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            Chapter 10    キャスターターン 応用編

 Contents  ☆★☆

0043 小回りの軸

0042 
キャスターと軸

0041  クロッシング

0040 
角付けの切り替え

0039 
舵取りの基本


---☆★【TOK】の Feelin' Ski ★☆--- 0043 
キャスター・ターン 応用編
                                           No.5 「小回りの軸」
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 前回は「大回り系」を例にとって「軸」の話をしました。今回は小回りについての軸を,キャスターイメージをとおしてみてみることにします。
 大回り系ではセンサーキャスターの位置がスキーのトップ部分に想定しますが,小回りでは「S」付近にこれを意識します。その理由は
0037 キャスター・ターン発展編 No.2 「センサーキャスター」のところでお話しました。前回と同じように,このセンサーキャスター「S」からセンサー軸が伸びて行くのですが,小回り系ではこの行き着く先が“重心”よりも低い所になります。(図42−4)のように“ひざ”付近がその位置になります。そして,サポート軸も“ひざ”から“Key”に向かう線になります。これをスキーヤーの前面から見ると(図42−2)のようになります。大回り系では“重心”から伸びていたバランス軸も,小回り系では“ひざ”から伸びる意識になります。大回り系と小回り系を比べると,小回り系はその回転速度も回転半径も大回り系より小さいので,雪面とのコンタクト圧は格段に小さくなります。“ひざ”と“Key”と“S”を結ぶ三角形も,大回り系の“重心”と“Key”と“L”を結ぶ三角形よりも小さいイメージになります。大回り系では(図42−1)のように,身体全体の内傾の度合いが大きいのですが,小回り系では“ひざ”からのバランス軸は寝ているものの,上半身は立っています。雪面との圧そのものは小さいけれど素早い動きが要求される小回りでは,下半身を有効に使う必要があるのでこのような姿勢になります。でも,このような姿勢やフォームが現れる…からといって,その姿勢やフォームそのものを真似てはなりません。キャスターを意識することで素直に,自然にこのような姿勢が生まれてきますから,その時のキャスターイメージをこそ大切にすべきです。
 では実際に,小回り系でどういうキャスターイメージを持ったら
(図42−2)のようなバランス軸が生まれるか?についてお話します。(図43−1)「小回りのキャスターイメージ」をご覧下さい。一般的にはキーキャスターを「オレンジの色」の部分にイメージします。でも小回り系になればなるほどそのキャスターを「白線」のようにターン内側に向かって意識するのです。もちろんキーキャスターの転がりを意識したままです。するとその結果,センサーキャスターも「薄いグリーン」で雪面からの抵抗を受けている意識だったものが,次第に「濃いグリーン」のようにより内側で受ける感じに変わってきます。この意識を持つことによって,実は角付けが少しづつ強くなってくるのですが,ただ単に角付けだけを強くしようとすると,雪面コンタクトが急激に行なわれたり,チェック的な運動が出たりして,スキーの運動が止まってしまいます。つまり圧変化の多い角付け要素になりがちなのですが,キャスターの位置をキャスターの転がりを伴いながら内側に移していく意識を持つことによって,スキーの流れを止めないスムーズな小回りができるようになるのです。(^I^)
 今回の「小回りでの軸」も,それがしっかり意識されるためには,雪とのコンタクトの様子,つまり「キャスターの働きざまがどうイメージされるか?」ということが大切だ…ということです。


 

