What's Today ?
08/31 簡単オフトレ No.2
08/30 スピード…
08/29 カリキュラム…
08/28 指導の優先順位
08/27 スキッディングが先
08/26 いろいろ,色々,イロイロ
08/25 天二物を与えず
08/24 SKI SELECTION No.4
一般的な注意事項
08/23 SKI SELECTION No.3
板の長さの違い
08/22 SKI SELECTION No.2
チャート表の見方
08/21 SKI SELECTION 2004
No.1 テスターを読む
08/20 キャスターでの角付け
08/19 角付けの切り換え
08/18 コブも滑りたい
…用具は?
08/17 個性を大事に!
08/16 己を知るための道具
08/15 始動期の回転力
08/14 後部の安定
08/13 軌跡変化は緩やかに
08/11 向心力とカービング
08/10 回転モーメント
08/09 抵抗は速度に比例する
08/08 作用・反作用とバランス
08/07 引力に「逆らう」と「任せる」
08/06 【TOK】流簡単力学
08/05 ホエール・ターン…?
08/03 スキー選びのコツ
08/02 小さいスキー場も
大きな道場
08/01 グッキーの映像に乾杯!
*** これまでの日記***
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* 2003年6月
* 2003年5月
* 2003年4月
* 2003年3月
* 2003年2月
* 2003年1月
* 2002年12月
* 2002年11月
* 2002年10月
* 2002年9月
* 2002年8月
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* 2002年2月
* 2002年1月
* 2001年12月
* 2001年11月
* 2001年10月
* 2001年9月
* 2001年8月No.2
* 2001年8月No.1
* 2001年7月
* 2001年6月
* 以下 2001年
教師日記 5月
教師日記 4月
教師日記 3月
教師日記 2月
教師日記 1月
* 以下 2000年
教師日記 12月
教師日記 11月
教師日記 10月
教師日記 9月 #2
教師日記 9月 #1
教師日記 8月 #2
教師日記 8月 #1
教師日記 7月
教師日記 6月
教師日記 5月
* 以下 1998-2000
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August/31/2003 (日曜日) 小雨
本当に不完全燃焼の8月でした…。(=_=;)
9月はその分もおぎなって余りある晴天が!…とういことを期待しましょう。(^I^)
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さて,昨日はスキースクールの「スノーメイト会員」さん対象の「簡単オフトレ講座」を行ないました。
約80名居られる会員のうち8名の方が参加してくれました。僭越でしたが,私が担当させていただき,午後約3時間の講義でした。参加いただいたみなさんは,結構滑られる方々で,オフシーズンの過ごし方に興味を持っておられ,真剣に聞いていただきました。(^I^) 屋外での講義が終わるまで雨も降らず,八方尾根の見える松川の芝生でのオフトレ談義でした。
内容は,6月下旬に私がこのホームページをご覧の方を対象に行なったものと同じものでしたが,2回目ということもあって,前回よりはよりスムーズに皆さんに説明がができたと思います。(^I^) 人間,やっぱり慣れというか,経験が大切ですネ!。
さて,今日はその続きで,メイト会員さんとスキースクール教師の交流を目的とした「お楽しみ会」です。ちょっと雨模様なので屋内でバドミントンを楽しんだ後,バーベキューをする予定です。それまでに天気回復しないかなぁー?!(^I^)
では行って来まァーす!
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August/30/2003 (土曜日) 曇り
せっかくの土曜日の今日…曇りです。山は雲に覆われています…(=_=;) 気温も19℃…もう秋って感じですネ!
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さて,今日は,“スピード”ということについて…。
ここ数日“T.N”さんからのご質問,「中級スキーヤーへのレッスンは?」ということや,“N.M”さんがニュージーランドで感じられたこと…についてUPしてきました。また「SJ9月号」の技術系の記事も読む機会がありました。そして感じたことは,多くのスキーヤーにとっての「滑走スピード」って何なんだろう?ということです。
機械力で整備された朝一番のリーゼンコースを滑る,「朝一リーゼン」のように,全身に風を感じながら整地斜面をかっ飛ばす快感は,それも動力の力を借りずに自分の体重だけで滑ることができる悦びは,他のスポーツでは味わえないものです。でもこの愉しみは愉しみとして,スピードが増せば増すほど失うものもあると思います。例えば雪の感触などを味わう余裕は無くなります。自然との会話…どころではなく,前にいる人にぶつからないように,雪面コンタクトをできるだけ急激に変えないように,斜面状況の変化があまりありませんように…と祈りながら,ある意味でスリルを楽しんでいるのかもしれない,と思うことがあります。
「スピードが2倍になればその衝撃力,あるいはいろいろな現象への影響が,その二乗の4倍になる…」という話を聞いたことがあります。スキーでいうと,このことはスピードが増せば増すほどスキーコントロールができにくくなり,バランス維持が極端に大変になる…ということでもあります。それだけにより繊細な技術,高度な技術の修得が必要になる,ということです。つまりスピードが出れば出るほど,それに対応した技術は洗練化し合理性の粋を集めたものになっていく…ということです。
Ski Journ○l 誌の技術解説などは,この流れに沿ったものだと思います。ハイスピードで滑るためには,もしくは,レースで勝つためには…こういうテクニックが,ああいう技術が必要,ということです。でも,別の見方をすると,ある意味で「自由度」の少ない限定されたテクニックの追求…ということにもなります。レーサーのように時速90キロや80キロで滑るための技術は,45キロや40キロで滑る一般スキーヤーの技術に比べれば,「1/4」の繊細さを持っている…ということです。言葉を換えていえば,45キロで滑れば,レーサーの技術論の4倍余裕のある自由な滑りが可能だということです。(^I^) それだけ「あやふや滑り」や「いい加減な滑り」ができる,ということで,その分景色を楽しんだり,雪との会話が楽しめる…ということにもなります。
話は変わりますが,「ファーストフード」の食の画一化を危ぐする声が高まって起こった「スローフード運動」というのがあります。これなどはスピードが速くなることによって画一的なものが氾濫し,それによって失われるものが多い…という一面をあぶり出しているように思います。速く生産し,速く調理し,速くサービスする…そして速く食する。残るものは「美味しく食事をした!」という満足感よりも,「エサを食べて満腹になった!」という感覚です。現代の忙しい時代が生み出した生産効率,生活効率を最優先した社会現象…と言っていいと思います。
さて,話を“スキー”に戻して…このようなことを考えると,もし速く滑ることを犠牲にしていいなら,より高度な,私に言わせれば高度過ぎる,「技術」を学ぶことの必要は無くなり,より味のある“スキー”が愉しめるようになる,と思うのです。つまり,私の言いたいことは,レーサーがワールドカップで勝つために必要な高度な技術は,学ぶ意味が無いとは言わないけれど,私たち一般スキーヤーが“健康スポーツ”として“生涯スポーツ”として“スキー”を楽しむ意味では,あんまり必要がないかもしれない…ということです。ゆっくり余裕を持って滑ることの方が,はるかに多様な自然と向き合うことができ,多くのことを感じ取ることもできます。
車に乗っているときの景色と,歩いているときの景色…それぞれ違いますが,歩いている方がはるかに多くの情報を得ることができます。ファーストもいいが,スローもいい…。そんなことを思った【TOK】でした。
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August/29/2003 (金曜日) うす曇り
今朝は「晴れ」まではいきませんが,曇りでもない…そんな天候の白馬です。(^I^)
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さて,今日は,“T.N”さんからのご質問のお答え,そのNo.3です。中級スキーヤーへのレッスン…語り始めたらとまらなくなりそう…ハハハ(^o^) で,今日は最後段の部分…『 … 60分とか100分とかの授業内容の組み立て方のコツや、時間配分など・・・』についてです。
私の所属するスキースクールでは,普通はレッスン時間が午前も午後も2時間,ということになっています。これは各スキースクールやスキー学校のシステムでいろいろな違いはありますが…。で,その時間内の内容の組み立て…ということなのですが,私の場合は特別こうする!とは決めていません。というのは,生徒さんの資質や性格によってその展開が異なることが多いからです。資質とは生徒さんの体力的な違いとか運動能力の違いですし,性格とは,やる気を喚起させるための手法の違いなどです。ですから言葉を換えて悪く言えば,行き当たりバッタリ!ということになります。(^I^) 良く言えば,生徒さんの特徴に合わせ臨機応変に…ということになります。ですから生徒さんがハッキリとした目的を持っている場合でも,そこに至る方法はいろいろ…ということです。ですからリフトに乗っている時が一番頭が活性化することになります。レッスン内容の組み立てを最も効果的な方法に変えて行こうとするからです。本当は生徒さんとご一緒にリフトに乗っていろいろお話をしたいのですが,この最良の方法を考えるために,わざと生徒さんと別に乗ることもあるのです。(^I^) 先生がチョコチョコっと素早くリフトに生徒さん以外の人と乗り込んだら,その時は,「アア,先生はカリキュラムを考え直しているんだ!」と思ってもらった方がいいでしょう。(^o^)
私の場合,時間配分については,それほど気を配りません。というのは,いくら目標に達そうとして頑張っても,そこに必ず到達できるとは限らないからです。目標に達することを焦り過ぎて,その過程がおろそかになれば,かえって生徒さんの技術習得は遅くなってしまいます。学問と同じで一つ一つの積み重ねが大事なのだと思います。完全にできるまでやる…ということではありません。できたできないに関わらず,ひと通りのことをフィーリングとして身体が体験しないと,その総合力としての力が発揮できないと思うのです。「積み木」に例を取れば,一つ一つのブロックがピシッピシッと決まって一部の隙もない無いパーフェクトな物体ができるのが理想ですが,一つ一つのブロックが必ずしもピシッと決まっていなくても,空間がありながらもなんとか物体ができた!ということが大事なのです。もしこの時,たとえ99%のブロックが完璧でも,ひとつのブロックが無かったら,物体は完成しません。でも,たとえピシッと決まっていなくても,空間がありながらも100%のブロックがそろえば,物体の形はできるのです。これができた後に,一つ一つのブロックに磨きを掛けていけばいいのです。そういうわけで,目標を設定して,それにあわせて時間配分をする…ということは私はしていません。できるところまで…でその日ならその日のレッスンを終えるようにしています。
さて,個人レッスンで生徒さんがお一人の場合は,その生徒さんのことだけに集中すればいいのですが,二人以上の生徒さんが居られた場合,どのようにレッスンするか?ということが大切になります。私は先ず皆さんに滑ってもらい,その中の最も技術レベルが下の人に合わせ,その方が楽にできるテーマから与えるようにします。そして,上手な人にモデルとしての役割を演じてもらうようにしています。そうすると,うまい人は教師が述べたことを正確に演技しようとします。これがうまい人の技術をさらに磨くことになるのです。私はフォームや身体の使い方よりもイメージやフィーリングを大事にしたレッスンが多いので,レベルに相当の差があっても,それが支障になったり,生徒さんのためにならない,とか役に立たない…ということはあまりありません。そのイメージやフィーリングはどのようなレベルの生徒さんに対しても有効だからです。最大で25人くらいの集団にレッスンをさせていただいたたのが最高記録です。(^o^)
また,ひとつのテーマについてその完成形を求めるのではなく,そこそこにできた段階で次のテーマに移るようにします。うまくできたできなかった,ということは教師よりも生徒さんのほうが一番自覚されていますので,その結果についてのコメントは他人との比較での評価ではなく,その個人がどう変わってきたか?で評価するようにします。つまり,相対評価ではなく,絶対評価…ということです。そして,各人へのアドバイスですが,欠点の指摘は3割にとどめ,良い所を7割の割合いで褒めるようにしています。人間は褒められても,けなされてもやる気を起こしますが,褒められた方が明るい気分でより積極的にやろう,とするようです。でも,時には「なにくそッ!」という気持ちになることも必要ですので,その割合は7対3になるようにしています。
そして最後に最も大切なことです。それは,ひとつの技術をある程度覚えたら,その技術を生かせる場所を探して,滑り込むことです。そのフィーリングならフィーリングを,また身体の使い方なら使い方を,いろいろなシチュエーションで試してみることが大事です。ゴルフに例えて言えば,練習場で5番アイアンの基本練習をしたら,コースに出て5番アイアンの技術を実際に使ってみることです。もしコースで使えなかったら,その基本練習のどこかにオカシイところが有った…ということがわかります。実践で使えることがわかれば,さらに次の段階のテーマについても基本練習をしっかりやろう!という気持ちが沸いて来ます。(^I^)
“T.N”さんからの E-mail の回答…中級レベルだけに限らない,一般的なレッスンのやり方,みたいな事の話になってしまいましたが,これは私のスタイルです。“T.N”さんには“T.N”さんなりのやり方があると思いますので,もし,私のやり方が少しでも参考になりましたら,肉付けをしてさらに良い方法に仕上げて行ってください。
多くの方から愛される「スキー指導者」として大成されることを祈っております。(^I^)
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August/28/2003 (木曜日) 曇り
今朝はまたどんよりした天気に…。もう夏は終わったんでしょうか?ちょっと寂しい夏でした。皆さんはどうでしたか?ススキも咲き始めもう秋の気配の白馬です。
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さて,今日は昨日の続きで,“T.N”さんからのご質問にお答えしたいと思います。後段の部分…『 … また、5個注意したい事があったら、まず5個のうちどのようなことから指導したらいいと思いますか?あるいは60分とか100分とかの授業内容の組み立て方のコツや、時間配分など・・・私なりのやり方でやっていますが、指導経験の多いTok先生のお考えを、ぜひ聞かせて欲しいと思います。… 』についてです。
担当した生徒さんに5つのことをお教えしたい。どのようにするか?ということですが,5つの項目にも優先してお教えした方がいいもの,より基本的なことがありますから,そのことから始めます。当たり前と言えば当たり前ですが,目先の,流行している技術や脚光を浴びているテクニックから先に話す人も居ますので…。ただし,目標とする技術として,「今日5つのことをやって行けば仕舞いにはこういう滑りができるんだよ!」という意味で話すのは大いに結構なことなのですが…。
さて,私の場合,5つなら5つの技術を習得するのに,姿勢やフォームのことはほとんど言いません。足裏の感覚とかイメージを大事にしたレッスンを行ないます。どうしてか?というと,08/26 いろいろ,色々,イロイロにも書いたように,人の身体の構造はそれぞれ異なり,同じ姿勢やフォームだから同じ滑りができるとは限らないからです。30年間スキー教師をやってきて,姿勢やフォームを直しても,個人々々の滑りの本質はあまり変わらない…ということを感じました。ですから,まず基本となるフィーリングとか意識をお話し,その時々のイメージを大事にしていろいろな斜面を滑ってもらいます。すると生徒さんの身体の使い方には微妙な違いがあるのですが,スキーの運動が同じように動き始めます。身体の使い方が先にあって,そこからフィーリングが感じられるのではなく,その逆で,フィーリングやイメージを先に試してもらうい,その結果として各人に合った身体の使われ方が生まれる…ということなのです。
