人間の身体の素晴らしさとスポーツ 

(メルマガNo.5 08/06/01より)

 “人間の身体の素晴らしさとスポーツ”☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

  ここのところ「人間の身体」って本当に良く出来ているなぁー…と思います。
  人間が地球上に姿を現してから200万年…その間にいろいろな環境に適応
しながら,今日の身体を作り上げてきた,と言われていますが,その仕組みには
本当に感心します。自然治癒力は言うに及ばず,心の持ちようを敏感に受け止め,
それに反応する能力など,“神秘的”という言葉がピッタリするくらいです。
 さて,いまカナダのエドモントンで世界陸上が行なわれています。世界中から
素晴らしい肉体を持ったアスリートが集い,その能力を発揮して素晴らしいパフ
ォーマンスを見せてくれています。記録に挑戦し,それをクリアする姿は本当に
美しい!…と思います。人間の身体の素晴らしさをつくづく感じます。

 …が,最近次のようなニュースを耳にしました。「スポーツ」を生活の糧にし
ている選手や,コーチの中には違法すれすれの「ドーピング」をしている人が結
構多く居る…というものです。ただ単に筋肉増強剤として薬を飲むだけでなく,
血液ドーピング(冷凍保存した自己血液をレース前に自分の体内に戻し,呼吸循
環機能を高める)や,中絶ドーピング(中絶後には男性ホルモンが多量に分泌さ
れることを利用するため,人口妊娠と中絶を行なう)を行なうこともあるとか…。
さらには,メダリスト達の精子が売買されたり,遺伝子工学を利用して競技に最
適なDNAを持ったアスリートを創り上げる…などの技術も進行している…など
の話も聞かれます。

 人間が,人間として持つ能力以上に,薬や科学の力で肉体を人工的に改造する…。
「スポーツ」が「富」になる時代の結末…と言ってしまえばそれまでですが…残
念な気がします。薬剤や科学の力を借りて記録に挑み,世界チャンピオンになる
ことがどれほどの意味を持つのでしょうか? 現代スポーツはマネーゲームの世
界に取り込まれて行くのでしょうか? ルールに従い,スポーツマンシップにの
っとってプレイする姿は見られなくなるのでしょうか?
 本当の「人間の身体の美しさ」は,人間が人間として生まれながらにして持っ
た肉体を鍛え,その極致の能力を競うときに現われるのではないでしょうか。人
が人の能力を称え,その偉業に拍手を贈るのは,「心も身体も美しい“体”」に
対してだけだと思います。

私たちの一般スキーでは「ドーピング」こそありませんが,“自分の本来持つ
能力以上”の改造をしようとする,同じような危険が無いとは言えません。楽し
みの域を越える性能を持った「スキー用具」の開発によって,身体に危険を伴う
状況が生まれかねないのです。これでもか,これでもか…というくらい,毎年新
しいモデルが開発され発表されています。特に,ここ数年のスキー用具の開発と,
それによるスキーフィールドの変化は,人間としての自分の身体の素晴らしさを
感じる以上に,身体そのものを痛める…という側面をあらわにして来ています。
ズレ要素の少ないハイスピードを原因とする事故の増加です。

 「私たちのスポーツ」はあくまで「心身を磨く」ということをその基軸とする
べきだと思います。楽しみの域を越えたスキー技術を追求するあまり,「スキー
用具」に頼ったスキーを追求し過ぎるのはいかがなものでしょうか…。

 アスリートにとっての「ドーピング」と,我々一般スキーヤーにとっての「ス
キー用具」…どことなく似ている側面を持っているとなぁー…と感じた私でした。

 

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