---☆★【TOK】の Feelin' Ski ★☆--- 0042 キャスターでの円弧コントロール
                                        No.4 「キャスターと軸」
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 ここまで,キャスターをイメージして基本的なターンと角付けの切り替えをお話してきました。バランスをとるとかキャスターで雪を感じるとかいろいろな言葉が出てきましたが,キーキャスターを支えにしてセンサーキャスターで雪からの情報を得ながら進んで行くと,バランスを取るときに「二つの軸」がイメージされることになります。ここでは,その軸について「大回り系」を例にとって解説したいと思います。 
 右の(図42−3)はこの二つの軸についてのイメージ図です。キャスターターンでは,「1番キャスター」のキーキャスターを支えとして移動していきますので,身体の重み,つまり“重心”は「Key」の部分に掛かります。この“重心”からから「Key」に向かう赤い線を「身体を支える軸」という意味で“サポート軸”と呼ぶことにします。これまでは時々この軸のことを「バランス軸」という表現を使ったこともありましたが,これ以降は「サポート軸」に統一したいと思います。
 このキーキャスターを支えとして移動し,例えば「L」の部分で雪からの情報を得よう
としたとします。
すると,「L」から“重心”に向かう一本の青色のような軸が想定できます。この軸は「L」で感じた雪からの情報を“重心”方向に伝える軸ですので「センサー軸」と呼ぶことにします。この「センサー軸」は,雪からの情報を的確に受け止めるための軸で,センサーキャスターから“重心”に向かうエネルギーがやって来る道筋…ということもできます。
 この支える軸と受け止める軸の二つの軸は,スキーヤーを横から見たときにイメージできる軸ですが,この二つが互いにバランスの取れた状態移動して行けば,安定性のあるでターンをしていることになります。(図42−3)で言えば,青色の点の“重心”と“Key”と“L”を結ぶ三角形が想定できますが,この三角形をイメージしながら滑ることになります。以前,この感覚と似た滑り方を「トライアングル・ターン」と呼んでレッスンしたこともありますが,キャスター・ターンでも大事なイメージです。
 ではスキーヤーを前方向から見たらこの軸はどうなるかを,(図42−1)で説明したいと思います。前方から見ると,“重心”と“Key”と“L”を結ぶ三角形は,一枚の板のようになりますから,図の黒い線のように見えます。三角定規を横からではなく,縦に見る形と同じです。“Key”と“L”を結ぶ線は重なって見えますから,一本の線が“重心”に向かって伸びているようにイメージアプされます。センサー軸とサポート軸を合わせたこの線のことを,これから以降「バランス軸」と呼ぶことにしたいと思います。
 大回り系の滑りでは,サポート軸とセンサー軸の二つの軸は(図42−3)の「
青点」を“重心”付近に想定するのが一般的です。でも,状況によっては意識的にこの位置を首の後部にしたり,ターン外腰にしたりすることもあります。身体の内傾度が変わってストレート内傾になったり,反対に外傾の強い大回りになったり,いろいろなフィーリングの滑りが体験できます。
 慣れてくると,これらの軸は一定ではなくいろいろと変化するイメージも沸いてきます。サポート軸やセンサー軸の長さが変化するイメージを始めとして,その軸の太さが変わるのを感じることもできるようになります。また,コブなどに入った時は,センサー軸がバネ(スプリング)のように伸びたり縮んだり…といったフィーリングになることもあります。
 このように,躍動的な軸を感じるためには,先ずキャスターの転がりに意識が行く必要があります。それがあっての軸ということです。



---☆★【TOK】の Feelin' Ski ★☆--- 0041 キャスターでの円弧コントロール
                                          No.3 「クロッシング」
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 前回,No.0040 では,キャスターイメージを膨らませて,二輪転がりから四輪転がりを意識することで角付けの切り替えもスムーズに行なえることをお話ししました。角付けの切り替えの部分を注目してみてみると,右の図のCからDへの移行を意識する…ということなのですが,Dのように,次のターンの内スキーに少し乗っていく感覚があるので,ある人に言わせば「内足主導のターン」とか,「テールコントロールのターン」という表現を使う人も居るようです。いずれにしても,それまでターンをリードして来たスキーに,「圧」を軽減することなく乗り続け,スキーの滑走面が斜面にフラットになるまでそれをキープする…ということなのです。そうすることによって,抜重無しにスキーが雪面にフラットになるので,重心の下をスキーが抜けるように次のターン方向に走り,角付けの切り替えがうまく行なえます。この方法は,抜重を伴ったり,ストレッチ的に身体が上方に伸びたりしないので,目線が狂うことも無く,安定した角付けの切り替えが可能になるのです。このような方法で行なう角付けの切り替えを,わたしは「クロッシング」と呼んで,伸身抜重やクロスオーバーと分けて使うようにしています。
  「高速系での角付けの切り替えは,身体を次のターン内側へ運ぶようにして行なう…」という言い方をする人も居ますが,その意識では“重心”の移動速度が速くなったり遅くなったりすることになり,合理的だとは思いません。高速での安定性を増すには,“重心”移動の速度はできるだけ一定の方が良いのです。そういう意味で,“重心”移動をそのままにして,その重心の移動軌跡の下をスキーが通り過ぎる…という角付けの切り替え方法はこの欠点をおぎなうものだと考えます。
  Dでは身体の下をスキーが通り過ぎますので,一時的にかかと荷重になり,後傾かな?というフィーリングになりますが,これはこれでOKです。図のCのようにそれまでターンを
リードして来た方のキャスターが四輪全部の転がり意識に変わり,さらにDの右足のように「3番キャスター」での転がりまで意識できれば,次の外スキーの角付けの切り替えはすでに終わっており,Dの左足のように,「1」と「2」のキャスター二輪で雪面を捕らえることができる状況になっているからです。「圧」そのものは右足の方に多く掛かっているのですが,雪面にフラットなのでターンは起こりません。一方Dの左足は,圧は弱いのですがすでに少し角が立っている状況で前方に進んでいるので,この左スキーがターンをリードして行くことになるのです。
  角付けの切り替え方法はいろいろあるのですが,この「クロッシング」…慣れると自然にベンディング的な身体の動きになります。ベンディングをやろうやろうと思うと,雪面の捉えが不安定になることが多いのですが,キャスターイメージのターンをすると,それが自然にできるのが不思議なところです。



