOKさんは、どう思われますか?  』
  
… というものです。
 
 私が思うに,結論から先に言わせてもらえば,「エッジはどんなときでも磨いておくことが大事!」ということです。深雪の時などで,エッジでの捕らえより「面」での捕らえのほうが聞く場合などでも,エッジを磨いておくことは害にはなりません。最近主流のカービングスキーは,特にネジレ剛性,つまりネジレの強度が強いので,雪面ホールドがしやすいのですが,それにしてもエッジの角が丸くては用をなしません。
  また,おっしゃるように,小回りなどで急斜面を滑るときは,雪からの圧をうまく受け止めることが大事なので,エッジを立てる … もしくは手入れをして磨いておくことは,必須です。いかに運動がうまく行われても,また,良いイメージが持てても,肝心のエッジがおろそかではいい結果を生むことはできないでしょう。いくら腕の良い大工さんでも,錆びたカンナで見事な木目を出すことができないのと同じです。(^I^)
  さて,カーブ&スキッドの小回りには、スキーの内エッジのうち特に接雪点からビンディングのトーピースあたりがシャープでないと … ということですが,ハッキリ言って私の不勉強な為,「カーブ&スキッド」の本当の意味が,私自身解らないのです。(=_=;) 最近のスキー雑誌ではよく見かける言葉で,「ターン前半から中盤にかけてカービング要素で滑り,ターン後半をスキッディングに移行させる」ということらしいのですが … 。実は,この言葉が生まれるキッカケとなったのは,「宮下○樹」君の技術選での滑りなのですが,その彼に「カーブ&スキッドってどういうこと?」と聞いても,「自分ではあんまり良くワカラナイ。でも,ある人が見るとそうらしい … 」というナントモ頼りない答えが返ってくるのです。で,彼が彼流に思うことは,「ターン後半,角付けが緩みながら,圧が減少し,そしてクロスオーバーに入っていきます。そのとき,スキーの板は雪面にフラット状態になりながら腰の下を通って次のターン方向に向かうのですが,このとき足裏で感じる圧がつま先からかかとの方に移る感覚があります。このことを指しているようです … 」ということでした。
  つまり,ターン後半では,クロスオーバーに移行する段階で,角付けが次第に甘くなり,しかもコンタクトポイントあるいは俗に言う荷重点がスキートップ側からテール側に移って来るので,あたかもスキッディングをしているように見える … ということらしいのです。でもプレーヤーは後半でスキッディングをしている感覚はありません。他人が見るとそう見える!ということです。
スキッディング … という言葉で表現してしまうと,あたかもターン後半ではスキーをずらさないといけないのかな?と思ってしまいがちですが,そうではないということです。
   … ということを踏まえたうえで,接雪点からビンディングのトーピースあたりがシャープ ?… ということになるのですが,スキーの先端で雪面を捕らえる感覚が強い時,つまりターン前半ではこれが大事です。ですが,ターン中盤から後半にかけてスキーが腰の下を通過するまでの間は,もしテール側のエッジが甘いと,重心がテール側に寄って来る分だけテールがターン外側に逃げてしまいます。つまり,「ズルゥッー」と谷側にテールが落ちやすくなるのです。私が良くレッスンで言うことですが,「方向安定性を求める“モノ”は,ほとんど間違いなくその“モノ”の後部がシッカリとしなくてはならない」のです。例えば「弓矢の矢」であり「F1レースカーのリアタイヤ」であり,「飛行機の方向舵」なのです。これらの物体の方向性を安定させてくれるのは,すべてその物体の後ろの部分です。つまり,スキーで言えば「テールがしっかり雪面をホールドすること」が大事なのです。 … ということで,トップ部分の手入れも大事だが,テールも大事。結局スキー全体のエッジの手入れが大事!ということになると思います。(^I^)




Aug./24/2002(土)  曇り

 
 昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…

  今日の白馬はご覧のような曇り空 … 。 気温は20℃と涼しいです。 ところで,もう明日は週末だぁー! 早いなぁー,日が過ぎるのは!
  もう8月も残すところ1週間ですね?。9月からは,今シーズン,つまり2003シーズンの始まり … っていうことで…。 ハッハハハハ……(^I^)
     *****

  今日は,過ぎたシーズンに“M.H”さんから頂いた E-mail でのご質問について … 。
 
  『  …  今週末、落下運動による雪面からの圧を利用してターンを繰り返しいろいろな感じでターンをしてみました。フィーリング的にはいいものもあったのですが、妻いわく大回りでは沈み込みが少なく躍動感が感じられないといわれました。 自分的にも同様に感じていましたので、かなり複雑です。 すべりを見る力が妻にはあまりないので気にはしていませんが、予想していたことを指摘されたので気になりました。 そう言われましたので、次にターンの圧をかなり抱え込んで処理しようと試みました。 しかしながら板が軽くなってしまうようでいい感じに圧を感じながらのターンはできませんでした。 でも、沈み込み(多分言葉が適切ではないと思います。反動の処理ですかね?)はターンスピードが速くなれば圧が増えてくるのでその処理の対応で大きくなると自分なりには理解しているのですがよろしいのでしょうか? そうすると矛盾がとけてくるのですが・・・。』
   … という内容でした。
  先ず,「躍動感」という言葉の意味について考えてみたいと思います。普通,この言葉を聴いて思うのは「動きが大きくてダイナミックなこと」 … です。辞書によると「おどり動くこと。いきいきと活動すること。」と書かれています。昨日も書いたように,“スキー”では“重心”の動きが前後左右上下に急激に動きすぎると,バランスが崩れ不安定になります。ですから,“重心”を急激に動かすことでは「躍動感」は表現できにくいのです。検定などでエネルギッシュだなぁー!とかダイナミックだなぁー! … と思うような滑りをして来る人はそのほとんどが,上半身が安定していて,下半身が結構激しく伸縮をしています。つまり,上半身の「静」に対して,下半身の「動」があり,そのことが躍動感を感じさせてくれるのです。上半身まで動いてしまうと,それは「暴れている!」としか見えません。つまり,“重心”をしっかりさせ,ターンに必要な圧を下半身で素早くコントロールする … ということが「躍動感」を生む秘訣だ,ということになります。
  “M.H”さんの,沈み込みが少なく躍動感が感じられない … というのは“重心”の上下の動きを言っていると思われます。自分から“重心”位置を下げて,その時にできる「圧」を利用するのではなく,斜面を移動することで,雪から圧をもらうのです。つまり,「落下」する意識をしっかり持ち,雪面をエッジで「剥ぎ取っていく感覚」が大事になります。ブルドーザーが除雪作業で,路上の雪をハイド板で削り取っていくのと似ています。この剥ぎ取り意識が少ないと,どうしてもターン後半に,みずから雪面に圧を掛けることで反力を得ようとしてしまいます。適度なエッジ角で斜面をハイドしながら落ちて行けば,結構大きな抵抗が返って来ますから,あとはその圧を“重心”方向に吸収してやればいいのです。もちろん,一気に引いてしまえば「抜重」になり過ぎてしまいますから,ターンするのに必要な圧を残しながら引いてやることが大事です。落下のスピードが早ければ早いほど,剥ぎ取りの時の圧が強くなるのは当然です。
  私の感覚では,“重心”中心にターンイメージを作り上げれば,滑りの一番理想的な運動が自然に生まれるように思います。大回り低速では上下動のあるゆったりした運動になり,高速ではベンディング的な素早い脚の動きになります。意識してそうするのではなく,ナチュラルに,自然にそうなるのです。(^I^)。




Aug./23/2002(金)  曇り
 
 昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…

  大雪山系に初雪!!! … というニュースが飛び込んで来ました! もう,北海道は雪なんだ! 白馬も寒いわけだ … 。
  もう「初雪」ッ???って感じですネ!  多分私も8月中に初冠雪のニュースは初めて聞くかな?(^I^) でも,どことなく嬉しい気分ですネ! ハッハハハハ……(^I^)
     *****

  さて,今日はちょっとだけ小回りに関連したことで,“N.W”さんからのご質問についてです。“N.W”さんのご質問内容は … 。
  
『 春スキーなどの重たいザラメ雪や人口雪の場合、板が雪に取られたりして、体のバランスが崩れてしまいますが、こういうシチュエーションの場合、どこに注意すればバランス良く、体制を崩さず安定して滑れるでしょうか?特にショートターンの場合、リズムが崩れてしまいます。  』
  …というものでした。
  バランスの乱れは簡単に言えば,「重心の移動に対して,それを妨害する抵抗との間にマッチングができていない … 」ということになると思います。どういうことかというと,自分の身体は,ある方向にある速度で移動しようとしているのに,雪からの抵抗が掛かって来て,それを妨害するように働いてしまい,重心の移動がスムーズに行かなくなる … ということです。もし“重心”の移動をメインに考えれば,スキーのコンタクトが犠牲になり板が雪に取られる … ということになりますし,スキー板の移動をメインに考えれば,重心がスキー板の軌跡に対して上下・前後・左右に変わってしまって身体のバランスが崩れる … ということになります。特に重い雪のときは“N.W”さんのおっしゃるように,抵抗成分が強いので「バランスを崩すこと」が多くなるわけです。
  簡単に言えば,もし重心が斜面上をある一定の軌跡で通って行ければ,バランスを崩すことは無いのですが,ターンができなくなります。ターンをするということは,雪面から抵抗を受け,それをコントロールする … ということなのですが,そのためには良くも悪くも「雪面抵抗」が必要になります。しかし,この抵抗はいつも一定であるわけではなく,雪質や斜面条件によって変わってしまいます。朝イチ滑走が気持ち良くできるのは,斜面条件が比較的一定になっていて,雪面抵抗が一様だからです。でも,斜面が荒れてくると,そうはいきません。抵抗が強かったり弱かったりすることが多くなります。バランスが取りにくくなる訳です。
  では,その抵抗が変わっても,マッチングをうまく取りバランスを崩さないようにするにはどうしたら良いか?というと,「雪からの抵抗の成分」と「重心」の間にあるラインを想定し,そのラインが伸びたり縮んだリしながら,「雪面抵抗で生じる“圧”が一定になるようにコントロールする事」だと思います。このラインのことを私は「エネルギーライン」と呼んでいます。右の図の「エネルギーライン」がそれです。着力点(スキー全体に掛かる雪面抵抗を代表するポイントとして考えられる点)からの圧を“重心”で受け止めるようにするのですが,このラインの長さは,雪からの圧の違いによって,長くもなり短くもなります。圧が強く働けば,“重心”は下から押し上げられる力が強くなりますから,もし“重心”の位置を変えないようにするには,このラインを短くするように意識すればいいわけです。つまり脚が下から上にたたみ込まれるようにすればいいのです。逆にもし,抵抗が少なくなった時は,着力点に掛かる圧は軽くなりますから,脚を伸ばすことでこのラインを長くしてやります。結果的に運動は「ベンディング的」になるのですが,あくまでも「圧をコントロールする」ということで行なうべきです。高速ターンではベンディング要素が強く出ますが,低速や緩斜面では小さいものになります。
  この時,脚が伸びたり縮んだリするわけですが,この動作はあくまで着力点に掛かる圧を,「足裏」がセンサーになって感じ取ることで行なうことが大事です。目で見てしまうと意識が視覚に行き,この「足裏センサー」の感度が落ちてしまいます。「そんなことできるの?」 … というご質問を良く受けますが,慣れれば誰にでもできます。足裏センサーを研ぎ澄ます意識を持ってスキーをすれば,「人間の身体って素晴らしいなぁー!」ということに気付くでしょう。(^I^) これまでの私のレッスン経験から言わせて貰えば,「バランス維持は足裏センサーの感度如何 」… と言っていいと思っています。
  特にショートターンの場合、リズムが崩れてしまいます …
ということも,回転半径の小さい小回りになればなるほど,重心移動を妨げる横方向への力…遠心力が強くなったり弱くなったりするからです。小回りになるほど,“重心”の軌跡を乱そうとする成分が多くなりますので,より一層「足裏感覚」を磨くことが必要になるのです。

  悪雪になればなるほど,足裏で感じ,身体で雪を感じることが大事になります。でも,この感度が良くなると,“スキー”もまた違った楽しみ方ができるようになりますヨ!(^I^) 足裏センサーを磨いて別世界へ飛び出そう!