例えば,5つなら5つのテーマのひとつ,「シュテムターンでの開きだし」をお教えするとします。この場合は,開き出す方の足裏に“オレンジ”を意識してもらい,そのオレンジが足裏で転がりながら横方向に移動するイメージを持ってもらいます。するとその時々の斜面状況に応じた身体の動きが表れます。雪が軽いときは,重心が高く上半身も立った状態で脚が開きますし,雪が重い時は腰がやや屈み,重心も低めになります。これは身体をこう使おうとか,ああ使おう,としているのではなく,“オレンジ”の転がりを意識することで自然に起こる身体の運動なのです。この順序を逆にしてしまうと大変なことになってしまいます。「雪が重い時は腰をやや下げるようにし,腰も屈めて下さい。雪が軽かったら腰を高めにしてそのまま脚を横に動かします…」等と話し始めると,状況に応じた分の解説が必要になってしまいます。この場合の基本的なフィーリングは,「オレンジが横にコロコロ」なのです。このイメージがあれば斜度や雪質など,斜面条件に関係なくシュテムの開きだし,の要領がつかめるようになります。(^I^) これが5つのうちの1つ目です。次に,オレンジコロコロがうまくできて,脚の開き出しが済んだら,そのオレンジがつぶれてジュースが出るイメージを持つようにします。この時滑走スピードが遅ければ,自分からオレンジを踏む感覚が多くなりますし,もしスピードがあれば雪からの力がオレンジをつぶしてくれる感覚になります。いずれにしても,オレンジがつぶれ,ジュースが出るイメージを持つのです。すると開き出した方のスキーに過重が多く掛かり,スキーはそれまでと逆の方に回転し始めます。そのままオレンジジュースが出るイメージを持ち続ければ,外スキーの過重配分が多くなり,内側のスキーが自然に外スキーに寄って来ます。いつの間にか両足がそろっていて,シュテムターンが完成しています。5つのうちの2つ目,「脚を平行にする」ということができたことになります。もうお気付きでしょうが,この時滑走スピードが速ければ,雪からの圧が強く働きますから,外スキーに乗り込むのが短時間で起こり,両スキーが揃うのも速く済む…ということになります。よくシュテムターンで,脚を揃えるタイミングがわからない…という人が居ますが,このことが理解できていれば,揃えるタイミングに気を取られることは無いのです。(^I^)
以上,シュテムターンに例を取ってお話しましたが,5つの技術を習うのに先ず最も大事なことを先に行い,それと次の技術を関連付けて話を進めることです。1つ目が,「オレンジコロコロ」,2つ目が,「オレンジジュース」…というのが私のやり方です。全く関係の無い要素を使って,パーツの組み合わせ的にレッスンをすると,その連結部分が大変になってしまいます。5つなら5つの事が,それぞれあるキーワードで関連付けられている…というようなレッスンができれば最高だと思います。
このキーワードを見つけ出すのが教師の楽しみでもあるのですが…。(^I^)
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August/27/2003 (水曜日) 晴れ
今朝早くは雲が少し多めでしたが,今9時にはその雲も少しづつ取れはじめました。(^I^) 気温は21℃としのぎやすいです。(^I^)
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さて,“T.N”さんから次の様な E-mail を頂きました。今日はこの E-mail の紹介と私のアドバイスです。(^I^)
『 … Tok先生初めまして・・・。教師日記楽しみに毎日拝見しています。わたしは昨年準指導員の資格をとることができ、冬は北信州のあるスキー場で、週末を主としたスキー指導をしています。いつもレッスンがあるわけではありませんが、初級から中級レベルの生徒さんを指導する機会が多いので、初心者ではないけれど上級者でもない・・・という人たちを指導するときの指導のポイントを、教えていただければ嬉しいです。特にカービングスキーを履いている生徒さんにはカービングをメインに、とかスキッディングからとか、いろいろいわれますが、先生はどう思われますか?また、5個注意したい事があったら、まず5個のうちどのようなことから指導したらいいと思いますか?あるいは60分とか100分とかの授業内容の組み立て方のコツや、時間配分など・・・私なりのやり方でやっていますが、指導経験の多いTok先生のお考えを、ぜひ聞かせて欲しいと思います。指導上のノウハウをお聞きするのは気もひけますが、できる限りで結構ですのでよろしくお願い致します… 』
“T.N”さん E-mail ありがとうございます。準指導員合格おめでとうございます。指導経験が多いという点では,「30年以上もよく毎年レッスンをさせていただいたなぁー…」と思っています。そしてなによりも,担当させていただいた生徒さんが,その後に“スキー”をさらに好きになってくれたかなぁ?それともイヤになってしまったかなぁ?…ということを思います。そういう意味では毎日々々が反省の繰り返しです。私の狭い了見でのノウハウですが,それが少しでも皆さんの参考になれば,私も嬉しいのでぜひ聞いてください。100人居れば100通りの指導法があると私はいつも思っております。ですから,私がこれからお話しすることが必ずしも正しいことだけだとは思っておりません。わたしの話を参考にしていただいて,さらに皆さんが肉付けをして,効果的な,味のあるスキー指導ができるようになられることを祈っております。(^I^)
さて,先ずはじめは,「カービングスキーを履いている生徒さんにはカービングをメインに、とかスキッディングからとか…」ということについてですが,“T.N”さんが仰るとおり,初中級レベルの生徒さんにカービングから始めるべきか?それともスキッディングか?という二つの考え方があります。生徒さんがこれからさらにスキーを続け,いろいろな斜面を滑れるようになることを目的にするなら,私は迷わず「スキッディング」から…と言い切ります。一昨年あたりから,カービング特性を持った1メートル位の長さのスキー板が登場しました。これは初心や初級レベルからカービングターンに慣れ,それを基にしてスキー技術を少しづつ高めようと意図して作られた「入門用」の板です。たしかにこの板を使えば,緩斜面,整地の斜面ではスイスイとカービング要素で滑ることができるようになります。まるで直滑降の感覚そのものでターンを描け,回ることができるれるからです。問題はその後です。整地・緩斜面で滑れるようになった生徒さんが,斜度が少し急になると,行きたい方向のコントロールやスピードコントロールができないのです。直滑降の延長ですから,バランス感覚さえ優れていれば,決まった円弧だけはスンナリ描くことができます。しかし,ただその板の性能に乗っかって移動しているだけ…という滑りになり,周囲に人がいる時などは衝突の危険さえあります。本当に人が少ない整地された緩斜面だけしか滑らない,というのであれば,あるいはその練習にしっかり時間が掛けられ,急な所へは行かない…ということであれば,その練習にじっくり時間を掛けて,徐々にターンコントロールができるようになるかもしれません。しかし,それでは初級者なりにいろいろな斜面を滑りたい,という欲求を満たしてあげることができないと思います。このことは「カービングターン練習用の短い板」を使わず,普通の板を使ってカービング要素の滑りから始める時でも,同じような事が起こりがちなのです。
話はちょっとそれますが,スノーボードのレッスンでも,ずれることから始めます。その理由はカービングで滑る感覚を学ぼうとすると,身体が置いてけぼりを食うことが多く転倒してしまったり,スピードのコントロールが難しいからです。先ず徐々に横移動ができるようになってから,前方向や斜め前方向に移動することを練習します。スノーボードでは両足が一枚の板にくっ付いていますので,両足で別々に操作できない分,スキーに比べ,横ずれ練習が一段と必要になるのです。
また確かに,カービング要素のスキーから入ると,斜面移動によってスキートップ方向の雪からの抵抗を受ける,という【Let】的な練習にはなります。しかし,前方方向移動だけが【Let】ではありません。前後・左右・斜めに移動し,そのいろいろな方向から抵抗を受けた時のフィーリングを学ぶことも【Let】スキーの大事な要素です。前方向に対する【Let】だけでは,初級者段階で必要な「スキーをいろいろ操作する」という能力は付きにくいのです。先ずはスキー板が前後左右,斜めにどう動くか?横移動と前移動ではどうそのフィーリングが違うのか?といったことから学ぶべきだと思います。ですからこの段階では【Do】的要素も含めた,「どう運動を起こせば,どうスキーが反応するか?」というような,身体の使い方の基礎的なことを学ばないといけません。これができた上での【Let】なのです。
カービングスキーを履いている生徒さんでもスキッディングの練習から!…が私の結論です。
今日は先ず「カービングが先かスキッディングが先か?」ということからお話しました。明日はご質問の後段について…。(^I^)
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August/26/2003 (火曜日) 曇り
今朝はまた曇り空の白馬に戻ってしまいました。土曜日にチョッと晴れ間が出そうですが,それ以外は「雲」と「傘」のマークがズラーーーッと…。秋雨前線がもう降りてきたような感じです。
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さて今日は,“N.M”さんから頂いた E-mail をご紹介したいと思います。ザウスが閉館した影響もあってか,私の知人もたくさんニュージーランドに行ってこられたとのことですが,“N.M”さんもそのおひとりです。(^I^) その彼から次の様な E-mail が届きました。
『…TOK先生、こんにちは。 さて、本当に些細な事ですが、NZのスキー場であったことを書きます。 コロネットピークで昼食を取っていた時の事です。あそこはセンター ハウスの前にスキーヤーが集まってくるような造りになっているので、 食事中にいろんな人の滑りを観察することができました。
ぼんやりと滑って降りてくるスキーヤーを見ていた時の事です。 ワンピを着た凄く上手いレーサーがカッ飛んで降りてきました。 その時、直感で日本人だな・・と思って、前を通り過ぎた時に確認すると 確かに日本人でした。そんな事が何回あって・・・ある結論に至りました。 つまり、日本人は滑り方ですぐにわかる・・・と言う事です。
実際、それが日本人なのかどうかは遠巻きに見ているので 絶対的確認方法が無いのですが、近づいた時に、服装や背格好、 顔立ちで日本人と判断しました。
さて、その滑りなのですが、皆一様にカービング病?というか、 エッジに乗っかっている感じが強いのです・・・かなりの上級者でも そういう印象でした。レーサーから基礎スキーヤーまで皆、同じような 滑りで降りてくるんですよ。 自分よりも明らかに上手い!と感じるんですけど何かが変なんですよね〜。 的中率は100%でした。
また,リマーカブルズで日本人の集団(これも服装などで判断)が いまして、基礎スキーヤーの集団だったのですが、なんと!講習形式で ずっと滑っていました。もしかしたら夏の間に少しでもレベルアップしたい・・ そんなツアーだったのかもしれませんが、何とも日本人的というかもったいないような寂しいような感じがしました。
・・・要するに・・まだ頭の中が整理できてませんが、個人的な趣向かも しれませんが、僕は外国人独特の、体軸を大きく使ってグイグイ落ちてくる 滑りが好きです。まぁ自分は人の滑りをとやかく言えるレベルではない のですが、そんな滑りができるようになりたいですね。…』
“N.M”さんお帰りなさい! E-mail ありがとうございます!(^I^)
私も“N.M”さんと同じ様なことを思ったのを思い出します。わたしもNZのマウントハットでのことでしたが…。マ,人には人それぞれ楽しみ方があるからどうこう言えないけれど,どことなく一抹の寂しさを感じますネ。日本人…カービング病…レーサーから基礎スキーヤーまで皆…ということが何かが変じゃない?という気持にさせます。
カービングが流行ればカービング一辺倒,皆同じスタイルで同じ滑り方をしたがる。コレって日本人の習癖なのかなぁー?「型」を重視し,手本と同じフォームで同じ運動をしたがる…。同じ鋳型から同じ形の製品が続々生み出されているのと,姿がダブって見えてしまいます。人と同じだと安心して居られるが,ちがう格好や行動をすると異端児のように感じてしまう。個で活動するより集団で活動したがる。まるで,魚が敵から姿を守るために集団で泳ぎ,相手に威圧を与えるのと似ています。もしコレが日本人の平均的感覚だとしたら,ちょっと嫌ですネ!。そう言えば,日本の教育そのものが「同じ考え方」をする人間,コピー人間を作り出すようなシステムになっているんじゃないか?と思ったことがありますが,それが事実で,その影響が出て来たのかも…??。もしコレが当っているとしたらコワイ!!! いやぁー本当に怖い!
私は,検定の現場などで,受験生のフォームや形を見てはいけない。受験生のスキーの動きこそ見るべきだ!と機会をみては言っているのですが,ややもすると身体の動きやフォームに比重を置いた見方をする検定員も,まだまだ居ます。コレなどは個人々々の身体の創られ方を無視した,ある意味で間違った見方だと思っています。人はそれぞれDNAが違っていて,骨格も筋肉のつき方も異なり,同じものごとをしようとしてもその仕草や運動は微妙に違います。極端に言えば同じではあり得ない!とさえ思います。それなのに同じ身体の使い方を強要したり,他人と同じ姿勢やフォームを作らせようとすることは,身体の特徴を活かした合理的な運動を妨げることになりかねません。もしスキー板そのものが活き活きと動いていて,その上に乗っているスキーヤーがしっかりバランスをとることができていれば,その姿勢やフォームがどうであれ,その人固有の素質が活きた合理的な滑りだと判断すべきです。
同じ斜面に立ち,同じ道具を使って滑り始めたとしても,遠くで見ている人が,「あれはAさんだ!」,「…はBさんだ!」とその滑り手を判別できるのが当り前なのです。このような区別がつかないような滑りは,ある意味で不自然だと思ったほうがいいでしょう。“スキー”は,このように,各人の個性を大いに発揮して,自分は自分!ということを他人の前で披瀝できるスポーツでもあります。この世に存在する俺だけの滑りをこそ,大いに主張し楽しむべきだと思います。そしてもし,このような自己表現をすることの楽しみに気付き,個を主張することが当り前になれば,他人と同じ色であれば安心…という人任せ的な生き方とは違う,別の生き方が見えてくると思います。私は個人的に,ひとりでも多くの方に“スキー”をとおして,このような生き様を見つけ出して欲しいと思っています。人と同じでない自分を!!!
いろいろ,色々,イロイロ…がいいなぁー!と思っている【TOK】でした。(^I^)
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August/25/2003 (月曜日) 晴れ
今朝も晴れ。山の頂にはもう雲が掛かってしまいましたが,イイ天気です。朝の気温は22℃…昨日の昼は34度くらいまで上がりました。(^I^) 河原での「バーベキュー」…楽しかったです!(^o^) みなさんも週末楽しんでますか?(^I^)
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さて,今日は,「天は二物を与えず」ということについて…。
昨日まで「SKI SELECTION 2004」の読み方,について私の考えをお話してきました。多くの方からご質問を受けました。その中で感じることは,「どういうスキーをしたのか?」というピントが定まっていない人が多いということです。「できればシャーンとカービングもしたいし,小回りも…できればコブも滑れれば…」という欲の深い方が多いのです。(^o^) でも,残念ながらアレもコレも全ぇーン部うまくできる…というスキー板はありません。人間でもそうですよね?人あたりの良い人は付き合っていて気持ちがいいし,楽しいけれど親身になって忠告してくれることは少ない。だけど普段はブスッとしていて何だあいつは?というような人がピシッと要点を忠告してくれる。物事の核心をついている人は理屈っぽくて一緒に居るのは辛い。人それぞれに特徴があって,そういう中で生活できるから人生が面白いのだと思います。何から何まで完璧で最高の人間!という人はまず居ないと思って良いでしょう。スキーも同じで,1台のスキーで全てをバッチリこなすことは無理なのです。
そこで,何をメインにするか?を決めることです。1級やテクニカルに受かりたいのか?それとも検定はどうでもコブが滑りたいのか?大回りをビシッと決めたいのか,「あいつの小回りはすげぇー!」と言わせたいのか?あるいはどんな斜面でもソコソコでいいから全てをコレ一台で済ませたいのか?。また,検定でも板を取り替えて演技することが可能なのかダメなのか?…こういった,「自分はどういうスキーをしたいのか?」が決まらないと,スキー板を絞り込むことはできません。例えば,「とにもかくにもコブをうまく滑るための一台!」に標準を当てよう!…ということであれば,それに適した板はカタログデータから読み取ることができ,スキー選びの間違いのリスクを負うことは少なくて済みます。
それでも,できるだけ欲張ったスキー選びをしたい!…ということであれば,試乗会で実際に乗ってみるか?シーズンインまで待って,レンタルショップでニューモデルの板を借りて滑ってみることです。ほとんどの試乗会は終わってしまいましたから,あとはレンタルで借りるか?人の履いているスキーを借りてみるか?どちらかです。実際私の知っているスキー教師の中に,新品は買わずに,シーズンインになって,人の板を借りて履いてみて,その中から自分に合ったスキーを購入している人も居ります。
また,こういう方法もあります。仲の良い3人なら3人でグループを作り,3台の特徴の異なる板を買います。そして,その板をその時々の状況に応じた形で「使い回し」をするのです。自分だけの板でないため,チューンが異なる…とか,自分が使いたいときに使えない…などの制約は出てきますが,その代わりいろいろな特徴を生かしたスキーイングができます。例えば,ある技術をレッスンで習ったとします。Aという板ではその感覚が判らなかったけれど,Bでやってみたらできた!というようなことは,結構現実にあることなのです。3人が無理なら,気の合った友人と二人で「使い回し」を契約してみたらどうでしょう?