---☆★【TOK】の Feelin' Ski ★☆--- 0040 キャスターでの円弧コントロール
                                      No.2 
「角付けの切り替え」----

 「キャスター・ターン」は,エッジコントロール意識よりも面コントロ-ル意識だ…ということを「0038 面で滑る」でお話しました。で,この面コントロール…実はこれを意識をすると,角付けをコントロールするために身体の細部をアレコレ動かそうとしなくなる…というメリットのほかに,「角付けの切り替え」がスムーズに行えるという利点も生まれます。
  右ターンから左ターン,あるいはその逆の,左ターンから右ターンに回転方向を変えていくには,身体の軸の傾けを変えなければなりません。この部分のことを「角付けの切り替え」と呼んでいます。この切り替えのやり方にはいろいろありますが,主に身体(重心)を次のターン内側に運ぶ意識のものと,抜重動作でスキーを左右に動かして行なうもの…の二つの方法があるといわれています。前者は高速系での意識,後者は低速時の意識だと解説されています。それでは,キャスターを意識して行う方法とはどういうものか?みてみることにしましょう。
  先ず典型的なキャスターイメージのターンでのキャスター意識についてお話します。(図40-1)をご覧ください。
舵取り期では@〜Aのように,外足の内側の二輪で滑って行きます。何度も話しているように,赤のキーキャスターで迎え角方向,例えば1時方向をしっかり意識して移動して行くと,緑のキャスター,センサーキャスターに雪から抵抗を受け止め,このキャスターも回転しながらスキーの行き先を決めて行ってくれます。右の図ではこのように,先ず左方向にターンしています。でも,いつまでも左側にターンし続けて行くことはできませんから,あるところで右にターン方向を変えたいとします。そう思ったら,徐々にAからCのイメージでのキャスターの転がりを意識します。つまり,それまで内側の二輪でターンをして来たのですが,それを,徐々に四輪全部で滑る…という意識に変えていくのです。この場合は右足が斜面にフラットになるまでキャスターに乗り続ける感覚です。Cのように完全に4輪全てが転がっている!という感覚になったら,Dのようにここで初めて次のターンの外足のキャスターを意識します。Cの意識で
スキーに乗っているということは,“重心”と支点との間のサポート軸が斜面に垂直になったということです。すると左足は両足の幅の違いの量だけ,すでにもう次のターンの外側に出ていることになります。ですから,ここで左足を意識すれば,左足は雪面にフラットではなく,Dのように右側に角付けした状態で雪面を捉えることができるのです。この後はE〜Fのように左足のキーキャスターを11時方向に転がして行けばいいわけです。つまり,@,AからCのようなキャスター意識を持つことで,圧をゆっくり緩めるとか,身体を左右に動かすとか,抜重するとかの複雑な動作は要らなくなるのです!。大切なことは,体の下にスキーがしっかりクロスするまで,それまでの外スキーに乗り込んでいる意識…ということです。
 この時,二輪が四輪に変わり始める…ということは,滑走面での捕らえが多くなる,ということです。角で滑っている時よりも,面で滑る時の方がスキーは速くなりますから,スキー板は身体の下を勢い良く次のターン外側に向かって進むことになります。身体の下をスキーが通過するのですから,身体(重心)とスキーの位置関係が変わり,結局軸が入れ替わる…角付けの切り替えが完了!ということになるのです。この時,二輪から四輪に転がしの意識を変える時には抜重をしないことです。抜重をしながら四輪にしてしまうと,キャスターの回転が止まってしまいますので,あくまで四輪の回転を持続させる…という意識が大事です。すると「圧」を減じることなく面での捕らえに移行しますので,スキーが前方へ走るのです。
 この感覚で滑ることの大きなメリットは“重心”の移動を滑らかな状態にキープしながら角付けの切り替えが行なえる,ということにあります。合理的な物体の運動,ということを考えると“重心”が極端に動き過ぎるのはよくありません。できれば等速度,もしくは等加速度的に移動するのが理想的です。このキャスターイメージの角付けの切り替えは,そういう意味で“重心”の移動を制限したり,意識して動かしたりすることは必要ありません。このことが角付けの切り替えをスムーズにさせてくれる大きな理由だと思っています。
 ターンコントロールに加え,角付けの切り替えが楽に行なえる,ということはスキーヤーにとって大きなメリットになります。