Aug./22/2002(木)  曇り

 
 昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…

   空は完全に「秋の空」 … ここ2.3日,そんな気がします。冗談でなく,今薄いフリースを着ています。ハッハハハハ……(^I^)
  昨日は一日中,今は8月だよなぁー?と思いながら過ごしました。(^I^)
     *****

  さて,昨日の「小回り入門」について,簡単な映像が見れませんか?という E-mail を“K.T”さんからいただきました。探してみましたが,入門者向けという意味ではあんまり適当なものがありませんでしたが,小回りの練習イメージに役立つかな?と思われるモノがありましたので「小回り … 練習イメージ」(510KB)にUPしておきました。
  これをみてつくづく思うのは,小回りの基本は,「胸の向きをフォールラインにしっかり向けておく事」,「ズレにうまく乗り切る事」,そして「上下動を行なってもいいから,雪面抵抗をしっかり意識し,エネルギーの貯めと開放を確実に行なう事」だということです。特にカービング時代に入ってから,前に前に … ということばかりが言われて来て,身体の自由な動きが規制されて来たように思います。「速い」とか「切れる」という言葉がゲレンデに溢れ,せわしなさが横行しているような気がします。この映像が古い … といわれればそれまでですが,この小回りには「自由さ」や「リラックスした楽しさ」みたいなものが感じられると思います。小回り … といってもそんなにコチョコチョとターンする必要はありません。先ず,ゆっくりしたモーションから,確実に雪の抵抗をつかむ練習からした方がいいでしょう。
  「小回り入門」ということで,いろいろな映像を見る機会に恵まれました。昨日の午後の大半,それらのVTR画像をみるのに費やしましたが,カービングターンが主流になる前の滑りにはどことなく「人間臭さ」みたいな“味”があるように思いました。(^I^)




Aug./21/2002(水)  曇り

 
 昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…

   気温18℃ … 9:30の白馬。 お盆が過ぎたら「秋の風」が吹き始めた白馬です。季節は確実に「冬」に向かってます。(^I^)
  本当に,冗談でなく,肌寒い…白馬です。
     *****

  さて,今日は“A.I”さんから頂いた E-mail をご紹介します。
   『  … 昨年から本格的に、しかし自己流でスキーを始めたのですが、限界を感じ、先日スキースクールに入り指導を受けました。
  小回りについて、「・ターン時内足を全く使っていない ・ターンの過重時に腰が入っていない ・なので、上体が頭を軸に回転しているので、急な斜面などでは対応が出来ない。女の人によくある、ひざをくっつけてしまう滑りである」と指摘を受けました。
  改善方法として、「ストックを短く持ち、上半身を使えなくして、下半身の強制をする」、「片足でターンの練習をする」と聞いたのですが、難しすぎて全然できなかったので、もっと初心向きの方法を教えてください。困り果て、リフトで乗り合わせたスキーの上手そうな方にたずねたら、ボーゲンがちゃんと出来てないとだめだと言われやってみました。足にとても力がかかり、ターンもなかなかスムーズにできず難しかったです。
  確かに、去年カービングから始めたので、簡単にターンが出来てしまい、ボーゲン等をじっくり練習した事が無いのが原因なのでしょうか。どのように改善してゆけばよろしいか教えてください。
  もう1つお尋ねしたいのですが、感覚としてターン時の内足は足首を意識して、雪面に対して板を立てるようにするべきなのでしょうか。 … 』
   … というものでした。まだスキーを始められて,期間が短いとのことですが,小回りをしたいということです。小回りの入門は,まず「ズレ」を伴った身体の「ネジレ−戻り」の力をうまく使うことから始めた方が楽だと思います。特別プルーク姿勢にこだわる必要はありませんが,プルークボーゲンでの小回り…から練習した方が簡単でしょう。ただカービングスキーを使っておられるとのことなので,もしお使いのスキーのネジレ剛性が強いと,思うようにズレてくれないかもしれません。プルーク姿勢で真直ぐ斜面を滑り降りる練習で「ズレの感覚」に慣れることが大事です。
  その次は,身体の向きとスキーの向きの間に違いが生じている感覚,「迎え角意識」が大事になります。詳しくは「スキーQ&A」の「小回り」をお読みください。
  上達の過程では,“A.I”さんが指摘を受けたように,身体の使い方でいろいろ注意を受けることがあると思いますが,私が思うには,姿勢の事よりも「雪面コンタクト」がどうなっているか?という意識の方に気を配った方がいいと思います。雪面コンタクトが良くなれば,結果として身体の使い方は改善されてくるからです。逆にいくら「姿勢」が良くなっても,雪面コンタクトがうまく行くとはかぎりません。姿勢よりも足裏感覚,の方が大事だと思います。
  小回りでは,「ズレにのって斜面を移動して行くと,身体がねじれる感覚が生まれ,そのねじれを元に戻すようにすると,スキーが谷側を向いてくれる。そしてまた移動して行くと身体がねじれる … 」という感覚を身に付けることです。そのとき,かならずしも切れを意識することはありません。先ずズレズレの小回りから始めましょう。
  「内足」についてですが,内足意識はほとんど必要ありません。外スキーでしっかり雪面を捕らえることが百倍大事です。内足は外足の動きに連動して付いて来ます。大事なのは外スキーの動きです。これを「交互操作・同調運動」と言います。
  ズレの感触を楽しむ … 。これがわかると,“スキー”の楽しみが本当に広がりますよ! (^I^)




Aug./20/2002(火)  晴れ

 
 昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…

  お盆が過ぎたら,本当に「秋の風」を感じる気がします。今朝8時45分の白馬は気温22℃です。皆さんのところは残暑厳しいですか?台風が近づいています。 ご注意ください! (^I^)
  
お盆が過ぎたら本当に「秋の風」が吹き始めました! 寒いッ!  (^I^)
     *****

  昨日,「インライン」について私の思うところを書かせて頂きましたが,早速“雪サブ”さんから,貴重なコメントを頂きました。ぜひここで,皆さんにご紹介したいと思います。“雪サブ”さん,お忙しいところありがとうございます。(^I^),
     *****
  私なりに感じることですから正しいとか正しくないとかそういうものではありません。自分が気をつけていること、感じていること、取り組んでいることなどをすこし書いてみたいと思います。(^^)/
  まず、スキートレーニングとしてのインラインですが、私もスキー上達の効果は少なからず「ある」と思いっています。ただし、これはすぐに現れるものではなく、インラインとスキーを何度か繰り返しながら結びつけることで、徐々に有効なトレーニングとして活用できるようになってくるのではないか??と思います。
  今までの経験から感じたことで最大の利点は、【バランス感覚がうんと高まる】ということだと思います。特にインライントレーニング初期の段階では、前後のポジションが狭いことに戸惑うと思います。後ろに行き過ぎると(腰が引けると)おしりからこけたり、前に行き過ぎると後ろのホイールがズレてしまいます。常に両足の4輪をバランスよく使っていくことが大切で、これが出来るようになるためにさまざまなポジションを試すことになると思います。インラインはスキーに比べてずっと足場が狭いですから、効果は絶大です。きっと、雪上に立ったときには、以前よりポジションが安定したことを感じられると思います。バランストレーニングと言う点では、さまざまなシチュエーションを転がしたり、トリッキーな動きにも挑戦するのもいいと思います。
  そして、ある程度転がせるようになると、次は斜面を使ってターンをすることになると思います。これについては、スキーとの違いをしっかりとイメージしなければなりません。インラインでターンをする上で一番気をつけたいのが【捻り動作・ローテーションの多用】です。インラインは短いので、捻ることでくるくる回ることが出来ます。この動作をスキーで言えば、板をこね回したり、あるいはローテーションしながらターンする動作に近いと思います。スキーだと落下とズレ幅を利用して板を撓ましながら回しこむことが出来ますが、インラインではズレ落ちながら弧を描くことは出来ません。アンバランスさとあいまって、落差を伴わないピボット的な捻りをしてしまう癖がつきがちです。このインライン特有の動きの癖がついてしまうと、なかなか抜けませんから十分に注意を払っておきたいところです。特にDO意識が強い人は注意が必要だと思います。
  ターン後半は引くタ〜ン意識も有効ですね。いつまでも押していると、ホイールのグリップ力が無くなってハイサイドしてしまいます。アスファルトはかなり痛いので気をつけたいところです。
   また、X脚で悩んでいる人は、パラレル操作を意識することで少しづつ改善してくると思います。外向過多や膝下での角付け、テール振り出しでの滑りなど、スキー滑走での特徴や癖がそのまま現れます。オフの間にゆっくりと確認しながら改善していくことが出来ます。
  また、インラインで曲がるためには捻りが必要ですが、この下肢の捻りと上半身の動きを上手くコーディネートすることを考えています。体全体の使い方とスペースとを上手くかみ合わせ、全体の流れとして繋げていくことが大切です。
  出来れば、自分の好きなスキーヤーの滑りをイメージしながら、他人の意見を聞きながら何度も練習したいところです。ビデオを活用してチェックして滑り、チェックして滑り・・・を繰り返すことでだんだんとイメージに近けていくことが出来ます。ビデオの活用はものすごく効果がありますね。
  そして、ある程度ターンが出来るようになると、インラインの特性である「ズレない」という特性を利用して、【重心移動をイメージしながらカービングターンの動きをトレーニング】出来るようになると思います。このくらいになると、ターンをわずかなにリードしながら(それくらいの気持ちで?)重心移動を中心に運動を組み立てられるようになってきます。また、狙った位置に向かってスペースを上手く使いながら、重心を滑らかに移動させていくことがとても大事なことだと気付くと思います。イメージどうりにターンしていくことは本当に難しいです。ここいら辺はスキーとなんら変わるところが無いのかもしれません。
  それから、さらにグラフィックなどで話題になっているカービング&グラインドの動きに挑戦してみるのも面白いかもしれません。・・・ちなみに私はできないのだけれど。。

