スキー道
(スキー心理学)
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「  リフトの効用 No.2」
File 0024
by ”Dr.N”  2002/04/08

   
  今年は春の訪れが全国的にとても早いようですね。
  私の地元のスキー場のゲレンデにも春の兆しが感じられるようになって参りました。

  そんな平日のある日、地元のとある有名所のスキー場に行ってきました。毎年3月のこの時期にお世話になっているスキー場です。
  そのスキー場の最頂部のリフトを上がると、完全に360°のパノラマが広がっている山頂に到着します。山頂は付近の最高峰であるため周辺の山々に点在する他のスキー場も一望の元に見渡す事ができるんです。ジンクスでしょうか?どういう訳か3月にこのスキー場を訪れると晴天率が高いんですよ。お陰で素晴らしい風景が満喫できる私のお気に入りのポイントになっています。

  さて、その山頂部は過酷な環境であるために1本の木も生えていません・・が下山コースを数m下ると、そこに冬の間は葉をつけていない1本の老木が生えています。半分朽ち果てたかの様に見える老木はスキーヤーとの衝突防止のマットを巻きつけてあり、それが包帯のように見えて少し痛々しい感じです。

  普段は何気なく通り過ぎているのですが、この日、午前券の最終の1本を山頂まで上がった私は、頂上で30分程過ごしてからゆっくりと雪の感触を確かめながら滑り降りてきました。そして偶然にもその老木の袂で止まったのでした。
  ふと老木に目をやると枝の先には新芽のきざしがあり、既に春の気配です。
  見上げるとピーカンの青空に、新芽を付けている枝々が空の青に映えて何とも良い感じでした。更に注意深く観察をすると、木肌にはいろんな苔や地衣類がはびこり年輪の深さを感じさせます。老木に巻きつけてある衝突防止のマットから下の部分を手で隠して老木を見上げると、まるでアフリカのサバンナに生えているガジュマロの大木を見上げているような感覚になりました。

  いったいこの木はいつからこの場所で風雪にさらされながら生きてきたんだろうか・・・? 兎109の前には1本の小さな木が衝突防止のマットに包まれて生えていますが、数十年、数百年後にはこのような大木になるのだろうか・・・
  そんな事を考えながら、そこで私はその老木とそうやって20分ほど向き合っていたのでした。
  もしその老木が言葉を発する事が出来たなら、樹齢数百年(数千年?)の大木が人生わずか数十年の若造に問い掛けているようなそんな場面だったでしょう。
  リフトで上がらなければ、まずこの時期こんな所に生えている老木の脇を立ち止まる事もなかった・・・。これもひとつの出会いなんだな〜と感じました。
  そして下山して駐車場に向かう途中、山々の木々の全てが私に問い掛けてくるような(例えるなら大勢の人に見られているような感じ)そんな気持ちになったのでした。

  なぁんだDr.Nそんなつまんない事ばっかり考えていないでもっと練習しろよ・・なんて声が聞こえてきそうですが、皆さんもたまにはそんな感覚でスキーをされてみてはいかがでしょうか?

                                        
(2002/04/08UP)

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