みなさん長らくのご無沙汰でした。今回久々にTOKさん直々に・・「運動と重心」というお題をいただきましたので、私なりの考えを書いてみますが、「教師日記5月号」で、滑走時の重心移動について色々とお話が紹介されていますから・・・さてさて参考になりますかどうか?
【パート1:重心と体軸をイメージする】
テニスのように相手から打ち返されたボールを、自分が描いたイメージ通りに打ち返そうとすると、自分にとって一番いいポイントでボールを捉えようと動くのですが、技術的に不慣れだったり、厳しいコースに打ち返されたりすると、なかなかうまく打ち返せないことがありますね。また、しっかり打ったつもりが、イメージ通りのボールの回転にならなかったり、思ったコースに飛ばなかったりということもあると思います。この原因について考えてみると、重心が不安定だったり、テイクバックからインパクトに向かって重心移動がしっかり出来てなかったり、重心が移動していく際に「体軸」が崩れていたり、相手のうまさから崩されていたりと様々です。イメージ通りに行かなかったものには、何故ミスしたのか理解できる場合と、自分のイメージではしっかり打ったはずなのにと、原因がよく解らない場合があると思います。後者の場合の多くは、自分の意識や感覚と、実際の動き方の“ずれ”が原因だったということも多々あるはずです。
ミスをした原因が理解できる場合は、自分で気を付けて修正していけば良いのですが、「何故?」と感じた時こそが、「重心や体軸をイメージしてみる」良い機会ではないかと思います。
人が動こうとするとき、身体(重心)は時間の経過と共に位置を変えていきます。効率よく動き続けようとすれば、「重心」を安定させ、滑らかに移動させることが必要です。そう言う意味でも「動いている(移動している)」時の、地面(雪面)と身体の位置関係(重心と体軸)を考えるということは、TOKさんの仰るとおり、大切なことだと思います。
「重心や体軸をイメージ」して運動できれば、動きの中のその時々で、重心位置がどの辺りにあり、足元から重心を通る体軸が、前後左右に不用意な傾きが出ていないかなどをイメージできると思います。ご自身で、効率が良く無理のない、安定した動き方を考えるということにつながってくるはずです。
学生時代には、そのような意識が無くても、スポーツ系の部活やサークル活動で、毎日毎日の反復練習によって、自然にいい動き方を感覚的に覚えていたということがあったと思います。社会人になると運動する機会が減り、感覚を忘れてしまったこともあるでしょうし、週に一度運動できるかどうかでは、そういった感覚が自然に身に付くことも難しいのが現実でしょう。でも、良くしたもので・・年齢と共に「感じる」ということに、より敏感になってくるように私は思うのです。それはもしかすると、体力的な衰えを感じたからこそ、身体の防衛本能のようなもので、そういう感覚的な方面に自然と意識がいっているのかも知れません・・・。
テニスは余り詳しくないので、体力テスト種目の“反復横跳び”は誰もが幾度か経験されたと思いますので、それを例に「重心移動」について考えてみたいと思います。
この運動は、素速いリズムで左右に動き続けるという単純な運動です。このような運動の場合、重心の上下方向への動きが極力出ないこと、切り返しを素速くするため、外方向への重心移動はできるだけコンパクトにする必要があります。
失礼ながら運動が得意ではない人は、ピョンピョンと跳ねて、地面(床)を蹴りながら横跳びをしていることがあります。これでは重心の上下動が大きくなり、しかも重心位置が高いので安定性に欠け、切り返しで素速い動きができません。これでは滑らかな重心移動が出来ず、動きが途切れてしまうため、運動効率が悪くなります。
まず、確実に素早く動けるように両足を開き、膝を曲げて腰を少し落とした姿勢で構えます。この姿勢は前後、左右、上下方向に移動し易くする基本的な構えです。スキーで例えると中間的ポジションということになるのでしょうか。そして素早く動くために重心高が極力変化しないよう気をつけて横跳びを繰り返して行くわけでが、左から右、右から左へと動く方向を変える時は、外足を横に出して踏ん張りながら重心を少し内側に残しています。次の瞬間逆方向に蹴り返し、身体の下(重心方向)に脚を引き込みながら、反対側に移動します。そして、次の切り替えしに向かって脚は反対側に出ていきます。
この様なことも運動に慣れれば、誰に教えられたという訳でもなく、ロスのないよう素早く動こうという気持ちから、重心を安定させ滑らかに移動させるという意識が本能的に働いているのではないかと思います。つまり、本能的に「重心をイメージしている」のだと思います。
反復横跳びとスキーを比較すると、反復横跳びの場合は切り返しの手前で意識的に重心を少し内側に残しますし、“蹴り返す”というDO的要素を含みますから、なかば強引な結び付け方かも知れないですが・・・中間的ポジションをキープしながら、上下動を抑え、重心を支点にして脚が外に出たり戻ったりと、素速くロスのない様に、効率よく動くと言う意味では似通った所があるのではと思いました。
私レベルのスキーヤーが、技術選での選手の滑りを云々するのもおこがましいし、細かな技術的な部分は解らないのですが、私自身が「良い滑りだなあ・・。」と思った滑りには、最大荷重時に貯まった圧を、重心方向に引き込みながら、“板と上体が、重心を支点に入れ替わる”という共通点があるように感じました。その結果雪面から受ける圧もいつも一定のようで、ゆったりと滑らかで、流れが途切れていないように見えるのです。これがいわゆる・・“クロッシングの極意”か!と感じたのですが・・如何でしょう?!(あくまで私の印象ですが・・・。)
TOKさんの言葉を借りると「スキーでは重心移動の軌跡を滑らかに、スムーズに・・」とのことですが、このことはスキーに限らず、総ての運動に当てはまると思います。
今回の比較は、下に落ちながら横にも移動するのか、単に横移動だけかの違いはあるものの、TOKさんの仰るように、様々な運動の、いろんな動き方を考えたとき、重心や、足元から重心を通る軸(エネルギーライン『TOKさんの技術用語』)が、自分の動きと共に、どのように移動しているかを感覚的にでもイメージできれば、今までに感じられなかったものが、より感じやすくなるように思います。
スキーのみならず様々な運動に於いて、運動時の重心の軌跡をイメージして、その時の体軸が前後、左右、上下方向にどうなっているのかを考えてみると面白い発見があるかも知れませんね。
パート2 は後日…
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