  私もTOKさんもおっしゃるように、カービングターンをイメージしながらのインライントレーニングは有効だと思います。ただ、こればかりにとらわれると弊害が出てくることも確かです。スキーでは、ズレを上手く使いながら(ズレに対応しながら)落差をしっかりとることがとても大事だと思うからです。(ちなみにインラインでこの動きをしてしまうとひっくり転げて、後頭部を強打してしまうかも?)
  こういったことは、ワンシーズンのオフトレインライントレーニングではなかなか理解しにくいものだと思います。オフにはインライン、シーズンに入るとスキーというサイクルを何年か繰り返すうちにだんだんとインラインとスキーの溝が埋まってくると思います。ここのところはじっくりと取り組んでいかないとなかなか上手くいかないのではないでしょうか?2〜3年くらい継続してチャレンジすることができれば、より有効になってくると思います。
  そのために、1人ではなかなか長続きしませんから、一緒にトレーニングできる仲間が欲しいところです。出来れば、経験のある人といっしょにトレーニングしたいものですね。もしかしたら、スキー上達という同じ目的をもった気の合った仲間と、一緒に体を動かすことが出来るという点に、インラインを使ってのスキートレーニングの最大のメリットがあるのかもしれません。
  ちなみに、私もインラインでの止まり方は良く分かりません。スピードが無くなるまで真っ直ぐ行くのが一番ですかね?(笑) (^^)/

     *****
   … という適切なドバイすを頂きました。
  “スキー”と似ている部分,そして似ていない部分 … これをしっかり頭に入れて「インライン」を楽しむ事は,スキーのためのトレーニングとして役に立つ,ということです。「雪サブさんのホームページ」では,これらのトレーニングの模様を逐次UPされていますので,興味のある方はぜひお邪魔してみてください。(^I^)




Aug./19/2002(月)  晴れ

 
 昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…

  今日は少しだけ稜線から山のいただきが見えています。海外にスキーに行かれた方 … そろそろお帰りかな? 旅行記などお送りください! (^I^) 皆さんもいかがお過ごしでしたか? この休みは?
  
本当に,ちょっと肌寒いかな?と思う今朝の気温です。もう夏の盛りも終わった感じの白馬です。そういえばもう「ススキ」が咲いています。
     *****

  さて,“H.M”さんから次のような E-mail を頂きました。「インライン」についてのご質問です。
   
『  … インラインってスキーのトレーニングになりますか?一応、道具一式と何度かチャレンジしました。止まり方もわからず、かなり恐い思いもしました(笑)。いまだにわかりませんが、ターンを切り上げて止まっています。足の動きは同じだと思うのですが、ターンのきっかけ・加重感覚などかなりイメージしないといけないと感じました。私が初心者ということもありますが、いかがでしょうか?教えてください。』
  
わたし流の考えで,結論から言えば,「ある程度はある」 … となります。
  回りくどいい方のようですが,カービング的なスキーイングを意識し,そのフィーリングをつかむにはある程度役に立つと思います。でも“スキー”と同じ感覚ではありえません。トレーニングとしてなら,夏の間に滑走感覚をつかむ上で,また筋トレ的な意味でイイと思います。(^I^) 
  ただ怖いのは,インラインを練習したらスキーがうまくなるか?といえば,必ずしもそうは言えないと思います。というより,もしインラインの感覚を直接スキーに持ち込もうとすると,逆に弊害になるかもしれません。というのは,抵抗感がまるで違うからです。あたりまえのことですが,雪とスキーの間にできる抵抗と,アスファルトと硬質ゴムの間にできる抵抗では,その帰ってくる抵抗圧の「質」が違います。もしインラインに慣れて,雪上でも同じような抵抗を求めようとしたら,それは不可能だからです。また,私の知る限りインラインでは「ズレ感覚」が全くありません。そして,スキー板がたわみ,その反力を利用する … という感覚もインラインでは少ないのです。最近,この反力が得られるような用具も出てきたようですが,私は試走していないのでわかりませんが … 。
  でも,これらのことをしっかりふまえた上で「インライン」をすることは意味のあることだと思います。雪サブさんたちも,このインラインでスキーのトレーニングをつんでおられるようですが,かなりの成果をあげているようです。ある程度“スキー”をしたことがある人たちが,その滑走感覚の違いを理解した上でインラインをやられることは,大いに意義のあることだと思います。
  でも,これからスキーを始めようかな?と思っている人たちが,インラインをやって,さてスキーをしてみたら,こりゃ違うぞ!?ということになる可能性は「大」だと思います。わたしの考えでは,夏の間,雪が無いときに,トレーニングとして取り入れてやるか,もしくは全くスキーとは別のスポーツだ,という考えでやれば,それなりに面白いと思います。その割り切りがなく,インラインはスキーに役立つ!ということを盲信してしまうと,マズイ … と思います。
  これを承知の上で,“スキー”にインラインがどのように役立ち,どういうスタンスでインラインをトレーニングに取り入れていったら効果があるか?ということを研究するために,ことしも「第4回インライン技術選in白馬」を開催することになりました。今年もおかげさまでたくさんの方の参加がありそうです。皆さんの中でインラインをやられている方で興味のある方,ぜひご参加ください。
  「雪サブ」さん,もしこの日記ご覧でしたら,ご意見ください。(^I^)




Aug./18/2002(日)  晴れ
 
 昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…

  今日はまた曇り空に戻った「白馬」です。そろそろお盆の夏休みも終わりに … 。皆さんいかがでしたか? この休みは?
  
… お盆の夏休みも今日で終わりですが,皆さんはどの様なお休みでしたか? 夏の最盛期も過ぎ,あと一ヶ月もすれば「雪の便り」が聞かれるように … 。(^I^)
     *****

  さて,今日のお話も過ぎシーズンに頂いた E-mail から … です。今日は“N.K”さんからの E-mail です。
   『  … N.Kと申します。スキー仲間から貴ホームページのうわさを耳にし、2週間ほど前から拝見させてもらっています。(技術レベルは一年前の時点で一級に3種目で69、2種目70程度です。技術目標はテクニカルです) さっそくこの週末に引くー受けるターンを試してみました。プルーク、そしてパラレルへ、、。今までと違う!すぐにわかりました。雪からの力を感じました。その力に答えるだけでいいんだ!ってわかりました。上体の動きも少なくなり、雪面とのコンタクトがしっかりしてきた感じがして、スピードを出しても不安感が出てこなくなりました。また今までよりもより深くまわれるようになりました。ショートターンへの適用はこれからです。プルークショートターンでは感じがつかめました。コブ、新雪ではまだです。
   … という内容でした。「雪からの“圧”」を感じられたとのこと … それは良かったですネ!(^I^) そう言っていただくと,私も嬉しいです!(^I^) 多分,これまで悩まれていて,技術的なポテンシャルが高い状態にあったのだと思います。
  多分「引くぅー受けるぅー … 」をすることは,結果的に“重心移動”を滑らかにさせてくれ,目線が動かない,無駄な身体的運動をしなくても良い … という結果を生んでいるのでしょう。なにか運動をしようとすると,私たちは先ず身体を動かそうとしやすいのですが,“スキー”というスポーツは基本的には「重力」をうまく利用するということがありますから,ちょっと他のスポーツと違った感覚でもできる … ということになるのだと思います。(^I^)。
  「引くぅー受けるぅー … 」で思い出すのは,ある雑誌のスキーカメラマンと話をしたときのことです。「雪山でスキー写真を撮ろうとすると,荷物が多いし,手を有効に使いたいからストックは持って行けない。だけど深雪や悪雪でも被写体となるスキーヤーと同じような条件の所を先回りして行かなければならない。でも,ストックを持てないからバランス維持が大変 … 。なにかイイ方法は無いかな?」と聞かれて,それは「引くぅー受けるぅー … 」だよ!,と言ってそのあらましを話したのでした。「引く,引く …と言いながらあとは斜面を降りて行くだけ … 」というようなことでしたが,その後彼から絵葉書を頂きました。その中に「引く引くターンのおかげで,被写体のスキーヤーよりうまく滑ってるよ!」という文面がありました。これなどは,「重心が一定」というバランス維持に必要な大前提が守られている典型かな?と思います。
  小回りも,コブや新雪も,何が何でも圧を加えるのではなく,雪が与えてくれる“圧”を感じ取って,それを素直に受け入れる … という姿勢があれば,直ぐに楽しみながら滑れるようになると思います。来シーズンはぜひ,「悪雪,深雪もOKになりました!」という E-mail を,ぜひ“N.K”さんから頂きたいものです! (^I^)




Aug./17/2002(土)  曇り
 
 
昨日はは大雪渓ツアーのガイドで,早朝出勤し,午後には帰ってきたのですが … すこし休養を兼ねてのんびりしてしまい,結局UPできませんでした … 。失礼しました。。
  今朝も,夏ボケでしょうか,ちょっと身体がショッキリせず,甲子園のTVを見たりしながら過ごしてしまいました。
     *****

  ところで,”Dr.K”さんから,8/12の私の教師日記「ハードなトレーニング」についてのコメントを頂きました。ありがとうございます。
  詳細はスキー オフトレにUPしておきましたのでご覧下さい。
  この中で”Dr.K”さんも書かれておりましたが,強度50%強の運動では,いささか物足りない … という気が残ります。どうも若い頃からの運動悪癖でしょうか,汗をかいて,ゼェゼェー言いながら,「やったゼ!」という気持にならないと,満足できないのです。
  でも,ここ数ヶ月は運動強度50%くらいのものを少し続けてみようと思います。その結果どんな風になるか?楽しみです。
  今日で,お盆の夏休みも終わりに近づきました。なんとなく気ぜわしく,ビールの消費量も増え,生活も乱れ気味の数日でしたので,これからゆっくり運動強度50%でジョギングでもして,気分を一新して来たいと思います。
  じゃ,行って来ます! (^I^)





Aug./16/2002(金)  曇り

 
 
今日は大雪渓ツアーのガイドで,早朝出勤です … 。
  ですので,UPは オ・ヤ・ス・ミ です … 悪しからず … (=_=;)

     *****





Aug./15/2002(木)  曇り
 
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  ここ数日,朝方は雲が多い天気が続いています。 午後は晴間が出てくるのですが … 。天気予報では,このお盆の最中…「雨」の予報が出ていましたが,それほど大きな崩れは無いようです。(^I^)
     *****
さて,今日のテーマは「小回り」について … です。再度“H.M”さんからご質問の E-mail を頂きました。シーズンに入りますと,時間的余裕も無くなり,詳しく考えてみる時間も無いので,オフシーズンはそういう意味でいい時期です。(^I^)。さて, E-mail の内容ですが …
  