「天二物を与えず」=天は一人の人間にそういくつもの長所や美点を与えはしない…ということですが,“スキー”の世界でも同じことが言えるんですネ!? 各言うワタシ…二物はさておき,イチブツさえも無い…哀れ。(^I^) (^o^) (^I^)
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August/24/2003 (日曜日) 晴れ
今朝も晴れ。山の頂にはもう雲が掛かってしまいましたが,イイ天気です。朝の気温は22℃…昨日の昼は34度くらいまで上がりました。(^I^) 河原での「バーベキュー」…楽しかったです!(^o^) みなさんも週末楽しんでますか?(^I^)
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さて,今日は,「SKI SELECTION 2004」の読み方,「その4」です。
今日は一般的な注意事項についてお話したいと思います。
レースタイプの板は来年から競技規則が変わり,GSでは男子が185センチ以上,女子が180センチ以上の板で,Rは男子も女子も21m以上のものを使わないといけなくなります。また,SLでは男子が165センチ以上,女子が155センチ以上の板…となり,選手に対して危険なGが掛かり過ぎないような配慮がされることになりました。私たちが一般的に使う場合,レーサーほどギンギンに攻めることはありませんのでこのような危険は回避できると思いますが,良い位置に乗ってスピードが出過ぎたりすると,それなりのカービング特性が生きて危ない目に遭うことも考えられますので,スキー板選びで,レース用の最高モデル(最パワーモデル)を購入するときは,注意が必要です。私の考えでは,もしレース用の板の購入を考えておられるなら,セカンドモデル以下くらいの方がいいと思います。
特に技術的な向上を目指している人は,スキーのパワーが自分の滑りのパワーより少し上のものを選んだ方がいいと思います。そういう意味でレース用やデモ用の少しハードな板を注目することは必要ですが,そのパワーが違いすぎるとかえって上達の妨げになることもありますので注意が必要です。
次に,大回り系を選ぶのか小回り系か?それともオールランドタイプか?…ということも大事なポイントになります。この日記でも時々取り上げていますが,大回りだけに限るなら本当に大回りに最高な板があります。しかし,この板で小回りをうまくこなすことはまず無理だと思った方がいいでしょう。その逆,小回りギンギンの板で大回り…の場合はまだ救われます。というのは,角付けの量を少なくし雪からの圧をコントロールすることができるからです。でもこの場合でも,ではコブもOKか?と言われれば,ウーッmmmm…???ということになってしまいます。ずれ要素をできるだけ入れないで,がんがん滑り降りるだけの技術があれば大丈夫かもしれませんが,微妙にコースを変えながら安定感を持って滑り降りるには,どうしてもずれがある程度できるモデルで無いと無理だからです。つまり,小回りも大回りもコブも…というようにあらゆる状況を1台のスキーで全てこなすには,それぞれのターンをが完璧にできなくてもしょうがない…という覚悟が必要だと思います。そういう意味でチャート表の「得意なターン弧」と「得意な斜面」そして「適性レベル」の見かたが大事になります。特に来シーズンは「新検定システム」が導入され,カービング要素も,ずれ要素も,どちらも滑りこなせることが必要になりますので,オールラウンド的な板の選択をどうするか?が大切になりそうです。昨日UPしたように,長さが10センチ違うだけでその性能がだいぶ違ってきますので,その辺のことも考慮に入れながら,スキー選びをすることが大事です。
検定は考えていない…ということであれば,比較的スキー選びは楽です。スピードはどのくらい?主に滑る斜面は整地?コブ?それと悪雪や深雪?ということさえ決まれば,「得意な斜面」と「乗り心地」そして「指向」を参考にして,かなりの確度でご希望の板が見つかるはずです。
以上,「SKI SELECTION 2004」の読み方,について私の考えをお話してきました。少しでも皆さんのスキー選びのご参考になれば嬉しいです。(^o^)
この本のチャート表に私の名前が出ていない機種でも,私が試乗した板がありますので,もし皆さんの中で,「この板どうだったのかなぁー?」というようなご質問がありましたら遠慮なく E-mail 下さい。そんなに詳しく解説はできないかもしれませんが,私の記憶をたどって私の感想をお伝えしたいと思います。(^I^)
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August/23/2003 (土曜日) 晴れ
今朝もイイ天気です。気温は20℃とそれほど暑いとは思いませんが,空が晴れて,天気がいいとそれだけで嬉しいですネ!(^I^) 今日の週末,天気予報が当たって良かった良かった!!!
今日は,東京に住んでいる友人夫妻が,「バーベキュー」を楽しむために白馬にやって来ます。その友人と「夏」をしっかり楽しもうと思います。(^o^) みなさんも週末楽しんでますか?(^I^)
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さて,今日は,「SKI SELECTION 2004」の読み方について,「その3」です。この本に興味の無い方には申し訳ありませんが,これまでいろいろな方々から,「スキー選び」についてのご相談を受けましたので,この「本」をベースに,どうカタログを見たらいいのだろうか?ということを私なりにお話しています。ご了承下さい。(^I^)
昨日は,この本の中の,「チャート表の読み方」についてお話しました。今日は,「スキー板の長さ」が変わると何がどう変わるのか?ということについてみてみましょう。
63ページの上半分に面白いデータが載っています。MIZUNOの「MODE10D」のフィーリングデータですが,同じ機種で,長さが10センチ違ったらどういう風に滑走フィーリングが違って感じられるか?ということを知るのに参考になるデータです。この機種はもともと検定や技術選出場選手を対象とした板で,カテゴリーはコンフォート,デモ,エキスパート用となっております。たまたま私と丸山貴雄君がテストをしていますが,あらかじめ,「長さの違う板のテストだよ」…ということは言われていませんでした。試乗した板が約80台でしたので,どの板に乗ったか?ということはメモでもしておかない限りわかりません。そういうわけで,事前に情報が無いままこの二台に乗っていたのです。そしてこの結果を見て私も正直ビックリしています。
サイドカットはどちらのスキーも「110-63-98」ですから,板の回転半径=R(ラディウス)が違っています。157センチの板はR=12mで,167センチの板はR=14mになっています。
先ず,カービング特性についてですが,私の場合短い方が長い板より,ややしやすさの度合いが落ちる…と評価しています。貴雄君はどちらも同じように「とてもしやすい」になっています。私の方がテールで切る習慣があるため,小回りの要素が多く出る157センチの板の方のカービング特性がやや辛い評価になっていると思います。参考ですが48ページのELAN「HCX
HYPER」⇒「112-63-102」ではテールの太さが,「MODE10D」に比べ4センチ太くなっていて,この板に対する評価は貴雄君と私の評価がほとんど同じになっています。トップの差が2センチ,センター幅は同じ…ということを勘案すると,テールでの捉え感の差がカービング特性のフィーリング差となって表れていると言っていいと思います。
次に,コントール性ですが,この評価はどちらの板に対しても二人とも同じ評価でした。板の持つ素直さ,乗り手の意思に従う柔軟性に優れているということを示していますが,短い板の方がよりコントロール性に優れていること表しています。
得意な斜面,指向,得意なターン弧…この三つは同じようなカテゴリーなので同時に見てみたいと思います。この中の得意な斜面では,短い板は「コブ」でもOKなのに対し,それより10センチ長いだけでコブにはあんまり良くない…という評価になっています。長いスキーの方が雪面ホールドの長さが長く,慣性モーメントが大きい分扱いにくい,ということもありますが,テールのずれの感じの違いが影響されていると思います。このことは得意なターン弧にも表れていて,貴雄君の評価は全く違う板のような評価をしています。私の場合はその傾向はあるものの,貴雄君ほどの違った評価にはなっていません。いずれにしても,誰でも想像がつくように,「板の長さは短い方が小回りがしやすい」ということを示しています。(注:167センチのターン弧評価のチャートで,赤線の上の名前が岩淵隆二とありますが,これは丸山貴雄のミスプリだと思われます)
乗り味…については大きな違いがあると思います。たった10センチ違っただけでどうしてこんなにその「味」が変わるんだろうか?と思うほどです。短い方は「快適」,「楽しい」,「簡単」,「クルクル」,「軽快」,「オールマイティ」…なのに対し,長い方は,「パワフル」,「早い」,「走る」,「どっしり」,「楽しい」,「簡単」という評価です。同じモデルで10センチ違うと,片や「クルクル」,「軽快」…なのに,こなた「どっしり」,「パワフル」で,共通するのは「楽しい」と「簡単」だけです。以前は,同じモデルなら,たった10センチでこれほど違う性質を持つことはありませんでしたが,カービングの板が作られるようになって,「10センチの差は同じモデルでも別もの!」というくらいの差が出るようになりました。
適性レベル…これも乗り味と同じように,結構大きな違いとなっています。短い方は初級から上級までという様に,比較的経験の浅いスキーヤーでもOKなのですが,10センチ長いと初級者にはちょっと扱いにくいかな?という評価になっています。
こういう風に見てくると,「10センチ」の差…思ったよりも違いがあることがわかります。これはこのモデルだけに限らないと思います。一般的に,長くなると予想外にカービング特性が強調され,安定感が出てハイスピードにも対応でき,パワフルな特性が出て来る…ということになります。
長さの差…軽視できない要素を含んでいることを思い知らされました! 皆さんもユメユメご油断めさるな!(^o^)
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August/22/2003 (金曜日) 晴れ
今朝は朝から良い天気に戻りました。(^I^) 風も爽やかで気持の良い朝です。今週末は良い天気で過ごすことができるんでしょうか?
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さて,今日は,「SKI SELECTION 2004」の読み方について,「その2」です。
昨日は「テスターの特質」を知り,その上で試乗テストの結果を理解することの大切さをお話しました。今日は,このデータについて,その見方のポイントをより詳しくお話したいと思います。
まず,チャート表の右側にメーカーのセールスポイントや,その板の製作コンセプトが紹介されています。テスターの評価に関係なく,板の特徴が述べられていますから参考にして下さい。
次にチャート表ですが,24ページの「チャート表の読み方について」で解説あるように,レーシングモデルとオールラウンドモデルとではその内容に違いがあります。その理由もそこに書かれているとおりです。ではそのチャート表について,見方のポイントを述べていきましょう。
■1 カービング特性,コントロール性,切り返しのしやすさ,ターン後半の走り・切れ
カービングターンがしやすいかどうか?あるいは自分が思うようにスキーを扱え,好みの円弧を描けるかどうか?等の評価です。注意して欲しいのは,表の左り端が「普通」という評価だということです。本当はその左に「しにくい」,「とてもしにくい」という評価があるのですが,この表ではそれが隠れているのです。このことを頭に入れて見ると,この評価については,テスターによる極端な評価の違いは無いことが伺われます。
■2 乗り心地,得意な斜面,指向
これは各テスターが,「該当する」という風に感じた項目を表示しています。ですから,チェックされていない項目の滑り方にはあまり適していない…ということになります。おおまかな適性を見るのに参考になるアイコンです。
■3 得意なターン弧,適性レベル,オールラウンド性
これは,得意なターン弧,適性レベル,オールラウンド性について,その「適応幅の広さ」を各テスターの評価として表示したものです。テスターの滑り方の質が伺われるデータでもあります。この中で「適性レベル」はそのスキーのパワーの大きさを示しています。また「得意なターン弧」は大回り系か?それとも小回り系か?ということの適応度です。今年からの「新検定」1,2級受験対策などには,「得意なターン弧」の幅が広く,かつ「適性レベル」が上級,エキスパートに矢印が付いているものが向いていると思われます。
■4 テスターからのひとこと
各テスターがいろいろな表現で,その板の印象を語っています。「Good 」とか「 Very good!」という言葉や 「!マーク」が入っていたりいなかったり…その言葉の裏にヒントが隠されているような気がします。その言葉の意味を読み切るのも楽しいですネ!(^I^)
今日はチャート表の読み方について,お話しました。明日はこれらのデータ基に,どういう風に今年の一台を絞り込んで行ったら良いか?について…。(^I^)
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August/21/2003 (木曜日) 曇り
今朝は重い雲が山を覆っています。気象庁も異例の「お詫び」をしているようです。天気が悪いのは気象庁のせいではないんですが,今年はスーパーコンピュータ並のコンピュータを使い,過去のデータを参考にして発表した予報が外れてしまうほど,異例ずくめのようですネ!
