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            Chapter 8    キャスター・ターン の基本

 Contents  ☆★☆

0035 連続ターン要素の山回り

0034 
キャスター意識
          初歩の山回り

            

0033 
キャスター意識の直滑降
      
0032 与える圧ともらう圧
     
キャスターを意識する前に…



------------☆★【TOK】の Feelin' Ski ★☆-------- 0035 キャスター・ターン入門 その4 ----
「連続ターン要素の山回り」
  前回はキャスターをイメージした「初歩的な山回り」を行ないました。今回は,実際の「連続ターンに結びつく山回り」のイメージを,キャスターを通してみてみることにします。
  前回のイメージの説明図,「キャスターの転がりイメージ(山回り)」と今回の図,「キャスターの転がりイメージ(迎え角一定の山回り)」を比べてみて下さい。何が違っているか?というと,Cの所から「1番キャスター」の転がり方向が変わっています。前回の山回りではこの,「1番キャスター」がずーっとフォールライン方向に転がっていましたが,今回の,「迎え角一定」の山回りでは親指方向に転がっています。これは「自分の行き先をどこにするのか?」というスキーヤーの明確な意思を表すことになります。1番キャスターをどの方向に転がして行くか?あるいはどの方向に乗り込んで行くか?によって,それによるその後のスキー板の反応が違ってくるのです。前回の場合は行き先がフォールライン方向でしたから,結果としてスキー板がフォールラインに直角になる形で停止してしまいます。ところが,今回は行き先が親指付け根方向ですので,重力が影響してスキーが進まなくなる,ということが起こらない限り,ずーっと左に回転し続けるのです。
  前回の山回りでも,Bの所で右足の内側に乗り始めると,スキーは左に回り始める…と
説明させていただきましたが,これはスキー板の形状が「しゃもじ」のような形をしていることに起因しています。足裏のスキーのセンター部分より,トップの方が幅が広くなっているため,スキーが少しでも角付けされると,トップの方が雪の抵抗をより強く受け,スキー板を角付けした側に押し上げるような力が働くのです。つまりスキー板のサイドカーブが生きたことになります。つまり親指の付け根方向に「1番キャスター」を転がして行く意識を持ち続ければ「カービング要素」の滑りになる…ということです。この時,前回のように「1番キャスター」をフォールライン方向に転がしていると,初めは直滑降からサイドカーブが生きて左側に回り始めるものの,その後はスキーのトップ方向ではなく,横方向から抵抗を受け始めますので,スキーの前後差が効いてテールの方の回り込みが多くなり,スキーが横を向いて止ってしまうことになります。
 ではキャスター意識で,どういうイメージを持てば連続したターンをすることができるでしょうか?。右下の図をご覧ください。「1番キャスター」がどちらの方に転がって行くか?ということを「時計」をイメージすることで意識しようというものです。常に「12時」はスキーのトップ方向を,6時はテール方向を指している…とイメージして下さい。前回の(図34−1)の様子をこれで説明すると,@〜Bまではキャスターは「12時」の方向に転がっています。ところがフォールライン方向に転がして行こうとしていますので,Cのところから時計の針の向きが少しづつ変わり,12時→12時半→1時→2時→3時…となって,スキーは停止してしまいます。では今回の上の(図35−1)ではどうでしょう?。@〜Bまでは前回と同じ様に12時方向です。そしてスキーが左側に少し回り始めても「1番キャスター」を転がして行こうとする方向はやはりスキーのトップ方向の「12時のまま」なのです。そのため,身体の向きがスキーに対して開くことが無く,常に雪の抵抗を一定に受け続けることができ,ターンが持続するのです。ですから,どの段階のところでも「12時方向」…という意識を持てば,先に説明したように,カービング要素のターンになるわけです。
 ではスキッディング要素の連続ターンをするにはどうしたら良いでしょう?。こたえは簡単です。「1番キャスター」の転がり方向を「1時」や「2時」に設定すればいいのです。するとスキーの横方向から雪の抵抗を受け,スキーの前後差が生きて,スキッディング要素のターンが可能になります。もちろん,一旦「1時」なら1時にその転がし方向を決めたなら,1時の向きを変えずにそのまま維持しようとする気持が必要です。つまり,スキー用語で言えば,「迎え角を決めたなら,その角度を変えずに斜面移動する」…ということになります。転がし方向を「2時」方向にキープすれば,雪の抵抗をたくさん受けることになりますから,スキッディング要素の多いターンになりますし,もしその方向が「12時半」位ですとカービング要素も含んだスキッディング…ということになります。具体的には使用しているスキーの性能によって,そのカービングとスキッディングの割合は微妙に異なります。ですから,実際の滑走で「1番キャスター」を転がして行く時計の針の方向をいろいろ試して,その板の持つ「カービング度」あるいは「スキッディング度」を会得するのが大切です。