『 … 小回りで深回りというか、横幅を使った小回りをするにはターン後半正対気味にして斜滑降を入れないとうまくいかないような気がするのですが、間違いでしょうか? 先生の解説では、小回りは常にねじれ戻しによる運動である、といったニュアンスを受けているので私が考えるターンと相違があるのでメールしました。板に正対すると言うことはずれにくい状態になることだと思っています。 ねじれ状態があると谷回りでターンが早く始動してしまうと思うのです。そこでターン開始を遅らせるために、正対気味にターンをし斜滑降を長めに取りターンをしたほうが横幅を使った小回りができると思っています。こう考えると大回りと小回りの間には、正対する量の違いによって(むかえ角の量)ターンを変化できると考えています。』
  ここで言う「小回り」の回転半径がどのくらいなのか?にもよりますが,普通私たちが考える「小回り」が以前の「ウエーデルン」 … という感覚でとらえられているとすれば,「小回り」では胸の向き(上体の向き)は常にフォールラインを向いているのが理想,だと思います。斜面の斜度によっても違ってきますが,急斜面であればあるほど,このことは意識する必要があります。
  
小回りは常にねじれ戻しによる運動である、といったニュアンスを受けている … ということですが,これはどの部分で現われる運動かというと,「ターン後半からクロスオーバーにかけての運動」ということです。「小回り」に着いて言えば,スキーと身体の向きが正対する部分は,スキーがフォールラインを向いている時,つまりターンが左右円弧のいちばんふくらんでいる部分でしかありません。図でいうと“A”のところです。この部分ではスキーも上体の向きもフォールラインの向きとなります。もちろん直滑降のような形ではなく,ターン内側に傾いた形ですが … 。この位置からスキーが角付けされた方向に“A”⇒“B”のように回り込んできて,上体とスキーの間に「迎え角」ができはじめるのですが,大回りでは回転半径が大きくなるのでさほど大きな迎え角はできませんが,小回りでは回転半径が少ない分,「迎え角」のでき方が早くなります。そして上体がフォールラインをキープし続け,スキーが内側に回りこんで行くので,上体とスキー(下肢)の間に「ネジレ」が生じます。この時,スキーはあくまで雪からのコンタクト圧を求め続けて行かなくてはなりません。特にカービングターンでは,この部分でスキーのトップ方向からの抵抗を求めていく意識が大事になります。この抵抗の求める方向が「スキーの側面」になってしまうと,「横ズレ」が始まってしまいます。スキー板を前に進めて行けば,上体がいかにフォールラインを向いていても,下肢でしっかり雪面抵抗をスキーのトップ方向から求めることができます。ターン後半“A”から“B”にかけて,横方向の力を軽減する為に,「腰」だけはスキーに対して正対気味にし,「みぞおち」から上の上半身はフォールラインに向ける … という人も居ますが,「正対」は必ずしも必要ではありません。
   多分,“H.M”さんはこの部分で横方向の圧を求めてしまうか,もしくは自ら雪面を押すような力を加えてしまう動きが出てしまうのではないでしょうか?。そのため,「雪の圧で“スキー”がターンする」ということができにくくなってしまうのです。
  
また,ねじれ状態があると谷回りでターンが早く始動してしまう
… ということですが,クロスオーバーで雪面コンタクトを無くしてしまえばそうなります。 “B”〜“C”の部分では,スキーヤーの重力による圧も加わり,ターンに必要な力以上の圧が発生して,「横ズレ」ができやすい状況になりますから,逆にベンディング的に“重心”方向に圧を抜いてやることが必要になります。ここのところで,「斜めの直滑降」意識が大事になるのです。“B”でできた圧を一気に抜いてしまえば,“H.M”さんのおっしゃるとおり,スキーの雪面コンタクト圧は“C”〜“D”にかけて軽くなりますから,早く回りすぎてしまいます。そして,続く局面の“A”のところで一気に雪面を捕らえなくてはならなくなり,「コンタクト圧」が急激に変化する不安定な小回りになってしまいます。でも,「斜めの直滑降」は圧を急激に抜いてフラットにするのではありません。“A”〜“B”にかけて外スキーに蓄積されたエネルギーを“バトンタッチ”の要領で,反対側のスキーに伝えてやることなのです。ですから,クロスオーバーでは左右のスキーの圧は,50%−50%で掛かっているのです。そして,胸の向きとスキーとの間にできている「ネジレ」が,スキーを次のターン方向に始動させてくれる役割を担います。カービング特性の強い板では,この「ネジレと戻り」の力は必要無い!という人も居ますが,わたしは程度の差こそあれ,必要だと思っています。カービング特性が千差万別だからこそ,このことが大事だと思います。小回り専用に作られた板では,この要素は少なくても可能になりますが,私たち一般スキーヤーが使う板は,そういう板ばかりではないからです。
  正対する量の違いによって大回りと小回りのターンを変化できると考えています … というのはその通りです。だからこそ,小回りでは上体がフォールラインを向いていなければならないのです。
  オフシーズンに,イメージを膨らませて“スキー”のことを考える … 。熱い夏だからこそ,気持がクールで穏やかになる … そんな気がします。“H.M”さん,ご質問ありがとうございます。(^I^) おかげさまで気分は「冬の雪原」に居られました!(^I^)




Aug./14/2002(水)  曇り
 
 昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…

  各地で,夏祭りが本番を迎えているようです。帰省された方には,子供の頃を思い出させる「祭り」も多いことでしょう。皆さんの最も心に残る「祭り」は何でしょうか? 管理人のわたしは「花火」です。(^I^)
  私の生まれ故郷の,秋田県大曲市では,毎年8月の終わりに,花火師の技の競演,「全国花火大会」が開催されます。子供の頃から高校の終わりまで,これを見て夏の終わりを感じていました。また行って見たいものです。(^I^)
     *****

  さて,8月10日にご紹介させていただいた,“T.M”さんから E-mail を頂きました。いろいろな雪質のよって,その時々の圧感覚に違いがある … ということを話させて頂きましたが,それに対するご質問です。
  
『 いい雪と悪い雪で足裏感覚に違いが出るのは当然でした。しかしこれがいいターンをしている感覚であるという認識をするには第三者からやシュプールを見て判断するほか無いと思うのですが、いかがなもんでしょうか? まだまだ経験不足で足裏感覚を研ぎ澄ませることができず、いま日常でもいろいろと神経を張らせて頑張っています。 頭の中ではターンの前半のイメージやコブ斜でのイメージを繰り返ししています。』
   … という内容でした。
  確かに,自分の滑りのフィーリングと第三者が見て感じる評価とを,対応付けることは意味のあることです。そういう点では「観る目のある人」に適当なアドバイスを受けられるのが良いと思います。で,大事なことは,「観る目のある人」の前で,イロイロな滑りを披露することです。ワンパターンの滑りだけではこれができません。
  私は常々思っていることがあります。それは,「このイロイロなパターンの滑りはどういう風にしたら可能になるのか?」ということです。そしてその要因は「“足裏感覚”にある!」と思っています。足裏感覚を研ぎ澄ませ,湿雪は湿雪なりの,アイスバーンはアイスバーンなりの感覚を自分の滑走フィーリングとして覚えこむことです。そのためには,足裏を「微妙な違いを感知できる,性能の良いセンサー」にしていくことだと思っています。このことが実は「滑りの引出しの数」を増やすことになります。“T.M”さんのご質問の要旨とはちょっと違う話になってしまいましたが,これがいいターンをしている感覚 … ということを自分のものとするにも,引出しの数が多いほうがイイということです“T.M”さんもこのことを自覚されていろいろ頑張っておられるようですが … 。(^I^)
  
昨日ご紹介した“Y.K”さんもそうでしたが,“スキー”だけでなく,生活のいろいろな場面で,「感覚」や「感性」を磨く意識があれ
ば,ただ単にスキーが上達するだけでなく,「人生を味わう」 … という点でも大きな意味があることだと思います。(^I^)
  




Aug./13/2002(火)  曇り
 
 昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…

  今朝も「雲」の多い白馬です。その分,涼しいかな?海外に出かける人,故郷に帰る人,自宅で静かにしている人 …
いろいろ居られますが,お体には気をつけて … 。(^I^)
  人それぞれ,夏休みの過ごし方が違いますが,それぞれ … イイ思い出になりますように!(^I^)
     *****

 
 さて,今日は,“Y.K”さんから届いた E-mail をご紹介します。“Y.K”さんも北アルプスに登られ,イイ夏休みを過ごされたようです。(^I^)
 
  『  … 他愛もない話ですが、思い出した内の少しをメールさせていただきます。【TOK】さんの日記の中で、「ジョギング中にも足裏からくる感覚を楽しむ」というコメントがあったのを思い出して、山登り中に、自分なりに、色々感じながら試してみました。
  
登りの時に思ったのは、「スキーのスケーティングに似てる」でした。後ろ蹴り足で次の一歩を踏み出す時に、足裏からくる感覚と、蹴り足の位置と体の重心位置との関係を感じながら登ってみました。なんとなくですが、意識しなくても足場がしっかりできてるような感覚がありました。(できすぎですかね?)
  下りは、登りよりは更にスキーの感覚に近いですね。(スキーは斜面を下りるスポーツなので、当たり前でしょうけど_(^^;)ゞ) 道幅が狭いので、否応無しに「小回り」になってしまいますが、左右のバトンタッチと、重心位置(軌跡)、それと仮想エネルギーラインを意識してると、小気味よくリズミカルに下りれます! また、下りは無意識に足の関節への衝撃を和らげようとしているので、必然的に「DO」ではなくて「LET」になってるような気がしました。小石の浮いたザレ場など滑りやすい所では、足裏と重心の位置関係でバランスを崩しやすい場所、保ちやすい場所、色々楽しめて面白かったです。
  普通の人なら嫌がるところですが、そんな所も楽しめてしまうなんて病気みたいですね。_(^^;)ゞ
  そして全体的に思ったのは、今回の山行では、珍しくヒザ周りを痛めませんでした。推論でしかありませんが、足に対する重心位置を意識していた事で、上体のぶれが抑えられて、結果的にヒザへの負担を少なくしていたのでしょうか?
  山登りにも、【TOK】さんのスキー理論が役立つ!ということを強く感じた山行でした。 …   』
 
  … という内容でした。
  足裏で感じながらの登山 … ということですが,わたしも近い感覚でトレッキングをしています。(^I^) 一番注意しているのは「重心の移動軌跡」です。これが常にスムーズで同じようなペースで歩けている時には,疲れをそんなに感じません。むしろ「筋トレ」をしているような感じです。重心移動を一定にさせることは,左右前後も含めて,特に上下の移動幅をゆっくり行なうことになります。すると,一気に蹴ったり,一気に着地したり … という動作が無くなり,脚がゆっくり動いて,筋肉がまるでストレッチングのように伸びたり縮んだリする感覚になるのです。
  そう言えば,むかし,学生時代,スキーのトレーニングで「山道を駆け下りる」というのをやりました。反射神経を鍛える!というようなことを考えてのトレーニングでしたが,今思うとこの時も実は「重心移動を一定に!」ということの練習になっていたように思います。駆け下りるのですから,確かに目で見た石や土の感じを素早く捉え,条件反射を早くして対処する … ということが大事なのですが,そこには「重心の移動」を前提とした「脚の伸ばし」と,そこから帰ってくる“圧”に応じた「脚の抱え込み」的な動きがありました。つまり,この動作は「コブ滑走」そのもの!と言っていいものです。“Y.K”さんがLET」感覚 … という感じを持たれたのも良く解ります。
  登山やテニスにしても,そしてまたここ数日賑やかな甲子園の高校野球も,プレイしている選手の動きを「“重心”はいかに?」 … という目で観ると,また違った視点から楽しむことができます。
  夏休みでいろいろなスポーツを経験したり,見る機会が多いのですが,こんなことを切り口に過ごすのも一興 … そう思う【TOK】です。(^I^)
  “Y.K”さん,山での経験談,ありがとうございました!(^I^)




Aug./12/2002(月)  曇り
 
 昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…

  朝方は少し雲が多かったのですが,8時半頃になって少し雲が取れ始めました。山肌の残雪が少しだけ見えています。皆さんはこの夏休み,どのようにお過ごしですか?
 