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さて,今日は私的な要素がありありで申し訳ないのですが,最近発売された,「SKI SELECTION 2004」( Ski Journal 社刊)についてのコメントです。…マ,「日記」だから,私的なことで当たり前って言えば,そのとおりですが…(^o^)
この4月に八方尾根で行なったスキーテストの結果が「SKI SELECTION 2004」に載っています。私はあのテストで約80台のスキーに乗り試乗報告をしたのですが,あのときの感触が戻って来るようで読むのが楽しく思いました。今日は,皆さんがこれを読むときの参考になれば…と思い,次のことを注意点として挙げておきます。
22,23ページに各テスターが考える「スキー選びのポイント」と,25ページに各テスターの「プロフィール」が載っています。ここには,各テスターの「生年」から「身長・体重」,これまでのスキー「経歴」,そして各テスターの滑りの特質をうかがわせる「好きなスキー板のタイプ」まで,女性テスターの身長・体重を除くデータが載っています。チャート表の評価を読むときは,まず,このことを頭に入れて読んだ方が良いと思います。自分の体重・身長に似たテスターの評価やフィーリング,あるいは自分の運動経歴や体格に似たテスターの,さらには自分が目指す滑りに近いスキーイングをするテスターの評価やフィーリングが基本的には参考になります。自分の体系や,志向にあわないテスターの評価はあまり気にしないほうがいいでしょう。
何度もお話してますが,そのテスターの体重や体力がスキー評価に影響するからです。例えば,体格的に軽量でパワーの無いスキーヤーが,普通程度のトーションやフレックスの板を履いたとします。パワーのある人に比べれば重く感じるでしょうし扱いにくいと感じるはずです。でもギンギンのスポーツマンがこれを履いたら,弱々しく安定感の無いスキーだと思うでしょう。つまり,乗る人の体系やパワーによってその感じ方は大きく違う…ということなのです。ですから,どういうテスターがどのような評価をしているか?が,こういう試乗レポートを見る時には大切なのです。
幸いなことに,今回は11名のいろいろなタイプのテスターが参加しています。そして,それぞれのテスターの滑りの特質に合った板をメインにテストしました。レーシング経験のある人にはレーシング系統の板を,女性テスターにはオールラウンド系統やレディース系統の板を主として試乗してもらいました。もちろん,時間的に余裕があるテスターには,異分野の板にも乗ってもらいましたが,データとしてはそのテスターの分野にあったデータが「SKI
SELECTION 2004」では採用されています。
明日は,このデータについて,その見方のポイントをより詳しくお話したいと思います。(^I^)
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August/20/2003 (水曜日) 晴れ
ようやく,天気を「晴れ」と打ち込むことができました!。(^I^) 山の厚い雲も取れ始めましたので,回復基調にあるのだと,思います。さあて,今日は暑くなるかな?!(^I^)
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さて,今日は【TOK】の掲示板での質問にお答えしたいと思います。“港まつり”さんからのご質問で,内容は下記のとおりですが,私の日記をご覧の方へも参考になると思いますので,あえて掲示板でなくこちらにUPしたいと思います。(^I^)
『 急停止のコツは? : こんにちは。急停止のコツを教えて頂けませんでしょうか。@キャスターターンの足裏感覚が応用できますか。A急停止の要領=小回りの要領なのでしょうか。急停止の練習が小回りマスターに効果的といわれるのはどんな理由からでしょうか。 』
…というご質問です。キャスター・ターンの大きな特徴は,「斜面移動によって雪面抵抗を受け,それを効率よくターンに結びつける」…ということです。ですから,斜面移動を止める,つまり移動することを止める目的での使い方はできません。急停止には直接キャスター意識は使えない…ということになります。ただし,急停止の練習目的が「停止」することではなく,エッジコントロールの練習のために行なう…ということであれば応用はできます。グッキーも小回りの練習で,良くこの急停止の練習をしていましたが,スキーヤーが斜面移動するのを止めるためにではなく,効率良い雪面抵抗を受け止めるための練習としてこれを行なっていたのです。もし高速で滑っていて急停止しようとすれば,もっとも適しているのは「横滑り」をすることです。エッジを立ててしまえば身体が投げ出されてしまって危険だからです。小回りの練習でチェック的に一時角付けを強めて大きい雪面抵抗を求める時にはスキーは停止しません。スキーがトップ方向に進む力に換えているのです。斜面移動しながら角を強めることでターンに必要な「圧」を作り出しているのであって,停止するために角を立てるのとは訳が違う…という風に考えられたら良いと思います。(^I^)
ですから,ご質問@の「急停止にもキャスター・ターンの足裏感覚は使えるか?」ということですが,急停止ではなく「エッジコントロールの手段」としてなら使える…ということになります。Aの「急停止の練習が小回りマスターに効果的…」というのも急停止ではなく,「素早いエッジコントロールの練習」なら私もそのとおりだと思います。
以上のことを念頭に置いた上でキャスターイメージを解説したいと思います。斜面条件が緩斜面や中斜面であれば,スキーがフォールラインを向いたとき,つまりスキーがターン外側に振り出されたときに一番エッジが立ちます。ですから,この時最もエッジが立っていて雪面ホールドが強く,雪面からの「圧」が最大になります。キャスター・ターンでは,この時に「1番キャスター」を支えとして転がって行き,「2番キャスター」で雪からの抵抗を受け止めるようにします。緩・中斜面ではこれだけの意識で充分雪面からの圧を「2番キャスター」で受け止めることができますが,急斜面になると少し状況が違ってきます。落下の力が多くなるため,緩・中斜面と同じように,角付けを強くせずに雪から来る「圧」を待っていたのでは,落下スピードが勝り,縦長高速のコントロールのできないターンになってしまいます。小回りではスピードをコントロールしながら回転半径を小さくしなければなりませんから,この局面で「エッジング角度」を強め雪からの抵抗を受けて,ターンに必要な「圧」を作り出さなければなりません。右の図がこの時のキャスターイメージです。フォールラインを過ぎたあたりで「赤線」で示したように,「1番キャスター」を内方向に転がすイメージを持ちながらブルーの矢印方向に移動する感じです。感覚的には“スクリュードライバー・ターン”と似た感じの意識になりますが,あくまで斜面移動を続けながら内側に転がすことです。斜面移動意識が無くなって,ただ単にエッジングだけを強くすると,急斜面で雪面方向向きの力が掛かり,ターンに必要な圧が得られないばかりか,スキーそのものが下方にずれてしまい,切れの良いターンになりません。移動があるからこそ,スキートップでの雪面の捉えが生じ,「2番キャスター」にスキーのトップ方向から緑矢印のような力が掛かってくるのです。そしてその結果「2番キャスター」が茶色の線のように回り始めるのです。「1番キャスター」の移動に“重心”がしっかり着いて行く意識があれば,腰の下からスキーが外れることはありませんから,バランスの取れた小回りができるのです。斜度や雪質によってこの「圧」の量が変わりますから,あとは「1番キャスター」をどの位の速さで内方向に転がしたらどれくらいの「圧」が来るか?を自分の感性で判断しながら調整していけばいいわけです。
このように,チェック的な動作を,ややもすると「停止」と勘違いしてしまいがちですが,停止ではなく,移動のエネルギーを効率よくターンの力に換えるためのエッジングであることを理解して欲しいと思います。(^I^)
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August/19/2003 (火曜日) 雨
今日も又雨です…。日本の中央に前線が居座っているようで,西の方の太平洋側はお天道様が居るようですが,北日本方面は雨の神様が…。(^o^) でも,その内晴れるさ!(^I^)
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さて今日は“M.O”さんから頂いたお便りに対する回答です。“M.O”さんは6月下旬に行なわれた「簡単オフトレ講座」の内容をよくご覧いただいた方のようで,次の様な内容でした。
『…オフトレ講座、いろいろと役に立っています。“私はうまく滑れる”という自信を持つことや、ネアカで過ごすことを心掛けています。たまに仕事のことで悩みますが...音楽を聴いたりアロマを買ったりしています。
スキーのことですが、切りかえは足裏をフラットにした方がいいのでしょうか?早く切りかえないといけないのか、ゆっくりきりかえ(フラットにする時間)た方がいいのか悩みます。結局、切りかえが分かってないのかもしれません。重心はターン内側でいいのでしょうか?重心と外足が難しくて外足にのってないと言われます。…』
オフトレ講座,お役に立っているようで良かったです!(^I^) オフの間はできるだけ良いメージができるように,「心のトレーニング」もすることが大切です。最近よく言われますが,「モチベーションを高める」ということです。そのためには,雪景色が思い出されて心が晴れ晴れとしたり,実際に滑ってはいないけれど,雪の上にいる感触が足裏に感じられたり,頬をつたわる心地良い風がイメージできたり…という情景を,頭に描いてみるといいでしょう。詳しいことは June/28-June/28/2003
の日記に書いてありますが,オフをこういう経過で過ごすことができれば,きっとシーズンインした時にはいつもとは違ったフィーリングの“スキー”が体験できることでしょう。(^I^)
さて,「切り換え」のことですが,これにもいろいろなやり方があります。何が良くて何が悪い…ということは無く,その時々の条件で使いこなせるようになるのがイチバンです。ただ,応用幅が広いやり方,というのはあります。先ず「簡単だけれど応用幅が狭いやり方」があって,その後に「ちょっと難しいけれど応用の効くやり方」があるのが普通です。“M.O”さんが仰るように「切り換え」では,先ず「早く切り換える」方法を学ぶのが一般的です。そのためにはスキーを雪面から離すようにして持ち上げ,一気に右から左へ,あるいはその逆に左から右に角付けの切り換えを行なう方法,つまりフラットにする感覚の無い方法,が採られます。でも,スピードがさらに早くなったり,バランス維持のことを考えると,一気に行なうこの方法は欠点が出てきます。そこで「スキーを雪面から離さないでフラットのまま切りかえる方法」の出番があるのです。ですから,結論的に言えば,「低速で滑るときや整地斜面では一気に切りかえる方法でもOK!」そして「ハイスピードで滑ったり,斜面が荒れていたりする時はフラット切り換え!」ということになります。また,小回り系では一気に換える方法が,大回り系ではフラットで換える方法が多用されます。ただ,技術的にどの方法をより修得すべきか?ということになれば,フラット方法です。この方が低速でも高速でも使えるのに対して,一気方法は低速では使えても高速ターンでは使えないからです。(^I^)
また,重心と外足についてですが,初めのうちは“重心”のことはあんまり考えなくていいと思います。それよりも“外足”意識をしっかり持つことです。わたしはその方法として“オレンジ”を外足の足裏に意識する,「オレンジターン」をレッスンで使っていますが,効果があります!。この外足足裏のオレンジに意識が行き,そのつぶれ加減がイメージできるようになると,「外足に乗る」という意味が分かってきます。そして,ここで初めて“重心”と“オレンジ”がひとつの軸で結ばれていて,その軸はターン内側に倒れている!ということが理解できる様になります。そういう意味で,「外足足裏のオレンジ意識」が“M.O”さんの滑りをガラッと変えてくれるキーワードになるかもしれませんネ!(^I^) オフの間でもこの“オレンジ”意識のトレーニングができますから,畳やカーペットの上でぜひお試しください。
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August/18/2003 (月曜日) 雨
お盆もあけ,八月もいよいよ終盤になります。あいかわらず冷夏が続いていますが,この週の中盤から残暑が来るようで…。少しは暑い夏を経験したいですネ!(^I^)
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さて,過日“M.O”さんからご質問を頂きました。私のコメントも含めて皆さんに紹介したいと思います。
『 こんにちは! …今年は靴、板等新調しようと楽しみにしています。でも、家族としか滑っべって来なかったことでスキーの用語、道具の知識が全くありません。道具を買いに行っても、自分のレベルに着いて言葉でうまく説明できないし、店も選んで来なかった為、今年こそはしっかり考えてと思っています。私は、独身時代、年5日位を4年ほど、結婚して子供が行けるようになるまでガマンしてここ12年ほど、年間4〜7日くらい...。でも本当に子供と離れて自由に滑れたのは6年ほど...。
今は、八方大好きで昨年から兎や黒菱を降りられる様になりました。今年は八方5日くらい、コブの谷をまっすぐコース取って1つずつ降りる練習をしていました。黒菱は上から降りれて度胸だけはあるんですが、滑ってるんじゃ無くて、おもしろいので降りてるだけなんですが.....。普段運動してないので膝を痛めてしまいました。ちょっと馬鹿です。・・で、兎や黒びしは角度アルからゆっくりでも滑れても、浅いコブは、スピード落とせなくてはじき出されてしまって、まずはもっと小回り練習してからなんだと、やっと気づいたところです。今年上手なモグラーの方とご一緒して、「滑りは綺麗だし、滑る回数少なくてそれだけ滑れば凄いよっ!」て言われ、その方に八方の何処でも迷惑かけずに着いていけたつもりですが。中級、とか上級とか、スキーヤーのレベルとすれば私どれなんでしょう??
