スキー道
(スキー心理学)
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  消費社会と欲望   bP 」
File 0012
by ”Dr.N”  2001/08/25

  今回は一連の精神集中シリーズから話を変えて、TOK先生がよく日記の中でも取り上げておられる「消費社会と欲望」に関連する事を書いてみます。(スキー道から完全に外れてますが・・・)

  20世紀は大量消費社会と言われてき来ました。フォード社の大量生産システムがその発端であると聞いたことがあります。沢山の物を購入して沢山ごみを出す・・ストレス発散が買い物と言う話も今の日本では不自然な事ではありませんね。TOK先生も書かれていましたが、消費の拡大が直接日本の豊かさ(個人の心の豊かさ)につながるものではない・・私もそう思います。物質に満たされていれば幸せなのか?そうではありませんね。

  話はいきなり変わりますが、皆さんはモンゴルに行った事がありますか?
  私は昨年、モンゴルと中国の国境付近にある「スンベル」と言う村に行って参りました。首都ウランバートルから900km。一般のツアーで行くような場所ではありません。
  スンベル村は旧体制(モンゴルは世界で2番目の社会主義国家)時代にはソビエト指導によるコルホーズ(農場)があり、3万人程の人口を有する街でしたが、ソビエト崩壊後に急速に人口が減少し、現在では電気、ガス、水道、ガソリン・・全てのインフラが存在しなくなり、村の付近に2千人程(守備隊兵士とその家族を含む)が細々と暮らしています。

  私の目的は「ノモンハン事件現地慰霊団」に同行させてもらい、私の母の叔父が敵地に墜落した隊長機より部隊長を強行着陸して救助した現場(できれば機体)を探し出す事でした。(「ノモンハン事件現地慰霊団」は12年前から現地での慰霊及び遺骨の仮埋葬、慰霊塔の建立等の活動を行っています)
  モンゴル人民軍の国境警備隊の兵士と共に国境線まで1.8kmの地点まで行くと、中国軍の監視塔が遠方に見えます。国境の干渉帯の内側に入ると中国側から臨戦態勢と見なされ中国軍がすぐに馬で現れるそうです。現在でも日本軍の陣地跡が鮮明に残っており、遺骨や榴弾の破片がそのままの状態で散在しています。穴を掘れば不発弾が突き刺さったまま残ってる場合もあり、緊張感のある土地です。

  そのような土地で数日間生活をしたわけですが、そこで感じたのは「物がなくても生活はできる」と言う事でした。もちろん水も食料も無ければ生活そのものはできませんが、TVやパソコン、自動車などが無くても人間は生きて行ける、という事を強く感じたのでした。
  見渡す限りの草原で牛や羊を追いながら暮らしている人々がいる・・・。彼らはそれで十分に満足しているのです。私も満足でした。ここではブランド品のバックなど持っていても何の意味も価値もありません。確かに、外国の情報を仕入れる為に自家発電のTVやパソコンが必要な部分もあります。
  しかし、日本のように「何か」が無いと生きて行けない・・と言う「何か・・」は、無くても生きて行ける場合がほとんどなのです。生きる事そのものが人生の全てであり、それに随する物だけが必要なのです。
  それが人間本来の姿だと痛感しました。

  さて、スンベル村から首都ウランバートルに戻ってきた時、本当に不思議だったのは、ウランバートルの街がコンクリートで固められた無機質な世界に見えた事です。数日間を草原の村で暮らしたからに他なりませんが、サバイバルに近い状況から現代文明の街に戻ってきたにもかかわらず、私以外の慰霊団の方たちも同様に、何かがっかりしたような表情でした。ふと頭の中に「(生命力の無い)コンクリートの街に戻ってきた・・」という言葉がよぎったのが印象的に残っています。(ウランバートルの街を初めて見た時に、日本とは比べ物に
ならないぐらいに、何も無いという印象があったにもかかわらず・・です。)
  しかし、さらに驚いたのはホテルに戻り、数日振りにシャワーを浴びてビールを飲んだ瞬間に、文明人(・・と表現すべきか?)に戻ってしまった事です。
  これには自分自身、本当にびっくりしました。この心理的変化は私の中でも説明がつきません。ある一つの順応性の問題かもしれません。

  しかし、それでも私の中に物質社会への疑念が消える事はありませんでした。確かに分刻みの都会のサラリーマン生活をする上で、コンビニや電子レンジは必要な物だと思います。だからと言ってそんな物が果たして必要なのか?・・という様な物までが商品として製造され売られている。(例えば自動靴磨き機・・)そんな社会にどっぷりと浸かって、物に囲まれていないと不安でしかたがない国民・・・それが現代日本人の姿だと思えてなりません。
  そういう私も、来期の板を新たに注文してしまったのでした・・・。

  最後に付け加えますが、近年自由化の影響でモンゴルの人々のライフスタイルも変化しつつあり、西洋化の波はとどまる事を知らずとの話です。

                                          ・・・続く。
   

(2001/08/25)

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