 いよいよ夏休みが始まりました。今年は先週末から今週一杯と,ちょっと分散型になるようですが … 。みなさんはどの様な計画をお持ちでしょうか? どちらに行かれましても,またご自宅で過ごされましても,イイ経験をされるようお祈りいたしております。(^I^) 
     *****

  さて,昨日夜,YAMASA50さんから【TOK】の掲示板に「 脳内革命」について,下記のようなコメントがありました。今日はこの本についてもう一度 …。
 
  『 こんにちは。TOKさん御推薦の「脳内革命」に興味が湧き、早速購入して一気に2冊とも読みました。非常に感銘し、今までどうしてだろうと思ってた事もかなり解明されました。逆に激しい運動が体にどんな影響を与えるか等については全く誤解してたようでドキリとしました。今すぐに考えを改めなくてはと思ってます。
  おそらくスキーであれこれ考えたり悩んだりしながら練習してる時は左脳を使ってる状態。その習得した技術を駆使して自然の中に溶け込むように無意識でスキーを楽しんでる時は右脳を使ってる状態で、その時はα波がどっと出て最高に良い気分になれる。だからスキーは止められない状態になる...そんな気がします。
  ただ以上は一般スキーヤーの場合で、TOKさんのようにスキーを指導する立場の方は教育者として違った状況なんでしょうね。 』
  異論もイロイロ有るようですが,わたしもYAMAHA50さんと同じように,感銘した一人です。(^I^) 「世の中そんな甘いもんじゃァ無いよ!」 … というお声が聞こえてくるようですが,人それぞれがどう受け止めるかは,その人の感性だとも思います。
  で,わたしがいまトレーニングで気をつけていることがあります。それは「運動のやり過ぎによって“活性酸素”を増やしすぎない!」ということです。わたしの場合,脈拍が114を超えると活性酸素が出やすくなるということです。これまではジョギングでも130くらいの脈拍で走っていました。「ハッハ・フッフ・ハッハ・フッフ・ … 」という感じの呼吸でしたが,脈拍を115くらいに抑えるには「ハッハッハ・フッフッフハッハッハ・フッフッフ・ …という風にした方が良いことに気付きました。今この方法でジョギングをしていますが,これまでのところ,脈拍130くらいの時に比べて走る速さが遅くなった … という気がしません。リズムがゆっくりなった分,脚も以前よりしっかり伸びて,かえってストライドが広がった様に思います。もちろん,走っている時の気負いも少なく,周りの景色も一段と楽しめます。「脳内モルヒネ」の分泌も良くなっているのは確かなようです。(^I^)
  これまで,若い時からやってきた「身体をいじめる…」方式のトレーニング方法が,間違っていたのかな?と感じ始めています。ウエイトトレーニングなんかも,そういう意味では気を付けないといけないのかもしれません。”Dr.K”さん … ここら辺のところ,実際はどうなんでしょうねぇー? (お時間があったらコメント下さい … 夏休み中ゴメン … )
  YAMASA50 さんが,教育者として違った状況 …
とおっしゃっていますが,教師でも一緒です。自分が“スキー”を通して知ることのできる,「“身体”の驚異」や「“感じる”ことの素晴らしさ」が,結局はα波を生み,イイ気持になって,生きていることの幸せを感じる … ということにつながっています。自分自身が楽しめたり,イイなぁー! … と思えなければ,その良さを人さまにお伝えすることも不可能だと思います。
  わたしも,いまも時々「脳内革命」の本を手にとってはパラパラめくっています。(^I^)




Aug./11/2002(日)  曇り
 
 昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…

  今日から「お盆」の連休が始まる人が多いようです。暑い毎日が続きますが,車の運転や旅行中の移動には充分お気を付けて,楽しい夏休みを!。(^I^) 白馬は今日はチョッと雲が多いです。
 
 心配が当ってしまいました。各地で交通事故が多発しています。交通渋滞でイライラする気持もわかりますが,そこは慎重に! せっかくの「休養」が「急用」になってしまっては … 。老婆心デシタ … 。
      *****
  さて,過日,わたしのホームページをご覧の“T.S”さんから次のような E-mail を頂きました。何度か E-mail を頂いていますが,結構オフピステが好きな方のようです。(^I^)
  
『 Tok先生こんにちは!。ここ数日悪コンディションの滑り方について書かれていますが、興味を持って読ませてもらってます。深雪が好きで、八方に行ったときはスカイラインコースをよく滑っています。新雪が降った日はできるだけ早くゲレンデに行っているのですが、誰も滑っていない斜面というのにはなかなかお目にかかれません。ですからどうしても荒れた状態の深雪を滑る機会が多いのですが、雪の力をもらって滑るということを意識しだしてから、転倒が少なくなりました。ところで、先生が日記に書かれていることは、後になって、なるほど!...と思うことが多いです。一昨年書かれていたことは昨年になって少しわかりましたし、去年書かれていたことは今年になってわかりました。あんまり理論的なことはわかりませんが、どことなく先生の言っていることを頭に入れて滑っていると、なんとなく滑れていることが多いのに気付きます。先生の教師日記はもちろん達人級の人が多いと思いますが、わたしみたいな中級に毛が生えた者も居ますので、できましたら、やさしい言葉での解説もお願いします...(失礼)。』
  いつもお読み頂き,ありがとうございます。教師日記に書いたことが少しでも参考になれば,こんなに嬉しいことはありません。(^I^) 言葉での解説にしろ,文字による説明にしろ,はたまた雪上での具体的なレッスンであっても,伝える側と受け取る側とでは,その事柄が全く寸分違わず伝わる … とうことは無いと思います。できるだけ真意に近いものが伝わるといいのですが … 。でも,それはそれで良いと思います。ある文章や言葉,そして仕草や動作の中から,なにか伝わるものが有り,それが結果として役に立っていれば,それだけでも素晴らしいことだと思います。ですから,私の教師日記の一昨年版が昨年わかった!ということでも凄いことだと思います。(^I^)
  わたしは常々,「生意気にも,他人様に技術をお伝えしたり,お教えしたりするのは,各人の“想像力”を掻き立て,“イメージ”を沸かせることのお役に立つことである … 」と思っています。これが技術だ!こうでなければならない! … というのではなく,あるひとつの言葉から,それぞれのスキーヤーが自分なりのイメージを膨らませ,自分なりの「スキースタイル」を作っていただきたいと思っています。ですから,少しくらい理解できない言葉や説明があっても,自分流に勝手に理解していただくもとも,あながち無益だとは思いません。(^I^) このような「ある種の試行錯誤」の中からイロイロ面白い“スキー”が見えてくる … そう思っています。
  それにしても,やさしい言葉での解説 … スキー教師の端くれとして注意しなければならない言葉です。(=_=;) できるだけ,物理や数学に弱い方にもわかるような,日常生活で使われる言葉で,これからも解説させていただきたいと思っています。これからもご意見,よろしくお願い致します。(^I^)




Aug./10/2002(土)  曇り
  昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…

  今日は久しぶりの「曇り空」でぇーーす。 少しすずしいです。(^I^) でも,雨が少ない …
   … と書き込んだとたん,昨日は雨が降りました!。待望の雨です。特に野菜や草花にとっては … 。でも,カミナリが少ないですね,異常に … 。でも,マ,イイっか…カミナリが少ないのは!ハッハハハハ……(^I^))
      *****

  
今日の話もご質問への回答です。 次のような E-mail を“T.M”さんから頂きました。
  『 … 質問があります。急斜面で、横幅を使った小回りをしたいのですがなかなか上手く行きません。以前先生がそのような場合、長めの斜滑降をする必要があるとおっしゃていたのでチャレンジしましたが、しっくりしませんでした。この長めの斜滑降は大きな重心移動をするための時間稼ぎと横への移動によるスピードコントロールの為ですよね? 私の場合、山回りでエッジングが強くなりすぎたり、間延びしたりします。特に雪面からの圧感覚がなくなってしまいます。何かいいイメージできるものがあったら教えて下さい。硬いバーンでは特にその傾向にあります。自分ではズレがヘタクソであることが原因であると考えています。さらに引っ掛かる雪では、ソフトタッチなエッジングでは谷回りで引っ掛かって板が走ってしまうので捻ったり足首の緊張を強くして対応していますが、このような対応でよろしいのでしょうか? … 』
  “T.M”さんは,私の記憶ですと,「傾け操作がメインの,ターンエネルギーの蓄積と開放が大きい滑り」をされていました。特に「小回り」ではそれが顕著で,そのためターン後半の雪面コンタクト圧が必要以上に強くなり,その反動として,ターン前半のとらえが甘くなる … という欠点を持っていました。モチロンこのような滑りも有効な場面がありますので,一概に否定するのはまずいのですが,バランス保持,スピードコントロールという側面からは好ましいとはいえません。特に急斜面小回りでは … 。雪面からの圧感覚がなくなってしまう…という現象はこのことが原因です。
  昨日もお話した「斜めの直滑降」意識ですが,小回りでなぜこの意識があった方がいいか?というと,それは「スキー板を振りまわすことが少なくなるので横方向の成分が軽減されて,左右のバランスを崩す確率が低くなる…」ということです。大きな重心移動 … とはちょっと直接関係はありませんが,斜めの直滑降を長めに取ることで,クロスオーバーがスムーズに行なわれる…というメリットは出てきます。
山回り,つまりターン後半でエッジングが強過ぎると,この斜めの直滑降がほとんど無くなり,右から左,左から右…という風にスピン的なスキー板の運動が見られるようになりがちです。これだとクロスオーバーに続くターンの谷回り部分で,急激な圧が横方向に掛かるようになってしまいます。
  ”Prof.YM”さんが昨日の 「On Line Ski School 掲示板」に書かれていたように,
「一番力がかかるのは後半ではなく、フォールラインだと思った方が良い」…とおっしゃるとおりです。急斜面だとどうしてもこの捕えのタイミングが遅くなってしまうのですが,ターン前半から雪面を捕らえる意識を持てば,かなりこれを防ぐことができます。
  また,硬いバーンでは特に雪面からの圧感覚がなくなってしまいます … ということですが,ソフトな雪の時と同じ圧感覚を求めようとしていませんか?。硬いバーンは硬いバーンなりの雪面コンタクトフィーリングがあるのです。“T.M”さんがズレがヘタクソ…だとは思いません。捕えの感覚を同じにしようとするとかなり無理が生じることになります。弱い圧であっても,その捕えの方向や微妙な圧強弱が感じ取れれば,繊細なエッジコントロールが可能になります。そのためには,“エネルギーライン”をしっかり意識し,「“ライン”がスキー板のどの部分と,身体のどの部分の間に引かれていて,その太さや長さがどれ位あるか? … ということに意識を集中することです。ターンのどの局面でもこの“エネルギーライン”が意識できれば,かなり違った感覚でのスキーイングができるようになるはずです。
  引っ掛かる雪では、ソフトタッチなエッジングでは谷回りで引っ掛かって板が走ってしまうので捻ったり足首の緊張を強くして対応 … ということですが,引っ掛かる雪であっても…というよりむしろ引っ掛かる雪だからこそ,エネルギーラインを意識すべきです。硬い雪と引っ掛かる雪とでは,あきらかに“エネルギーラインの質”に差があることがわかります。足首の緊張 … はあんまりお薦めできません。その理由は,身体の一部でも,緊張させてしまうことは「身体の自由な動きを規制してしまい,雪からの情報をキャッチすることができにくくなる」からです。むしろリラックスして雪と自分の身体に素直に任せる … ことのほうが良いと思います。
  夏の間にいろいろな「スキーのVideo」をご覧になって,うまいスキーヤーの“エネルギーライン”はどのように見えるか? ということを研究されてはいかがでしょうか?