いつかは八方のコブをゆっくりでいいからまっすぐ下に谷を降りたい。。が夢なのですがソレには、板はどんな物を選べばいいのでしょう?・・・かたさ? カービング度、等。身長160 体重51kgぐらいなんですが、コブをうまく降りるにはストックはどれぐらいのを選べばいいのでしょう。店でも聞きますが、ソレまでにどう説明していいのか分からないのです.....。
』
“M.O”さん,こんにちは!最近,子育てを終えられて,以前楽しんでいた“スキー”をもう一度やってみよう!という人が多いです。その方々が一番迷われるのが「スキー用具選び」です。以前のスキー用具とはだいぶ様変わりして,アレレ?と迷われる方が多いようです。
“M.O”さんは,1シーズンの滑走日数は少ないものの,15年くらいの経験があり,コブを滑るのも抵抗が無いほどの腕前ですから,レベル的には「中級クラスの上」…位でしょうか?。バランス感覚も良さそうですし,難しい所を滑ろうとする気力もおありになるようですので,目的にあったスキーをお選びになれば,いろいろな斜面に挑戦でき,楽しく滑ることができると思います。
今はカービングタイプのスキーしか店頭に並んでいない…と言っても過言ではありませんから,この中のどういうタイプの板を選ぶか?ということになります。カービングにもいろいろあります。メーカーによってその区別の仕方や呼び方は違いますが,主には次の5通りに別けられます。
@レーシング ⇒ 文字通りレースで勝つことを目的としたスキーです。整地され,バーンを硬くした斜面で使って特性が生かせるスキーで,一般の人がどこでも滑る目的のために使うにはちょっと不向きでしょう。ただ,この中のSLタイプの中に,技術的に高度なテクニックを使えば最高のパフォーマンスが可能になるスキーもあります。でも,“M.O”さんにはちょっと手ごわいと思いますので遠慮された方が…。
Aテクニカル ⇒ スキーの技術的な向上を目指したい,技術志向のスキーヤーにお勧めのスキーです。これにもカービング度が強いものから弱いものまでいろいろありますから,ご自分の体重と技術レベルを勘案して選ばれることをお勧めします。ただし,一般的にカービング要素の切れるスキーイングを目的としていますので,コブの斜面も…ということであれば,避けたほうが無難です。
Bオールラウンド ⇒ 文字通り,1台ですべてをこなしたいというスキーヤーに最適のスキーです。“M.O”さんの目的のためにはこのタイプのスキーが一番かと思います。カービングもある程度できるし,ずれのターンもできる…ということですから,どちらの性質もほどほどに犠牲にはなりますが,一般スキーヤーには適したスキーです。この中にもねじれ剛性(トーション)が強いものから弱いものまでありますから,体力が無い方や,体重の軽い方はこれの弱めのものを選ばれたほうが良いでしょう。“M.O”さんは51kgということですから,中庸程度が良いと思います。
Cコンフォート ⇒ 切れとかスピードでなく,軽快で簡単にスキーを楽しみたいスキーヤーに向いています。スキーの長さもいろいろで,1m位のものやもっと短いのもありますが,深雪などでは大変で普通の感覚でのスキーはできません。
Dイージーライド ⇒ カービングスキーが作られるようになって出現したスキーで,技術や体格,年齢に関係なく,カービングの楽しさを味わえるスキーです。カービングということがキーワードのスキーですので,ずれのターンはしにくく,整地された中緩斜面で威力を発揮します。
この他の分類をしているメーカーもありますが,ほとんどが上記の分類をしています。“M.O”さんの場合,Bのオールラウンドタイプが良いと思います。そして長さですが,身長が160センチですので,同じくらいの長さか,もうちょっと短めでも良いと思います。(^I^)
ストックですが,これについては以前,07/17 ストック選びの要点でも書きましたが,170センチの私の場合105センチのものを使っています。この長さは,グリップの親指側の端からリングまでの長さのことです。私の妻は身長が153センチでストックの長さが98センチです。“M.O”さんの場合,身長が160センチですので,100センチ近辺の長さが適当かと思います。ただし,これにも好き嫌いがあり,コブなどを滑る機会が多いと脚の曲げ伸ばしを頻繁に使いますので,幾分短めが良いかもしれません。
以上の点を頭に入れてカタログなどで調べ,どの用具にするかあたりをつけてから,お店の方に相談されてはいかがでしょうか?。もし,それでまた解らないことが出てきましたら,購入する前に私宛に E-mail 下さい。(^I^)
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August/17/2003 (日曜日) 雨
昨日は雨です…。今日でお盆をはさんだ夏休みが終わった人が多いと思いますが,寒さと雨に見舞われた一週間でした。マ,気候はどうでも気持ちの持ちようで,気分は明るくできますから,せめて気持だけでも明るく!デスネ!(^I^)
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さて今日は「個性を大事に!」ということについて…。
2004シーズンは検定のシステムが大きく変わることが発表され,多くの方からいろいろなご質問を頂いています。1級,プライズテストをはじめ,指導員検定を受験しようと思っていた方には大変なことで,今から気が気でないことはわかります。でも,今の段階ではその骨子が発表されただけで,詳しい内容はシーズン間近でないとわかりません。情報が入り次第,皆さんにお知らせしたいと思います。
そこで,チョッと思ったことがあります。それは,検定では多くの方が,自分の滑りでなく,点数の出る滑りをしようとし過ぎる…のではないか?ということです。モチロン検定を行なう側の姿勢がいちばん問われるのですが,こうでなければならない!ああでなければならない!…が多すぎるのではないか?と思うのです。特に「フォームや姿勢」の評価が多く,「スキー板そのものの動き」が評価されていないように思います。以前,「検定では,自分の考えで演技をすべきか?自分では納得できないが点数の出る滑りをすべきか?」というご質問を受けたことがあります。私は,その種目の目的をこそ検定側は示すべきであって,受験生はその目的に合った滑りを自分の考えで表現するのがいちばんイイ,と思っています。昨日の日記でも話したように,人間はそれぞれDNAがことなり,同じようにスキーが運動を起すのに必ずしも同じ身体の使われ方がする,とは限りません。ですから,与えられた種目の目的をクリアするために身体を使えば,それぞれ各人に合った運動が出て当然なのです。それにもかかわらず,同じ身体の使い方やフォームを求め,まるで多くのコピースキーヤーを生み出すことにきゅうきゅうとしているようにみえます。中には,このことを知っていて,検定の際にフォームではなくスキーの運動をしっかり見ている検定員も居るには居ますが,まだまだフォームにこだわる検定員が多いようです。
で,受験する人達は種目の目的に合った演技ではなく,あるデモが行なった演技そのものを真似て演技しようとしているように思います。それこそコピーであって,自分の身体の特性,個性を活かした滑りとは言えません。滑りの本質ではなく,点数が出る滑り=デモの演技そのもの…という図式で考えてしまう「もの真似演技」に他なりません。つまり自分の“個性”をないがしろにした,人の身体をイメージした「借りもの演技」…といってもいいと思います。本当の自分の演技は別にあるのです。もちろん,骨格や筋肉の付き方が似ていれば,デモと似たように演技ができるとは思いますが,全ての人がそうだとは限りません。検定員はここのところを見抜く眼力が必要だと思います。受験する人は,「演技の目的」が先ず第一であって,それにあった演技をすることです。フォームを真似ることではありません。いろいろな特性のスキー板が作られるようになった今,その特性の違う板を使って同じフォームの滑りをすることは,さらに難しくなって来ました。フォームではなくスキー板の動き…これこそが検定でも大事だと,私は思っています。
こう考えてくれば,新検定システムになっても慌てることはありません。「各種目の求めるもの」に的を絞っていろいろな情報を集めることです。まだ明らかになっておりませんが,例えば1級の「不整地小回り」では,「リズムをできるだけ崩さない安定した小回りでの滑り…」というようなことが着眼点として打ち出されたとします。スピードよりも安定性が優先されることがわかりますから,横ズレ要素の多い小回りでいいということになります。スキーのどの部分をどのようにずらせればどうコントロールできるか?がわかりますから,そのことを練習すれば良いわけです。その結果として,ベンディングだとか,ジャンプだとかのフォームが,各自の個性に合った形で自然に生まれてきます。これは一例ですが,各種目をこのように捉えれば,今から慌てることはありません。“「身体の特徴・用具の特性・シチュエーション」の三要素”を生かした滑り…を思いながら,ビデオで楽しくイメージトレーニングすることです。特殊な滑りではなく,あたりまえの滑りが評価されないはずがありません。(^I^)
「自分の身体の造りに素直なスキー」…こう考えれば気持が楽になります。“宮下征樹”にかなわない滑りもあるけれど,征樹が真似のできない滑りもできる!。征樹君…例に出して失礼!(^I^)
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August/16/2003 (土曜日) 晴れ
本当に寒い日が続きます。皆さんの所はいかがですか?今日は約10%の青空が久しぶり!という感じで雲間から覗いています。10%以上青空だと「晴れ」ということですので,今日の天気は晴れです。でも気温は20℃です。
そろそろ帰省のUターンが始まっているとか…。帰省されている方の無事なご帰宅を!(^I^)
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さて,今日は「己を知る」…ということについて。
先日“Sugi”さん仰る,ある兄弟と一緒に話をする機会がありました。その弟さんとは以前から知っていて懇意にしているのですが,彼の兄さんがフラッと店に入って来られたのです。「アレッ?あの人“Sugi”さんの兄弟だ!」とお顔を拝見してすぐ思いました。双子ではないのに兄弟だとピンと来たのです。当たっていました。(^I^) このように私たち兄弟や姉妹,親子はDNAが近いせいでしょうか,その骨格や顔がよく似ています。時はお盆…帰省されてご先祖の墓参りをされた方も多いと思いますが,自分が今居るそのルーツは,少なくとも他人よりはDNAが近いはずです。これを,視点を変えて言えば,ルーツが違う人達はそれぞれ違った個性を持っている…ということにもなります。つまり,多くの人は他人とは違ったDNAがあり,同じでは無い…ということです。ですから,脳の構成も,体格の作られ方もそれぞれ違っているわけです。当然,価値観も人生観も違ってきます。
過日,ある方から,「私は赫々云々の者ですが,今度テクニカル合格を目指しています。オフシーズンのトレーニング方法を教えて欲しい…」という E-mail
がありました。どなたにも共通する一般的なトレーニング方法はお話できるとしても,その方に本当に合っているかどうか?は,実際お目にかかって話をしたり,どういう体格をされているか?あるいは,これまでどの様なスポーツをやって来られたか?…という様なことを拝見しないと,うかつにアドバイスできません。個人差があり,一般的なことだけでは,大事なポイントのアドバイスが行き届かないからです。プロのアスリートを目指すわけではありませんから,それほど神経質になる必要は無いかもしれませんが,例えばその人の「心肺能力がどのくらいなのか?」,あるいは筋肉構造が「遅筋なのか速筋なのか?」でそのトレーニングプログラムは微妙に変わって来ます。“スキー”では「速筋/33%,遅筋66%」が筋繊維構成としてイイといわれていますが,そのような筋を作ることもある程度可能なのです。小回りが苦手な他人は大回り系が得意…あるいはその逆…ということは良くあることです。もしご自分が「小回りがどうも…」というのであれば,ある程度,速筋を鍛えるプログラム…例えば筋力トレーニングの割合を増やす,ということも良い方法です。
自分のルーツを知って,その上で自分の目的とするスポーツ特性に合った筋肉を鍛えていくことが大事です。このごろ人気の「筋肉トレーニング」も,自分のスポーツの特性を考慮して,本当に自分にとって必要な筋肉を鍛えなければ,見せ掛けだけの筋肉マンになってしまいます。役に立たない筋肉を洋服のように着飾るだけでは,あんまり意味がありません。自分の目的に合った身体を作り上げていくことが大切です。そのためには,「己を知る」…ということが大事なことなのです。
そして,「己を知る」ことの一番の楽しみは,“自分たる自分”に出会えることです。他人とはここが違う,ここが優れていて,ここが劣っている。だけど,「優劣」その両方があってこその“自分”だ!…ということに気付きます。良くも悪くも,自分の身体そのものが,いとおしく思えてくるのです。“スキー”をしたり,そのための“トレーニング”をすることの中から,「自分自身」が見えてきて,その能力の優劣にかかわらず,この世に存在している自由な自分,活き活きした自分がそこに居るのが判ります。
“スキー”って,「自分自身に会うための道具」,「己を知るための道具」でもあったんだ!(^I^)
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August/15/2003 (金曜日) 曇り
昨日は寒かった!オホーツクから寒気が下がって来ているらしく,今朝も気温が18℃!。10月中旬の気候だそうです。みなさんも体調など崩されませんように!(^I^)
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今日は“T.N”さんからのご質問に対する回答です。ここ1週間特集した「簡単力学」の,08/11 偶力とカービングについてのご質問です。この日の日記,「偶力」…については,“I.T”さんから,『…「回転モーメント」は力学的な説明としては納得いたしました。しかし、「偶力」に関しては納得できません。私は先生が解説されている「偶力」はスキーに於いては当てはまらないと思います。この場合、「向心力」ではないかと思います。…』というご指摘を頂きました。「偶力」とは平行な二つの作用線上に働く大きさが同じで方向が反対の,二つの平行な力。ということですので,作用線が平行でないこと,それに働く大きさが同じでないことを考えれば,“I.T”さんの仰るように正確には「偶力」ではなく「向心力」の方が正しいと思います。訂正してお詫びいたします。私も勉強になりました。“I.T”さん,ありがとうございました。(^I^)
さて,“T.N”さんからのご質問内容は…
『 …初めましてTOK先生。お便りするのは初めてですが、On Line Ski Schoolは、先シーズン中より愛読し、新しい滑走感覚を楽しませていただいています。今後もよろしくお願いします。さて、8月11日(月)のカービングターンの力学的説明。とても分かりやすく、頷きながら読みました。「ふむふむ」と納得し、椅子から立ち上がり身体の使い方、力の方向(やや妄想気味に)をロングターンをイメージしつつ、確認しておりました。踵とスキートップ、2点間の偶力について、山まわりの局面では力の方向が反対で有ることは自然に納得がいきます。しかし、谷まわりの局面では....身体を動かしながら思考と感覚の両方が???となってしまいました。谷まわり(ターン開始)の局面ではスキーに大きな力がかかってこないのは理解していますし、そこでいたずらに大きな力を求めすぎないようにするのがTOK流のナチュラル・スキーイングの極意だと思います。しかし、この局面でも偶力を活用するには、どうすればより良いのか知りたいとも思うのです。… 』(【TOK】注:当日の日記では「偶力」という言葉を使って解説してしまいましたので“T.N”さんの E-mail でも「偶力」となっております。原文のまま掲載させて頂きましたのでご了承ください。)
“T.N”さんからのご質問ですが,ターン前半の回転力はどうやって作り出すのか?というご質問です。これを理解するには“重心”とクロスする時,スキーの状況はどうなっているか?ということを考えてみるといいでしょう。私たちは左右二本のスキーに乗ってスキーをしています。多くの人はこの内どちらのスキーと“重心”がクロスして角付けの切り換えが起こったか?というところまで考えないのが普通です。でも,このことを考えてみると面白いことに気が付くのです。右の図をご覧ください。左ターンから右ターンに移る時の図です。左ターンでは右スキーがターンをリードして来ます。そして角付けの切り換えをしようとしたとします。右スキーにしっかり意識を集中してこれを行なえば,右足の支点は,かかと内側から徐々に外側に移行し始めます。そして,「CR」の所でスキーが斜面にフラットになります。このポイントがまさに右スキーのクロスの瞬間です。では左スキーの“重心”とのクロスはどこで行なわれていたかというと,それは「CL」の点です。この「CL」ポイントは「CR」ポイントよりも早い時期に行なわれています。つまり,それまでの内スキーは時間的に少しだけ早く角付けの切り換えが済んでいるわけです。ですから右スキーがフラットになって“重心”とのクロスが行なわれている時は,すでに左スキーのインサイドエッジが立っている状況を作り出しているのです。図の「赤線」の分だけ両スキーに幅がありますから,右スキーがフラットなら,左スキーには右ターンに必要な角付けが,すでにできあがっているのです。ですから,この「CR」ポイントを過ぎたら直ちに左スキーの支点を意識し,左スキーのトップで雪面抵抗を受けようとすれば,右に回ろうとする力が生まれるわけです。