注:ここで出てきた「サポート軸」についての解説は,
0042 キャスターでの円弧コントロール No.4 「バランス軸」で詳しく解説させていただきます。



---☆★【TOK】の Feelin' Ski ★☆--- 0039 キャスターでの円弧コントロール
                                        No.1 
「舵取りの基本」----

 前回と前々回で,キャスターの前後左右的使い方について解説しました。その基本的な考え方は「線(エッジ)で滑る」というよりも,「面で滑る」という感覚でした。
 今回は,それでは「実際のターンで,どういう意識でキャスターに乗り続けて行ったら良いか?」という,「舵取り」についてお話したいと思います。
 初めは,舵取り期でのフィーリングについてです。ここでは「ターン方向を積極的に決めて行く」という意識よりも,「斜面移動意識」を先に持つことにします。とにかく斜面を移動してみよう…という気持ちになるのです。ある方向,例えば1時なら1時方向に先ず転がって行こうとすることです。もちろん足だけが行ってしまっては身体が残ってバランスを崩し,転倒してしまいますから,身体ごと移動する意識を大事にします。この時できるだけ「キーキャスター」に意識を集中します。四つのキャスター全部に意識を持たせることは慣れないと出来ませんから,先ずキーキャスターが先です。すると,その時々の雪質や斜度などの条件とキーキャスターの移動する方向,つまり迎え角との関係であるターンが起こります。この時に「ははぁーん…この方向にこう進んで行けばこうなるのか?」ということを先ず確認するのです。そしてそのフィーリングをまず身に付けてしまいます。この時はまだ自分の行きたい方向をコントロールしようという気持ちを持たないで下さい。まるっきり他人任せ的なのですが,迎え角方向だけはしっかり意識します。これを何度か試していると,「2番キャスター」のセンサーキャスターから少しづつ雪の情報が伝わって来るのが感じられるようになります。最初は本当に小さく漠然とした情報なのですが,次第にその情報がはっかり判るようになります。この意識の滑り方を仮に「キャスター任せターン」と呼ぶことにしましょう。これに慣れてきたら次はいよいよ自分の行き先のコントロールです。
 例えば,「キャスター任せターン」での回転弧よりも,少し小さい円弧にしたい…と思ったとします。そしたら,キャスターの移動方向を1時にキープしたまま移動し続けながら,センサーキャスターを,今感じられていた場所から,ゆっくりと「S」に近い所に移す感覚にしてみます。もし,「キャスター任せターン」で「L」や「M」のところにセンサーキャスターがあった時は,これで円弧が少しづつ小さくなるはずです。初めのうちはこれを一気に行なってはいけません。「センサーキャスターを・・エ・・ス……」という風にゆっくり行なうのです。この時,スキーはプルーク状でもパラレル状でも構いません。とにかく外スキーのキャスターだけをこのような意識でイメージするのです。
でも,もし「キャスター任せターン」で「S」付近にセンサーキャスターがあった時は,これだけでは円弧が小さくなりませんので,キャスター面を(図38−3)のように変えてみます。「3番キャスター」での捉えを完全に無くし,キーキャスターだけの捉え意識に変えてみるのです。これでほとんどの場合最初の「キャスター任せターン」での回転弧よりも少し小さい円弧にすることができます。しかし,小回りを行なう時はもうちょっと違ったキャスター意識が必要になりますが,このことは後でお話します。
 今度は「キャスター任せターン」での回転弧よりも,少し大きいターンをしたいと思ったとします。この時は先の例と反対のことを行なってみればいいのです。先ずセンサーキャスターを「L」方向に意識してみます。それでも大きめにならない時は,
(図38−2)のように,キーキャスターでの捉え成分を少し弱め,「3番キャスター」にも乗るようにしてみます。これで円弧は「キャスター任せターン」での回転弧よりも大きくなるはずです。

 今回はキャスター・ターンでの舵取りの基本的なことを述べさせていただきました。



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