Aug./09/2002(金)  曇り
  昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…
   夏,真っ最中の日本列島ですが,みなさんお元気でお過ごしですか?今日から「夏の風物詩」,甲子園の高校野球が始まります。若い人たちの“夢”が叶うように応援したいと思います。みなさんも,暑さに負けないように! (^I^)
  いよいよ「甲子園」 … 始まりました!。 むかしの頃を思い出しながら時々TVを見ています。 (^I^) “熱い”って…“夢がある”って … 素晴らしいですね! (^I^)
      *****
  
  さて,今日は掲示板での ,「ターン後半のズレ :送りだしクリスチャニア」さんのお尋ねにお答えしたいと思います。ご質問は …
  … 中斜面ではいいのですが急斜面になると大回りや中まわりでターン後半非常にズレてしまいます。やはり後半谷まわりの部分で外向しすぎているのでしょうか?TOK先生のQ&Aでは「斜めの直滑降」の項で「前のターンで「外向」がしっかりできていれば、単純に外向を保ったまま直滑降をする意識で斜面に立ちさえすればいいのです。」とあります。ターン後半谷まわりでなにを気をつければいいのでしょうか?よろしくお願いします。』という内容です。
  急斜面でズレの少ないターンをしたい … ということですが,要点は二つあると思います。
  ひとつは雪面抵抗をどう受け止めるか?ということです。外向姿勢を強くするということは,「雪面抵抗を身体の横方向から受ける」ということになりますので,ズレの要素は大きくなります。むしろ「ズレないで切る」ということを主眼にしたのであれば,正対気味でスキーに乗ることのほうがいいでしょう。それと「重心と板との位置関係」も大事になります。もし「重心」がいつまでもターン内側に残っていれば,どうしてもエネルギーラインが斜面に対して寝てしまいますから,ズレやすくなります。ターン後半では意識的にスキー板を重心の下に持って来るくらいの感覚,つまり,ターン中盤までに雪面コンタクトをしっかり行ない,その反力圧を使って身体の下にスキーを引き込むようにする方がズレは止められます。でも,圧を一気に緩めすぎるのは圧変化を急激に起こすことになりますから注意が必要です。「ヒクヒクターン」や「斜めの斜滑降」はそのひとつのやり方です。単純に外向を保ったまま直滑降をする意識で斜面に立ちさえすればいい … というのは,クロスオーバーから次のターンに入りやすくする … という意味です。ターン後半での切れ,とは直接関係がありませんのでご注意ください。手前味噌になって恐縮ですが“エネルギーライン”をしっかり意識できれば,これは解決します。
  もうひとつは「スキー板」の性能と「エッジの手入れ」です。カービングスキーはトーションが強いので,以前のようにアイスバーンでズレズレに落ちてしまう … というようなことは無くなりましたが,それでも手入れが悪いとズレてしまいます。いくら雪面ホールドの性能が良くても,エッジが丸くなっていては,話になりません。
少なくとも3日に一度はエッジの手入れを怠らないようにするべきでしょう。
  私のホームページのトップページにある「検索」から,「引く引くターン」,「斜めの直滑降」,「エネルギーライン」を調べてみて下さい。ヒントがつかめると思います。頑張って下さい!。(^I^)




 Aug./08/2002(木)  晴れ
  昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…
   連続何日目でしょうか?今朝も白馬は夏モードです。 日本全国「酷暑」が続いているようですが,みなさんお元気ですか?
  ホント,熱い夏ですネェー … 。暑いんじゃなくて「熱い」です,ハイ … 。でも今朝の白馬,チョッと涼しい風がそよいでいまして,朝8:30現在,気温は23℃です。 (^I^)
      *****
  
  さて,「悪コンディションを滑る」 … という話題に関連して,次のような E-mail を頂いておりますので,今日はその関連のお話を … 。その E-mail の粗筋は … 。
 
 『 … コブを滑る時の板の長さについて教えて下さい。コブを滑る時はある程度長い板の方がいいってことあるんですか? グッキーの「新、コブの極意」を見ていても使用している板は190cmぐらいはありそうですし、技術選でも、整地小回りより不整地小回りで使用する板の方が全体的に長いようです。モーグルやる人たちの板も長めですよね。短い方が取り回しやすいような気がするんですけど・・・??? 高いプレートを付けたり、あまりサイドカーブのきつい板だとコブの中で板がずらし難くなり、操作が難しくなるということは聞いたことがあります。【TOK】さんのご意見はどうですか?』
   … という内容でした。
  結論から先に話しますと,「カービングスキーではコブは滑りにくい…」ということです。短い分だけ振り回しやすいのは確かですが,雪面コンタクトができにくいのです。滑走ラインを考えれば,もう少し下方に落ちて行って欲しいのに,トーションがあり過ぎて,自分の予想したラインより切りあがってしまうのです。コブでは「ズラシのテクニック」は必須です。ところがカービングスキーはもともとズレないように設計されていますから,これが難しいのです。ですから,グッキーやコブで演技をして得点を稼ぐことが目的の人は,切れを犠牲にした板 … つまり「つまりネジレ剛性の柔らかいスキー板」を使っている…ということです。
  私も何度もカービングスキーでコブを滑ってみましたが,ずれて欲しいところでずれず苦労しました。コブを滑るときはズレの要素も大事だと思い知らされました!(^I^) ですから,一台のスキーであらゆる斜面をバッチリ決める … ということは不可能だと思った方がいいでしょう。自分がもっとも滑りたい斜面条件にあった板を選び,その条件に当てはまらない斜面では,それなりの困難を愉しみに変える … くらいの気持ちが大事かもしれません。(^I^) 
  一方,深雪ではカービングスキーが威力を発揮している … という話も聞きますし,わたしもそう思っています。トーションは強いけれど,フレックス,つまり板のしなり具合を示す「曲げ剛性」が弱いので,よくたわんでくれる … からです。たわめばたわむほど,雪からの反発力が生かせますので,深雪は滑りりやすくなるのです。
  板も「一長一短」があり,何事もバッチリこなすオールラウンドは無い! … ということですネ?! (^I^)




 Aug./07/2002(水)  晴れ
  昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…
   今朝の白馬も夏モードです。ご覧のようにアルペンリフト上部付近から上には雲が…… ところで,今年の夏は「ツバメ」の姿があんまり見られません … 気候のせいでしょうか?それとも …
  暑さのせいで,ツバメも避暑に出掛けたんでしょうか? (^I^)
      *****

  
さて、今日は「悪コンディション」の条件を滑る … の最終回で,「悪コンディションは愉しみの宝庫」です。
  6/19の教師日記で,“M.K”さんからの E-mail を紹介させて頂きました。
 
『 … 実はこの冬悪雪での滑りが気持ち良くできなくて悩んでいました。使用している板はカービング用の板なのでそのせいかな?とも思いましたが、それにしても雪との一体感が無いというか、整地のような爽快感が無いのです。そして今日TOK先生の日記を読んで、ハッと気付いたのです。多様さ,違いの豊富さ,を「素晴らしいこと!」として認める気持,,,という部分です。思い返すと悪雪でも整地のような滑走感覚を求め過ぎていたように思います。悪雪は悪雪、整地は整地という気持ちが少なく、なんでもかんでも同じようにと思っていました。条件が違えばそれぞれ違った感触があって当たり前ということを忘れていました。 … 』
  という内容でした。“M.K”さんがお書きになっておられるように,「多様さや違いの豊富さ」を楽しむ気持が「悪コンディション」の斜面をすべる時には大事になります。いつも整地を滑っている時の気持ち良いフィーリングだけを追い求めるのではなく,コブはコブの,アイスバーンはアイスバーンの滑走フィーリングを,それをそれとして受け入れる気持が大事だ,ということです。
  コブを滑っていて,一糸乱れず,滑り出しから滑り終わりまで「完璧!ノーミス!」という滑りができるはずがありません。もちろん,バランスを崩したとか,後傾になりすぎた … とかいった失敗の頻度は上達すればするほど少なくなりますが,ノーミス!ということはあり得ません。コブへのチャレンジの中で,そういった余裕を持って「愉しむ」という気持があれば,難しい条件は逆に「新しい“スキー”の世界」を発見する大きなキッカケになるでしょう。
  「アイスバーンがうまく滑れない … 」という人の滑りを見てみると,「粉雪が圧雪されたようなイイ条件と同じ感覚で滑れない … 」ということを言っている人が多いのに気付きます。これはハッキリ言わせてもらえば「無理」です。あのイイ条件の「滑走フィーリング」はあくまでソフトで適度な雪面コンタクトがあるからです。その結果,スキー板が良い風にたわみ,その板のたわみ具合が足から脚に伝わり,身体全体の体感として「気ッ持ちイイ!(^I^)(^I^)(^I^)」という快感感覚として捉えられるのです。アイスバーンは元々硬くて雪面にエッジが食い込まない条件なのですから,イイ雪と同じような「たわみ」ができません。ですから,足や脚に伝わるフィーリングも異なるのです。異なって当たり前なのです。
  それでは「アイスバーン」はどうやって滑ったらいいか?ということですが,いろいろな滑り方があります。小回り系では瞬間的なエッジングを使う人が多いようです。大回り系では左右のスキーへの荷重分散を使う人も居ます。いずれにしても雪面ホールドが少ない分,角を立てた状態で雪面を削る意識が大事になります。最近はカービングスキーがそのほとんどを占めていて,トーションの強い板が使われていますから,以前のようにズレを止める意識が強くなくても雪面ホールドが簡単にできるようになりました。むしろ,技術よりも「エッジングの手入れ」の方がアイスバーンを滑る時の大事なポイントだと思います。いくらトーションが強くて,雪面への食い付きが強い性質を持っていても,エッジの角が丸くなっていては,適度な雪面ホールドが得られません。レースでタイムを競う … ということでなければ,ビベル角をつけたり,90度キッチリに仕上げたりしなくても大丈夫です。角がシャープにさえなっていれば,120度近い角度でも雪面ホールドに大差は無い … というデータもあるくらいです。エッジをしっかり手入れして,普通の斜面と同じように滑ってみる。そして,角付けの足裏感覚と実際の切れの程度をリンクさせて,その微妙な違いを愉しむことが「アイスバーン」のイチバン良い滑り方だと思います。ツルッツルの鏡のようなバーンから,チョッとだけ硬いバーンまで,いろいろな表情のアイスバーンを,それぞれの滑走フィーリングとして受け入れ愉しむことです。