従って,両スキーの幅がある程度広い方が,よりターン始動が楽に行われることになります。カービングターンで両スキーの幅を広めにするのにはこのような理由もあります。さらに,スキーの「R」が小さければ小さいほどスキートップでの抵抗成分が大きくなりますのでターン始動が楽です。しゃもじ型のスキーがターン前半での雪面ホールドが楽なのはこの理由によります。そしてさらに,「CR」ポイントまで乗り続けることのメリットは,スキーがフラットになるまで圧を緩めないことから角付けの切り換え時にスキーが走るので,左スキートップで受け止める圧がより大きくなってターンのための回転力がさらに大きくなる…ということです。
私は過ぎたシーズン,このことを多くの生徒さんにレッスンでお話しました。その結果,多くの人がストレッチ的な運動が少なくなり,自然なベンディングをするようになりました。“重心”や上半身を次のターン内側に運ぶ意識はほとんどありません。角付けの切り換え時に至るまで,つまり「CR」まで,いかに外スキーに乗り続けるか?ということ…私の言葉で言わせてもらえば,どう「キャスター」に乗り続けるか?ということになります。「CR」ポイントを過ぎたら次の外足に意識が行くのはモチロンのことですが,それまでは外足イメージ一本!です。(^I^)
グッキーも彼の意識として「外スキー一本!」を強調していましたが,その根底にはこのようなイメージがあったに違いないと思っています。(^I^)
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August/14/2003 (木曜日) 雨
昨日は「お盆の入り」でした。ここのところ日中になると晴れ間が覗いていましたが,朝方は曇りの日が多くアレレ…という感じでした。でも,昨日のお盆の入りの日は朝からイイ天気でした!(^I^) その好天気に誘われたわけではありませんが,ちょうど白馬に遊びに来てくれていた友人を誘って日本海に泳ぎに出かけました。相当の混雑…を予想していたのですが,それほどでもなく,天候に恵まれた「海の一日」を楽しみました。(^I^) 夜は少し疲れモードの中での仕事でした。
ス・ミ・マ・セ・ン (=_=;)
また愛知県からスキーの生徒さん“M.M”さんが,お子様連れでお見えになりました。冬の八方と少し感じの違う景色を楽しまれたようです。お子様の「ホームページの音楽…最近聞こえないヨ…?」という指摘でソースをチェックしてみたら,リンク先が変更されていました。早速直しましたが…“Yusei”君,聞こえますか?♪♪♪…。(^I^)
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さて,今日は「簡単力学」最終日です。その最終日は,「方向安定性を良くするには動く物体の後部の安定が必要」…ということについて…。
このことの例は,生活上のいろいろな場面で良くお目にかかります。例えば「弓矢の矢」で矢羽が後ろにあることや,また「航空機」の安定板(スタビライザー)や方向舵が後部にあること…などです。この物体後部にある矢羽や安定板は,もしそれらが上下左右に移動するような力が働いたときに,元の姿勢に戻す役割をします。つまり進む方向が不用意に乱れた時に,それを修復する役割をしているのです。では,スキーではこの「修復」はどこがどのように行なっているのでしょうか?。8/11の偶力とカービングの説明のように,例えばカービングターンでは,かかとの「支点」を中心としてスキートップの「着力点」で雪からの抵抗を受けると,支点のかかとを中心に回転モーメントが生じます。もしこの時,テールの押さえが弱くしっかりしていなければ,テールが横方向にずれ始め,支点を中心にスキーはズルンッ!と回ってしまいます。これでは高速で安定して滑ることはできません。そこでテールの捉えが大事になるのです。テールが的確に雪面をホールドし,不必要なサイドスリップを防いでくれるので安定性が増すのです。つまりスキーのテールは「矢羽」や「スタビライザー」と同じ役割を果たしてくれているのです。ですから,もしこのスタビライザーを大事にして,高速安定のスキーをしようとするなら,テールがターン外側に出てしまうような動きは極力避けることが大切…ということになります。
このことが分かると,足裏のどこを支点にしたら良いか?ということが明らかになって来ます。もし,足のつま先を支点にしたらどうなるでしょう?。スキーのトップが雪の抵抗を受け,つま先を中心とした偶力が働きますから,かかとはターン外側に逃げてしまい,テールをホールドすることができません。でも,かかとを支点にすると,かかとは外に逃げず,そこを中心とした偶力が働きますので,あとはテールがしっかり雪面をホールドするのを待てばいいわけです。ここのところに「かかと支点意識」の重要性があるのです。よく,カービングターンではターン内側にスキートップを押し込むように…という解説がされていますが,これではテールのスタビライザー機能を使うことはできません。確かにターンの最中につま先で「圧」は感じるのですが,その圧は雪から自分の“重心”方向にやって来る圧を感じているのです。スキーのトップを押し込んでしまってら,その圧は重心から雪面方向に向かう圧を作り出すことになってしまいます。かかとを支点として斜面移動をするから,雪から抵抗がトップに掛かって来て圧を受け,それをつま先が「雪からの力」として感じているのです。そうすれば,テールはしっかり雪面をホールドすることになります。「圧には向きがある…」ということを頭に入れておけばこのような勘違いは無くなりますが,「圧が必要…だから押す!」…という感覚でスキーをすると,とんでもないことになってしまうのです。
かかとで支える…という話をすると,「後傾ですか?」という方が居られますが,そうではありません。かかとで支え,トップで雪の抵抗を捉えて斜面を移動していくのですから,足首が緩んでしまうことは無く,そこには“バランス”の取れたポジションがしっかり現れます。後ろに寄り掛った姿勢とは全く異なるものです。
一本のスキー板の中に,弓矢やスタビライザーがイメージできたとき,自分から力を加えるスキーではなく,「雪の力を借りて滑る」ということの本当に意味が解る…そんな風に思います。(^I^)
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この1週間,「力学」などと大それた名前で,基本中の基本だけのお話をさせていただきました。スキーの滑りを力学的にとらえて話せばいろいろあります。ある物事の事象を単純化して掘り下げて見ることも必要です。しかし,それだけでは「像の尻尾を見て全体像を見ない…」ということにもなりかねません。人によっては「像の足」だけを見る人も,また「像の鼻」だけを誇張して語る人も居るでしょう。あくまで全体の中の一部分として解説することが必要です。ここ約1週間に渡ってお話してきたことは,ほんのさわりでしかありません。でも,これ以上の解説はその筋の専門家に任せたほうがいいと思います。はじめにお話ししましたように,ひと様にスキーをお教えする時必要な,最低レベルの知識として頭に入れて置いたほうが,生徒さんとの意思の疎通がうまくいく…そのために必要なこと,という視点からの解説でした。でも,理論が一人歩きし始めると,机上の空論になりがちですので,そうならないように注意したいと思います。(^I^)
この数日間だけでもウソをつかないように,いろいろ教科書を調べたりして,大変でした。(^I^) スキーの感覚を,力学的に解説し,合理性があることを説明するには,大変なエネルギーが要ることを再確認しました。(^I^)
ああ,疲れた……(^o^)
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August/13/2003 (水曜日) 曇り
お盆休みで,本来なら暑い夏のはずですが…白馬は涼しい「お盆」を迎えています。(^I^) でも,昨日東京の知人にTelしたら,結構暑いとか…。白馬は涼しいヨォーーー…!!!(^I^)
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さて,今日は「重心の軌跡もスキーの軌跡も急激な変化は無い方が良い」ということについてお話させていただきます。
力学に“慣性の法則”=「物体は外力の作用を受けない限り,静止または等速度運動の状態を続ける」というのがあります。停止している物体はいつまでの停止していやすく,動いているものは動き続ける性質を持っていて,その方向や早さを変えるにはおおきなエネルギーが要る…ということです。
スキーの場合は上から下に移動するスポーツですから,後者が該当します。つまり,スキーヤーが斜面を移動しながら滑るとき,外力が働かなければ等速度運動,もしくは等加速度運動状態で安定したまま落下することができる…ということです。直滑降などはまさにこれに相当します。でもスキーでは直滑降だけでなく,その方向を変え,ターンをするということが必要になります。角付けをしたり,身体を動かしたりしてその落下方向と違った方向に行こうとします。つまりターンとは慣性の力に逆らう運動だ…ということになります。わざわざ安定している運動を不安定な運動に換えているわけです。この不安定要素の動きは力の大きさの変化だったり,方向の違いだったりします。この変化や違いが大きければ大きいほど安定性がなくなり,バランスが乱れることになります。ですから“スキー”で安定した滑りがしたければ,この変化のさせ方を極力小さくすることです。
“重心”は上から下へ直線的に移動するのが一番安定しています。スキーはある定まった円弧状移動しているときです。でも,この両者はそれぞれ独立して運動をしているわけではありません。身体の“重心”とスキーが雪に接する“接雪点”との間に,ある安定状態を維持した状態で斜面上を移動しています。そしてある方向から別の方向にスキーが向きを変えようとするとき,その安定状態を乱すような,つまり慣性の法則を無視するような力が必要になるのです。ターンするためには安定性を犠牲にするような要因が必要なのだが,その影響が極力少なく済むようにすればいい…ということになります。ある意味で矛盾しているのですが,この力の増減が少なければ少ないほど“バランス”を乱す要因は少なくて済みます。
ですから,“重心”の軌跡,あるいは“スキーの軌跡”が不規則にならないようにする…つまりこの両者の移動軌跡が滑らかになるように抵抗の変化を行なうのがベター…ということなのです。このことを考えると,あくまで“重心”と“接雪点”は力のバランスが取れた状態で滑らかに移動しながらターンをし,滑らかにクロスして角付けの切り替えを行なうことが大事,ということになります。例えばよく言われる,クロスオーバーでは身体を次のターン内側にできるだけ早く移動させる…というような運動は極力避けるべきだということです。
なに事もそうですが,急激な変化は混乱をもたらしやすいのです。“スキー”もそのとおりです。(^I^)
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August/11/2003 (月曜日) 曇り
今年はお盆休みがちょうどウィークデーにはまったせいか,人の出も緩やかな気がします。皆さんのお盆と夏休みはもう始まったのでしょうか?ホームページへのアクセス数が減ったところをみると,9日あたりから休みの人が多いようです。(^I^)
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さて今日は「スキーが方向を変える」…ということの二日目です。昨日はスキーの前後の長さが違うことが原因で,足裏の支点を中心とした「回転モーメント」が生まれる…ということをお話しました。今日は「向心力」ということについて考えてみたいと思います。向心力も回転モーメントを生むひとつの要素ですが,この「向心力」…私はカービング・ターンを考える上で非常に大切なことだと思っています。
カービング・ターンについてはいろいろな説明の仕方で解説がされています。力学的な観点から数式やベクトル図を使っての解説も多いのですが,わたしはもっと簡単にイメージできる言葉での説明を試みたいと思います。(^I^)
先ず最初に「カービングターン」とはどういうターンなのか?ということについてお話ししましょう。簡単に言えば,「スキーをたわませ,サイドカーブを利用して,縦方向に滑らせて弧を描く滑り方」がカービングターンです。サイドカーブがきつければきついほど,角を立てた時たわみ方も大きくなるので,カービング要素が強く出ます。ではどうして「たわみ」が大きいと縦方向(スキーのトップ方向)に進むだけでターンができるようになるのでしょう?この理由を考えてみたいと思います。右の図をご覧下さい。右下に向かっている細い4本の矢印がスキーヤーの進行方向(移動方向)です。この方向にスキーヤーが移動して行くと雪から抵抗がやって来ます。足を支点として移動すればスキーの内側のエッジは雪から圧を受けますから,しなり始めます。この「スキーのしなり」,つまり「たわみ」が昨日の回転要素とは違った要素の回転を生むことになるのです。このたわみの状況を良く見ると,進行方向に対してスキーのトップ部は「α」という角度で雪の抵抗を受けます。一方,スキーのセンター部分は「β」という角度で抵抗を受けます。スキーがたわんでいますから,この「α」と「β」の大きさを比べると,αはβより大きい…ということになります。教師日記
08/09 抵抗は速度に比例するの中,「手をひら」で話したように,進行方向に対して受ける面積が大きければ大きいほど後方に持って行かれますから,トップ部分がセンター部分より大きな抵抗を受ける事になり,トップ部分は角付けされ,たわんでいる内側,「黒矢印の方向に押し上げられる力」が働きます。つまり角付けをしたターン内側にスキーの先端が入り込んで行くのです。この時,力の掛かり方を見てみると,自分の身体を支えるポイント,つまり足の部分の「支点」を中心として,スキーのトップが「テコ」のように押し上げられる力が働いている…ということがわかります。
この力は,「物体が円運動をするとき,物体に対してその中心に向かってはたらく力」…という「向心力」です。ですから,この「向心力」を有効に使おうとすれば,「雪が押し上げる力」を増やすようにすれば良いわけです。「雪が押し上げる力」は,トップ部の雪面グリップがしっかりしてるほど強くなりますから,角付けを強くしたり,トーションが強く,サイドカーブの深いスキーを使えば使うほどカービング要素の強いスキーになります。また「落下移動の速さ」を速くしても雪からの反発力が強くなりますから,向心力が増し,ターンする力は強くなります。大事なことは「力の働く点が二つある」…という意識を持って滑ることです。ひとつは体を支える「支点」をどこにするか?であり,もうひとつはスキー板のどこで雪の抵抗を受けているか?です。私は「支点」をかかとに,そして,雪の抵抗を受けるポイントを「着力点」もしくは「作用点」に置くようにしています。この「着力点」…大回りではスキーのトップに近く,小回りになるほど,つま先寄りに近付いて来ます。
図では「スキーがたわんだ時の迎え角」と書いてありますが,「スキーがたわんだ時のたわみ角」の方が適当かもしれません。いずれにしても「カービングターン」には“スキーのたわみ”が必要だということです。(^I^)
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August/10/2003 (日曜日) 曇り
昨日台風10号が,白馬のすぐ近くを通り過ぎましたが,3000メートルの北アルプスのあるおかげでしょうか,風も雨もそれほどではなく,静かな通過でした。(^I^)
お盆休みの休暇に入った人も多いようですが,みなさんはどちらでお過ごしでしょうか?有意義な休暇となりますようお祈りいたしております。(^I^)
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さて今日は「スキーが方向を変える」…ということについて考えてみたいと思います。
もし,ダルマさんがスキーにくくりつけられて斜面の上に放り出されたとします。ダルマさんは転倒しない,ということを仮定すれば,斜面の急な方,最大傾斜線(fall lineフォールライン)の方に滑り出します。もし地形に凹凸があれば,その地形のフォールライン方向に従って回り込んで行きます。この回り方は地形のフォールラインに沿って移動しているだけで,ターンをしているのとはチョッと訳が違います。直滑降の連続にすぎません。
ではスキーで「方向を変える」ということはどういうことなのでしょう?私は「自然に落下する方向から,その落下方向を意識的に変える…」ということだと思います。ですから,自分でスキー板をエイヤッ!と脚力を使って動かしてもいいわけです。実際,初心者のスキーを見ているとこのようにして方向を変えようとする人が多いです。スキー板の特徴や性能に関係なくエイヤッ!方式を用いているスキーヤーです。でも,エイヤッ!方法のスキーはスキーの板が前後左右に動くので,足元が不安定になりバランス維持が困難です。前回お話した「作用・反作用」での話のように,スキーを動かすことによる反作用がバランスを崩すことになるからです。それに,こういう方法では身体のエネルギーをたくさん使いますから,本当に疲れてしまいます。もう少しスピードを出しても安定していて,疲れも少ないスキーをすることはどうやったらできるのでしょうか?
