スキー用具
38.スキーのトップとテールの硬さはターンにどう影響する?
40.板の寿命は? 41.プレートの効果は? 43.カント角を調整するには? 49.具体的なカント調整方法は? 64.ブーツ選びのコツは? |
38.板について教えて下さい。店に行くと前後が柔らかい板や、前が柔らかいとの表示があります。
どんな、性格があるんですか。 スキーのトップとテールの硬さはターンにどう影響するんでしょう? |
ご質問者:msho3 | 1999年11月2日 |
スキー板の硬さについてですが、これには二つの側面があります。
ひとつは「曲げ剛性」でもうひとつは「ネジレ剛性」です。
曲げ剛性は俗に「ベンドの硬さ」といわれているもので、「トップとテールを固定してセンター部分を押した時のスキーの硬さを表わすもの」です。この硬さの分布は、トップからテールまで一様になっているわけではなく、最近はトップの方がテールに比べて柔らかくできているのが一般的です。
ネジレ剛性というのは俗に「テンションの硬さ」といわれ、「トップとテールを反対方向にねじった時のネジレ方の硬さ」を表わすものです。
曲げ剛性とネジレ剛性は比例するのが普通で、ネジレ=テンションの硬さを硬くすると曲げ剛性も強くなってしまう…という性質があります。しかし、スキーでは曲げの硬さが柔らかく、ネジレの硬いものがコブや斜面を良くナメ、かつ雪面ホールドしっかりさせるために必要です。つまり、矛盾した性質をクリアする必要があるわけです。ハニカム構造とか、ショックアブソープシステムなど、各メーカーが研究に研究を重ね独自の製法技術を開発してきました。最近は研究が進み、この矛盾した性質をクリアすることができるようになりました。そのおかげで最近流行の「カービングスキー」の出現となったわけです。以前はトップとテールの幅を広くしても雪面をしっかりキャッチできるだけの曲げ剛性を持たせられなかったのです。
さて、トップに比べてテールの硬さ云々と言うのは「曲げ剛性」をみているわけです。本当は「ネジレ剛性」も含めたかたちでスキーの性能を評価しなければなりません。でもスキー購入の時は実際に雪上でテストする訳に行きませんので、色々な人の滑走フィーリングテストのレポートや、メーカーのカタログを参考に買うことになります。
一般的に前後共に柔らかい板はコブは良くなめ、深雪などにも向いていて、体重や脚力のない人や女性にも乗りこなせる性質を持っています。またテールがトップに比べて硬いスキーは、ターン後半の雪面ホールド=スキーの切れや走りが良く、レーサー等に適しています。
しかし、ネジレの硬さも重要な意味を持っています。普通は、ネジレ剛性が強いスキーは雪面ホールドが良く、ズレにくくしっかりと雪面に食い込みますが、その分ずらしにくく操作性が悪くなります。ねじれが弱いスキーはその逆です。
どういうスキーをしたいのか? どんな斜面を滑りたいのか?を良く考えた上で選ばれることをお薦めします。
40.こんにちは。初めてメールします。板の寿命について教えてください。
自分の板は、5年使用しています。(年間滑走日数15日前後〉今年は、新しい、板を買おうと思っていたのですが、どの板にしていいのか決められず今シーズンも今の板を使用するつもりでいます。板の寿命は、何シーズンぐらいでしょう。 |
ご質問者:NOBO | 1999/11/8 |
板の寿命…
板の持っていた性能が劣化する、という場合と、板が壊れる、という場合があります。
劣化に付いては、スキー滑走日数でいえば、100日は大丈夫です。わたし達スキー教師も年間100日、毎日履いても大丈夫ですから…。年間滑走日数が15日でしたら、100/15=6.66…ですから、まぁ5年は大丈夫でしょう。ただし、最近は3年サイクルくらいで板の性能も良くなることが多いですからそれを加味すると、3〜4年くらいと見た方がイイかも知れません。
板の損傷、は5年ぐらい前と少し様子が違ってきています。特にカービングタイプのスキーが出てきてからは……。ナゼかと言うと、「スキーQ&A」の bR8.スキーのトップとテールの硬さはターンにどう影響する? にも書いてありますが、カービングタイプのスキーは「曲げ剛性を弱く」「ネジレ剛性を強く」という矛盾する性質を、材料や構造を改善することでクリアしています。つまりそれだけ無理が掛かっているということです。その為どうしても素材に無理がかかり、結局寿命が短いということになってしまうのです。特に見られるのはコブのしゃめんなどに入った時に良く起こる「スキー板のトップやテールがそり返ってしまう現象」です。こういう状況になってもメーカー側で修理してくれ、見た目は元に戻りますが、微妙な板の性能は失われてしまっていると思ったほうがイイでしょう。残念ですが新しい板に替えた方が無難です。