  “M.K”さんがおっしゃっているように,「それぞれ違った感触…」を充分楽しんでほしいものです。
  違いがあるって本当に素晴らしいなぁー! そう思っている【TOK】です。(^I^)




 Aug./06/2002(火)  晴れ
  昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…
   山にはもう雲が掛かりました … 。 すっかり夏モードにも慣れました (^I^) 昨日の夕方,久しぶりに夕立があり,そのせいでしょうか,星がきれいでした!(^I^) 草木や花々も久しぶりにしっかり水を吸えて良かったですね!
      *****

  さて、今日は「悪コンディションでの滑り」について … 。
  コブ斜面もそうですが,新雪状態のピステが荒らされた「粗踏み状態のピステ」も悪コンディションの一つです。こういうバーンではどういうことに気をつけたらいいのか?ということを考えてみたいと思います。
  このどちらも,「バランスを乱す要因」が多いのが特徴です。つまり,雪からの抵抗が均一でなく,大きかったり小さかったりする … ということです。この雪面コンタクトが一様であれば,「乗る場所あるいは支点・抵抗を求める方向・抵抗の強さ」があんまり変化しない … ということですから,素直に斜面を落ちていけばいいわけです。ところが「悪コンディション」ではそうはいかない … 。この三つの要素が時々刻々と変わってしまう上に,あらかじめ目で見て,それに反応する,ということが時間的にも不可能な場合が多いのです。
  ン十年も“スキー”をしてきて,いま思うことは,こういう時こそ“エネルギーライン”が生きる … と思っています。エネルギーラインについては2002年5月10日の教師日記に,そのあらましを書いていますが,2002シーズンの1月から,私のスキーレッスンで多用するようになりました。悪コンディションの斜面では,このエネルギーラインが常に一定ではなく,いろいろと変わります。しかし,このエネルギーラインの受け皿ともいえる“重心”の軌跡を大事にすれば,自然にこのラインが変化してくれるのです。ラインが短くなったり長くなったり,太くなったり細くなったり … というイメージになります。つまり“エネルギーライン”というのは,“重心”の移動に対して雪面からの抵抗がどのように関わってくるのか?ということを意識することだ,とも言えます。例えば,コブの頂点を通過する時は,雪面コンタクト圧を一定にしようとすれば,重心に対してスキー板が押し上げられ,脚が縮んで来ます。エネルギーラインは短くなるわけです。そして次のコブの凹部分に移ると,今度は“重心”にたいして脚が伸びることになります。しかしこの伸ばしを,自らの意識で行なってしまうと,雪面コンタクト圧が変化し過ぎてしまいます。あくまでも雪面との圧を一定にしよう … という意識が働き,その結果としてエネルギーラインが伸びる感覚が大事です。
  コブや悪雪にかぎらず,どのような斜面でも,この“エネルギーライン”をイメージし,そのラインがどのようになっているか?ということに思いを馳せると,身体が自然に反応してくれるのです。身体の五感全部が有効に働いて,その時々の状況に合った「動き」を演出してくれるのです。「それじゃ,自分で何もしなくていいじゃないか?」と言われそうですが,何もしていないわけではなく,身体全部をセンサーのように使って,雪の情報を感じ取る … ということです。雪の状態がどのようになっているか?ということに全神経を傾注している … と言ってもいいと思います。
  「悪コンディションでの滑り」は,その状況が刻々と変わるだけに,それをいちいち目だけで判断していては遅くなってしまいます。身体全部を使うというか,人間が動物として持っている全ての感覚を研ぎ澄まして対処することが大切です。言ってみれば「エネルギーライン」を意識することは,動物に成り切るための,あるいは動物の本姓に戻るための,ひとつの方策 … なのかもしれません。
  こう考えると,“スキー”って,また別の面白さがあるなぁー,とつくづく思います。(^I^)



 Aug./05/2002(月)  晴れ
  
昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…
   今朝は,朝早くは雲というか霧が掛かっていましたが,それも取れ始めてイイ天気に! 昨日はここのページになにもコメントしてませんでしたネェー … 失礼しました。(=_=;)  それほど,夏の暑さにやられてるんでしょうか? ハッハハハハ……(^I^)
  ここのところ,夏空が続いています。みなさん体調の方は万全ですか? 暑いからと言って,汗をかかないために運動しないのも良くないですね。ほどほどに汗をかきましょう…ネ ! (^I^)
 
     *****
  さて,今日は「コブの滑り方」の3回目です。
  
『   … コブでのLET感覚の滑りとはどういう滑りでしょうか? コブもLET感覚で滑るんだと、日記で読みましたが … 具体的にはどういう事に気をつけて滑ることなのでしょうか? 』
  コブが等間隔できれいに並んでいたり,大きさが均等で,深さもそんなに無い … という条件なら,「目で見て」それに対応するように,脚の運動や上体の使い方を考えればいいのですが,実際の斜面ではそういうことはまずありません。しかも,コブの凹部分には雪が溜まっていたり,凸部分はアイスバーン状態…ということも多いのが実状です。しかもコブのできる斜面はある程度の急斜面で移動スピードも結構あります。
  こういう実際の斜面では,
目で見てコブにあわせて脚を伸ばしたり縮めたりしている余裕はありません。身体を素直にフォールライン方向に移動させることで,素直に雪からの圧を足裏で感じ,脚が自然にコブからの圧に反応するようにすることがイチバンです。これを【Let】感覚で滑る…と表現しました。
  コブの斜面だからといって特別な技術がある … とは思いません。確かにコブ斜面特有の雪面コンタクト感覚はありますが,整地小回りの延長線にあるものだと思います。「上体と下肢のネジレ-戻りの力を使うこと」や,「クロスオーバーでは直滑降意識を持つこと」そして,「重心の軌跡をできるだけスムーズにし,上下前後左右に変え過ぎないこと」 … 等は【Letスキー】そのものだと思っています。たまたま凹凸のある斜面を滑るだけの話で,コブ特有の技術はあるとは思いません。もし「ある」という人が居られたら,それは「整地を滑る時の技術が片寄っている…」ということなのだと思います。敢えて言わせてもらえば,カービングテクニックと言われている技術でコブを滑るのは至難の業,だと思います。
  それから,コブをすべる時に意識した方がいいことがあります。それは,「“整地小回り”のような気持良い雪面コンタクトが得られなくて当たり前!」という気持を持つことです。バランスを崩す要因は比べものにならないくらい多いのが「コブ」の特徴です。雪面コンタクトがいつも安定しているとはかぎりません。でも,私達スキーヤーは同じ満足感をコブ斜面でも得ようとし,それが得られないことで思い悩んでしまいます。最初から「コブ斜面での滑走フィーリングは整地とは異なるものだ」…という気構えで滑ることが大事です。するとコブはコブでまた違った楽しみがあることに気付きます。テニスで言えば,とても拾えないと思われた所にボールが来て,諦めずにそのボールに素直に反応したら,打ち返すことができていた…ということと似ています。つまり,すこし抽象的ですが,身体が素直にコブに反応するように滑ることです。スキー板で感じ,足裏で感じ,身体で,心で「コブ」を感じられた時,コブ斜面の本当の楽しみが分かるでしょう。
  難しいコブ斜面ばかりに挑戦し,身体がガチガチになって滑ってばかりいては,この感覚は得られません。やさしい状況から少しづつ難しいコブへと挑戦することです。やさしいところでは【Letスキー】感覚で滑ることは容易にできます。この感覚をどのくらい難しい斜面まで適応させられるか?そして,自分のモノにできるか?
 が「トレーニング」の意味なのです。【Letスキー】は人間の身体の持つ特性を活かし切る…自分の身体能力と自然状況をマッチングさせる,という側面を持っているのです。
  「具体的にはどんな事に注意を…」というご質問の答えは,「“コブさん,コブさんありがとう!”という気持で,コブそのものを身体の五感で味わう」…ということになります。(^I^)




 Aug./04/2002(日)  晴れ
  
昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…
   昨日はナシでした … ((=_=;)
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  さて,今日は「コブの滑り方」“その2”です。次のようなご質問を頂いています。
   『 …  コブでのコースどりですが、 コブの溝を狙って滑っていこうとすると、スキーの向きが変えづらくなってしまいます。 スピードを出して、でも雪面コンタクトは取りながら、こぶを滑る時のコースどりは どのようにしていくのが基本でしょうか? できたら図解もいれて教えてください。』
  「コブのコース取り」ですが,一般的には右の図のようになります。この図は「手前(図の下)から向こう側(図の上)に滑っている状態」を示しています。コース取りがこれしか無い…というわけではありませんが,代表的な例としてこの方法が最もバランスを乱さないで滑れる方法だと思います。
  先ずBのように,斜めの直滑降状態でコブに入ります。この時,身体の上体の向きはフォールライン側を向いていることが大事です。すると,「上体と下半身のネジレ」が生き,下半身が胸の向きに戻ろうとしますから,スキーはフォールライン側を向こうとします。これが次のターンのキッカケとなるわけです。ここでむりやりスキーを谷側に回し込もうとすると,上体がリアクションを起こしてしまい,不安定になりますから,あくまで自然に回り込むのを待つ感覚が大事です。
  次に,Dで,回り込んでいったスキーのインサイドエッジで雪面を削り取るようにコブの面を横ズレ感覚で落ちて行きます。カービングスキーでトーションの強い板を使っていると,切れ過ぎてしまって滑走ラインが内側に入り過ぎてしまうことがありますから,意識的にズラす感覚が必要になります。この時,外スキーで雪面を捕らえながら,重心をフォールラインに落とすようにして,ソフトに脚を伸ばすのもいいでしょう。但し,脚を伸ばすことに意識が行き過ぎて,重心の落下を止めてはなりません。
  A〜Bは,次のコブに入る局面ですが,スキーが身体の下に戻って来て次第に次のコブの圧を受け始めますから,ここで,コブのエネルギーを受け止めるように(ショックを和らげるように)重心を中心として脚を引き込みます。このとき,必ずしも同時操作でなく,交互操作的でも良いので,左右のスキーのコンタクト圧をバトンタッチする要領で行なうといいでしょう。すると,スキーの左右圧50-50のニュートラル状況をでき,スキーがフラットになります。ここでしっかり「外向姿勢」ができていれば,スキーはコブの頭での抵抗が少ないので,簡単に谷側を向き始めます。このとき無理にスキーの先端を谷側に向けようとせず, むしろ,斜めの直滑降を楽しむくらいの余裕を持つことが大事です。