そのためには,「雪の力」を借りることです。実は「スキー用具」はこの雪の力を有効に利用できるように作られているのです。用具の中でも「スキー板」がもっとも特徴ある形をしています。そのスキー板の一番の特徴は誰が見てもわかりますが,「ビンディングの位置より先が長く後ろが短い」…ということです。平らな斜面に立ち,このような用具を使って,横にゆっくり押してみます。足の位置より前の先端部分(トップ)が長いですから,トップが短い後ろ部分(テール)より大きな抵抗を受けます。ですから結果としてかかとの方がつま先より横に移動する量が大きくなり,カタカナの「リ」の字のように真直ぐ向いていたスキー板が,「ハ」の字の片側のように,テールの方が大きく開くことになります。これも「スキーがその方向を変えた」ひとつの例です。前出のスキー板の特徴を利用しない方法に比べれば,大きな進歩でエイヤッ!の力も少なくて済みます。
でも,さらに楽な方法があります。先の例は「斜面を移動する」ということを頭に入れていませんでしたが,この「移動する」ということを利用するのです。先の例でも「雪の抵抗の違い」を利用しました。ここではより積極的に「斜面移動による抵抗違い」を活かすことにします。スキーをほんのわずか「V字形」に開いて,真直ぐ滑り降りたときのことを考えてみます。スキーが少し開いていますから,雪面とスキーが接する場所はスキーの内側部分,ブルーの線の所になります。この状態で進行方向に進んでいくと,スキー全体としては,このブルーラインのところに雪からの力を受けます。もし,足裏の「土踏まず」付近を踏んでいれば,スキーのトップではレッドラインの部分で雪からの力を受け,テール側ではグリーンラインで雪の力を受けます。スキーの形は見て判るように,土踏まずから先端までの長さ「L」の方が,土踏まずからテールまでの長さ「l」より長くなっています。この状態でスキーが進行方向へ移動すれば,L>l ということなので,トップ部がテール部より大きな雪の力を受けます。大きな力を受けたトップは,テールに比べ進行方向に進む力が抑えられますから,そこに留まろうとする作用が働きます。つまり足裏の荷重点(支点)を中心として,テールは外側に出て行こうとし,トップは内側に入り込もうとする力が働きます。矢印のような,スキーの向きを変えようとする力=回転モーメント,が生まれるのです。
つまり,落下移動すること,スキーの形状のうち「前後の長さの違い」を利用すること…で,自分から力を加えなくてもスキーの方向を変えようとする力“回転モーメント”が生まれる…ということになります。このように,スキーは無理やり力をエイヤッ!とかけなくても,自然に回るように作られているのです。ですから,自然に回るには,どこに乗ってあげ,どの方向に進んだら,どんな回転の力が生まれるのかな?ということをイメージすることが大事なのです。
この要領で回転する方法を「スキッディング・ターン」と呼んでいます。一般的にズレ要素の滑りと言われていますが,バランス維持のためにも,そして披露の少ないスキーのためにも,そして何よりも“「身体の特徴・用具の特性・シチュエーション」の三要素”を活かしたスキーをする上で,大変重要な滑り方です。
今日は“回転モーメント”はどうやって生まれるのか?ということを中心に考えてみました。(^I^)
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August/09/2003 (土曜日) 小雨
台風…結構進度が遅いようです。 日本列島を縦断する感じですので,みなさんも充分お気をつけください。せっかくのお盆休みですが,文字通り「水をさされた感じ」…です。
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昨日は反作用の影響をできるだけ受けないようにするには,作用をしないこと…ということを話しました。つまりリアクションによるバランスの乱れを極力少なくする…ということなのですが,そのためにはアクションをできるだけしないことです。では“スキー”でどうやってアクションをせずにターンするのか?ということになります。
そのキーワードは「抵抗は速度に比例する」ということにあります。今日はこのことについて考えてみることにします。
まずはじめに,時速50キロくらいのスピードで移動している車の窓から手を出して,腕と手のひらで空気の抵抗を受けている状態を想像します。もし手のひらが地面のほうこうを向いた状態だとすれば,比較的空気の抵抗は少なく,そのまま車の移動にしたがって横に移動し続けます。でも,その腕を横にねじって手のひらを少し立ててみると,手のひらに当たる空気抵抗が増して,手のひらは車の後方に引かれてしまいます。自分で手の位置を後方に動かしたのではなく,角度を変えただけです。この時手のひらの角度を変えようとする意識はありますが,この意識が直接手を後方に動かすアクションをしたわけではありません。自動車の速度が速ければ速いほど,手は大きな力で持って行かれます。
次に「スカイダイビング」をイメージしてみましょう。空高く飛んでいる飛行機から飛び降り,空中に出るのですが,手足の四肢を広げた状態だと,空中に出て約10秒ほど,400メートルほど落下したところである一定の速度「終端速度200km/h」に達するそうです。この状態で身体のどこも動かさなければそのまま落下を続けますが,速度が速いので,手のひらにほんのわずか角度を付けただけでも,体は右や左に回転し始めるそうです。この時スカイダイバーは空中に浮いているわけですから,自らの力でエイヤッ!と身体のどこかを動かしているわけではありません。もしそのような急激なアクションを起こすと,それまで空気抵抗と微妙にバランスを取っていた関係が崩れ,返って危険を冒すことになるそうです。身体そのものを動かすのではなく,空気の抵抗をどのように受け止め,その受け止め方をいろいろ変えることによって,自然に自分の意図するアクションが生まれる…ということなのです。
ここで,非常に大切な言葉が出て来ました。それは「アクションが生まれる」という言葉です。アクションを「起こす」のではなく,その対極の「生まれる」というところがポイントです。「起こす」という動作は自分の内から外方向に向かうひとつの動き,そして「生まれる」は外から自分の身体のほうにやって来る動き…という風にみることもできます。つまりアクションを起こしたり作用をする,というのは外向きの力を発生させ働きかける運動であり,それに対して,アクションが生まれるということは,自分から仕掛けなくても外の要因が作り出してくれる運動だ,とみることができます。「作り出す運動」と「作り出される運動」の違い…ということもできます。
“スキー”でもこのことを利用すれば,雪に対して働きかける運動を極力少なくしたターンが可能になります。例えばターンするときに必要な「エッジング」ということについて考えてみましょう。エッジングをしようとすれば,ひざを内側に倒しながらコンタクトの圧を強める意識が働いてギュッとその角を雪面に対して押し込むようにするのが普通です。でも同じコンタクト圧を作るのでも,もしスキーヤーの移動速度が速ければ,前の二例のように,自分から圧を加えずに,抵抗を受けやすくするための目的だけで角付けをすれば良い,ということになります。その結果としてターンに必要な「圧」が生まれるからです。つまり「エッジング」は抵抗を効率よく生むためにスキーの角を変える,というアクションであって,圧を雪面に加えるアクションではない…という見方もできるということです。力を加える必要がありませんから,無駄な筋力を使うことも要りません。疲労も少なくなります。(^I^) でも,ここで重要なことがあります。そのためには「移動する」ということです。斜面移動が無ければ,いくら角を立てたところで雪面から抵抗はやって来ませんから意味がありません。実は【Doスキー】と【Letスキー】の基本的な考え方もここにあるのです。(^I^)
グッキーはもの凄い速さで斜面移動をしていました。彼は,「抵抗は落下速度の二乗に比例する」という力学的な原理を利用し「作り出される運動」をしていたのだと私は思います。彼は「物体は速く落ちれば落ちるほどその受ける抵抗も大きい」という性質を利用し,自分から雪に力を加えることをできるだけ少なくし,雪から力を受けるスキーをしていたのです。ですから彼の滑りは速いにもかかわらずバランスが良く安定していたのです。
斜面移動による抵抗の創出…これは「作用・反作用」によるバランス崩壊を防ぐ意味でも,疲労を少なくする上でも大事な要素なのです。
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August/08/2003 (金曜日) 曇り
8月になって比較的暑い日が続いていましたが。今朝の白馬,我が家の部屋の気温は23℃。しのぎやすいです。台風の影響でしょうか? 日本列島を縦断する勢いですが,被害が少ないことを…。
さて,そろそろお盆休みになりますが,皆さんのご予定は?
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今日は「作用と反作用」について,私の思うことをお話させてもらおうと思います。
昨日の「万有引力」の話にしても,今日の「作用・反作用」の話にしても,これらは「ニュートン力学」,言葉を変えて言えば「古典力学」の世界の話です。私たちが実際に“スキー”をするときに,このような理屈をこね回す必要は無いのですが,あえてこの話を持ち出すのは,レッスンなどでお互いの意思の疎通を図る時に,共通の土台が著しく違っていると誤解が生じやすく,意図することが正しく伝わらないことがあるからです。それと,教える側に,このような基本的な知識が無いと,まるっきり自分自身の考えだけに基づいた,独りよがり的なレッスンになってしまうからです。「古典力学」とはいかないまでも,基本的なものごとの「理」だけは把握していたい…そう思っての解説ですのでよろしくお願い致します。(^I^)
さて,この「作用と反作用」ですが,どういうことかというと,「力は常に二つの物体間に働く相互作用として現れ,もしある物体に作用が働けば,それと大きさが等しく,方向が反対の反作用が必ず生じる」というものです。私流に解釈して言えば,例えば脚を伸ばしたとします。すると,脚の伸びに応じて上体が逆方向に伸びる…ということです。もし反対に,脚を腰の下に引き込もうとすると,下半身だけでが動くのではなく,同時に上半身も縮んでしまいます。脚だけが伸び縮みするということは無く,必ず下半身の伸び縮みと呼応して上半身の伸び縮みも起こるのです。また,下半身を左にひねろうとすると,上半身が逆に右にひねられるように反応します。これも「作用」に対する「反作用」の動き,言葉を変えて言えば「アクション」と「リアクション」のはたらきです。身体のこういう動きは主に“重心”を中心として行われるのですが,このことは運動の最中の“バランス”を考える上で大変重要なファクターになります。
“スキー”をする時も,このことを頭に入れておくのとそうでないのとでは,全く違った滑りになると私は思っています。どうしてか?というと,例えば雪の上で右のスキーを外側に押そうとする「作用」をしたとします。するとスキーヤーの“重心”を中心にその「反作用」で,上半身が左に動こうとします。もしこの上半身の移動がスムーズに行なえればバランスを崩すことなく安定した運動ができます。しかし,もしこのような作用,つまりアクションを起こさないで済むなら,リアクションも出ないわけですからより安定した滑りができることになります。“スキー”は「バランスのスポーツ」と言われます。この「バランス維持」という視点から考えると「作用・反作用」が起こるような運動は極力避けるのべきだ,ということになります。
それでは一体「雪の上でアクションを起こさないでどうやってスキーができるのか?」ということになります。このことについては明日お話したいと思います。(^I^)
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August/07/2003 (木曜日) 曇り
八月に入って本当に暑くなりました。冷夏の影響で作物に影響が出ているようですが,その被害が少なくて済むといいですね。
さて,今日から甲子園で夏の風物詩…高校野球が始まりました。若い諸君がひとつのボールを中心に自分の力を出し切る姿を見るのは気持がいいです。勝っても負けても,ファインプレーをしても,エラーをしても,「一生懸命」に徹して欲しいと思います。(^I^)
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さて今日から数日,私流の解釈で,簡単力学をさせていただきたいと思います。「力学」…と言っても理論がどうで数式はこうで,というお勉強ではなく,私たちが“スキー”を楽しむ時に,ものごとの仕組みはどうなっているんだろうか?ということを簡単な力学的解釈を入れて考えてみようということです。
先ず初日の今日は「引力」についてです。引力とは「二つの物体が互いに引き合う力」のことを言います。男性と女性が互いに引かれるのも引力と考えられます。(^I^) ニュートンがリンゴが木から落ちるのを見て解かったと言われている「万有引力」は地球の重さとリンゴの重さが引き合う引力です。つまり,重さがある物体は互いにその重さで引き付け合う…ということです。重ければ重いほどその引く力は大きくなります。ですから重い人ほど強く引きつけられ,そこから離れようとするには大きな力が必要になるわけです。登山で高いところに登ろうとすれば大きなちから,つまりエネルギーが要ることになります。
一般的なスポーツというのは,この引力にいかに逆らえるか?というを競うもの…と言っても良いかもしれません。どういうことかというと,例えば「重量挙げ」は言葉どおり,重い重量をいかに引力に逆らって高い所に持ち上げるか?を競い合うスポーツです。「走り高跳び」や「棒高跳び」は,いかに高い所へ自分の身体を持ち上げられるか?ということを競うスポーツです。「100メートル競争」は,いかに自分の体重を引力に逆らって早く100メートルの距離を移動できるか?を競います。「ですから,地球よりも軽い「月」で陸上競技ができるとすれば,引力が少ないですから,記録は次々に塗り替えられるはずです。(^I^) このように引力,もしくは重力に逆らうことを競うスポーツでは,いかに逆らうか?いかに効率良く動けるか?ということが大事になります。そのため筋肉を鍛えるわけです。
ところが,“スキー”というのは,この引力に“逆らう”というよりは“利用する”スポーツなのです。高いところに居れば,地球の引力で低いところに引かれる力が働きます。英語では“gravity”と言い,日本語では重力や地球引力と呼ばれます。人の体重の比べれば地球はとてつもなく重く,地球が人間に近づいてくることは考えられないので,一方的に人間が近づくということです。つまり,「水が高い所から低い所に流れる」ように,高い所から低いところへ移動する…ということを利用するのが“スキー”なのです。一般的なスポーツと著しく異なるのはこの点です。片方は「引力に逆らう」であり,一方は「引力に従う」ということなのです。
引力に逆らって身体を動かすには「アクションの質」が大事になります。つまり「どう身体を動かすか?」ということです。一方,引力に従うには,「どう素直に重力を感じその働きに任せるか?」ということが大事になります。スキーヤーを見ていると,この引力の力を使おうとせずに,引力に逆らう運動をしようとしている人が多いのに気付きます。つまり,一般的なスポーツの概念が働き,スポーツとは動くものだ!という気持を捨て切れずに,“スキー”の世界にそのまま「逆らう」意識を持ち込んでいる人が多いのです。モチロン引力に任せて落ちるだけでは行きたい所に行けませんので,この落ちる力を利用して方向を換えるためのアクションは必要になりますが,このアクションのためのエネルギーは逆らうエネルギーに比べれば微々たるものです。
それでは“スキー”では高い所に行くという「逆らう運動」は全く無いのか?というと,実はスキーリフトやケーブルが私たちスキーヤーに替わってこの逆らう運動をしてくれています。つまり“リフト”がスキーヤーを低いところから高い所へ運び上げてくれ,位置エネルギーを作り出してくれているのです。その代償として私たちは金銭を払っているのです。つまり位置エネルギーをお金で買っているわけです。(^I^) レッスンでもよく話すのですが,リフト料金は何のために払うか?と言えば,それは「位置エネルギー」を買うため…ということなのです。ですからその位置エネルギーを有効に利用してこそ“スキー”の本質に迫れる,ということができます。旅館やホテルでの食事で得た身体のエネルギーを使うことは,「引力に逆らう運動」になりがちで,「高い所から低いところへ…」という“スキー”の本質的な運動を妨げることになりかねません。
そう言えば「惹かれる」は「引かれる」とも書くそうで,“地球の重さに素直に引かれる意識を持つこと”は,魅力的な“スキー”の快感を感じるための必要条件なのかもしれませんネ!(^I^)
引力に「逆らう」と「任せる」…この意識の違いは,スキーの滑り方の大きな違いになって表れて来る,と私は思っています。
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August/06/2003 (水曜日) 晴れ
昨日は曇り空の一日…。でも昨夜から雲が取れ,夜中には星空がきれいでした!。久しぶりの「星」…ちょっと秋のような美しさでした!きっと雨上がりのせいですネ!(^I^)
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昨日,「朝のまどろみ…」について書きましたが,今朝はそのウツラウツラ…で「物同士が引き会う力とスキー」のイメージが出て来ました。
その遠因は昨日の夜の,ある教師仲間との会話にありそうです。その教師は,「Tokさんの“スクリュードライバー・ターン”を知って,“ひねる”ということには“軸”があることを知りました。斜面を落ちて行くということは下からの力を受ける…ということだ,ということもわかりました…」と語っていたのです。スキー教師のみんなが「物理」や「力学」に精通しているわけではありません。でも,その原理みたいなものが少しでも知識として身についていれば,より合理的な滑りが可能になったり,生徒さんへの説明が適切になったりすると思います。
