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「 スキーの原点とは? Part 1 」

File 0030
by ”Dr.N”  2003/03/05

  
「スキーの原点とは?!Part1」

  皆様お久しぶりです。シーズンも後半に入り、いかがお過ごしでしょうか?
  シーズンの残りを悔いの無いように過ごしてくださいね。
  さて、スキーシーズンを悔いの無いように過ごすための一つの考え方として、今回は”スキーの原点に立ち帰る”ということを、私は提唱したいと思います。

  今シーズン、八方尾根スキースクールでは、新しい試みとして「八方スペシャルテスト」をスタートされています。2年ぐらい前ですか?TOK先生から、「こんなことを考えてるんだ・・・・」と、「八方スペシャルテスト」の原案とも言うべき考え方を聞いた時、私はこの話が実現すれば、どんなに素晴らしいだろうと・・思いました。

  実はその頃、私自身も似たような事を考えていたのです。私は「級を持っていなくても絶対的に上手いスキーヤーは存在する・・・」と考えていました。極端な例ですが、体力・筋力が物凄く優れたスキーヤーが、筋力で難斜面をガンガン滑っていたとしたら・・・そのスキーヤーは技術的なハンデはあっても、体力・筋力というアドバンテージを持っているのだから、それで十分だと考えていたのです。(もちろんそのスキーヤーが効率的な滑りを学べば、さらに上手に滑れるようになるわけです。)

  それと言うのも、現在の検定制度がどこか偏ったものの見方をしている部分があるように思えていたからです。いえ・・検定制度と言うよりは、現在の日本のスキースポーツのあり方そのものが、何かスキー発祥当時のものとかけ離れ過ぎている様に感じられたからです。

  昨年、あるスキー雑誌のコラムに、元SAJデモの山田誠司さんの文章が掲載されていました。その文章を読んだ時、私は稲妻に打たれたような感覚を覚えました。「そうだ!その通りだ!」 まるで私の心を見透かしたような文章に、思わず氏にメールしようと思ったぐらいです。(笑)
  さて、その中で印象に残っている部分を抜粋致しますと・・・

  「自然の山で滑る事は、飽きることのない普遍的なものだ。さまざまな雪の状況や地形を滑る事が、スキーもしくはスノースポーツの原点のはずだし、むずかしさや緊張感があって、転ぶことも含めて体験そのものが楽しい。」

  「技術的には、雪山のどんな斜面、どんな状況でも安全に滑り降りることが目標だったはず。だけど、そのための疑似体験と訓練をする場として、誰でも滑れるように整えたのが、今日のスキー場のスタイルとなっている。原点の楽しみ方は棚に上げてしまい、限られた条件の中で完結させようとしている。その結果、スキーヤーも他人と比べて優劣をつけることでしか、スキーのモティベーションや価値観がもてなくなってしまったのかもしれない。もっとみんなが自分のペースで楽しめるスキーがあるのではないだろうか。」

  「降雪機でシーズンを早め、均一なバーンを提供する事で、春先のスキー場の客は、まちがいなく減ってしまった。日本は8ヶ月もスキーのできる国なのに、3ヶ月ぐらいしか楽しめない遊び方や、仕掛けがほとんどで、挙句の果てに飽きてしまっている。」

  「(年間)150日、雪の上で生活する私でさえも、滑りたくてたまらない。飽きないし、いくら時間があっても足りないぐらいだ。(中略)もうひとつ身体がほしと思う。」

  (山田誠司さんの使用する)滑る用具の種類はこんなにある。アルペンスキー(レース、基礎、山、ファット、モーグル、飛び系、ショート)テレマークスキー(レース、パウダー、ツーリング、バックカントリー)、クロスカントリー(レース、ツーリング)、ジャンプ、ボード、スコール、スノースクート・・・・(中略) 場所、エリアとしては、スキー場、バックカントリー、ヘリスキー、キャットスキー・・・(中略) みなさんは、どれだけやったことがありますか?それぞれの場所、それぞれの用具によって、びっくりするほど楽しさが違うし、スキーの奥深さを実感できるはずだ。」

  「歯を食いしばって必死に滑るのもいいけれど、少しだけスキーを広くとらえ、独学でも、習ってでも、本質的な部分を身につけてしまえば、何にでも応用ができて、楽しみが広がり、永く続けられると思う。」


  さて、この文を私がとやかく解説する必要は無いでしょう・・・(笑)私が特に印象深く感じた言葉は、 「原点の楽しみ方は棚に上げてしまい、限られた条件の中で完結させようとしている」。 「3ヶ月ぐらいしか楽しめない遊び方や、仕掛けがほとんどで、挙句の果てに飽きてしまっている。」。飽きた事をふまえて「(各種スキーを)みなさんはどれだけやったことがありますか?」 ・・・でした。
  
  痛烈に日本のスキースポーツの現状を突かれた感がありますね(笑) そんな中で、”より実践的な技術”を評価基準として新たに登場した「八方スペシャルテスト」の今後に、私は
多大な賛辞を贈りたいと思うのです。続く・・・・

                                        (2003/03/05 UP)

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