  カービングスキーは,基本的にズレないように設計されていますから,特にネジレ剛性(トーション)の強い板を使う時は,ズレを極力意識することです。また,カービングーターンではあまり必要無い … とされている,「外向姿勢」がおおきなポイントとなりますので,コブにかぎらず,「小回り」ではこれのトレーニングも大事になります。
  いろいろな斜面,コブや悪雪を滑る時は,「カービング」技術」だけでは対応できない … ということが解っていただけると思います。




 Aug./03/2002(土)  晴れ
  
昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…
 昨日は午前中が曇りで,午後からカラッと晴れました!
 数十年白馬に居ますが,このような天候は非常に珍しい現象です。普段なら午後から雲が広がるのですが…
 おかげさまで,トレッキングのお客様は大喜びでした! (^I^)

 昨日,中央アルプスで,とうとう落雷で死亡者が出てしまいました。 … 他人事でなく,気を付けないと…と思った【TOK】です。(=_=;)
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 さて,今日は「コブ」についてのご質問にお答えします。 2002シーズンもたくさんの方から,「コブの滑り方」についてご質問がありました。これを少しづつ解説させていただきます。
   『 … コブ、アイスバーンなど悪いコンディションでの滑りについて教えてください。コブでの雪面コンタクトはどのようにしたら良いのでしょうか?  コブの頂点を越えて急斜面に入る時に、板の先落としをしようとすると足首が伸びてしまうと思うのですが、どう対応したらいいのでしょうか?
  悪コンディションでのスキー滑走についてのご質問ですが,今日はまず「コブ」の滑り方を見てみましょう。
  「モーグル的な滑り方」と「基礎スキー」的な滑り方がありますが,ここでは「基礎スキー的なコブの小回り」…ということでお話します。
  まず一番注意することは重心の移動を極端に大きくしない…ということです。「 足首が伸びてしまう …」 という現象は,スキーだけが先に行ってしまって,重心がついていっていない証拠ともいえます。もしコブの頂点を過ぎて急斜面に入っても,スキーに重心(身体)が付いて行けば,足首は伸びません。重心を元のところに残しておいて,脚だけを伸ばし,雪面コンタクトを得ようとするから,足首が伸びてしまうのです。感覚的には,脚を伸ばすというよりむしろ「身体を谷側に落としていく」イメージです。脚だけを伸ばそうとすると,どうしても「重心中心の脚の伸び」になってしまい,重心がそこに残ってしまうのです。
  また「先落し」ということについてですが,「スキーの先」だけをフォールライン側に落とし込む意識を持つと,テールが引っ掛かってしまいます。どちらかというと「スキー全体でコブの裏側の急斜面をズレ落ちて行く感覚」の方がいいでしょう。特にカービングスキーの場合はトップの捕えが結構あるので,トップだけを落とそうとすると,急な部分でのスピードコントロールができにくくなってしまいます。
  「スキーQ&A」 20 「コブの滑り方」でもいろいろ解説していますが, 「コブの小回りの一般的な滑り方」 として,
 1.コブは急斜面と緩斜面が同居している斜面……という風に考え,コブとコブの谷間でできるスキーの「たわみの反発力」を利用する。
 2.コブの頭で,コブのエネルギーを受け止めるように(ショックを和らげるように)重心を中心として脚を引き込む。
 3.引き込んだらスキーをフラットにしニュートラル状況を作る。このとき,必ずしも同時操作でなく,交互操作的でも良いから,左右のスキーのコンタクト圧をバトンタッチする要領で行なう。
 4.外向姿勢ができていれば,スキーはコブの頭で抵抗が少ないので,簡単に谷側を向き始める。このとき無理にスキーの先端を谷側に向けようとしない。 むしろ,斜めの直滑降を楽しむくらいの余裕を持つ。
 5.外スキーで雪面を捕らえながら,重心をフォールラインに落とすようにして,ソフトに脚を伸ばす。
 6.重心の高さを変えないつもりで滑る。=腰の高さがいつも斜面を平行に移動する感覚で滑る。

 7.カービング特性だけに頼らず「ヒネリ要素」を使う。
  … ということがポイントになります。これを「浅く柔らかいやさしいコブから,深く硬い難しいコブへ,緩斜面から急斜面へ,低速から高速へ…」という風に練習したらいいでしょう。いつも難しい深いコブばかり攻めても意味はありません。
  「コブ」は,とにかく「数多くトライ&リピート」することです。「習うより慣れろ!」という格言が当てはまります。でもやみくもに行なうのではなく,上記1〜7の事項を意識して行なうことです。



 Aug./02/2002(金)  晴れ
  
昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…
 今日から8月 … 「葉月」です
 
葉月は「秋の季語」で陰暦八月のこと … 新暦にくらべ,約一ヶ月か二ヶ月先の季節感が …
 
でも,日本列島はまだまだ夏の猛暑の最中です。
 暑中お見舞い申し上げます。

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  今日は,トレッキングのお客様を「白馬大雪渓」までご案内です。そのため朝早く出発しなくてはなりません。この日記…時間が取れましたら,午後に New UP いたしますのでご了承ください。(=_=;)    

  白馬大雪渓まで行って来ました。
  私達スキーをする者はシーズン中の雪の白を知っていますから,スプーンカットになっていて,チョッとグレー色になった雪渓の雪を見ると,夏には雪渓の雪ってこんな風になるんだぁー,というチョッとした寂しさ…みたいな感慨があります。でも,スキーをしない一般の方々にとっては,その様な雪でも,ある種の感動を覚えるようです。
  今日のお客様は,雪渓の上の温度が結構適温だったせいか,なかなかそこを動こうとしませんでした。いつもなら冷凍庫の中にでも居るような寒さに,すぐ「降りましょう!」という人が多いのですが…。それとも都会の今年の暑さは異常なほどなんでしょうか?
  30分ほど雪渓を楽しみ,森の「トトロ」と会話しながら降りて来ました。




 
Aug./01/2002(木)  晴れ
  
昨日の Homepage (トップページ) のひと言コメント…
  今日も夏空ですが広がっている白馬です!。今朝は普通の夏のように山に雲が掛かリ始めました。(^I^)
  さて,気がついたら,今日で7月も終わりですねェー…,ホント月日の経つのは早い…。
  皆さんはこの夏どのようにお過ごしですか? 海 … 行くのかな?

 海 … 行きたいですネェー! 特に,ここ白馬から50分で行ける日本海の水は温かいし,きれいだから … 。(^I^) 
 妻は昨日行って来ました … 良かったみたいですね

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  季節は「夏」です。地球の裏側,ニュージーランドやオーストラリアでは厳冬期です。2002シーズンの日本の厳冬期 … にたくさんの方から E-mail を頂きました。技術的なご質問あり,レッスンについての感想あり…でいろいろお答えさせて頂きました。今月8月は,これらの E-mail の中から皆さんにもご参考になる…と思われるいくつかをご紹介させていただきます。 E-mail を下さった方には「無断引用!」と怒られそうですが,これもスキー仲間のお役に立つことですので,ご勘弁いただきたいと思います。(^I^)
 さて,今日は“T.M”さんからの E-mail をご紹介します。 
 
『 … 過日はお忙しいところ、課外授業していただきありがとうございました。実際の先生の滑りやお話で「Letスキー」のイメージがよりはっきりしてきました。100−0、50−50の圧感覚にしても自分では50−50のつもりでしたが、先生に指摘してもらうと0−0になっていることに気付けました。滑りにあわせて「受けるぅー引くぅー」を言っていただくこと、0−0になった切りかえ部分を「そこっ」と指摘してもらうことで自分の意識と先生の意識との差が分かった気がします。「引くっ」と「引くぅー」の違いもはっきりしました。今シーズンは「受けるぅー引くぅー」を意識して滑っていましたが、私の場合は「引くっ」という動きになっていました。これも、収穫です。 … 』
  100-0 とか 50-50 というのは,左右の板の圧感覚を指しているのですが,この「圧」をどのように調整するか?で滑りの質はガラッと変わります。“T.M”さんがおっしゃるように,クロスオーバーのところ…つまり角付けの切り換えのところで,両スキーの圧バランスは同じになるのですが,これを 0-0 にしてしまうと,抜重動作になってしまいます。ところが 50-50 意識を持つと,ベンディング的な動きになるのです。このとき,心や声での“つぶやき”は,「引くッ」ではなく「引くゥーー」になるのです。
  “スキー”をしていて,バランスを崩してしまう最大原因は「急激な圧変化をする」ことです。でも,他のスポーツをやられている方は特にそうなのですが,「身体をパッパッパッ…と動かさないとスポーツをしている気分になれない」とおっしゃいます。私に言わせれば,ここのところが最も“スキー”が他のスポーツと違うところなのです。位置エネルギー,つまり高い所から低い所へ移動し,そこで得られる力を回転に結びつけ,楽しむのが“スキー”だと思います。落下エネルギーを有効に使うということです。
  これに気がつけば,ターンに必要な力を得るのに,自分みずから力を雪面に加えなくても良い…ということが解ってきます。落ちて行って雪から来る圧をスキーで受け止め,スキー板に貯まった力を脚の伸縮運動でコントロールすれば良いのです。
  念のためにお話しておきますが,自分で雪面に力を加え,自分の体力を優先的に使って“スキー”を楽しむこともできますし,それがいけないことだとは思いません。それも一つの方法です。でも,それ以外にも“スキー”を楽しむ方法があり,性別や年齢的なことで影響されにくい滑り方もある…ということです。(^I^)  マルティン・グガニックも言っていますが,「スキーはバランス!」。人生もバランス。急激な変化は避けるべきです。

  夏に“スキー”のことを思い出しながら書き込みをする … 頭の中に「白い原野」が現れ,そこをスキーヤーがスキーを楽しんでいる姿が浮かぶ … 心が落ち着き,清涼感で満たされる … α波が出てきて「幸福」を感じる … 。
  やっぱり,“スキー”はイイなァーー! (^I^)

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