そろそろ来シーズンの新人助教師の募集がそろそろ始まりますが,その新人の助教師諸君が勤務するに当たっても,また新人以外の教師が指導するにしても,力学の基本的なことは知っておく必要があります。私の所属するスキースクールでは,これまで,その都度「理論研修」は行っておりましたが,系統立てた研修は行なって来ませんでした。今シーズンも昨年に引き続き,スクールの指導部を任せられている【TOK】としては,来シーズンはこのことをぜひ若い教師に伝えて行きたいと思います。その説明のための草案をそろそろ準備する時期になります。そして,思いつきました…この教師日記を通してそれを考えることは,皆さんにとってもその一端を知ることになり,一石二鳥ではないか…と。そこで,「物理」とか「スキーの力学」…というほど大げさなものではありませんが,“スキー”を楽しむ上で役に立つ運動の原則みたいなものを,全くの
【TOK】流解説で申し訳ないのですが,これから数日間に渡って解説させていただくことにしたいと思います。(^I^) よろしくお願い致します。
今日は,そういうことで,「スキーに役立つ【TOK】流簡単力学」はじまり…の挨拶でした。(^I^)
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August/05/2003 (火曜日) 曇り
昨日は暑かったですネ! おかげさまでビールが売れました! そしてなにより嬉しい言葉「ビール,美味しいねぇー!」この言葉を聴くと,ビール屋をやってて良かった!と思います。(^I^) 美味しいビール,そして美味しい泡,さらに美味しい会話…楽しんでますか?(^o^)
昨日は忙しくて書き込みできなかったのに大勢の方に来ていただきました。ありがとうございます!。今日は書き込む時間があります。(^I^)
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さて今日の話題は「朝のまどろみ…」…です。
この日記をお読みの方から良く聞かれます。「…【TOK】さん,あの日記よく毎日書けるね?!。いつどこで書いてるの?で,テーマはどうやって見つけるの?…」 書いているのは朝です。オフシーズンも普段7時半ころ起きますが,その後洗面して新聞をざっと読み,それから自宅のデスクトップパソコンの前に座ります。冬のオンシーズンは約30分かけて前日のレッスンを思い出しながら,打ち込みます。オフシーズンは,ちょっと時間的余裕もありますので,だいたい1時間ほどかけて書くようにしています。ですから,オフの方が資料を調べたり,テーマを掘り下げたりしながら時間に余裕も持って書けますので,その日によってはUP時間が異なってしまいます。だいたい10時にはUPできるように努めています。(^I^)
テーマのアイデアですが,最近はいろいろな方から e-mail を頂きますので,それを参考にしながら皆さんの“スキー”に対する思い入れをヒントにテーマを見つけています。でも,実は朝7時15分ころ目を覚ますのですが,それから起きるまでの約15分間の間にいろいろなヒントが見つかるのです。(^I^) 頭が完全に覚めきっておらず,ウトウトしながらいろいろな思考が走馬灯のように頭を巡ります。覚醒状態の時には思いもしないようなアイデアが,現実と非現実の間を行き来するかのように頭の中をよぎるのです。多分,朝のこの時間をゆっくりできる人は,同じような経験がおありだと思うのですが,「α波」の出がイイのかもしれません。この時,「この考え方,面白い!」と思ったらすかさずメモを取るようにします。ですからベッドの脇にはいつもメモ帳とペンを置くようにしています。
私はこの「朝のまどろみ」の時間が好きです。私の生活時間の2/3は,なにかしら“スキー”に関することを思っているので,多分,この「まどろみ」の時も,“スキー”に関することが多く出て来るのだと思います。今朝は"八方スペシャル検定”のシーンが出て来ました。グッキーの滑りのイメージが,スペシャル検定とダブって,その検定の現場にグッキーが居て滑っているイメージが沸いて来たのです。その斜面は小さいコブのある急斜面で,ウインドクラストしているのですが,彼はその表面の雪を割り,雪の圧力でスキーが返って来るのを待つようにしてそのまま“重心”を斜面下方に移動させて行くのです。すると彼のスキーはクラスト下の柔らかい雪で押し上げられ,「鯨が海面上に浮き上がって来るかの様に…」浮いて来て,腰の下を横方向に素早く移動してクロッシングが行われるのです。その後スキー板はまた「鯨が海面下に潜る様に…」クラスト表面を割りながら次のターンに入って行きます。「スキー板」がまるで「鯨」であるかのような錯覚というか,イメージが沸いているのです。寝ぼけまなこでペンを撮り,メモに「鯨のターン」…と記入します。そして今朝はまた次のまどろみに入って行きました。しっかり覚醒してからそのメモをも見ますと,今朝はスンナリその「鯨のターン」の意味が思い出せました。ところが,時々,何をイメージして書いたのか判らないメモ書きがあることがあります。思い出せないのです。でも,それはそれでOKです。(^I^)
…という風に,ベッドから起き上がる前の数分,「まどろみの時間」がいろいろなイメージやアイデアをもたらしてくれます。もし,この時間に暗いイメージが沸いたり,暗いニュースが出てきたりしたら,自分の好きな音楽をイヤホーンで聴くようにします。ほとんどがヒーリング系のアルファ波の出そうな音楽ですが,すると明るいイメージが沸き始めるのです。そしてそのまどろみの後,少し背伸びをしてストレッチをし,ゆっくりベッドから起き上がります。(^I^)
朝のこの「まどろみ」が一日の開始の作業として定着するようになったのは数年前からですが,このような時間が持てる自分が本当に恵まれているなぁー!と最近思います。会社勤めの方や時間に追われている方にはできないことかもしれませんが,日曜日の朝など,試されてみてはいかがでしょう?(^I^)
さあて,来シーズンは「ホエール・ターン」がゲレンデにお目見えするかな?(^o^)
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August/04/2003 (月曜日) 晴れ
白馬にも夏の日差しが戻って来ました。今朝も,白馬三山がきれいに見えていましたが,そろそろ雲が上がって行きました。気温はいまのところ23℃としのぎやすいですが,昼過ぎには30度を超えることに…。
さて,今日はお昼に結婚式のPartyの予約が入っていて,その準備に出かけなくてはなりません。申し訳ありませんが,そういうことで今日の教師日記は オ・ヤ・ス・ミ とさせていただきます。
せっかくお越しいただきましたが,申し訳ありません…。(=_=;)
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August/03/2003 (日曜日) 快晴
今朝は梅雨明けに呼応してか,白馬三山がきれいに見えています。ところどころに残雪があり,山肌にアクセントを与えてくれています。ようやく「暑中見舞い」の便りを書けますネ!(^I^)
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さて「新・検定」の大綱が発表されてから,多くの方からご質問を頂いていますが,その中で,「今度の検定ではカービング要素もスキッディング要素も必要なようですが,どちらの要素も表現できるスキーの板選びで迷っています…」という方が最も多く居られます。そこで,今日はそのことに付いて考えてみたいと思います。
たしかに,カービング要素の滑りをうまく演技しようとすればトーション(ネジレ剛性)の強い板が適していますし,スキッディングにはその逆のトーションの弱い板が適しています。この両者は矛盾した性能ですから,お悩みになるのももっともです。そこで,私の個人的なスキー選びのポイントをお話しますので,これを皆さんの参考にして欲しいと思います。私はカービングスキーが出始めてから,基本的にはカービング要素のSLタイプの板で,その中でもギリギリスキッディングができるもの…を選ぶようにしています。
どうしてSLタイプなのか?というのと,先ずSLタイプだと小回りができるのはモチロンです。問題はSLタイプの板で大回り系の滑りをすることなのですが,これはスキートップ部分での雪面の捉え方を調整することで容易にできるのです。ただしこの時,一般的に述べられているカービングの滑り方,スキーのトップを雪面に食い込ませて滑る方法ではうまくいきません。トップで食い込ませるとSLそのものの性能が発揮されて大回りにならないのです。トップの捉え方の強弱を微妙にコントロールできる滑り方が必要なのです。実はそれが「テールで切る!」という意識の滑り,つまり“キャスター・ターン”なのです。かかとインサイドで身体をホールドし,斜面移動によってスキートップ部分に雪面からの抵抗を受け,その強弱は微妙なエッジング操作で行なう…という滑り方です。これによってSLタイプの板でも,かなり切れの良いカービング大回りができるのです。(^I^) しかし,その逆,GS系の板で小回りを行なう,というのは雪面ホールドの長さ,つまり有効エッジ長が長過ぎて簡単にはできません。長い柄の棒は速く振り回すのが苦手なのと同じ原理です。
次に,ギリギリスキッディングができるもの…なのですが,これが曲者で,主に乗り手の体重で変わってくるのです。体重の重い人ほど,トーションが強くてもスキーはズレてくれます。例えば相撲の小錦だと,もの凄くネジレの強い板に乗っても容易にズレてしまいます。しかし,その反対に体重の少ない子供が,大人の板に乗れば,トーションがいくら弱くても,ずらすことは難しいでしょう。つまり,ズレの程度はそのスキーヤーの体重に関わることが多いのです。私は身長が170センチで体重が72キロあります。その私が選んでいるSLタイプのスキーは,準競技モデルの上位から2番目の機種で,その長さは162センチです。一番の機種ではトーションが強過ぎてズレて行くのが難しいのです。スキーの試乗ができるとこのズレの可否がすぐわかるのですが,もうこの時期ですと試乗は無理です。スキー雑誌の試乗体験記やカタログデータから探さざるを得ません。(=_=;) スキー雑誌にニューモデルが紹介されていますが,その中のトーションの説明のコーナーに注目してみると良いでしょう。またテスターのコメントが載っているものもありますが,そのテスターの体重などは貴重なデータですので見逃さないようにしましょう。
「新・検定」はそのあらましが紹介されただけで,その滑りの要領や着眼点については不明の点が多いのですが,カービング一辺倒では多分評価されないと思います。カービングもできるし,スキッディングもできる板が望まれるのですが,カービング要素の滑りを「ガンガンカービングの滑り」と考えずに「切れの良い滑り」という風にとらえれば,トーションがそんなに強くなくても切れが良く,走りのある滑りができますので,技術でカバーする,という風に考えた方がいいでしょう。ちなみに私は「テールでの切れ」をすることで,カービング要素を出すようにしています。そのため,私のスキー選びの傾向は,「トップの捉えよりテールの捉え感が良い板」になっています。
どうでしょうか?ご参考になりましたでしょうか?適切なスキー板の選択は,検定を受ける受けない,に関係なく,楽しいスキーイングができるかできないか?ということに関わって来ます。ぜひ最良の一台をお選びになりますよう!!!
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August/02/2003 (土曜日) 曇り
朝方は雲が少し濃かったのですが,その雲も取れてきて,すこし青空が見えてきました。ようやく「せみの声」が聞かれるようになりました。夏だなぁー…という気分に慣れそうな予感です。(^I^) みなさんの週末はいかがですか?
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さて昨日,私の店に,予期せぬスキー教師仲間がたくさん来てくれました。お互い打ち合わせをしたわけではないのに,ヒョッコリ来てくれると嬉しいものです。(^I^) 店の棚に飾ってある「グッキー」の写真に献杯をし,その安らかな眠りを祈りました。皆,彼には多かれ少なかれお世話になった仲間なので,彼のことを語りながらの一夜になりました。
その延長…ということでもありませんが,「メルツェン」に来てくれた中のひとり“K.S”君が次のようなことを話されていました。非常に面白い視点でのお話でしたので,紹介したいと思います。
『…TOKさんのホームページはよく見ています。いろいろなシチュエーションを滑ることでいろいろな感性を磨く…というのはそのとおりだと思います。シチュエーションが豊かであれば豊かなほど違った経験ができますから…。でも,ある決まった,例えば本当に斜度もなく単純な一枚バーンのスキー場でも工夫次第で感性が磨けると思います。それは同じ条件だからこそ一回一回毎の滑りで,自分自身の意識を変えた滑りができる…ということです。毎回毎回,自分の意識を変え,それがどのような滑走フィーリングになるか?ということを体験できますので,スキー技術の引出しの数を増やすことになると…』
なるほど!“感性”を磨き,「技術の引出しの数を増やす」のに二つの側面…という見方があるのか!と思いました。シチュエーションを換えることはいわば外的な要因を換えることでいろいろな感性を磨くことになります。一方単純な斜面でも,滑り手がその意識をその都度変えて滑ることは,自分の心の中のシチュエーションを変えることになり,内的な要因を換えることになって,スキーヤーとしての感性を磨くことができるのです。つまり,感性を磨くには自然環境の違いを活かした外的な方法と,一回毎の滑りの質を自分の意識として換えることで感じ取る内的な方法がある…ということです。ですから,なにもスケールの大きいスキー場のようにいろいろなシチュエーションに恵まれた環境でなくても,小さい所でもスキーヤーの考え方一つで効果的な感性磨きの練習ができるのです。大事なことは,この両者をうまく利用して大きいスキー場は大きいスキー場なりの,また小さいスキー場は小さいなりの特徴を活かした“感性磨き”をした方が良い…ということです。小さいスキー場だからといって,練習にならない…というのは言い訳なのですネ!(^I^) 小さい所も小さいながらの「スキー道場」なのです。
July/29/2003 に紹介した“K.S”さんは,まさにこの「内的要因のトレーニング」をされたのですネ!(^I^)
すると,スキー教師もそのスキー場に応じた効果的なレッスン方法を作り出さなくてはならない…ということになります。八方のようにスケールの大きさに恵まれている所でレッスンをする機会が多い私たちは,その両方ができるわけですから,特に気を配って,「今,自分は内的要因のレッスンか?それとも外的要因のレッスンをしているのか?」を見極めた指導を行なわないといけません。とりわけ自然環境の恩恵を受けた「外的要因」の感性磨きが可能なことは,大きいスキー場の恵まれた財産ですから,これを大いに活用しなくてはなりません。
「内的要因の感性磨き」を知ることで,逆に八方での理想的なスキーレッスンスタイルが,際立って見えて来たように思います。これまで漠然と,スケールの大きさを活かしたレッスン…そう言って来ましたが,焦点がより鮮明に合って来た…そう感じた【TOK】でした。(^I^)
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August/01/2003 (金曜日) 晴れ
今日から「八月」です! 気温は26℃,夏の暑い陽射しが戻ってきたような陽気なのですが,気圧配置の関係で,まだ梅雨明けではないそうです。早く宣言が欲しいですネ!(^I^)
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さて先月は,皆さんから頂いた E-mail についてのコメントを中心に,その返事も含めてUPさせて頂きました。シーズン中はなにかと忙しく,詳しくコメントできなかったことも,少しは落ち着いて書けたかと思っております。これからも逐次,皆さんからの E-mail
にお答えしたいと思いますので,どんな些細なことでもご遠慮なくお便り下さい。お待ちしています!(^I^)
さて,このOLSS…できれば「映像」も少し載せたいなぁー,と思いパソコンのOSを新しいのに換えてみました。…がその後が大変で,しっかり使いこなすには時間が要りそうです。今格闘中ですので,しばらくお待ちください。(^I^)
ところで,「映像」といえば,グッキーのビデオを毎日一回は見てイメージトレーニングをしていますが,最近また強く思いました。グッキーの“重心”がいかに無駄な動きをしていないか!!!ということに…。深雪でもコブでも実に安定した軌跡上を移動しているのに気が付きます。重心が上下左右に動いていないのに,ターンに必要な圧が得られている…ということは,斜面落下がいかにスムーズに行なわれているか?ということの証拠でもあります。落ちて行って自分のイメージしたターン軌跡を描くのに必要なだけの角付けをする…。雪に対してアクションを起してないから,バランスを乱す要因となるリアクションが無い…だからバランスを保った安定した滑りができる,ということです。落下に対して彼が行なうこの「角付けの調節」は,彼の滑走経験で培かわれた多くのデータが基になり,その経験が「この雪質でこのスピード…そしてこの斜度であそこに行く…それにはこれくらいの圧が必要だから,エッジングの角度がこのくらい…」という計算を即座にしてしまうことで可能になるのだと思います。人並みはずれた能力…と言っていいのかもしれませんが,わたしはその能力を養った背景には彼の“感性”,“雪を感じる能力”があったと思っています。だから,彼は」口うるさく,「数多く滑ることで,滑走フィーリングや,バランス感覚,そしてスピード感覚を磨きなさい…」と言っていたのだと思います。ひとつひとつのテクニックではなく,全体的な能力を高めることでスキー技術は磨かれるのだ…ということです。
より多く滑り,状況をどんどん変え,そして自分のフィーリングとして感じ取り,それを「愉しむ」ことが大事…と言っていた“マルティン・グガニック”の映像は,これからも「スキーの真髄」を私たちに語り続けてくれると信じています。
暑い夏の夜,ビールを片手にグッキーのメッセージを感じるひととき…今は,これが【TOK】の楽しみです。(^I^)
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