※マジックハンド･ターン
　マジックハンドターンとは，ターン外足にしっかり乗りこみ，生き生きしたエッジングをする為の方法のひとつです。効果的なエッジングと圧の蓄積・解放に役立つ意識です。
　やり方は，ターン外側の手と手首に気配りして滑る，というもの。ターン外側の手を置いておく位置と，手首の緊張のさせ方をちょっと工夫するだけで，信じられない程の威力を発揮します。手の位置が腰より上がっていると，その姿は「糸の切れた奴ダコ」状態になって，内足に乗りやすく，荷重が分散されて，外スキーのたわみが生かせず，切れが悪くなってしまいます。手の位置をヒザくらいにまで下げると，外傾ポジションが取れ外スキーをたわませる事ができるようになります。両手を下げては意味がありません。
　また手首をオートバイのアクセルをふかす様に「内側にしぼる」と，ヒザがそれに連動してターン内側にギューーッと絞り込まれ，単にヒザを内側に倒すのとは違って，手首の絞り具合で，ヒザの動きに粘りのある絞り込みを生み出すことができます。まるでエネルギーを持ったヒザの絞り込み，と言ったほうが当を得ています。次のターンに入る時は，手首の返しを徐々に緩めてみます。そうするとその緩ませ方に応じて今まで捕らえられていたひざの絞り込みが緩み，エッジングが少しづつはずれて，スキーはニュートラル状態に移行します。この時，ヒザの動きはニュートラル状態で停止してしまうので無く，バネが弾かれるように，次のターンの内側にギューンと返ります。この動きはまるでヒザがエネルギーを持った生き物のごとく感じられます。Ｍさんが感じた�Aの事例のように，マジックハンドで絞った手首の絞りが緩められた時，圧の解放と共にヒザの解放が起こり，素早い角付けの切り換えも可能になるのです。
　練習は，先ず平らな斜面で，小回りのマジックハンドの練習から始めたら良いでしょう。まずノンストックで行います。結構低い姿勢になりますが，外スキーの捕らえと，バネのあるエッジングが体験できるはずです。これで，結構マジックハンドが効き目があることが実感できるでしょう。
　その後，ストックを突くのですが，あんまりストックに圧をかけてはいけません。両足同時の抜重になってしまうからです。あくまでもコンタクト移動（圧の授受）は左右交互操作意識です。そして，ここがポイントですが，手の位置はノンストックの時ほど雪面近くになりませんが気持ちの上でできるだけ下げる意識を持ちます。また，手首は返す様にして，手首内側でヒザを内側に押し付けるイメージを持ちます。ストックはほんのチョイ突きで，『ヒクゥー（Hikuuｰ）』の”Hi”の”H”でスキーをニュートラル状態に戻すようにします。するとバネの利いたヒザがニュートラル状態に戻るだけでなく，その反動で次のターン内側に入って来ます。そのタイミングを逃さず抵抗を受け，次のターンを仕上げる訳です。
　　
※マシンガン・ターン
　  ”マシンガンターン”というのは，自分の進む方向，斜面を落ちて行く方向をしっかり意識し，自ら進んでその方向に移動しようとする気持ちを持たせるためのトレーニング方法のひとつです。
　その要領は，舵取り期に入ったとき，外側の手の人差し指をマシンガンの銃口に見たて，自分の進行方向（迎え角方向）に居る敵を目掛けて銃口を（人差し指）を向け，そこから弾丸が”ドドドドドドドォーン…”と発射されるフィーリングを持つ…というものです。手の位置と人差し指の方向が重要で，腰とヒザの中間ぐらいにマシンガンの銃口（手）を構え，その銃口の向きをしっかり迎え角方向（抵抗を受けとめる方向）に向けて弾丸を発射させるイメージが大事です。人差し指が進行方向を指差するので自然に手首が返り，それに連動してヒザが内側に入って角付けがうまく行くようになります。マジックハンドに移動する意識を加味したものということもできます。銃口の方向にずれて行くこと，も大事です。
　大回りでは”ドドドドドドドドド”と９発ぐらい発射させ，中回りでは４〜５発，小回りでは重いやつを１発！…という感じで発射させる意識にします。マシンガン意識を”マグナム銃”意識に変え♪バババ…バババ…♪から♪バギューン…バギューン…♪にイメージを変え，一発お見舞いしたら次のターンに移る…というようなイメージを持つと，小回りがよりうまく行えるようになります。