41. カービングスキーが出始めてからビンディングにプレートを入れている人をよく見ますが、どうゆう効果があるのでしょうか。 実は私も入れてみたいと思っているのですが・・・。 。 | ご質問者:NOBO | 1999/11/12 |
プレートはナゼ入れるのか? というご質問ですが……
2つの理由があります。高さを高くして少ない力で角付けができることと、靴やビンディングの硬さの影響を少なくしてスキーのたわみ曲線をまるくできること、です。
ひとつ目の、少ない力で角付けをすることができる……というのは、てこの原理が働くからですが、次の様に考えればよく解ります。(以前どなたかが解りやすい例をあげておられたものの引用です)。ビールのロング缶とノーマル缶をテーブルの上に乗せてみて下さい。これの上端をつまんで、底はテーブルにつけたまま、左右に倒してみます。どちらの缶が楽に倒せますか? ロング缶の方ですよね。つまり、ヒザガシラからエッジまでの距離の長い方が、角付けをするのに楽だということです。少しでもこの距離を長くするためにプレートを入れるわけです。
ふたつ目の、たわみ曲線が円くなるというのは、次の理由からです。ビンディングの種類にもよりますが、ビンディングはフラットになっていて、しかもスキー板のまげの強さより硬いのがふつうです。ビンディングあるいは靴の曲げ剛性が硬いために、スキーが円くたわもうとするのを妨害して、やや台形のいびつな形にたわんでしまうのです。つまり滑らかな円弧を描けない…ということになります。これを防ぐ為、ビンディングや靴の硬さの影響を極力受けないよう特殊なプレートをつけることがあります。
ただ、注意が必要なのは、プレートを高くすれば力は少なくて済むが、素早いヒザの返しはできにくくなる…ということです。またバランス維持も考えなければいけません。同じ角付けをするのに、ヒザの左右に動く距離を大きくしなければならないわけですから当然といえば当然のことです。バランス感覚は高下駄でスキーをするのと、雪駄でするのとの違いみたいなものです。
何事もそうですが、どちらもイイ…という具合にはいかないのが世の中の常のようで……。(^I^)
43.カント角調整ですが、これは靴の底に何か入れて足裏が外向きになる様に角度調整するのが
良いのでしょうか。 又、その場合はどんな物をどんな形で入れるのが良いのでしょうか。 その辺詳しく教えて頂けませんでしょうか。 |
ご質問者:YAMASA50 | 1999年11月27日 |
実際に雪の上で試した方がイイでしょう。
やり方には何種類かありますが…
1.スキーブーツの底の内側にガムテープ等を貼り付けインサイドを少し高くしてビンディングに装着する。
2.インナーとシェルの間に敷物を入れる。
2−1.足裏、靴底にパット(布で可)を入れる。
2−2.向こうズネ内側、内くるぶしの上部にパットを入れてみる。
……が簡単にできる方法です。
いずれの場合もその厚さをいろいろ変えて滑ってみてください。
もし滑走感覚が良くなったら、カント角調整をした方がイイという事です。
簡単に取れないように固定します。
49.O脚の人のカント調整は外側に傾けるように調整すればいいのでしょうか?図などでの説明しているものがないのでよく分かりません。具体的なカント角調整方法について教えてください。 | ご質問者:金子 | 1999年12月27日 |
カント調整は図の様に、雪面を圧する力が均等でないことを補正する為に行うチューンニングです。
左の図の様にO脚の人は小指側での圧力が親指側の圧力より強くなります。これではスキーをフラットに同じ圧で踏むことは出来ません。同じ圧で踏むには右側図2のように親指がわに何か詰め物をするのが一番簡単です。つまりスキーブーツのインナー内側に詰め物をするか、スキーブーツ内側に何か置くか……です。
それ以外にも内くるぶしの上部にパッドを詰めても良いですが、イチバン効果があるのは図2のように内側に詰め物を置くことです。