 今回は「連続ターン要素の山回り」について解説いたしました。次回からは「連続ターン」についてお話ししたいと思います。



------------☆★【TOK】の Feelin' Ski ★☆-------- 0034 キャスター・ターン入門 その3 ----
「キャスター意識,初歩の山回り」
  いよいよキャスターを意識したターンの始まりです
。Chapter 7 までは“オレンジ”を意識したターンの仕方を学びました。これから以降は,“オレンジ”をひとまず忘れて,キャスターに乗り込むことをメインにしていきます。
左の図はキャスターの番号を示したもので,「1」は足裏のかかと内側,「2」はつま先内側,「3」はかかと外側,「4」つま先小指側のキャスターを表しています。
 右の(図34−1)は,直滑降状態から左方向への山回りに入る時の,キャスターへの乗り方をイメージしたものです。@は直滑降状態で,スキーは雪面にフラットですから,両足8つのキャスター全てに同じように乗り込んでいます。
 Aは@の状態からやや右足内側キャスター「1」と「2」での捉えを強く意識し始めました。このようなイメージを持つと人間の身体は自然に重心とヒザが左側に移り始めます。
 そしてBではさらに「1番キャスター」だけに乗るようにします。先ほどのAに比べると,つま先が少し浮くような感じになります。でもスキーは「赤矢印」のように前方に進んでいるので,雪から「緑矢印」のように抵抗がやって来ます。「2番キャスター」はその雪の力で回
り続けることになります。乗っている場所は「1番キャスター」ですが,「2番キャスター」は雪からの除雪抵抗を受けて回る…ということです。緑色のキャスターがこの時の「2番キャスター」を示しています。この緑のキャスターも回ってはいるが,そこに自分が乗り込んでいる,というわけではありません。緑のキャスターが回るイメージがあるのだけれど,その回るための力は進行方向からの力で,自分が進んで行く赤矢印とはその向きが逆になっている…ということなのです。ここが大事なポイントです。0032 キャスター・ターン入門 その1「与える圧ともらう圧」で話したように,右の図「B」のような「自分に向かってくる圧」が「2番キャスター」で感じられるようになるのです。
 Cでは,「1番キャスター」に乗りながら,さらにそのままフォールライン方向に移動して行くイメージを持ちます。右スキーの角付けが少しづつ強くなり,スキーのトップが角付けした方向,この場合は左側に押し上げられるように働き,スキーのトップは左方向に進んで行きます。つまり,「1番キャスター」を支点としてスキーのトップが左に回るという「回転力」が生まれるのです。カービング特性の強い板ほど,スキーの「R」が小さいほど,押し上げられる力が強く働き,この現象が顕著に出てきます。
 Dは,さらにその状態を続けたときのイメージです。「1番キャスター」が依然としてフォールライン方向に転がっていくイメージを持っています。すると,Cで生まれた回転力がさらに増幅され,「1番キャスター」を中心として,スキーのトップとテールが左に,スピンするように回り込みます。
 スキーヤーの進行方向がフォールラインを意識したままなので,腰から上の上体はフォールラインを向いたままになり,最後には,スキーのずれ幅が大きくなり,スキーが横を向いた状態で停止してしまいます。ということで,この山回りはずれを伴った非常に初歩的なものだと言っていいでしょう。大事なことはキャスターの転がりに乗って行く,という意識をしっかり持つ練習をする…ということです。

 また,ここで非常に大事なことにも気がつきます。それはAから始まる一連のイメージの中では,足裏の「1番キャスター」に多く乗り込もうとするしているだけで,身体をどうこうしているわけではない…ということです。Aのように,右足内側キャスター「1」と「2」での捉えを強く意識し始めると,人間の身体は自然に重心とヒザが左側に移り始めます。そして,各人各様のフォームができるのです。姿勢やフォームを真似たわけではありません。この「自然にできるフォーム」こそが大事なのだと思います。「足裏のコンタクト感覚を変えると身体がそれに自然に反応し,ある姿勢やフォームができる」…ということであって,けっして自分でフォームを作ろうとしているわけではない!…ということす。ですから,人それぞれ,この意識によってできあがるフォームには微妙な違いがあって当然なのです。形やフォームから入ってしまうと,足裏の感覚がお留守になってしまうのです。

 今回は「初歩的な山回り」をキャスターでイメージしました。次回は,実際の「連続ターンに結びつく山回り」のイメージを,キャスターを通してみてみることにします。



------------☆★【TOK】の Feelin' Ski ★☆-------- 0033 キャスター・ターン入門 その2 ----
「キャスター意識の直滑降」
   今回は,「キャスターでの直滑降」をイメージアプしてみることにします。(^I^)
 先ず,右の図の「転がり方向」のように,片方の足の裏に4つのキャスターをイメージします。そしてその4つのキャスターが黒矢印の方向に転がったり,赤や青の方向に同時に転がるイメージを持ってみます。スキー板を履いているときはエッジがあったり,雪の状態が悪かったりして,思うように前後,左右,斜めに移動できないのですが,スキーを履いているのではなく,キャスターのコロが転がっていると思えばこのイメージアプは結構楽にできます。
 
このイメージが湧いたら,次はいよいよキャスターの直滑降です。今度は両足8個のキャスターが同時に前方に転がって行くイメージを持ちます。緩い斜面の上を,キャスターがコロコロと転がり始めます。身体はそれに乗り遅れないようにして付いて行く意識が必要ですが,その時のキャスターの転がりイメージは左の図のようです。この時,油が効いていないキャスターをイメージしてしまうと,キャスターがギシギシ言ってなかなかうまく転がってくれませんから,オイルがしっかり効いてスムーズに良く回るキャスターをイメージすることが大事です。(^I^) 
  よく,「何を他愛もないことを…!」という人が居ますが,スキー板が雪の上を滑っているという感覚よりもはるかに「前方に移動している!」という感覚になれ,直滑降が楽しく,そしてスムーズにできるのです。なぜかというと,スキー板に比べて,キャスターが不安定な気がする分だけ,斜面移動して行くキャスターに置いて行かれまい,乗り遅れまい!とする気持が起こるからです。身体がしっかりスキーの真上に乗り続けるようになるのも面白い現象です。スキーよりさらにキャスターの上に乗っていることの方が不安定なので,足元がさらわれて転倒しないように,バランスをしっかりとろうという気持になるのです。
 このイメージで斜面の上を直滑降で滑ると,何気なく直滑降をしていた時には感じられなかった斜面の凹凸や,雪の柔らかさ,湿度の違い…等が足裏のキャスターを通して伝わって来るような気がして来ます。また,滑走中に目をつぶると対象物が無くなって速度感覚が無くなり,非常に怖いのですが,キャスターをしっかりイメージすれば,少しくらいの斜度で,あんまり大きくない凹凸なら結構目をつぶって直滑降をすることも可能です。
 いずれにしても,この段階ではキャスターだけが先に行ってしまったり,取り残されたり…ということの無いよう,身体とキャスターが一緒に行く,ということをイメージして足裏感覚を磨きます。

 次回は,キャスターをイメージした「山回りターン」です。(^I^)




------------☆★【TOK】の Feelin' Ski ★☆-------- 0032 キャスター・ターン入門 その1 ----
「与える圧ともらう圧」
   “ Feelin' Ski ” 前回までの解説では,“オレンジ”意識をメインにした「基本パラレルターン」を取り上げました。ここまでできるようになれば,普通の斜面ならいろいろと楽しむことができます。そして,斜面状況やスピードをいろいろ変えてみることで,さらに違った感覚を自分なりに味わうことができ,これを続けて行けば,自分流の“ Feelin' Ski ”を見つけ出すことができます。このようにご自分なりの「スキー感覚」を探していくのも“スキー”の楽しみなのですが,多くの方から “ Feelin' Ski ” の続きを!というお便りを頂きました。 
  わたしも私なりに,この“オレンジ”をメインにした「感覚的スキー」を,どう進めたたらより技術向上に効果があるか?ということを考え,いろいろ試行錯誤をしながらレッスンをしてきました。そして,昨シーズンようやく次のキーワードが見つかりました。それが,「キャスター・ターン」です。移動を楽にするため,バッグの下やサービステーブルの脚についている「キャスター」をイメージして滑る…というものです。軸が固定されておらず,360度どの方向にでも転がることのできる,右の写真のようなキャスターをイメージします。
  この解説に入る前に実は大事なことがあります。キャスター・ターンの第一回目はそのことからお話したいと思います。その大事なこととは「圧には方向がある」…ということです。オレンジターンでも似たようなことは解説させていただきましたが,今回は先ずこのことからお話しましょう。   
  右の図の「A」「B」をご覧下さい。「A」は足の下のオレンジを上から踏んだ時の図です。オレンジはつぶれすのでジュースが出るのですが,上から下に踏み込んでいるので,そのジュースは下方に染み出していきます。つまり黒の矢印のような向きにジュースが出るわけです。一方「B」の方は足が固定されていて,下の雪が足の方に近づいて来た時の図です。この時は足は動かず下から圧が掛かってきますから,ジュースは足の方,つまり上方に向かって掛かります。
  どちらの場合もオレンジに力が掛かってジュースが出るのですが,その力をどの方向から受けるかによって,ジュースが飛び出る方向が違ってくるのです。わたしは「A」を「与える圧」と呼び,「B」を「もらう圧」と呼んで区別しています。「A」は自分から雪面に力を加えた時に起こる現象で,「B」はコブや凸斜面にスキーがぶつかって行った時に起こる現象です。「A」は斜面移動を必要としませんが,「B」は斜面移動が必要になります。
  「キャスター・ターン」の意味を理解するには,この両者の区別がしっかりできることが前提となります。次回はこの
「与える圧ともらう圧」を理解していただいた上で,「キャスターでの直滑降」をイメージアプしてみることにします。(^I^)




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